6/29/2011

[law] サッカーボールによる転倒事故訴訟判決

が酷いと聞いて。ニュースを読んだだけですが、確かにこれは酷い。当時87歳の男性がバイクで通行中にたまたま校庭から飛んできたサッカーボールを避けようとして転倒し骨折、入院。入院中に痴呆になって、入院6ヶ月頃、それによる誤嚥から肺炎になって死亡。最初のサッカーボールを蹴った少年を相手取って遺族が起こした訴訟で、まさかの遺族勝訴、1500万の賠償請求認容判決と。

マジかよ、と目を疑ってしまいました。この要約の中だけでも問題はいくつもあって、まず第一に87歳の男性がバイクに乗っていた中での事故であり、果たして男性に正常、十分な注意力等があったのかという事。これが不十分な場合は事故の責任は男性にある事になります。しかるに、その後入院してからの痴呆の症状の深刻さからすれば、既に相当の能力低下があった事が疑われるところです。

第二に、入院までは事故との因果関係が明らかですが、その後の死亡原因であるところの誤嚥と事故の因果関係については明らかでない事。普通に考えれば、入院してなくてもボケてたんじゃないの、という事です。また因果関係がゼロではないとしても、直接の原因である誤嚥自体は病院における看護責任の範疇である筈で、事故との因果関係はあまりに小さいものと思われますし。

第三に、相手が少年本人、またその代理人としての両親である事。活動場所は校庭、少年が狙って蹴りだしたのではなく、ならばボールが外に出る事自体は通常の活動で起こるべきであった筈で、そうであれば、まず第一に責任が問われるのは本来その場所、活動の管理者である所の学校である筈です。フェンスの設置等の防止措置を怠った、とか。さらに、少年を相手にするとしても、賠償責任を負わせるには、基本的にその行為に何らかの有責性が必要であるところ、この場合はそれが認めがたいのですし。報道の記述を見る限り、過失というよりは単なる偶然による不運な事故に思われるわけです。

さらに、損害賠償の額。87歳、痴呆も容易に発症するような状況であった事を鑑みれば、逸失利益はほぼ無きに等しいだろうし、6ヶ月分の入院費用を考慮しても1500万は有り得ないと思われるのですよ。本来なら骨折の治療に要する数百万程度であろうと。保険屋が絡んだのかもしれませんけど、どういう根拠で算出されたのか極めて疑問です。

要するにありえない。明らかに逸脱した判断に思われる本件、少年側もさすがに控訴するでしょうし、上級審ではまずひっくり返るものと予想されますけれども、控訴にかかる負担も少なくはないのだし、何よりも地裁の判決は、拘束力は無いにしてもある程度規範として広く参照されもするし、社会的な影響も小さくないのだから、いい加減なというか恣意的な判断を出されては困ります。担当の田中敦裁判官は非難されてしかるべきかと。何なんでしょうね本当に。

サッカーボール避け転倒死亡 蹴った少年の親に賠償命令

-----
高裁でもまさかの控訴棄却。血迷ったか大阪高裁。
[関連記事 [law] サッカーボール転倒訴訟、高裁も原告勝訴 ]

-----
最高裁でようやく破棄。なお自判につき確定。こんな事にどうしてこんな手間も時間もかかったのかと。。。
[続き記事 [law] サッカーボール転倒訴訟、最高裁にて破棄、賠償責任否定]

6/28/2011

[law] キッコーマン兵庫高砂工場で賭博、大量送検

社員60人、OBが4人の計64人。工場勤務者200人中の三割が丸ごと賭博罪容疑で書類送検ですか。賭けの対象は高校野球、人数は多いものの、掛け金は総額でも10万そこそこなので、一人あたりでは2000円程度と、パチンコやらで動く金に比べれば取るに足らない額です。が、違法は違法、おそらくは常習性もあったんでしょうし、公益を害する犯罪行為という事であえなく御用というわけですね。

しかしどうなるんでしょう。この手の組織内での賭け事は学校とかでよくある事、実際私の通っていた高校でも発覚して何十人かが停学になってたりしたものです。もちろん学校だと色々配慮もあって刑事にはならず内部的に処理されるわけですが、本件は全員責任ある社会人、かつ刑事事件になってしまった以上、企業としてはブランドイメージとかコンプライアンスとか、色々掲げてる建前との兼ね合いで処理が難しそうです。一人ならともかく、こんだけ数が多いと全員クビというのはさすがにやりづらいでしょうし、額も大したことないし、胴元とか悪質なのはともかく、単に乗っただけの社員は減給位で留める、とかで手を打つんでしょうかね。

野球賭博と言えば、大相撲の件も当然に連想されるところです。あちらは公的な組織という事で厳しい処分が避けられませんでしたけど、こちらは純然たる私企業ですし。額も桁が違うし。あちらと同じく暴力団とかが絡んでたり余罪があったりするとまた話が違ってくるんでしょうけれど。

もっとも、そもそも本件は本来事業とは直接関係ない話ではあって、単に従業員が業務とは関係ない所で起こした不祥事のようにも見えるのだから、企業としては道義的なもの以上の責任はないとも言えるし、そうは言っても従業員は企業そのもの、という部分も確かにあって、その意味で責任があるとも言えるし、何処でバランスを取るのか、その意味でも微妙な話、それなりに興味を惹かれる気もするところです。どうするんでしょうかね。少なくとも、当の社員達には厳しい話になる事だけは間違いないのですけれど、それはまさに自業自得な話、どうなろうと別に知ったこっちゃないのです。

選抜で賭博:容疑のキッコーマン工場の64人 書類送検へ

6/27/2011

[IT] Firefox5にアドオンが未対応で困る

のです。メジャーアップデートサイクルを短縮した、それ自体は別にいいんですけど、こういう弊害は困ります。互換性は担保してくれなきゃ。Linuxでは非互換になるアドオンは入れてなかったから素直に上げましたけど、Windows版でいくつか入れてたのが引っ掛って。もうFirefox4はサポートもしない、という話らしいので、終了時にAcrobatが勝手に起動する不愉快な不具合も修正されないと。これはむかつく。無料だからサポートが甘くなるのはある程度仕方ないとしてもひどすぎます。当該機では暫定のつもりでIEを使ってるんですけど、あんまり好き勝手するならChromeに乗り換えようかなもう。

実際各方面でクレームが出ているようです。当然ですね。

Firefox 4のサポート打ち切りに企業から不満の声、MicrosoftはIEをアピール

[過去記事 [PC] Firefox4終了時にacrobatが勝手に起動 ]

[biz] 原発稼働論者の判を押したような浅慮

ここ最近、政財界を中心に、原発稼働すべしとのポジショントークをする人達が増えてきているように見えます。経済活動そのものに直結し、原発業界単体だけでも相応の規模があるのだからその利害が絡む人の範囲は広く、その程度も大きく、その権益を守ろうとする活動が出るのは当然で、それ自体は別段何という話でも無いのですけれど。

ただ、その態度、論理の構成が稚拙でいけません。皆、判を押したように経済活動に必要だから、原発が無いと経済が衰退するからと、原発による経済活動面の利益、またその裏返しであるところの停止した場合の利益喪失、すなわち結局は経済的な利益の面を強弁するばかり。第一に必須であるところの、事故とその被害、またそれによって崩壊した原発立地周辺地域における安全とそれに対する地域住民の信頼、それらの補償、修復、担保については、実質的に何ら言及していないのです。

決定権は周辺自治体、住民にある。そして、住民は現実的に生命の危険を認識し、安全の保証を何よりも必要としている。ならば、彼らが納得する保証、それが将来の約束でなく現実に完成した事を彼ら自身が確認した後でなければ妥協の余地などある筈もありません。それを無視して単に稼働の利害を語った所で、単に無意味なだけでしょう。むしろ危機感を煽って逆効果になりもするでしょうし。

地域への安全の保証、それを構築するには、多くの事がなされる必要があります。第一に福島原発の事故の避難者の従前の生活回復も含む完全な終息、第二にその事故の可能性についての具体的かつ詳細な分析把握、それに基づいた安全性基準の構築、分析法の確立、次いでそれらによる既存原発の個別分析と可能な場合の設備再構築、不可能な場合の廃棄。長年に渡る行政・原子力事業者の安全性に対する瑕疵、虚偽の責任、それらの落とし前も必要でしょう。それらが将来の約束ではなく、現実として完成しない限り、地域の同意は得難いものと考えるべきです。

それは無理、というのであれば、それはすなわち原発の維持自体が不可能という事実の証左に他なりません。現に福島の人達は家を追われ、避難地域外でも放射性物質に生命を脅かされているわけで、明日は我が身と考えるのは当然の話なのですから。金は大事、だけれど金で売れないものもある。そんな事も理解せず、命の危険のないところから、危険を他人に押し付けて自身の利益を守ろうとする、その行いの醜悪さ、愚かさは目を覆うばかりです。

6/21/2011

[biz] 三菱重工で検査省略の内部告発

航空機、ロケット等のチタン製部品の検査ラインで洗浄を省略していて、表面に微細な破損がある部品を出荷していたと。その数30万点、1600種類という事だから、平均で各種200個の超小ロット生産の特注品、チタン製である事からすると、多くは極めて重要な機体の基幹部品であろうと推測されます。傷があっても問題はない、とか言ってますが、些細なイレギュラーが致命的な不具合に繋がる可能性が多々あって、品質については極限までシビアなロケットや戦闘機等の部品の品質に対する見解としては、到底信じられるものではないでしょう。

そもそも量産品でもないのにたった3分の手間を惜しみ、かつ欠陥品を平気で出荷する、その感覚自体が信じがたい所です。他の工程とかでも同じような事をやってんでしょ、とそういう嫌疑がかかるのも避け難いでしょう。そういう細かな欠陥が重大な結果を生む、積み重なればそれだけその可能性は飛躍的に高くなる、だからいかに些細な工程であっても手抜きは許されない、そんな当たり前の事も理解していないのかと。酷い話です。トヨタ方式の弊害ですかね。

ただ、発覚の経緯が内部告発という事で、その点は、素直に見れば良心ある技術者の存在を示すものではあるし、今後の対応如何によっては更生の可能性なきにしもあらず、かもしれない、そこは慰めにはなるでしょう。一般的には、告発者のあぶり出しやら報復やら、かえって悪い方向に走る可能性の方が高いわけですけれどもね。さて。

三菱重工が航空部品製造で「手抜き」 社内告発で判明

[biz] 理研のpFlopsスパコン、Top500首位

いわゆる京速計算機、とりあえずLINPACK世界一とか。どれくらいの間トップで居続けられるのかはIBMと中国あたりの動向次第ですが、関係者はさぞ喜んでいる事でしょう。例の大臣へのバッシングも再燃したりして賑やかな事です。行き詰まり感の蔓延する科学技術業界はスポンサー確保に必死、金の無い国としてはリストラしたくて仕方がない、そのせめぎ合いの象徴として、政治的に色々注目されるのも当然の事ではあるんでしょう。

がしかし、費用対効果が恐ろしい程悪いのは事実なわけでね。ここまで悪いと、それでも実施する理由が必要になるわけで。すなわち本来その目的としては、本機特有の機能、計算能力が無ければ出来ない、それによってのみ可能な計算結果、その成果の創出が設定されなければならなかった筈なのです。

しかし、目的、それに値する成果は、実質的に設定されませんでした。ぶっちゃけそんな都合の良い話はなかったからです。計算論的に特異な成果を挙げるためには、量子計算機とかじゃないと無理、けれどそれは作れない。そして、計算機自体の技術云々はあくまで副次的な産物なのに、計算機の構築そのものが自己目的化して、とりあえず作ればなんとかなるだろ、で無理やり作ってしまった。逆に言うと、筋通りの目的があるならこんな無理やり感はなかった筈なのですよね。

その帰結として、従来比10倍とかになった計算能力によって特異な成果が上がるかというと当然そんなわけもなく、結局完成時がゴールになってそのままフェードアウト、というのが当然に予想されるという。しかもそのランニングコストだけでも一時間あたり使用料が数10万とか100万とかアホみたいな事になって、結局あまり使われもしない、と、まんま地球シミュレータの二の舞になりそうで、それはやはり馬鹿の所業だろうと思うのです。

そもそもの本プロジェクトの主目的は、学術的なものではなく、富士通、当初はNECと日立も入れた国内計算機業界救済のための公共事業だから、ってのはわかるんですけど、それは資金の浪費に他ならないし、もうそんな事してられる状況じゃないでしょ、とやっぱりそう思う訳です。アーキテクチャ自体の進歩はもう殆どないのだから、次はもうない、その方が自然でしょう。政治的に次を作っちゃうかもしれませんけど。その辺には、ITゼネコンとかいう言葉も定着しいこの業界、往年の建設業界と似たような斜陽感も感じられます。それは当然ながら良いイメージでは決してないのですけれど。

---------------追記

インテルはエクサコンピューティングに挑戦、ですか。まあGPGPUと同じような並列アーキであれば可能なんでしょうけど、また使いにくそうな。メモリ回りの使い方がね。

Intel plans exascale computing by 2018, wants to make petaflops passé

6/18/2011

[note] 原発事故、事後処理の茶番っぷりに

もうね。見てらんないのですよ。こういうリスクだらけのプロジェクトに臨むにあたっては、起こり得る事象、シナリオとか、仮説は全て洗い出して、その全てに対して破綻を避けられるように保険をかけながら進めるのが当然で、想定外等という言葉は死んでも口にしてはいけないのに、当然に起こる事象一つで破綻して、次善の策すら見出せないとはね。リソースがないってんならともかく、金も人手もある筈なのにさ。

もっとも、世間には似たような光景が嫌と言うほどあるわけですけれど。例えば、企業における研究開発の現場では、多くの新人が、自分の浅薄な思い込みやら無知から、リスクを無視したり過小評価し、悪化する状況にあっても当初の方針やら建前に固執して、時間を浪費した挙句、どうにもならなくなって破綻する、といった同様な醜態を見せるものです。それ自体は珍しくもなんともありません。ただ、多くの場合、指導役は当然にそういう可能性を経験から予想して、尻拭いが出来るように手当てしておくものだから、全体としては破綻しないのに対し、本件の東電においてはその機能が全く無い、そこは致命的な相違ではあります。

思い込みを捨て、裏づけの取れた事実のみと向き合い、起こり得る事象全てを把握した上で、その全てに対応する手段、手続きを見出し、状況の変化も取り込んで更新修正し続けながらミッションを遂行する、そんな事は技術者、またその組織としての仕事の基本中の基本です。その基礎が全く欠けている事には愕然として失望せざるを得ないし、同様の失態を演じた多くの新人、素人に対して向けられるそれと同様に、軽蔑と怒りを禁じえないのです。

ただ、新人の失態については、ある程度教育的な必要コストとして承知している事が殆どですし、そのような事情もない本件、東電とその下請けメーカー、その監督をする政府関係者に対する感情は桁違いに大きいのですけれども。

あとね、新人の場合の経験からすると、こういう泥沼に入った時って、当人ももう無理って大体分かってるものなのですよ。それまで安易に無責任な見通しとか計画というか願望を色々言っちゃってるし、失敗を認めたくないから、引くに引けなくなってるってだけで。今回のも多分に似たようなもの、それが分かるだけに殊更気分が悪いのです。お前らいい加減にしろよと。責任者の面々とか、よく恥ずかしげもなく生きてられるものだと、ある意味感心します。

新人相手なら徹底的に責任やら追及して人格も全否定する所ですよ。あれだけ出来ます、出来そうですって言って、私が心配しても相談しなかったよね?もう時間ないよ?どうするの?出来ませんでした、なんて今更言って、それで済むと思ってるの?済むわけないよね、じゃあ責任持って実現しなさい、出来ないならクビだよ、君も私も、って。新人の仕事ならそうやってみっちり叱った後で引き取れるけど、東電のは誰も引き取れないし、もう終わりですかね。

福島第1、汚染水浄化を停止 「再開 見通し立たず」

6/16/2011

[law] 弁護士が被後見人から横領、隠蔽工作も

後見を担当していた高齢者の預金を着服して、隠蔽のために家裁への提出書類も改竄したけれどバレて御用と。要するに金目当てのクズが捕まった、というだけの話なわけですけれども、ただ、従来の悪徳弁護士のイメージからすれば、黒いけれどもやり手、グレーだけれど合法なやり方でずる賢く稼ぐ、という理性的なイメージが強かったもの、それに比べて本件はあまりに短絡的、バレたら終わりのストレートな犯罪で、その辺に少々違和感も感じられます。単にステレオタイプに毒されていただけかもしれませんけど。

大体、弁護士とか司法書士とか士業関係は、金の出入りについては税務を中心に各方面から極めて強くマークされているのは周知の事実、大量に逮捕者も出てるのに、その中で預金窃取とか、善悪以前に訳が分からないのですよ。預金解約日付の改竄とか、調査されたら速攻バレる稚拙な工作を弄しているあたりも、いかにも浅慮というか場当たり的な感じで。

率直に言って、弁護士とは思えない頭の悪さの表れに見えるわけです。もっとも、弁護士としての本来の職務を果たせない程に頭が悪いからこそ、かような犯罪に手を染めたのだろうとも推測されますけど。法科大学院制度の導入に伴う弁護士の飽和及び能力水準の低下が指摘されて久しいところ、弁護士による犯罪の増加もある程度予想はされていましたけれども、本件のようなケースを目の当たりにして、幾ら何でも酷すぎる、とそう思わずにはいられない所であります。特異なケースと思いたい所ですけれども、むしろ氷山の一角なんでしょうね。困ったもの、では済まないのですよ本当に。

成年後見人弁護士、1500万円横領容疑で逮捕 名古屋

6/13/2011

[note] LooxU/C40のUbuntu11.04設定

少し前にGMA500ドライバ関連の不具合で画面が表示されず断念していた、LooxU/C40のUbuntu11.04へのアップグレードの件、放置しているうちに色々と進展があったらしく、それを参考にして再度トライしたところ、一応OKになった、という事でその手順をメモ。

1. Ubuntu 11.04のインストール

 いつものようにCDからセットアップします。途中、例のバグのせいで五月蝿いですけどじっと我慢。

2. サウンド修正

 これと3.のグラフィックドライバの修正は順不同ですが、こちらを先にする方が精神衛生上よいのではと思います。手順は10.10の時と同様で、/etc/modprobe.d/snd-hda-intel.confを作ってoptions snd-hda-intel enable_msi=0と書き込んでから再起動。これで静かになります。

3. グラフィックドライバ修正

 まずはWiki記載の手順に従ってEMGDドライバを入れます。具体的には以下のコマンド。ちなみにEMGDドライバはxorgの1.9系列にしか対応していないので、この時xorgがUbuntu11.04標準の1.10系列から1.9系列へダウングレードされます。

$sudo add-apt-repository ppa:gma500/emgd
$sudo apt-get update
$sudo apt-get install xorg-emgd emgd-dkms
$sudo emgd-xorg-conf

 WikiではこれでOKと言う事になってるんですけど、最後の設定ファイルxorg.confを生成するコマンドにバグがあるというか、解像度やら同期周波数やらがLooxU/C40のディスプレイと全然違うパラメタで生成されてしまいます。このまま再起動すると、画面が激しくズレたり縞模様になったりして正常に表示されません。なのでこれを手動で修正してやる必要があります。

 正確には現在のXorgでは設定データの管理方法と形式自体が変更されてxorg.confは存在しませんので、それに相当する下記ファイルの方をいじる事になります。

・設定ファイル名・場所 /usr/share/X11/xorg.conf.d/10-emgd.conf

 このファイルの中にディスプレイのパラメタが記載されているのですが、上述の通りバグによって全然違うディスプレイのパラメタが記載されているし、さらに必要なパラメタの記載が幾つか欠けています。解像度が1366x768だとか。作者のPC用なんでしょうけど困ったものです。修正すべきパラメタは結構多くて、差分を抜き出すのも面倒なので全掲載。なお掲載スペースの都合でタブを省略しているので、実際にはSection-EndSection間、SubSection-EndSubSection間はそれぞれタブが入ります。元のファイルを見れば直ぐにわかると思いますけれども。

10-emgd.conf ここから---------------------

Section "ServerLayout"
Identifier "Default Layout"
Screen 0 "Screen0" 0 0
EndSection

Section "Device"
Identifier "Intel_EMGD-0"
Driver "emgd"
VendorName "Intel(R) DEG"
BoardName "Embedded Graphics"
BusID "0:2:0"
Screen 0
VideoRAM 131072
Option "PcfVersion" "1792"
Option "ConfigId" "1"
Option "PortDrivers" "lvds"
Option "ALL/1/name" "lvds-display"
Option "ALL/1/General/DisplayConfig" "1"
Option "ALL/1/General/DisplayDetect" "1"
Option "ALL/1/Port/4/General/name" "LVDS"
Option "ALL/1/Port/4/General/Edid" "1"
Option "ALL/1/Port/4/Attr/70" "0"
Option "ALL/1/General/Accel" "1"
Option "All/1/Port/4/General/EdidAvail" "0"
Option "All/1/Port/4/General/EdidNotAvail" "4"
Option "All/1/Port/4/FpInfo/Height" "800"
Option "All/1/Port/4/FpInfo/Width" "1280"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/PixelClock" "68880"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/HorzActive" "1280"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/HorzSync" "16"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/HorzSyncPulse" "64"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/HorzBlank" "120"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/VertActive" "800"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/VertSync" "2"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/VertSyncPulse" "4"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/VertBlank" "20"
Option "All/1/Port/4/Dtd/1/Flags" "0xc000000"
Option "All/1/Port/4/Attr/26" "18"
Option "All/1/Port/4/Attr/27" "0"
Option "All/1/Port/4/Attr/45" "1"
Option "All/1/Port/4/Attr/72" "1"
Option "All/1/Port/4/Attr/70" "100"
EndSection

Section "Screen"
Identifier "Screen0"
Device "Intel_EMGD-0"
Monitor "LVDS"
SubSection "Display"
Depth 24
Modes "1280x800"
EndSubSection
EndSection

Section "Monitor"
Identifier "LVDS"
ModelName "LCD Panel used by EMGD"
EndSection

Section "DRI"
Mode 0666
EndSection

Section "Extensions"
Option "composite" "enable"
EndSection

ここまで------------------------------------------

 修正後、再起動。私の所ではこれで正常に表示されましたが、Videoramとか場合によってはさらに色々修正する必要があるかもしれませんし、細かい検証はしていませんので色々隠れた不具合があるかも。そもそも色々と微妙なドライバって話だし。というわけで、あくまでご参考という事で。トライされる場合にはくれぐれもご注意下さい。

 mplayerとか入れてみたけれど、再生支援も問題無い様子。なお一応Unityも動作します。何か表示が変でしたし、使いにくいので例によってすぐ外しちゃったんですけどもね。何はともあれ宿題が一つ片付いてとりあえずLooxUが復活、気分は悪くないのです。

--------------追記

続けてタッチスクリーンドライバを入れてみました。最新版ソースはfujitsu-usb-touchscreen-0.3.8.tar.gz、10.10対応版から更新されておらず、まあ無理だろうと思っていたら案の定コンパイルエラーで撥ねられたのですけれども、簡単に直せそうだったので6行ほど修正したら使えました。キャリブレーションも問題無し。
具体的には、ソース(fujitsu_usb_touchscreen.c)内の326~329行及び343,344行目、input_dev構造体のabsmin, absmax, absfuzzメンバをセットしている箇所計6行をコメントアウトして、その代わりに、326行目の所へ下記二行を追加すれば良いみたい。

input_set_abs_params(input_dev, ABS_X, touch_minx, touch_maxx, 6, 0);
input_set_abs_params(input_dev, ABS_Y, touch_miny, touch_maxy, 6, 0);

私の所ではこれでmakeが通りました。その他のインストール手順、設定方法等は当然ながら従来同様という事で、動作もOK。しかしこれ、ライブラリ側の仕様変更のあおりを食らった形だけど、そもそものライブラリの構成が直接メンバを触る形で、それがまずかったということですね。最初からこうメソッドを介する形にしておけば何も問題なかった筈、大きいモジュールはちゃんとしてるけれども、細かい所まで行き渡ってなければ意味がないのです。この種の設計自体のまずさ、それによって後々手間がかかる事が多いのはLinuxの欠点だと思うし、いわゆるタダより高いものはない、になってしまっているのは残念な事です。仕方ないんでしょうけど。

[過去記事 [note] Ubuntu 11.04がとても微妙]
[過去記事 [note] LooxU/C40もUbuntu化]

6/09/2011

[biz] ギリシャ短期国債利率が25%突破

2年ものが25%突破って。ついこないだまでまだ見られる数字だった気がするんですけど、いつのまにこんな事に。完全に終わってますし、そりゃEU自体が危機にもなるってもんです。先日ギリシャがユーロ脱退したがってて他国が説得中とかいう話があった筈ですけど、もう再建はあきらめて大人しく脱退させた方が良いんではないでしょうかとも思う酷さです。もっともギリシャは相対的に酷すぎるというだけで、他の国、ポルトガル、スペイン、イタリア、そして米国と、国債市場は全面的に地獄みたいなんですけどね。さて日本国債はいつ仲間入りするんでしょうか。

BOOM: Rally Evaporates, Greece Delivers Ugly GDP, As 2-Year Yields Explode Past 25%

[crime] 富士通社員が盗撮画像ブログ掲載で逮捕

またか。容疑者は山田洋靖41歳、本体の社員と。この前の痴漢といい、性犯罪的な方面でやらかす頻度が高すぎると思うんですよこの業界。変態だらけなのね、とそう認識せざるを得ない発生率です。いや変態なのは個人の性的嗜好の問題、人の勝手なのですし、変態だらけだからといって当然に非難されるべきものではなくて、法で定められた一線を越えた個人のみが非難されるべきなんですけどね。節度あるその他の変態さん達はそのまま大人しくして社会に迷惑をかけないで欲しいものであります。

と倫理的な観点の批判はさておき、利益は二年あまりで500万ですか。副業と言うには大きい稼ぎ振りで、事業運営としてはそれなりに成功していたものと言えますね。しかしその破綻を招いた容疑はわいせつ図画公然陳列、すなわち直接的には無修正だったのがアウトと。修正の手間を惜しんだ、というよりはもし修正を加えていればこれほど稼ぐ事は出来なかった筈だろうし、結局の所、商売のしくみとして根本的に無理があったという事なんでしょう。

ただ犯罪としては大罪というわけではないし、存分に反省して頂ければそれで済む話、再出発の道もあるでしょう。もし次、があるのなら、合法かつ社会に益のあるものである事を願う次第です。もっとも名前も出ちゃってるし、さらに恥ずかしいニックネームも手伝って、社会的には色々と開き直りが必要だろうし、容易ではないだろうとは思いますけど。あとこれから盗撮の方も立件されるかもしれないし。

しかし、今回の富士通に限らず、各社とも社会的に云々なる倫理とか理念とか掲げてて、建前は立派なんだけど、その実体との乖離が酷すぎると思うんですよね。コンプライアンスとかもう冗談にしか聞こえないのですよ。個々の社員の人格的な所に原因がある以上どうにもならないと思うんですが、かといって今更引っ込めるわけにもいかず、このまま、乖離し続けるより他ないんでしょうけど。どうにも気持ち悪い話です。

「盗撮師ディール」の名でブログにわいせつ画像掲載 容疑の富士通社員を逮捕

[過去記事 [crime] 今度は富士通社員が痴漢で逮捕 ]

6/08/2011

[note] Displayport-DVI変換アダプタ輸入

サブのノートPCの外付け液晶接続用に購入。これまでDSUB出力で繋いでたんですけど、若干ノイズが乗ってるのが気になってたので。ノートPC側でデジタル接続出来るポートはDisplayportだけだったし、液晶側にはDisplayportは付いてないしでしばらく放置してたんですけど、いいかげん我慢出来なくなって、今回の購入と相成ったわけです。

例によって日本国内で調達すると高いのでEbay経由で、中国は広州の業者をチョイス。商品説明の明らかに怪しい英語はご愛嬌。ノーブランドなのは当然として、一体型のアダプタはポートにかかる荷重がきつそうだったので、ケーブルタイプを選択。なので値段は最安ではないものの、送料込み$7.5と言う事で十分安く、日本国内と比較すると3倍以上の差があるのもいつもの事です。

朝に落札、振り込んでから発送まで半日かからず、さらに到着までは8日と素晴らしい迅速っぷりでした。業者が日本直通便のある国際空港があって、転送の手間がかからない広州だったのが良かったのでしょうか。速いことは良い事です。

動作確認も全く問題無し。これでノイズ付きの画面とはおさらばなのです。良い買い物でした。いつもこれくらいスムーズなら良いのですけどもね。

[biz law] 伊藤ハム子会社課長が横領で逮捕

人材派遣子会社で経理担当者が1400万横領、理由は競馬等のギャンブルですか。ありふれた話ですね。ただ、この種の組織内部での犯罪の多くは、企業の対外的印象に与える影響に配慮して内々に処分してしまう事が多いものですし、特に子会社とはいえこの規模の、それも一般消費者向けのイメージが非常に重視される親会社を持つ所があえて刑事にした、というのは少々珍しい気がしなくもないです。もちろん本来的にはそれが当然なのですけれど。

内々で済まそうとしたけれど犯人が弁済出来なかったかしなかったとかで止むなく、という事なのか、それとも企業の方針としてオープンに処理する事にしているのか。総額で1億4000万とかいう話だし、前者かなとは思いますが、もし後者であれば、それは社会的な抑止力の強化等、法の機能、その主旨に沿うものであって、望ましい傾向と思われます。そういう方針がもっと広まって、むしろそれが当たり前、位になって欲しいものですが、可能なんでしょうかね。うーん。

しかしなんでこの手の横領というのは後を絶たないのか。ギャンブルにハマる時点でそういう頭の足りない人達なんだ、というのはあるにせよ、そういう人達を経理担当にする会社の判断が一番理解し難く思うのです。

伊藤ハム子会社の元課長逮捕 1400万円横領容疑

6/07/2011

[IT] RSA SecurityのSecureIDがクラック

いわゆるワンタイムパスワードの代名詞、RSA SecurityのSecureIDがクラックされ、実際に悪用も確認された結果、全端末交換するハメになったとか。トークンを利用した、使い捨てとも言われる毎回生成型のワンタイムパスワードは、ユーザ側でのパスワード管理の不備による脆弱性を解消出来る技術として、意外にというかそれなりに普及していますが、それ自体がクラックされてしまった、と。これは酷い。本件、ロッキードマーチンとかでSecureIDのクラックがあった、との噂自体は少し前からあった筈ですが、それを公式に認めて、交換等も公にアナウンスされたという事で、ニュースとしてはさほど新規ではないですね。ただ、特定顧客に止まらず、全個体がアウトだった、というのは、SecureIDのしくみ自体の設計の拙さを示すものでもあって、改めてそれなりに驚きやら失望やらを感じる所であります。

もちろん具体的にどういう情報が盗まれて、どう悪用されたのか、その技術的な詳細は公表されていないし、これからも明らかにされそうもないわけですけれども、全部がアウト、という事ですから、おそらくはジェネレータにあたるマスターキーが流出したか、トークン中の無防備なパスがバレたか、そのあたりの話だろうと推測されます。この種のクラックが一度発生すると修復は不可能になる、だから全交換、とそれ自体は当たり前の話ではあるでしょう。

被害の規模については、一応公式発表では4000万ユーザとの事で、数だけならばソニーの個人情報流出の件よりは少ないわけですが、その質、損失の額で見れば比較にならないほど深刻であろうかと。いかにもユーザ側に手間のかかる面倒なシステムなので、本当に必要とするユーザしか購入していない筈のSecureID、それだけ高いセキュリティを必要とする多数のユーザを危険に晒すもの、という事になるわけですから。それがそんなに売れていたというのは驚きですけど、この規模だと、ひょっとしなくてもRSA Security死亡確定かも。国内でも、NTTデータや富士通、NECをはじめ、多数のSIerがSecureIDを窓販していた筈で、実際にサービスに採用している所も多数あるし、少なからぬ影響がありそうです。

この種のシステム、サービス一般の観点から言えば、方式自体、その基礎に内在する致命的な欠陥を放置して来たツケが回ってきたもの、との見方も出来るでしょう。ソニーの件もそうですが、セキュリティ関係の技術は、一般的に、効率面等の事情から、この手のマスターキー等の、運営主体側で保持する秘密情報に依存する事が殆どで、かつその部分はさほど強固な保護は施されておらず、しかしこれが漏れると全てご破算、という致命的な弱点を抱えがちになるものなのです。けれども、商機を優先して、そこには目を瞑り、見切り発車的に事業を展開して来たのですからね。

技術的、事業的にはそれが限界であって、しかしそれを正直に言うと売れない、売らないと事業を継続出来ない、という厳しい事情はあるんでしょう。だからといって、そういう製品を、留保なしに安全ですと殆ど言い切る形で売ってきた事、それは詐欺には違いないわけで、関係する業者はもちろん技術も当然に淘汰されるべきだと思いますし、この手の安心安全を謳う製品、技術は疑ってかかるべき、とそういう認識が一般にも広まる事を願う次第です。結局被害を被るのはユーザなのですから。

米で使い捨てパスワード情報盗難、端末4000万台交換へ RSAセキュリティの主力製品

RSA SecureID hackers may have accessed Lockheed Martin trade secrets, cafeteria menus (update: no data compromised)

[biz] PSVITAって名前が

良くないですよね。どうでもいい話なんですけど。どうしても見かけ倒しそのものだったWindowsのVISTAを連想させる、というかそのさらにパチもんみたいな感じがして。とそう思うのは私だけではないはず。ソニーも知っててやってるんでしょうけど、考えたデザイナーも採用した幹部も揃って頭おかしい、と言わざるを得ません。笑えもしないし。

モノ自体は、要するにオンライン機、PSP後継と言うよりはPSPGo後継ですかね。しかし、SonyはPSPGoの失敗で色々学んだとか言ってた筈なんですが、一体何を学んだのか謎です。PSP非互換というかUMDの従来ソフトが使えない仕様なのは致命的な筈だし、値段も高いし。特定シリーズのゲームを二年に一度位やるだけの私としては、3DS同様、メインストリームに乗らずニッチに留まって欲しいと思う所なのです。

6/04/2011

[PC] Firefox4終了時にacrobatが勝手に起動

して困ったというか。サブのWinXP積んだPCで。何かウィルス踏んだかと思って怖かったのですよ。結果的には単なるバグで、怖い以上の問題はなかったんですけどね。

既に確認済みのバグで、終了時に毎回キャッシュを消去する設定にしてると出るって話らしいんですけど、勘弁して欲しいものです。Acrobat6なんて古いバージョン使ってるのが悪いって事なんでしょうけれども、当該PCは後方互換用に敢えて以前の環境を残してるPCなのだし、下手にアップグレードして不具合が出たりしたらそれこそ本気で困る話なので、入れ替えられないのですよ。しかも安くない費用もかかるし。キャッシュ消去の設定にしても、一応セキュリティ的に必要と判断したからそう設定してるのだし、外すわけにもいかんのです。

うーんとしばし思案して、結局、サブPCだし、別にfirefoxからPDF開けなくてもいいか、という事でPDF関連のファイルの取扱いを[Adobe Acrobatを使用(Firefox内で表示)]から全部[ファイルを保存]に切り替えたら出なくなったので、とりあえずそれで本件は終了。しかし今時珍しいバグです。結構本気で怖かったですよ。ホント勘弁して下さいお願いします。

---------------追記
終了かと思ったら再発。ふざけんなチクショー。しばらく使用停止です。

6/03/2011

[biz] SONY個人情報流出、映画子会社等100万件追加

今度はソニーピクチャーズがハックされて流出追加と。内容は、テキスト形式の100万件とか、RarアーカイブでEmailアドレスとパスワードのセットが5万件とか、他にもBMGベルギーの従業員のEmailアドレス・パスワード含むデータとか、盛り沢山の個人情報が完全に流出したとの事で。折しも米下院の公聴会で、自社サービスのセキュリティは強固だったけれど攻撃が巧妙だった、とか弁明したそばから再び。完全に笑い話です。ユーザは笑えないんでしょうけど。

ハックの手段は単純なSQLインジェクション、これだけ散々やらかしといてまだ対策してなかったとかもうアホらしくて見てられません。予告もされてたのに。ここまでザルだと、ほとんど自ら招待してるも同然、やる側もやらずにはいられないでしょうし、SONYが潰れるまで続きそうな勢いなのもむべなるかな。

外野としては、一般のネットワークサービス上のセキュリティの現状を確認出来るテストケースとして興味深い面はあるし、ここまで公然かつ継続的に攻撃が行われ、しかもそれが成功し続けるのは珍しいので、うんざりしつつもウォッチしないではいられないのですけどね。わかっていた事とはいえ、目を覆うばかりの酷さ、困ったものです。

Sony Pictures hacked by Lulz Security, 1,000,000 passwords claimed stolen

6/02/2011

[biz] シャープ液晶の設備過剰

テレビ用の大型パネルは堺に集約、亀山は小型パネルに転換するとか。シャープの国産液晶テレビの代名詞だった亀山ブランドの終焉。海外等へ移転するのではなく、国内の近隣工場への集約という事で、生産・輸送コストの問題ではなく、単に生産力の過剰重複を減らすためだけの施策である事は間違いないでしょう。ほとんど唯一と言ってもいい有力ブランドを捨ててでも、生産設備の稼働効率を上げなくては立ち行かない、売上激減に伴う現在のシャープの設備過剰、その苦境が端的に現れているように見えます。

堺工場は、ソニーに梯子を外されてからこっち、まともに利益を稼ぐ以前にシャープにとって完全なお荷物と化してしまったわけで、かといって今更捨てる事も出来ず、こうするより他ない事はまあ理解できる話です。それでも全然埋まらない位の過剰だろう筈ですが、まだ成り立つ話ではあるでしょう。コスト面でペイしないかもしれませんけど。

それより、小型液晶に転換する予定の亀山第二の今後の方が問題でしょう。いくら高付加価値と言っても、流石に大型液晶と小型液晶では単価があまりにも違うし、スマホ・タブレットが成長中ではあるけれど、既に供給過剰な位で、その差を埋めるだけの新規需要があるとはとても考えられない所です。どうするつもりでしょうね。そもそも散々懸念されていたのに堺を強行した自業自得なのだし、別にどうなろうとシャープの勝手なんですけれども。

-------追記
台湾勢との提携、正直弱者連合にしか見えませんけど、Chimeiはそれなりに頑張ってる所ではあって、安く作る能力はシャープよりは遥に高いし、無いよりはマシには違いないんでしょう。関係ないけど、確か前に交換したDELL D630の液晶モジュール、元のパネルはChimei製だったっけ。シャープの販路増となるか、逆に食われるか、さてどっちかな、と。いずれにしろ、韓国勢に対抗するには規模が足りてないんでしょうけどね。

シャープ、鴻海と液晶で合弁交渉 サムスンに対抗 部材を共同調達

[biz] サプライチェーンにおける日本孤立論

震災以降、一時期はほぼ完全に供給が止まり、今以て回復の程度も極めて低い、日本における主に工業製品の生産とその海外への供給について、その影響は当初思われていた程高くなかった、との分析が出始めているようです。一言で言えば、グローバルなサプライチェーンにおいて、日本は孤立している、と。日本不要論的な読み方もそこかしこでされています。

もちろんこれは一つの極論には違いないのですが、概ね事実とも言えるでしょう。実際、他ならぬ日本企業自身が生産を海外に移し続けて来ていて、国外に競合もいない、日本国内でしか生産出来ない製品というのは確かに存在するけれども、その割合は非常に低くなって来ていたし、質、コスト等が異なるものも含めれば、競合品、代替品は当然海外でも生産されているわけで。

そういう事はずっと前から認識されていたし、だからこそ産業界を中心に、ドラスティックな新興国シフトが加速していたわけだけれど、今回の震災でその背景、世界の工場と言われた日本国内の衰退と孤立、それが図らずも事実だと確認された、とそういう事なのでしょう。

震災による被害を受けて、国外へのシフトがさらに進む、それは間違いない。それが、日本と海外の繋がりを再生する方向に働くのか、それとも逆に日本国内を見捨てる形でさらに孤立させる結果になるのか、それはまだわかりません。ただ、生産を通じて世界に資し続けて来た、地域としての日本の姿は、もはや幻となりつつある、その事実の前に、一抹の寂しさを感じずにはいられないところなのであります。

Japan Appears Dispensable as a Supplier

[IT] 中国によるGmailパスワード盗難再び

またか。対象は数年前と大体同じ、米政府高官、人権活動家、あと韓国あたりの政府関係者。手口は主にフィッシング、別段新技術が導入されたわけでもなく、単に前回と同じ攻撃活動が再開されたというだけのもののようです。確認された分では数百人が被害とか。ホントかどうか疑わしく、単にそれ以外は確認出来てないだけで、実際の被害は桁違いなんじゃないかとの疑念も浮かぶところですけれど。

しかしGoogleからアナウンスされた対策内容が、事実上携帯による認証強化の推奨だけで、お手上げというかやる気ゼロな感じでなんとも。元々Googleは、人に知られて困るような事はそもそもすべきではない、とかセキュリティ完全放置な発言をその責任者が言っちゃう会社だし、フィッシングなんか引っかかる奴の自己責任で、システムには問題ない、だから特に新しい対策はしない、って事なんでしょうけれどね。それはそれで理解は出来るし、ネット上に完全なプライバシーは存在しない事も事実なんですけど、ユーザの大多数はそんなリスクを承知している筈もないし、実際にこうしてその実現が繰り返されている以上、放置しておくわけにもいかないわけで。

要するに、インターネット上の安価なパブリックサービス、そのセキュリティの限界という事なんでしょうかね。もちろん金を積めばもっと高いセキュリティを備える事は可能なんでしょうし、その分をケチったユーザの責任とも言える話ではあるでしょうけれど。結局のところ、地獄の沙汰も金次第、な話になるあたり、この手の話は永遠に繰り返すのだろうなとの感を抱かざるを得ないわけです。

まあ、やる側が消滅すれば解決する話だし、可能なら勿論その方が望ましいんですけどね。中国とかロシアとか。

Ensuring your information is safe online

6/01/2011

[pol law] 違憲状態での衆院選

とうとう、というかようやくというか、不信任決議案が衆院に提出され、これが可決されても否決されても、早晩衆院選があるであろう可能性が非常に高くなりました。それ自体は、色々と賛否両論激しいところですが、現在の政府の機能不全ぶりからすれば致し方ない事であろうとは思うし、次の政府はどうなるのかという厳しい問題についても、それはまさに選挙を通じて構成すべき話だろうし、何とでもなるだろうと思うのです。

ただ、このまま選挙をするとなると、前回2009年の衆院選と同じ制度の下で行う事になるわけですけれども、しかしその小選挙区の定数配分には、3月に最高裁から違憲状態との画期的な判断がなされたところなのであって、如何に緊急時と言えども修正抜きで強行すれば、その結果を受けた訴訟で、史上初の無効判断がなされる可能性が非常に高いわけです。いくらなんでもこれはまずいでしょう。

もっとも、仮に選挙無効の判断がなされたとしても、それまでになされた立法、行政の個々の活動までも遡って無効となる可能性はあまり高くないでしょうから、違憲状態での選挙イコール無駄というわけではないでしょうけれど。もし無効判決が出たら、その時点で仕切り直せば良い、という考え方はある、というか今から選挙制度の改正が可能とは到底考えられないし、そういう暫定的な位置づけで臨まざるを得ない、というのが現実なんでしょう。ここ数年、事実上内閣の任期は一年だし、それでとりあえず回せちゃうんですし。いやもちろん見かけだけで、実質は回る筈もないんだけど。

しかし無茶苦茶ですよね。人も組織も政策もぐっちゃぐちゃ。収拾つくのかこれ。

内閣不信任決議案、3党で提出…2日採決へ

[過去記事 [law] 衆院小選挙区配分に最高裁の違憲判断 ]