5/29/2013

[pol] ブラックの象徴ワタミ会長、自民参院比例区出馬

ないわー。と誰もが思うところでしょう。一般受けが命の参院タレント枠に、まさか労働者の敵ブラック企業、その誰もが認める代表的経営者であり象徴であり代弁者であり、その言葉の成立の経緯を鑑みればむしろ既にそのものであると言ってもいいだろう渡辺美樹を持ってくるとは、自民の選対は何を考えているんでしょうか。野党総崩れで黙っていても圧勝確実な現情勢にあって、何故わざわざ一般大衆の反発が必至だろうこの人を立てるのか、その合理的な解釈は極めて困難に思われるところです。本気なの?ていうか本当なの?本当ならこれで投票先に苦慮する人が相当に出るんでしょうね。もっとも、投票先について再考熟慮する事自体はむしろ歓迎されるべきものではありますけれども。

自民、ワタミ会長を擁立へ 参院選比例区

5/27/2013

[biz law] Wifiルータレンタルのエクスコムグローバル社、ユーザ情報10万件超漏洩

Yahoo!JAPANがまたまたやらかしたりしてて漏洩事件には正直食傷気味なこの頃ですが、また割と大きなのが。

今回やらかしたのは海外渡航時用モバイルWifiルータレンタルサービスのエクスコムグローバル社、そのユーザ情報10万超が漏洩したそうで。具体的な内訳はユーザの氏名、住所、クレジットカード番号、有効期限にセキュリティコードとのことで、要するに全部漏れたってわけです。いけませんね。

それ自体はありふれた話ですが、本件はセキュリティコードが漏れているのが特にいけません。本コードはカードの現物保有の有無を確認するためのものですから、業者には保存禁止義務が課せられている筈、それに完全に違反していた事も同時に露見してしまったわけで。最近はパスワードを併用する信販会社も増えていますから、セキュリティコードがあるからといって直ちに不正利用し放題になるケースの割合はそう多くもないでしょうけれども、それでも格段に容易になるし、本件に伴う被害のうち相当割合の責がグローバル社に帰せられる事は間違いありません。これに伴い、信販会社から不正利用分とカード再発行分の手数料と併せてそれ相応に少なからぬ額の損害賠償請求がなされる可能性も高そうです。本件の補償として対象ユーザに発行した3000円分の割引クーポンの分も上乗せされて、合計で数十億規模の損失になる可能性がある、といったところでしょうか。会社の規模からすれば相当に厳しい損失でしょう。南無。

しかしセキュリティコードの漏洩にしても、本件が初めてというわけでは全然ないし、その度に当事者は相応の報いを受けている事も周知の事実、一度犯せば信用的にも経済的にも殆ど致命傷に等しい損害を被る失敗なのに、何故同じ轍を踏む業者が後を絶たないんでしょうか。おそらくはシステムを開発するエンジニアの多くが法務周りの知識を欠いているから、って事なんでしょうけれども、それはすなわちそもそも開発に必要な知識技術に欠けているわけで、本来ならそのような自称技術者程度の素人を開発に携わらせるべきではないでしょう。十分な知識を持った信頼出来るエンジニアも少なからずいるのですから、当然そちらへ依頼すべき話です。

しかし悪貨は良貨を駆逐します。これからもコスト至上主義の下、コストの安い、しかし素人同然の拙い手になる致命的欠陥に満ち満ちた不適切なシステムが作られ続けてしまっていくんでしょう。困ったものです。ですが産業社会がもうそういう構造になってしまっているのだから仕方ありません。せめてその報いは存分に受けて頂かなくては不釣り合いというもの、さしあたりグローバル社とそのベンダには速やかに賠償のち退場願いたいところです。そうすれば多少は社会の教訓になるかもしれませんしね。

海外でも企業相手のクラッキングが頻発してるのを見ても、もういい加減なんとかしないと、またネット危機的な話から先般の通信ログ義務付けとか実質的な検閲とかそういう不適切な方向への流れが強まりかねないわけで、割と真面目にまずいようにも思われるところですが、さりとて現実的な方法論はというと見込みすらあるわけでなし、さてどうしたものやら。

カード情報10万件流出 海外渡航時の携帯レンタル 

----後日追記

続報で漏洩発覚の経緯が報じられていますが、信販会社からの不正利用通報、確認済みのものだけで100件を超えるという話なんだそうで。損害賠償額は当初見込みより大きくなるでしょうし、これはグローバル社逝ったかもしれませんね。今後はクレカ決済はやめて空港カウンターでの決済に一本化するともアナウンスされているようで、これは安全対策というより信販会社から契約を打ち切られただけの話なんでしょうけれども、そんな不便なシステムでは利用者も激減するでしょうし。

5/23/2013

[biz] 日本株バブルの崩壊に

ようやくというか、おそらく誰もが予想していた通りだろう展開なわけなんですけれども。Nikkei225が1日にして1000円超の下落、寄り付き時は上昇していましたからそこからだとさらにで計10%にも迫ろうかという落ち幅で、さすがにこれは崩壊と言って差し支えないでしょう。ここ数週間のCrazyとしか言い様の無い連続上昇と、そのチキンレース的に上がりきった極限で仕掛けられたおそらくは外資の売り、まさに絵に描いたようなバブルの演出と崩壊に失笑を禁じ得ません。各機関投資家はようやくというか債権安の流れに押されて止むなく株式にシフトし始めた所に直撃を喰らった恰好で、融通の効かない組織の性質上致し方の無い所ではあったんでしょうけれども、それにしても間抜けにも程があろうというものです。

そういう呆れを誘う目先の細部はさて措き、外から引いて見る分には色々と興味深い面はありますけれども。先日のBitCoinといいガンホー株といい、ほぼ同じパターンに嵌っているのを見ると、単なる突発的な現象には止まらない一種の流行り的なものなのか、とすれば割とシンプルな類のメカニズムが裏に成立しているのかもね、とか。元より殆ど観測が不可能に等しい市場構造については、具体的な所は当然ながら見定め難く、従ってどこまで行っても仮説の域を出ません。が、それでもその種の思考をこねくり回すだけで十分に面白く、暇つぶしにはもってこいなのです。ともあれ、やはり鉄火場は外から眺めるのが一番。しばらくは不安定な状態が続くでしょうから、阿鼻叫喚の声をBGMに色々考えるとしますかね。

日経平均急落、終値1143円安 00年4月以来の下げ幅

------後日追記

しかし本件日本株を筆頭にして債権も為替も各種商品も、どれもこれもが不安定この上ないこの現状、端から見てる分には面白いものの、経済的には甚だあるまじきところなんですよね。もっとも、そもそも経済に現実以外のあるべき姿など存在しないといえばその通りでもあるので、一定の秩序を求める多数がそう認識しているだろうというだけの話ではありますけれども。

とりわけ債権価格のボラの大きさは目を覆うばかりです。当局の制御が全く効いていない、というか単なる市場の1プレーヤーとして率先して引っ掻き回しているようにすら見えます。そう見れば、政府、また完全に中立性を失って政府の一機関と化した日銀は当然に債務の緩和のため利率抑制を指向しつつ、しかしその政策の基本方針には利率上昇とほぼ同義の筈なインフレ誘導を掲げる、その一連の政策に内在する根本的な自己矛盾がその不安定性の原因である、そういう仮説もそこそこ成り立つように見えなくもありません。もしその仮説がある程度正しいのだとすれば、この状況は単に制御困難なだけではなく、本来最低限の秩序をもたらすべき唯一の機関たる中央銀行自体が不安定性の源泉であり、従ってより不安定になる事はあってもその逆はないだろう結論になってしまうわけで。控えめに言っても非常にまずい事態には違いないでしょう。

その債権総量の大きさ、加えてさらに加速し続ける債務の増加率から導かれる当然の帰結として未曾有のカタストロフを予想し続けて来た向きからは、本件をそのついに訪れた"終わりの始まり"と位置づける見方も散見されます。その可能性は否定出来ないようにも感じつつも、それが現実となった場合に被害を被るだろう一市民としては心から勘弁して頂きたく思う次第で、とりあえず日銀には最低限矛盾のない政策を取って頂きたくお願い申し上げたいところです。

まあでも、一連の経済政策の本命というか本体である筈なところの実体的安定成長の達成については、その手段は未定、それ以前にゴールも具体化されておらず想像すら困難に思われる状況なのだし、実際問題どうしようもないんだろうなとも思うんですけど。それでも当局には建前にしてもある程度具体的な計画はあるでしょうから、そろそろ具体的なロードマップを示す形でまとまった話を伺いたいところですね。ていうかそうしないと収拾出来ないでしょこの状況。

[過去記事 [biz] 長期金利が約0.3%まで急低下 ]

[過去記事 [biz] BitCoinのバブル劇に ]
[過去記事 [biz note] バブルの再来にげんなり ]

------さらに追記

バブル崩壊に歯止めを掛け、あわよくば再発生を目論んで発せられた通称第3の矢こと一連の政策の本体であるところの成長戦略ですが、実質的に既発表の、規制緩和を中心として実体を欠いた抽象的方針を繰り返しただけのものに止まり、要するに政府は実体部分の成長に関してはノーアイデアである事を大々的に喧伝する結果に終わってしまったようで。膨らんだ期待を実体化するに足りるだけの具体的なロードマップが求められていたところに所得150万増加とかプロセスをすっ飛ばした結果の空手形や願望ばかりとあっては失望されて当然というものです。もっとも大多数がそんなことだろうと予想していた通りになっただけの事なんでしょうけれど。

5/18/2013

[IT] Yahoo!JAPANで大規模漏洩再発

先月100万アカウント規模の個人情報漏洩が発生し、しかし公式には未遂と強弁してスルーしたYahoo!JAPANですが、この程規模を約20倍にして再発させてくれたそうで。今度は公式に既遂の可能性を認めていますけれども、これはおそらくは発見が遅れた事、また前回と異なり流出情報にパスワードが含まれていないものとされていて、そのために認めてもさほど致命的ではないと踏んでいるだろうからでしょう。でもそうであれば無意味な筈のパスワード変更を推奨してるあたり全く信用出来ませんし、前と同じくパスワードも全部ではないにしろ漏れたものと考えるべきでしょうか。

数は凄いし、無論懸念されるユーザへの被害は軽視出来るものではなく、当然深刻な話ではあるんでしょうけれどもしかし。個人情報管理一般に関して、対策に対策を重ねてすら簡単に突破される事例が相次ぐ昨今にあって、前回の件でYahoo!JAPANが取った対応のように、補償による損失を忌避するために、そもそも失敗すなわちシステムの欠陥を認めず放置しているようでは、再発もむしろ当然の帰結、今更特段の驚きもないわけです。本件による弊害、スパムの増加とかアカウント乗っ取りの危険が増えるだとか、その辺はユーザ側ではもう既に散々被っているわけですし。

現ユーザの反応には、堪忍袋の緒が切れる人、それでもアカウントは必要と判断して我慢する人、そもそも気にせずスルーする人、様々あるでしょうけれども、少しでも気にする向きにあっては、今更と感じる人が多数派なのでしょうきっと。従って、アカウント数自体は然程大きな変化を見せない可能性が高いものと思われるところです。

とはいえ、アカウントは減らずとも、ユーザ個々の利用実態についてまでもが維持されるだろうとは到底言えないでしょう。というより、既にユーザのアクティビティは他社のSNS系ゲーム等に完全に移行し、Yahoo!JAPANのアカウントサービスは、唯一高いシェアを維持するオークションを除き、米本社のそれと同様既に存在意義を失った不要なものと化してしまっているわけで、その傾向を多少なりと強める程度の影響は否定出来ない、とか言うべきでしょうか。

Yahoo!JAPANのユーザ情報2000万漏洩、と言えば一昔前なら天変地異的なインパクトがあったものですけれども、今にあってはこの程度。ことさら認識するまでもない、当然かつ些細な変化なのかもしれませんが、それでもそこに時代の流れの一端を感じて多少の感慨も禁じ得ないのです。何処が岐路だったんでしょう?Twitterが普及したあたりが決定的だったのかな。

ヤフーに不正アクセス 2200万件ユーザーID流出か

[過去記事 [IT] Yahoo! Japanで大規模漏洩]

------
今更パスワード漏洩のお知らせ。当初からそんな事だろうとは思われたところですが、案の定というか、結果的にも最低な対応となってしまいました。しかし2200万中の148万とは前回のそれより大きいわけで、そんな状態で何がどうなれば当初のような愚かな発表が出来たんでしょう。ともあれ公式発表で最悪の嘘を付いてしまった以上は、上から下まで組織全体の責任という事になるわけですが、さてどう落とし前を付けるのやら。

パスワード148万件も流出か ヤフー不正アクセス

5/14/2013

[biz law] JAXA職員が架空発注詐欺

プログラムの改修を装った架空発注により計97万を詐取ですか。容疑者はJAXA主任研究員の須浪徹治と発注先のデザインワールド社社長の西村風歌の2名。よくある詐欺事件ですけれども、本件で仮装に用いられたのが「熱力学データ・プログラム」とのことで、名前からしてよくある普通のシミュレーション系の数値計算プログラム、のつもりな事は明らか、対してこのデザインワールド社の業務というのが翻訳デザインとの事で、社名からして素人が見ても請け負えない事は一目瞭然だろう筈なんですよね。なんでこんなのが成功しちゃったのやら。

おそらくは主任研というと課長クラスだろうから随意発注を専決でねじ込む位の裁量はあって、発注から検収まで全て自分の責任内で処理したって事なんでしょうけれども、購買部門、あと部下は何をしてたんでしょう。部下は何も知らされてなかったってだけなのかもしれませんけど、予算は何処も余裕のないこのご時世、自部門の予算位は普通把握してそうなもんですけれども。

いずれにせよ何ともお粗末な話です。こんなザル監査の産物としか言いようの無い例を見せられると、他にも沢山似たような話があるものと疑われる事も避け得ないわけですが、痛くもない腹を探られ、おそらくとばっちり的に予算削減の憂き目も見るだろう類似ポジションの方々におかれましては誠にご愁傷様です。組織的には自業自得ですけど。しかし被害額が97万って、人生を引換にするには到底見合わないし一体どういうつもりだったんでしょう。理解し難い話です。それとも余罪があるのかな。うーん。

JAXA職員ら2人逮捕=虚偽発注で97万円詐取容疑-宮城県警

[pol] 橋下大阪市長の慰安婦制度肯定・風俗推奨に

どうなってんでしょう。まさに末期的というか。まさか現代の、それも相当に有力な政治家の口から慰安婦制度を"必要"とまで正当化する意見を聞くことになろうとは、全く思いませんでした。

戦中の慰安婦制度の評価については元より緒論あるところ、彼の言のように慰安婦を強制された被害者ではなく自主的な職業的なそれと解釈して違法性を否定する立場自体は、正当化の論旨としては別段珍しいものではなく、むしろよく耳目にする所ではありますけれども、事例を一々検証するまでもなく慰安婦制度が軍組織と必ずしも随伴するものとは到底言えないのであって。その種の主張はあくまで個別事例における合理性肯定のための立証不可能な仮説に過ぎないわけで、根拠も何もない中、一般的に慰安婦が軍組織において必要不可欠であったとまで言い切ってしまった件の発言、その非合理性は明白なものと言わざるを得ません。

しかもその認識を大戦時のそれに対する個人的解釈に留めるならまだしも、米軍に対し風俗施設の公式な利用解禁を提案する等、現在の軍組織についてまで慰安婦の必要性を肯定し、あまつさえ普及を図る発言を繰り返すに至っては完全に論外です。当人はその後合法な風俗についての発言と釈明していますが、 それこそ建前であって、風俗の場では実態として違法な売春が横行するものである事実も認識していない筈はなく、従って風俗と言った時点で違法売春、少なくともその高い可能性が包含されていた事に疑いの余地はありません。しかるに一連の主張は、皮肉にも本人の言う通り、建前を廃した実質において、現時点では明らかに法的にも倫理的にも、少なくとも公には到底受け入れられないだろう個人的な反社会的主張となる、その事はその種の弁に長けた当人が理解していなかった筈はありません。しかし、そこまで理解は当然していただろうのに、その主張を、公の場で、公的組織に対し、公人として行う、それがどういう事なのか、どのような意味を持つか、少しでも考慮したのか。多分にそれも認識し意図した上のものである可能性は相当に高いものと推測されますけれども、その影響を鑑みれは、それは控えめに言っても信じ難い愚行と解釈する他ないのです。

その当然の帰結として、一連の主張は、あっという間に維新派の凋落を狙う政治的思惑を巻き込んでほぼ全方面から批判を受けるというか真っ向から否定され、発言者たる橋下氏、さらにその擁護を図った維新の会までもが支援者からは支持を失うと共に海外含めこれまで比較的無関心だった向きからは危険視されるという流れになっていて、得られたものは敵意だけ、に終わったようにしか見えないわけです。下記BBCのニュースでは"nationalist"とはっきり形容されて、日本で代表的な地位を占める政治家がそのように認識される事で懸念される影響、想像するのもうんざりしますが、その深刻さは残念ながら今更論ずるまでもないところです。強いて言えば一時的な関心が得られたとは言えるでしょうけれども、全く釣り合わないように思われますし、本気で意味が分かりません。政界から引退するための準備とか言われた方がまだ納得出来ます。

いずれにせよ、文字通り彼らにとっても我々にとっても百害あって一利なしな本件、速やかに責任を取って切腹なりして収拾のち無かった事にして頂きたく思う次第なのです。それが目的ならそれでいいから。

Japan WWII 'comfort women' were 'necessary' - Hashimoto

---1日経って

本人は未だ収拾を図るどころか逆に自己正当化と併せて煽り続ける始末。これまでの騒ぎとは質も規模も全く違う事態に至っているにも関わらずいつもの通りの対応で眩暈がします。海外ニュースサイトを巡回してると、至る所でどれもこれも洒落になってない内容の記事を目にせざるを得ないわけですが、安倍首相のナショナリストぶりも当然関連付けられてて、一気に悪の枢軸認定されかねない勢いです。いや仮にこれが他国の話、例えばベルリン市長とかの発言だとしたら私だってそう認定するだろうし当然の流れではあるんですが。勘弁してよもう。と言ってももうどうにもならんのでしょうけど。
Japanese Politician Says Wartime Sex Slaves Were 'Necessary'

---さらに翌日

この期に及んでまだ言うか。表現の問題ではない事は明白なのに。強弁逆ギレの挙句政府への責任転嫁を図るとかもう正気とは思えない、というか少なくとも多数からそう見做される事は避けられないでしょう。政治的には到底取り返しがつかない程に支持、その基礎までもを失っただろう事も間違いないでしょうから、他の維新の面々は今頃身の振り方について懊悩の真っ只中、といったところでしょうか。曲がりなりにも次代の担い手として嘱望された政治勢力に突如として訪れた終焉、これはすなわち日本の政治は短期的には死んだも同然と認識せざるを得ないわけで。もう目も当てられません。
橋下氏「国際感覚が乏しかったかもしれない」

---翌々日

米国をしてアングロサクソン国家と断じた上でその人種的性向を持ち出して一連の発言の正当化を図ったそうで。収束どころか真逆の暴言侮言が飛び交い、引き続き目も当てられない惨状が続いている本件ですが、本発言はとりわけ信じがたく、時代錯誤も甚だしいというかパラノイアかと本気で疑わざるを得ません。元よりナショナリストと認定された一事のみによっても政治的には致命的なところ、これによってレイシストの認定まで加わり、まさに断末魔と言うべき様相です。早急な対処すなわち解職が切に望まれるところですが、少なくとも当面は望めず、従って本件は相当の期間に渡って続いてしまうんでしょう。全てが醜悪で見るに耐えません。

---さらにしばらくして

釈明会見がほぼ無意味に終わった事を受けて大阪市議会で問責決議の運びとなったそうですが。可決後は一旦辞職して出直し選との見方が流れていて、それ自体は自然な帰結ではあるんでしょうけれども、その出元が当の本人ではなく市議会議員でもなく松井府知事というのはいささか不可解に思われるところです。政治家の進退はその活動の中で最も決定的なものであり、その性質、周囲に与える影響を考えれば軽々しく言及するべきものではありえないし、まして当人を差し置いて他人が述べるなど常軌を逸しているように見えるわけですが、どうなっちゃってんでしょう維新の会。

そういう不可解な組織事情は措くとしても、橋下市長が職責外の国政に傾倒し、特に本件にあっては自治体にとって貢献どころか無害ですらなく、逆に評価を著しく毀損したものと広く評価されている以上、問責自体はむしろ当然の成り行きと言うべきところでしょう。この体たらくでは、先日提出された兼職解禁法案も論外とみなされるのも必至だろうわけで、さらに加速度的に存在意義やら支持やら、文字通りすべてを失っていく橋下氏以下維新の会、さて秋ごろにはどうなっている事やら。

橋下氏、問責可決なら出直し市長選も 松井氏示唆

5/10/2013

[IT law] クレカをハック、ATMから45億詐取の国際犯罪組織検挙

クレジットカードのトランザクション管理会社をハックして引き出し上限を改竄、偽造複製したカードを用いて短時間の内に多人数で多数のATMからの現金詐取に成功した集団が検挙されたんだとか。被害額はとりあえず容疑の分、12/21/12に$5million、2/19/13に$40millionの計$45million。前者はテストで2/19の方が本番って事なんでしょうけれども、そちらは僅か10時間の間におよそ20ヶ国で一気に引き出す電撃戦との事で衝撃が走ります。踏み台はまず第一に非公表ながらインドの機関、ここで操作したアラブ首長国連邦はRAKBANK発行のMasterCardのデビットカードのアカウントを用い、2回目はこれまた社名非公表ですが大胆にも米国内の管理会社を使ってアカウント操作したOmanはBank of Muscatのカードを用いたとの事。2/19の時には、例えばマンハッタンだけで3000近いATMから8人が手分けして一気に$2.4millionも引き出し、さらに足がつかないようすぐさま貴金属等に変える事でロンダリングも図るとか極めて計画的です。

うん、凄いですね。Oceans11的とか形容されてますけどそれ以上なダイナミックさ。組織力計画力実行力ともに前代未聞のレベルで、犯罪と分かっていてもその見事な手並みには感嘆の念を禁じ得ません。しかし結局は検挙され、リーダー格はドミニカの自宅で既に死亡している等 、破滅的な結末を迎えているあたりも不謹慎ながら痺れます。強いて言えば一回で完結させず段階を踏んだ点は余計にも思われますが、本番のような規模で実行するにはテストも必須だったんでしょう。

無粋を承知で技術的な面から見れば、本件のような手間も人員も膨大な組織的犯行は現実的には発生しないものと高を括っていただろう信販系のシステムがザルなだけと言うべきところなんでしょうけれども。VisaもMasterもこれまで何回もハックされて来てるのにこうしてあっさりハックされてしまう姿を見るにつけ、絶対完璧安全なシステムというのは事実上存在しない事を改めて思い知らされてしまうのです。顧客に被害が行かなければいいんですが、本件のように管理会社をハックすればそっちの方向もやろうと思えば出来るって事ですし困ったものです。一番困ってるのは信販会社でしょうけれども、それは事業者としての当然の責任なのですから、存分に困りつつ、速やかに十全の対応を取って頂きたく願うところです。

Cybercriminals 'drained ATMs' in $45m world bank heist
Cyberthieves Looted A.T.M.’s of $45 Million in Just Hours

BBCの記事によれば日本も捜査協力国の中に含まれているとの事ですけども、犯行の対象になったのか、単に確認を求められただけなのか。前者なら文化的に孤立性の高い日本までどのように手を伸ばしたのかこれまた興味が惹かれるところです。さて。

と思ってたらゆうちょのATM67ヶ所が引き出しに利用されたとか。しかし総額4億円?と言う事はATM1ヶ所あたり600万?そんなに引き出せるもんなんでしょうか。一日の引き出し上限額が50万との事ですから一ヶ所あたり12口座、全体で1000口座近く必要になる計算ですが・・・まあそれくらいは用意してたんですかね。
※当初金額を勘違いしていました。修正済です。大変失礼致しました。

5/09/2013

[biz] 米Teslaが2013Q1黒字

EVメーカーの米Teslaが2013Q1で初の四半期黒字化を達成したとか。驚きました。売れているのは主に新規投入されたセダン型との事ですが、販売台数も四半期で約5000台、通年で20000台超を見込むとされていて、何処にそんな需要があったんだろうと不思議にも思われる所です。おそらくはそのデメリットを無視できる程に環境面への配慮や新規性、先進性を求める層がそれだけ多数いるという事なんでしょうけれども、その多様かつ強固な価値観の有り様には、流石は米国と感嘆の念を抱かざるを得ません。単に金持ちの道楽的な無駄遣いってだけかもしれませんけど。

しかしEV普及の壁の一つであるところのインフラ面の不足は米国と言えど未だ解決されていない筈、充電はじめオーナー達はどのように運用しているのか、割と真面目に興味を惹かれます。公式によれば、件の新型セダンの2013ModelSは85kwhの搭載バッテリーにより一回の充電で最大で300miles程も走るとの事で、これは米国でも受け入れられるレベルではあるんでしょうけれども、一方でその大容量バッテリーの充電には推奨の240V電源で9時間以上かかるところ、長距離の継続的利用はやはり不可能という事になりますから、あくまで自宅周辺での日常の足としての運用に限定される点は従来のEVと変わりない筈、結局は日本での軽自動車類似的な位置づけという事になるんでしょうか。それにしてはプライスタグが$60K~$95K、オプション込みだと1000万クラスというのはやはり金持ち限定なわけで、軽とは真逆の富裕層向けニッチ需要には違いないんでしょうけれども。

これから先の事に関しては、ともかくもそれなりの数が売れてしまったという事で、時間が経つにつれEV自体に内在する問題、殊にバッテリーの経年劣化によるクレーム等も顕在化するでしょうから、その影響を取り込んだ上で持続的に成長しうるのか否か、さらに興味をそそられるところとなりました。あと当初からの命綱であるところの補助金が切れても大丈夫かとか。何しろ、1QだけでもEVが事業として成立したのは世界初ですし注目するしかないでしょう。さてさて。

Tesla Smashes Earnings And Revenue Expectations

5/04/2013

[IT] google glassの実機評価結果に落胆

先般開発者向けにプレ出荷されたgoogle glass、レビューがあちこちでリリースされて嫌でも目に留まるわけですけれども、どうにも評判が芳しくないようで。まあそんな素晴らしいものであればこんな段階を踏んだりして何年もモタモタせずに一気に発売してるだろうわけで、製品自体に色々と問題があるんだろうとは予想されていた所ではありますけれども。

概ね問題とされているのは以下の3点ですか。

1.操作性の悪さ
2.バッテリー持続時間の短さ(~約5時間?)
3.装着時の見た目の奇妙さ

3はまあ好みの問題、2は外部電源をオプションにすれば凌げるでしょうから目を瞑るとしても、1は致命的と言わざるを得ませんね。操作は音声認識、首振り、目の開閉、あとツルの部分のタッチで操作するらしいのですけれども、タッチ以外は誤動作防止のためか非常に反応が悪く使えず、結局タッチ操作オンリーになりがちだとの報告があちこちで見られます。音声にしろ首振りにしろ目にしろ、操作を意図しない時にも一々反応されても困りますし、そもそも音声操作は周囲の迷惑にもなるしコミュニケーションの邪魔になるし恥ずかいしで、常識的なチューニングをすれば当然こうなるべき結果ではあるんでしょうが、さりとて一々手をこめかみに持っていってタッチ操作するというのでは本デバイスのアイデンティティである筈のハンズフリー性が没却されてしまうわけで。

それでも単なるセンサ付き表示デバイスとしては成立しますから無意味とまでは言えないでしょうけれども、価値は激減してしまいます。レビュアーの中には$150以上は出せないと言いきってしまう人も見られましたが、私も同感、というか$100でも迷います。無論ガジェット好きは狂喜乱舞して買うでしょうが、一般には殆ど売れないでしょう。そうであれば大量生産は望めず、従って仮に一般販売に漕ぎ着けたとしても、今回の頒布額の$1500とまでは行かないまでも数百ドル程度の高額になるだろう事は避けられないでしょうから、きっと私は購入しないでしょう。がっかりです。。。

5/03/2013

[note] ubuntu 13.04導入

12.10に失望して12.04LTSに留まる事数ヶ月、早くも13.04がリリースされて数日が過ぎました。実際のところ12.04LTSに不自由も不満もなかったんですけれども、あまり最新リリースとバージョンが乖離するといざ更新となった時に複雑な問題を引き起こしかねないので、問題なければそろそろ上げとくかなと思案しまして。まずは確認とReleaseNotesやForumを覗いてみたところ、13.04は主に12.10からの改善、特にメモリ使用量の削減等、中身の最適化に注力されたものとの事で、特段の不具合等も報告されておらずまずまずの出来との事らしいと。逆に言えばこれメジャーバージョンアップというには無理があるんじゃないのCanonicalさんとか思いつつ、ともかくもこれなら上げても問題なさそうだと判断し、アップデートに踏み切ったわけです。

対象は64bitのServer機とサブの32bitノート1台の計2台。LooxUは少し前に切り替えたLubuntuが追従していないのでまたも見送り。このところの旧機種切り捨てなアップデートの傾向を鑑みるにLooxUはもう12.04LTSから上げられないかもしれませんね。

そして実行。結論から言えば2台とも何も問題もなくアップデート出来、12.04LTSの時と少なくとも見た目は殆ど変わらない状態で使用可能になりました。 以上。

一応メモ程度にアップデートの経過を下記に。

UpdateはUpdate Managerから実行です。まずオプションを変更してLTS以外のリリースへのアップグレードを許可すると12.10を適用可能と出ます。なぜ13.04ではないの、と訝しんで確認すると直接のアップグレードは不可で12.10を経由する必要があるんだそうで。ディスクからなら直接に出来るようですが、多分にトラブルが懸念されるし面倒だけど仕方ない、とおとなしく段階を踏みます。2000以上のパッケージの入れ替えが発生するので時間もかかるんですよね。途中時折表示されるカスタマイズ済のconfファイル類の保存確認ダイアログに差分確認して維持の旨応答等しつつ、じっと待つこと数時間、恙なく終了し再起動。この段階ではインストール特段の問題もなし。いや個人的にはここでUnityが復活してしまうのが気に入らないのですが、少し前に導入済のCairo-Dockに切り替えて速やかに排除して問題なし。再びUpdate Managerから同じく13.04へのアップグレードを実行します。少し出てくるダイアログが違うし、コアライブラリの再読込の確認とか聞かれますがそれはやはりメジャーアップデートだからという事でしょうか。いや関係ないか。ともかくそれ以外は殆ど同じ、やはり2000超の延々と続くパッケージアップデートの実行をじっと待ちます。殆どは無駄手間なんだろうなあとげんなりしつつ数時間後、こちらも恙なく終了。

さて、と触ってみると、動作自体に問題はないのですが個人的には無効化していたウィンドウの各種エフェクトや配置の自動調整等が復活しているのが気に入りません。ccsmでcompizのオプションからanimationとかウィンドウのフェードとかsnappingとかGridとか諸々外し直してようやく元通り。

結局、時間はかかるけれどもトラブルという程のトラブルは起こらず、概ねすんなり適用出来たものと言ってよさそうです。戦々恐々とした割には拍子抜けと言うか。Canonicalはスマホやタブレットの対応で忙しいからデスクトップ版は放置気味、大きな変更がない分すんなり行ったってだけなんでしょうけれども、もっともそれはそれでむしろ好ましい話だと思うのです。当たり前の話ですが、インタフェースとかコロコロ変えられるととても困るんでありまして、もういい加減Unityのようなガワの開発は諦めて内側に注力した方がいいんじゃないかとも思うところなんですが、まあ大きなお世話でしょう。ともあれ今回はこれでおしまい。次は秋頃ですか。これからもあまり冒険はせず、堅実なアップデートに努められるよう願いたいところです。しかしサポート9ヶ月は短いですよねえ。

ところで、13.04のコードネームのRaring Ringtailってどう訳すのが適切なんでしょう。一部には"荒ぶるアライグマ"とか訳されているようですが、Ringtailにはイタ公とか嫌な奴だとかスラングも含め色々他の意味もあるんですよね。イメージ的にはアライグマで納得しておくのが幸せなんでしょうけれども何か少し気になります。しかし相変わらず謎なネーミングセンスです。うーん。

-------追記

とりあえず普段通りに使っていると色々違いが感じられます。全体的に動作が滑らかになっているように思われて好感触。特にデザインがスマートに一新されたnautilusは、これまで付き纏っていた操作時の不連続感が解消されていて非常にgoodです。いいねこれ。

--------その後

いつの間にかLubuntuが13.04対応済みに。 もう少し様子を見るかどうするか。さて。

-----さらにしばらくして

長らく12.04LTSに留めていたLooxU/C40も13.04にアップデートしてみましたので追記。安全を重視して上記同様12.10を経由するパスで実施したところ特段の問題もなく恙なく終了し、再起動も問題無し。が、やはりノートラブルとは行かず、幾つか問題が発生しました。概ね以下の3点。

1.サスペンドから正常に復帰出来ない
2.輝度設定が保存されない
3.ログイン時に毎回内部エラーが発生する

Forum等の情報を漁って試行を繰り返した結果、このうち使用上致命的だった1と2が概ね修正出来たのでとりあえずよしとします。手順は下記。3のエラー表示は目障りで気分はよろしくありませんが、ちょっといじってみても治らず、残念ながら今回は目を瞑ります。なお環境はLubuntu、従ってマネージャーはOpenboxです。Unity環境については未検証につきご注意下さい。もっともUnity2Dが廃止された現状にあってはそもそもLooxUでUnityを使う事自体が現実的ではないだろうとも思われるところですけれども。

・サスペンド復帰異常
 サスペンドは正常になされるものの、復帰の際にブランクスクリーンになるというもの。マウスカーソルは表示されるし、ウィンドウ類も表示されないだけで操作は出来るのですが、当然使い物になりません。なお12.04の時に発生したサスペンド時の異常とは別口で、その際の対策で/etc/pm/config.d/下に追加したパラメタ(ADD_PARAMETERS='--quirk-vbemode-restore' サスペンド時にVGAのパラメタを保存読み出しするオプション)は本件には無力、というかむしろ邪魔で、それは削除した上で別途設定ファイルを追加してドライバモジュールを明示的に設定してやる必要があります。具体的には以下の通り。

まずドライバの設定を追加し、

/usr/share/X11/xorg.conf.d/20-gpudriver.conf

 Section "Device"
  Identifier "Card0"
  Driver "fbdev"
 EndSection

次いで下記内容のファイルを作成し、サスペンド対象にグラフィックモジュールも追加します。

/etc/pm/config.d/modules

 SUSPEND_MODULES="gma500_gfx"

あと、余計な悪さをしているらしいモジュールを例えば下記コマンドで実行不可にしておきます。

 $sudo chmod -x /etc/pm/sleep.d/novatel_3g_suspend

とりあえず私の環境では以上でサスペンドから正常に復帰するようになりました。実はその後20-gpudriver.confとかmodulesとか省いてみたら問題なくサスペンド出来る様子だったりして挙動が謎なのですが、Forumで公開されていた例は上記なので念のため全部掲載しています。おそらく個別環境毎に要不要が分かれるものと推測されますのでご注意の程。

・ 輝度設定保存等修正
 こちらは題名のまま。対応も下記の通り起動時のカーネルオプションを追加修正するだけです。

/etc/default/grub
  GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet console=tty1 nomodeset acpi_osi=Linux
acpi_backlight=vendor"

その後grubを更新。下記コマンド。

 $sudo update-grub

他の設定の調整と一緒にいじっていたので必要十分かは不明なのですが、とりあえず上記の通りnomodesetとacpi_osiにacpi_backlightオプションを付け加えると輝度設定等も保存されるようになりました。なお、輝度変更自体については以前の記事に記載の通り、 /sys/devices/virtual/backlight/psb-bl/brightnessにechoしてやれば変更出来ます。


とりあえず以上で。何はともあれクリーンインストールは回避出来て一安心。ccsmでオプション外しまくったりしたからか挙動も懸念したほど重くも感じられず、まずまずいい感じです。GMA500に振り回されるのも毎度の事ながら、頑張ればそれなりに解決出来るあたりは良い事なのか悪い事なのか。やれやれです。

[過去記事 [note] ubuntu12.10お試し導入]
[過去記事 [note] ubuntu 12.04LTS導入]

5/02/2013

[pol] 安倍首相の天皇陛下万歳にマジ引き

今更ながら映像を拝見したんですが、"天皇陛下万歳"は流石にまずいでしょうよ・・・。それだけでファシストと看做されて当然の振る舞いですが、しかもそれを主権回復記念式典なんていかにも戦前体制への回帰を想起させるような場で、いやまあだからこその意図的なものなんでしょうけれど、あれだけ公然とやってしまっては他に解釈のされようもないわけでさ。

改憲にも前のめりで、いやそれ自体は別段問題ないんですけれども、その手法が国民全体のコンセンサスを得る、のではなく発議要件の緩和、すなわち反対意見を封殺する事で成立を図るというのだからいけません。国会の質疑でも現状の発議拒否要件である三分の一の反対を"たったの"と言ってしまうその意識に戦慄を覚えます。どう見たって民主主義とは真逆の全体主義、ファシストの考え方でしょうそれは。そりゃ批判も受けるし危険視もされて当然です。

本件にはさすがに反発する人も相当多数いるだろうし、改憲に反対する人もまた多数に上るものと推測されますけれども、しかしその受け皿が政界になく、このままいけばすんなり改憲も成立、全体主義化が進む見込みなんですよねえ遺憾ながら。これは前政権が回復不能なまでに愚行を繰り返した結果で、因果を辿ればこれも反対以外出来ず政権担当能力のない野党に安易に政権を担わせ、結果野党が事実上消滅して反対意見の受け皿まで失わせてしまった、すなわち結局のところ国民の安易な選択の帰結、自業自得という事になるだろうし致し方ない面もあるのかもしれませんが、それでも改憲のような極めて重要な案件に殆ど反対意見すら国政の場で表に出ない現状は、やはり遺憾に思います。嗚呼。

[note] 自動車のウィンドウガラスリペア、その顛末

車のメンテ再び。知人の車が高速道走行中に飛び石がフロントガラスに当たって傷が入った、大丈夫だと思うんだけど一応見てみてくれと言われ、まあ確認するだけならと見てみれば、きっちり内側までヒビが入って、早急に修理か交換が必要なレベルで驚いたわけです。どう見ても大丈夫じゃないじゃん嘘つきー、と心の中で叫ぶ一方、まあ素人の判断、というよりはそうあってほしいという願望に引きずられたんだろうし仕方ないかな、等と解釈して納得しつつその旨報告すると、車両保険入ってないし既に10年落ちでもうしばらくしたら買い換える予定だから交換で10万というのは避けたい等と仰るんですね。まあ気持ちは分かるし修理出来なくもない程度ではあったので、駄目元で修理を請け負う運びとなってしまったのでした。

とりあえずその日は天候がよろしくなかったので水分の浸潤防止用にラップ等を張り付けておき、リペア用の樹脂材と注入器具のセット、あと傷確認用のミラー、さらに屋外作業なので作業中の紫外線による樹脂材硬化防止用のスクリーン等の機材を用意して、天候回復を待つこと数日、満を侍して作業開始と相成ったわけです。

結果から言えばまずまず成功。一般に修理業者での施行の場合とさほどの差もない程度には修復出来たその手順は以下の通り。

何はなくともまずは樹脂材が必要。個人向けキットも幾つかの種類が販売されていますが、今回は定番のホルツ製のガラスリペアキットを使用します。中身は下図のような感じ。左上の遮光シートでラッピングされているのが樹脂材、レジンです。目薬のような容器に入っています。
 問題の傷は下図。 若干イレギュラーなヒビもあるものの概ねスター型、大きさは直径20mm弱といったところでしょうか。なお下のミラーは注入中に車外から進捗を確認するために車内に設置したものです。
樹脂材は中心から注入するのですけれども、その前に末端のヒビまでレジンが浸潤するよう、中心とヒビの間を確実に繋げておく必要があります。キットにもそれ用の針が付属しているのですけれどもこれはいかにも頼りないので、今回は手持ちのハンドドリルに1mm位の細いピットを付けてこれで削りました。回転数を上げないように慎重にコリコリ削ります。極めて緊張します。あまりやりすぎないよう、中心部を少し広げる程度で切削を終了し、しかるのちに吸盤付のプレートを中心が傷の真中にくるように取り付け、インジェクタを装着します。あまりねじ込み過ぎてプレートがたわんだりしないように注意しつつ。
注入中のレジンに紫外線が当たらないようにフロントガラス部を二重に覆う形で遮光シートをセッティングしたのち、ポタポタとレジンを投入。そして素早くシリンダをねじ込みます。ねじ込み過ぎると貴重なレジンが接着面の隙間から溢れ出てしまいもったいないのでここも加減に注意。2~3分待ち、シリンダを緩め、また2~3分待ち、またシリンダをねじ込む、これを何回も繰り返し、ヒビの中の空気とレジンを入れ替える事で浸潤させて行きます。ミラー等で進行を確認し、微調整もしつつ、根気よく繰り返します。プロの使うような圧力調節が可能な専用のインジェクタがあれば素早くより確実にできるんでしょうけれども、数十万はする筈でとても手が出ません。我慢です。最初はなかなかヒビが消えずやきもきしますが、頑張って10回も繰り返せばレジンが染み込んでいき、ヒビが目に見えて薄くなってきます。下図はその終盤、車内から確認したもの。写真だと分かりづらいですがうっすらと線が見える位です。
数回繰り返しても変化しなくなったら完了。あとは硬化させて仕上げるだけです。インジェクタを外し、レジンを中心に一滴垂らしてキット付属のフィルムで覆い、遮光カバーを外して日光が当たる状態にして2~3分待ち、一旦フィルムをめくってさらにレジンを一滴してまたフィルムを戻して準備完了。日光(紫外線)に晒して固まるのを待ちます。この日は曇り時々晴れ、雲が7割方空を覆う微妙な天気だったので長めに一時間余り程度待ち、十分に固まった事を確認してからフィルムを剥がして、膜状に広がって硬化した余分な樹脂材を削り、さらにガラス研磨用のコンパウンドでわしわしと磨いた結果が下図。筋状の跡と、中心部にまだ瘡蓋状の跡が見えますが、ヒビの概ね全体に樹脂が行き渡って硬化し、無事修復されてくれました。めでたしめでたし。
しかし疲れました。作業自体は重労働というわけではないしむしろ楽な部類なんですが、一度レジンを浸潤硬化させてしまうと不十分だった場合にも注入経路が閉ざされてしまうためにやり直しがほぼ不可能で失敗が許されない事と、注入中の比較的長時間に渡って紫外線が当たらないように配慮しながら作業をしなければならないので精神的に消耗します。ミスが許されないのはつらい。ドリルで削る時もそうだし、レジンの量もとても少ないとか、様々な面でとにかく余裕がありません。もっとも苦労した分成功した時の安堵感や幸福感も強くなるんですけれども、出来れば避けたい類の作業ではあります。自分の物ならまだしも人の物だったし。まあもう終わった事だしいいんですけどね。というわけで今回はこれでおしまい。