9/30/2017

[biz law] 日産、最終検査を無資格者にさせていた事がバレて大惨事

杜撰、と言うよりは、バレなきゃ問題ないと高を括った、すなわち故意の結果と言うべきでしょうか。

日産が、法で有資格者がする事を義務付けられている自動車製造の最終検査を、資格を持たない補助的なポジションの社員にさせていた事が、国土交通省の抜き打ち検査で発覚したんだそうです。

当該違法状態は、国内の全工場で常態化していたとの事ですから、日産が出荷・販売した新車のうち多数が法定の検査を経ていない、すなわち無車検と同様の違法車両という事になり、車検を改めて通さなければ公道を走れません。一応、出荷後に車検を経たものは問題なしとされるとの事ですが、納車から間もない新車等は基本的にアウト。日産の国内販売は衰えているとはいえ年間数十万台以上になりますから、ユーザへの対応、あるいは損害賠償の額は大変な事になりそうです。

本件が酷いのは、問題の最終検査における資格というのが、国家資格ではなく、その認定はメーカー各社に任されているものだという点にあります。つまり、社内で所定の研修なり業務なり試験なりを実施して担当者を育成するという当然のルーチンが備わってさえいれば当然に回避出来た事態であって、外部の要因がなく、本件の発生とそれによる被害、そのおよそ全てが日産の責任という他ないものであるという事です。

しかも、抜き打ち検査の結果では、当該検査工程に携わる少なからぬ社員が、そもそも当該資格が必要である事を認識していなかったんだとか。製造の最終検査は実質的に車検を含むものであり、それが相応の資格もなしに行えるようなものではない事は自明の話です。それが認識出来ないとか、これは自分らがそもそも何をどうやって作っているのか全く理解していない、と言っているも同然なわけですが。。。日産の生産工程と人材育成、またコンプライアンスの管理は一体どうなっているのでしょう。

いや、まあ本件を受けて日産が出したコメントが、"無資格者による検査でも問題ない"というのだから、その辺はもう空っぽという事なんでしょうけど。しかしこのコメントの狂いっぷりはあまりにも酷いですね。そんなもん通るわけないでしょう。国土交通省がブチ切れて、あるいは自社内検査の禁止のち陸運局等外部での出荷前検査を義務付けられても仕方ない、そんな状況だという事を理解してるんでしょうか。

言うまでもない事ですが、製品出荷前の検査は、メーカーの、生産における最後の砦です。ここが正常に機能しない、というのは、通常の感覚の持ち主であれば気が遠くなるような話だと思うのですが、日産の担当者、管理者は気にもならなかったのでしょうか。工程の自動化と複雑化、またその品質向上が進み、人がチェックしてすぐにそうと分かる類の不良は一般に発生しづらくなり、気が緩みやすくなっている、といった事情はあるのでしょうけれども、それと担当者の資格の有無とは完全に別の問題です。むしろ工程が高度化すれば、その中に紛れ込む不具合を発見するのに必要な技能・経験も高度化するわけで、それを能力・経験・教育が不十分な者に任せていては話になる筈もないのに、何故その事がわからないのか。おそらくは工程での不具合が無いものと高を括る、その態度自体が、組織的な油断、というよりはむしろ慢心の現れと言わざるを得ません。よくそんなで自動車の製造なんて危険な事業に携われるものだと、他人事ながら冷や汗を掻いてしまった次第なのです。

企業としての日産については、信頼も何もあったものではないでしょう。只でさえ、主力の軽自動車が三菱の粉飾で信頼面で大きなダメージを負っていたのに、その件では被害者ぶっていた当の日産もこれ、というのでは、結局のところ同じ穴の狢であったと看做され、ユーザの落胆、あるいはその結果としての離反を招いても、それは当然の結果と言う他ありません。全く以って自業自得です。しかし規模が規模です。どうやって始末をつけるんでしょうか。交換か、一旦回収して再検査のちの出荷か。どうするにせよ、とんでもない損失になる事だけは間違いないでしょう。つまらない手抜きが高く付きましたね。くわばらくわばら、です。

日産、6万台不適切検査 国内全工場で未認定社員が担当

9/27/2017

[pol] 怪我の功名か、単なる茶番か。民進色を強める小池新党

さて。経緯には色々と疑義がありますが、兎にも角にも選挙をやる事になってしまいました。ついては、状況の整理と起こりうる展開、結果の予測、また準備等をしておきたいと思う、のですが。。。野党側がカオスで、ちょっと収集がつきません。どうなるんでしょうこれ。

ようやく名前と代表が決まった小池新党であるところの希望の党、これがどれだけの地域にどれだけの候補者を立て、どのような戦術を取るのか、それによって結果が殆ど決まるだろう事だけは確かなのですが、これが全く固まりません。投票日になるだろう1ヶ月弱先の状況なんて、殆ど占いの世界です。

まず既に確定している要素だけを見れば、おそらく今の政界で随一の支持を集める小池都知事が代表に収まった事で、新党が候補者の擁立さえすればそれなりの当選者を出すだろう事はほぼ確実な見込みとなりました。民進党からは離党して新党へ参加する議員が雪崩を打ち、既に民進党自体を新党に吸収させる案すら有力になりつつあるとも言われる他、他の少数勢力との合流の動きも盛んに報じられています。一方、与党側からの離党者は現時点ではまださほどおらず、今後も爆発的に増える見込みはありません。従って、この傾向が続くならば、新党は民進党を中心として、共産党と大阪維新を除く野党側の大部分をまとめたものとなり、それを小池知事が率いる、という形になる可能性が高いものと考えられます。

もしそうなれば、ぶっちゃけ実質的には民進党の看板が変わるだけな感じになってしまいます。元々新党は抽象的なスローガンを発する以外何もしておらず、政策面では具体性が全くなく、また組織面でも実体が無いも同然でしたから、それを補う必要があったし、その手段には民進党から引き抜く以外の選択肢が殆どありませんでした。本来は維新に倣って一から養成したかったのかもしれませんが、それは時間的に不可能になり、逆に開き直る事が出来た格好とも言えるでしょうか。開き直り過ぎな気もしますけど、そこら辺は当人の自由なのですし、眉を顰めつつ見守る、あるいは見捨てる他ありません。

つい昨日まで理念や政策で相容れない云々言って縄張り争いに汲々としていた面々が、いざ選挙となるとそんな事は知った事かと言わんばかりにあっさり寄り合うというのもなんだか釈然としませんが、これで長らく死に体だった旧民主党の解体に加え、第三極の残骸の掃除並びに野党の統合がなされる(かもしれない)事自体は、概ね歓迎すべき事なのでしょう。

ただ、やはり実メンバーが民進党の、それもはじき出された面々が中心というのがどう評価されるかは気にかかります。もう少し、自民からの離党者を取り込んでいればその評価は薄まるだろうし心配する必要も無くなるのでしょうけれど、仮にこのままそれが進まず、民進党自体が吸収されたりして党内の主勢力にでもなれば、それはもう流石に、新党とは見られなくなる可能性も高くなります。そこを小池代表のイメージだけで押し通せるか、その辺りが主たる分岐点になるでしょう。

もし新党の形で野党勢力がまとまれば、そういった批判を受けてもなお、今回の選挙に限っては代表の人気と勢いだけで大勝する可能性もあります。一方で、そこまでは行かず、民進党が一定以上の規模を保持したまま、与党・新党・民進の三つ巴+その他、のような構図になれば、個々の議員や地区の事情に応じて状況が変動する乱戦になるでしょう。地域によっては、先日の都議選挙の時のような展開も有り得ます。ただ、流石に国政は選挙区毎に事情が様々ですから、大半の地域でそこまで安直な結果にはならないものと思われますけれども。確実なのは、新党に批判票を根こそぎ持っていかれるだろう民進等の既存野党が消滅レベルの壊滅的な敗北に終わるだろう事だけですね。当人達もそれがわかっているから、離党・解党の動きが出ているのでしょうし。

しかしねえ。どいつもこいつも、政策とか本来すべき仕事の方はどうなってんの、って話で。与党側は言うに及ばず、新党はじめ野党側も数や体制の整備に追われて、肝心の議席を得て為すべき事が全くの空っぽなのは流石に。。。希望とか言うわりには、むしろ絶望を強く感じてしまうのは私だけでしょうか。

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9/26/2017

[pol] する理由がわからない選挙。何がどうして何のために?

いつの間にか、衆議院の総選挙をやる事になったそうで。・・・何で?とまず疑問符が浮かんでしまった人も多いのではないでしょうか。私は浮かびました。

それも当然と言うべきでしょうか。今更言うまでもない話ですが、衆議院において現政権と与党は絶対多数を確保しており、従ってその政策の実行、それに必要な法案の改廃をするには何の障害もなく、また任期も未だ一年を残しています。前回の選挙時と今の支持率等の指標を考慮すれば、良くて現状維持、少なくともさらに議席を増やすような結果は期待出来ず、従って通常は残りの期間を最大限活用する方が合理的な筈なのです。言い換えれば、今回の解散は、負う必要のないリスクを負う不合理なものと言わざるを得ません。国民に広く信を問うべき問題が出てきたわけでもありませんし。

外部的には?これについても、むしろ時期が悪いと思う人が多いのではないでしょうか。国外との関係については、北朝鮮と米国の軍事的緊張は高まり続け、いつ暴発してもおかしくないように見えるし、米Trump政権との関係についても安定しているものとは到底言えません。というかまだ関係自体を構築出来ていない、というべきで、その結果、TPPやFTA等の各種交渉についてもほとんど放置されたままです。国内についても、警察・軍事関連を除くほぼ全ての分野でここ一年実質的に新たな政策は提起されず、唯一最大の政策であった日銀による金融緩和も当の日銀からして手詰まりになった事を認めて白旗を挙げ、絶望的な撤退戦に追い込まれようとしている所です。只でさえここ数ヶ月を無為無策に空費している状況なのだから、あっちもこっちも手当てが必要な事は明らかです。それらを放置して国会を解散してしまうのだから、本来なら余程の事由がなければしてはいけない、その筈なのですが、それが全く認められないのですね。

付け加えれば、目下最大の問題であろう学校法人関連の権力濫用疑惑についても、選挙の結果によらず、当事者が政権やその周辺に留まる限り追求は続くでしょう。その点については、選挙の実施は問題の解決を先延ばしする意味しか持ちえません。

かように、政権、またそれを支える与党議員の本来の仕事に関する環境面では、選挙を控えるべき理由はあっても、敢えてする理由が見当たらないのです。消費税の用途変更だとかいうまさに取ってつけたような説明を見ても、本来の意味での理由が存在しないだろう事は疑いようがないでしょう。

それでも実際には選挙を打ち出した、という事は、それ以外の事由があったという事になります。世間では様々に推測されているところですが、そのうち有力なものはあまり多くはありません。せいぜい2、3件といったところでしょうか。

1つは、目先の支持率の動向が理由と言われます。学校法人絡みの疑惑、また先日更迭された複数の閣僚の不祥事等により大幅に低下した支持率が、喉元過ぎれば、の如く回復傾向にあり、首相にとっては相対的に選挙をするに適しているように感じられたのでは、とする説です。

もう1つは、野党の動向が指摘されます。民進党で執行部メンバーに不祥事が続発し、分裂状態に陥って支持率を落とし、新執行部のポリシーから野党共闘が揺らいでいる事に加え、小池都知事の新党がまだ構築途中で、準備が整っていない現状であれば、相対的に勝利するのは容易いと首相が判断したのでは、とする説ですね。

さらに、首相自身の基盤の劣化も指摘されます。長期に渡る、自身の失言等も含め政権メンバーが演じた数々の不祥事や傲慢な発言、金融・経済政策における敗北ないし行き詰まり等によって支持率が一時は致命的とされるレベルまで低下し、これに伴って与党内部での求心力が低下し、基盤が揺らいでいるため、選挙での勝利をもってこれらを回復させ、組織の引き締めを図りたい、とする意図があるのでは、とする説です。これに関連して、支持率の回復も狙っている、とする見方もありますが、これはさすがに因果が逆、不条理と言うべきでしょうね。

これらの説は、どれも事実を根拠としている事もあってそれなりに説得力があります。そのいずれかが真実を捉えているのか、それとも他の理由があるのか、それは当人にしかわからない事です。ただ、もしこれらの説がある程度でも真実を捉えているのであれば、それは到底是認出来ないものと言わざるを得ません。というのも、これらの説は共通して、その動機が首相はじめ政権の本来の責務とは関係しないものであり、かつその判断自体、相当に見通しの甘いものであるように思われるからです。

支持率の動向等は、自身を含む首相近辺の人物自体が問題になっていますが、それらの殆どが未だ解決されておらず、あるいは満足な説明すらされていません。諸々の追求にもとりあわず、ただ問題ない、として強弁を繰り返してきただけです。そうである以上、支持率が回復傾向にあると言っても、それが維持・継続される可能性は高くないでしょう。また選挙期間中には野党候補者はこぞって指摘を繰り返すだろうところ、それが再燃をもたらせば、再び支持が低下する可能性も相当にあるはずです。そのリスクを低く見積もりすぎてはいないでしょうか。

また、野党の動向は、本来政権運営とは直接には関係しないものです。まして、その準備が整わない短期的な時期を狙って選挙を仕掛ける、というのは、その行為自体が国民の選択肢を意図的に奪う性質を帯び、その点で非難・批判を受けて支持を落とす可能性がある上に、そもそも野党が準備不足だからと言って、必ずしも与党が支持を受けるものではありません。にも関わらず選挙上自身が有利になる、と判断したのであれば、そこにはある種の慢心や思い込みが介在しているように見えます。

もっとも、これらのリスクを全く認識していない、というわけでもないのでしょうけれども。といって、もしそうであるのならば、にも関わらずリスクを承知で打って出た、という点からして、不安定な目の前の利点に飛びついてしまう程、首相が追い詰められ、余裕を無くしているのだろう、とも考えられるし、それは同時に、政策の立案、実行といった責務を放棄し、ただ無闇な保身に走ったもの、とも言えてしまうことになるわけですが。。。本当にそういう部分があるのなら、極めて残念な事です。

先日の英国首相Theresa Mayが目先の支持率の高まりから基盤を強化しようとして失敗した件を例に取って、その二の舞になる可能性を指摘する向きもあります。仮にそうなったとして、別に国民に対して何か致命的な問題が生じるわけではありませんが、莫大な費用も時間も手間もかけて、結局は首相の一人相撲でした、というのは流石に笑えません。真面目に仕事しろよ、と。

なお、法的な側面で言えば、今回の首相の解散権行使はかなりきわどい話です。元々内閣の解散権は69条の不信任決議、7条の国事行為を除いて明確な根拠はなく、それ故にその濫用にあたる限界の在り処が争点になっているところ、習慣上、重要案件が否決された場合や前回の選挙での争点でなかった新争点が生じた時等、立法政策上の重大転換時に限るものとする説が有力なのです。で、今回の解散はその要件を満たしていない、というわけです。この指摘については、まあそうだよね、と頷かざるを得ません。実際のところ、解散権の限界は明文化されていないので、濫用が認められるからといって解散が無しになったりする可能性はほぼないのですけれども、そういう法論理的にも疑義の付くべき事例である事は踏まえて置くべきでしょう。権力の濫用はいつだって社会にとって害にしかならないのですから。

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9/25/2017

[note] Windowsの名前解決失敗によるブロードキャスト連発を止める方法について

今月に入って、ふとローカルのサーバの通信を覗いて見たら、大量の無意味なアクセスが延々と、それこそ常時トライし続けるような感じでされていたんです。毎分数件以上のペースで。

別に攻撃とかいうわけではありません。というのも、送信元はこれまたローカルのPCで、かつポートが5355のみ、すなわちブロードキャストを繰り返しているだけなのは明らかだったからです。言い換えれば、名前解決に延々と失敗して、それでもトライし続けている、という状況だったのですね。

何故そんな状態になったのかは、当該ポート周りの通信は特にログを取っていなかった事もあって、よく分かりません。 少なくとも数ヶ月前に通信周りをチェックした時には起こっていなかった筈なのですが、何かUpdateに伴って挙動が変りでもしたのでしょうか。うーん。やはり分かりません。

考えても分からない原因はともかくとして、この種の多分に無駄な通信というのは、気づいてしまうと鬱陶しく感じるものです。例え、ブロードキャストの通信量がたかが知れていると分かっていても。ちなみに当該アクセスは、IPv4だけでなく、IPv6経由のものもありました。鬱陶しさもログの無駄も倍増です。というわけで、さっさと対処してしまう事にしました。以下はそのメモです。

まず対処に必要な範囲での原因の究明。このブロードキャストは、224.0.0.252宛にポート5355(UDP)で発せられていました。名前解決でこれらのポート等を用いているのは、Windows OS上、NetBIOSの中で当該処理を担当しているLLMNR(Link-Local Multicast Name Resolution)プロトコルです。で、名前解決の際にこういう繰り返し処理が起こる原因としては、名前解決をしたい相手方が応答しない場合や、応答しても名前がNetBIOSの規格に合わず、そのため解決に失敗する場合等が有り得るわけです。

この推測が大体外れていないだろう、と仮定すると、その対処方法は大きく2通りあります。1つは、相手方、すなわちサーバ等がLLMNRの名前解決に正常に応答するように修正する方法で、もう1つはそもそもLLMNRを止めてしまう方法です。

今回は以前の状態に戻すべく、まず前者を試してみたのですけれども、何故そのような状態になっているのか、その細かい原因がはっきりしていないこともあって、上手く行きませんでした。dnsの設定でもLLMNRはONになっているし、ネットワーク上は問題ない筈ですから、名前自体に問題があった、という事なのかもしれません。といって、その名前は以前から使用して来ていたもので、何故今になって問題になったのか、という点でこれもやはり今ひとつ納得行かないのですけれども。

なので、後者すなわち送信元のPC側でLLMNRを止めてしまう方法で対処する事に。具体的には、レジストリにregedit等を用いて以下のキー及びプロパティを追加します。

[レジストリ場所] HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Policies\Microsoft\Windows NT\DNSClient
[値の名前] EnableMulticast
[値の型] REG_DWORD (DWORD 32ビット)
[値] 0

なお、対象のPC(アクセス元)のOSはWindows10でしたが、場所の内、キーの部分、すなわちDNSClientはデフォルトでは存在していません。なので、手順としては、・・・\Windows NTの下にまず[DNSClient]の名前でキーを作成し、その上でその中に[EnableMulticast]のValueを追加する、という事になります。

追加設定を終えたら再起動。すると、延々と垂れ流しになっていたポート5355のアクセスがぱったりと止みました。めでたし。

しかし、この辺はその普及の度合いの割に中身の挙動、またその制御等の方法があまり周知されておらず、今回のように怪しい挙動をした時に、対処をしようにもどうすればいいのか調査の段階から手間がかかるのには困ったものです。Windows Server等のMicrosoft製品で固めたネットワークならほぼ問題にはならないんでしょうけど、Linux等の他システムと混在し、それらとの連携・調整が必要になる方が明らかに多数なのだから、もう少し何とかならないものかな、と思う次第です。ともあれ、愚痴りつつも今回はこれでおしまい。

なお、同じwindowsでも、7や8.1等、10以外のPCでは特に本件のような現象は起こっていません。何なんでしょうね?

9/24/2017

[biz] Uber、Londonでのライセンスを剥奪される

何かとお騒がせというかはた迷惑というか、なタクシー業界の敵Uberですけれども、9月末で切れるオペレータのライセンスが更新されない決定が下されたんだそうで。要するにbanされてしまったというわけです。さらっと言うけどヤバいですね。なんだかんだと経済的にはそれなりの規模を有する業者に対してこの爽快感すら感じられるバッサリ加減、流石は英国、と言うべきでしょうか。

管轄部門のTfL(Transport for London)によるとその理由は、 公共の安全、治安に害を及ぼす懸念があり、その点がオペレータとしてふさわしくないため、との事です。具体的にどういう事実がその判断の根拠になったのかは不明ながら、当局者のコメントを読む限り、ロンドンではタクシー業者に義務付けられているところの個々のドライバーの適正検査等につき、Uberはその辺でまずかったらしいのですね。検査で適正が低い結果が多数出たのか、検査自体を受けさせなかったりしたのかはわかりませんが、Uberのビジネスの形態やこれまで世界中でやらかした事例から推測するに、後者ではないかな、と思われるところ、さてどうなのでしょう。

元より、自前の検査云々以外にも、インドでのUberドライバーによる乗客への性的暴行事件等辺りは元々関係の深い英国ではよく知られている話ですし、Uber自体セクハラや性差別が社内で蔓延していた事から社会的に広く非難を受けている事も周知の通りなわけで、その辺が総合的に考慮されたという事なのかもしれません。

(追記)
公式文書を確認したところ、 英国内での性的暴行等の犯罪行為に対する同社の処置の他、ドライバーの健康診断に関する虚偽、また当局関係者を識別し、その利用を避ける事で監視を免れるツールGrayballの使用が理由に挙げられていました。

で、Uberの反応は、というと、無論大人しく当局の言うことを聞くような会社ではないわけで。当然ながら反論というか抗議の旨コメントを公表しています。その内容というか主張の要点は、概ね以下の2点に集約されます。

・ロンドン市民の利便性を損なう
・多数の失業者が出る

その他、ロンドンのタクシー業者の組織を利するアンフェアな決定だ、等とも主張しています。ちなみに、Uberのロンドンでの人員数は約40000人だそうです。たかが数年でそんなに増やした、というのは流石というべきか、無謀だったと言うべきか。多分に粗製乱造な面があっただろうし、不適正と判定されるのも当然だったのでしょう、とそれはともかく。

で、この反論?ですけれども。なんと言うか、的はずれ感が否めません。要するに、ロンドン市民とその経済にとってのデメリットを指摘しているわけですが、当局が今回の決定をした理由は、上記の通り安全面の不適正ないし違法性です。それを否定しようというのなら、安全性、すなわちドライバーの適格性や、組織やシステムの合法性を立証しなければならない筈、なのですが、そこには全く言及しておらず、反論になっていません。Uberはこんな的外れな主張で、当局がその判断を改めると本気で考えているのでしょうか。だとしたらもはや処置なしと言わざるを得ないわけなのですが。。。

ただ、そもそもの話、Uberがそのビジネスモデル上、ドライバーの規律につき専らインセンティブや顧客の評価に基づくペナルティといった経済的な要素による間接的な規律に頼っており、少なくとも通常採用や雇用の継続においてなされる類の直接的な措置は殆ど講じておらず、実質的に個々のドライバーを管理していないも同然である事は周知の事実だし、 そうである以上、適格性や安全性の保証なんて出来るわけがないのだから、Uberとしてはそれ以外の線から異議を申し立てる他なかった、という事なのかもしれませんけれども。そうだとしても、何とも滑稽な話です。

本件決定は、一般の行政処分がそうであるように、異議申し立てをすれば、その結果が出るまでは保留扱いとなり、Uberも当面は事業を継続する事が出来ます。が、この分では本当に少しの猶予が出来ただけで、遠からず異議は却下され、結局のところLondonないし英国から追い出される結末は避けられそうにありません。Denmark辺りでも適性検査絡みで不正が発覚してたりしますし、元々著しい困難を抱えていた欧州方面はいよいよ壊滅しちゃうんでしょうか。

しかしこの会社、あまりに無反省が過ぎるんじゃないでしょうか。米国発のIT系ベンチャーは基本そういうものだと言えばそうだし、今に始まった事でもありませんけれども、事業の継続自体が出来なくなるケースすら普通に繰り返しているというのに、それを改めようとしないのは普通に考えて頭おかしい話なわけで。

CEOはじめ経営陣が入れ代わってなお相変わらずというのだから、もう組織全体がそういう意識に染まっている、という事なのかもしれませんが、これで全体として利益が出ているというのならまだしも、赤字なのだからなおさら理解し難く思われてなりません。一連のトラブル、また同社を排斥する各国や都市の決定は、その原因が同社の傲慢で杜撰、あるいはしばしば法を無視する無謀なやり方にあるのは明らかだし、それを改めれば改善が見込まれるのにも関わらず、頑なに改めようとせず、同じ失敗を繰り返し続ける有様は、異様とすら言っていいかもしれません。何考えてるんでしょうね。あるいは何も考えてないだけ、なのでしょうか。

何にせよ、突然失業に追い込まれる従業員にはご愁傷さまです。まあでも、あんな無茶なやり方で長続きすると考えていた人もそんなにいないだろうし、いたとしても自業自得というべきなのかもしれませんけど。あっちもこっちも、困ったものです。他人事ですけどね。

Uber London loses licence to operate

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9/20/2017

[biz] Toys"R"Usの米国・カナダ事業が破産

Toys"R"Us(トイザラス)がアメリカとカナダで破産を申請したんだそうです。何はともあれご愁傷さま、と言っておきましょうか。

といって、別に今さら何も驚く事はないのですけれども。というのも、本件、同社が破産する見込みな事は前々からかなり確証のある形で噂にもなっていて、大手の報道でも大々的にその見込みが報じられた事もあるわけですから。多少なりとその手のニュースを気にしているような人は、その殆どが、やっぱりね、位にあっさりとして受け止めたんじゃないでしょうか。

もとよりここ数年、特にこの2年程は、amazonをはじめとするネット経由の通販がその成長の速度を速める一方で、所謂"Brick-and-mortal"の店舗形式の小売業者が需要を奪われて業績を落とし、あるいは複数の大手も含め多数の業者が破綻に追い込まれるケースが山ほど起こっていました。そこかしこで"Retail Apocalypse"(小売の崩壊)といった表現が飛び交うのにも、すっかり違和感を感じなくなってしまったような気がします。

仁義なきApocalypseの最中にあって、早い段階からネットとの併売でヘッジしてAmazon等と多少なりと張り合い得たところは苦しいながらもそこそこ生き延びている一方、その辺りの対応が甘かったところは容赦なく淘汰されています。その後者の中にトイザラスも含まれていた、とそれだけの事なのでしょう。

何故適応出来なかったのか。色々考える事は出来ます。おそらく特に留意すべきは、同社のビジネスモデルに、価格競争自体を避ける傾向があっただろう点です。元より、同社は値引き等の価格競争の類は殆どせず、豊富な品揃えや、一種のテーマパーク的なというか、実店舗の空間の雰囲気や、実物の魅力等を主たる強みとして、価格的にはむしろ高値で売りつけて利益を稼ぐ戦略を取っていました。この点、価格以外の要素が殆ど排除されてしまうネット通販には順応しづらかった、という事は十分に有り得るでしょう。ネットと店舗の二重価格も、クレームの元になったりして色々と難しいですしね。

しかし、いくら従来からの基本的なコンセプトであり強みだから、と店舗での販売にこだわったところで、現実として消費者の行動様式自体が大きく変化し、少なくない割合の人が店舗に足を運ぶ事自体をしなくなっている以上、どうにもなろう筈もありません。よく指摘される事ですが、生鮮食料品等と違い、玩具類は通販でも店舗でも品物自体は同じなのだから、消費者側からすれば店舗での購入にこだわる理由は元々薄い類の商品であり、低価格を追求出来るネット通販が広まった時点で、店舗販売の敗北は決まっていたものと言うべきなのです。

ところで、報道によると、同社はこのまま清算するわけではなく、再生を目指しているんだそうです。それ自体はいいのですが、一体どうやって再生するんでしょうね?玩具販売業は続ける、という事なんでしょうけど、店舗販売形態中心というわけには行かないでしょう。それで行けるなら、そもそも今回の破綻自体に至らなかった筈です。思い切って通販業者に形態を変更する、それ以外に道は無い、その筈なんですが。。。ただ、形態を転換したとしても、玩具専門では、スケール面でAmazon等の先行大手に敵う筈もありませんから、スケールメリット不足でやはり価格面中心に太刀打ちできずに淘汰されてしまいそうです。かと言って、玩具以外も扱いたくとも、そんな物流網を一朝一夕で構築出来る筈もありません。それに必要となる投資や減損も半端な額ではなく、それを手当するのも非常な困難を伴うでしょう。

要するに、再生すると言ってもその手段が存在しないように見えるわけです。Toys"R"Usの経営陣は、その辺をクリア出来る現実的なプランを持っているという事なのでしょうか。今回の破綻に至るまでの無為無策、あるいは無力ぶりを見るに、その可能性は非常に低いものと考えざるを得ないのですが、どうなんでしょうね?うーん。いっその事、独立は諦めて、Amazonとかの大手に取り込まれた方がいいんじゃないか、とも。とはいえそれも取り込む側のメリットが薄くて、欲しがるところがあるのかすら不明なのですけれども。何か八方塞がりな感じです。

あと、現時点では北米以外の地域に直接の影響があるわけではありませんが、当然ながらその事業環境の変化等の状況はどこも大差ありません。特に日本や英国は少子化が進んでいる事もありますし、先行きが明るいものではない事は疑いようがないだろうところ、さていつまで持つのでしょうか。

Toys 'R' Us files for bankruptcy protection in US

9/19/2017

[IT] レジストリ類の自動改変ツールCCleanerの公式ダウンロードファイルが汚染されてマルウェア化

レジストリやブラウザのキャッシュ類を操作して、余計なサービスを止めて動作を軽くしたり、トラッキングの類を排除してPCを保護するために用いるソフトについて、その公式サイトに掲載されたバイナリが汚染され、これをダウンロードして実行するとマルウェアに感染してしまう状態になっていたんだそうです。

当該ソフトは、Windows/Android用のCCleaner。具体的には、32bit版のバージョン5.33.6162と、CClearner Cloudのバージョン1.07.3191が対象で、これを実行すると、キーロガーや漏洩関連のツールを仕込まれ、外部から操作され放題になる上に、自己増殖・拡散までするようになるんだそうで。Malwareで出来る事はRansom以外全部入れた感じの、まさにやりたい放題といったところですね。感染件数は公式の推計で227万件。なかなかに大した数です。

で、このCClearnerですけれども。この種のツールとしては昔からある定番のツールですし、使ったことのある人も多いんじゃないでしょうか。実際、今でも週あたり数百万のダウンロードがあるというのですし。Microsoftも懲りずに毎月の如くUpdateにテレメトリとか沢山仕込んで来ますし、そういうのを排除したいという需要はいつまでも無くならないのですね。

幸いにというか、私は使ったことはありませんけど。理由は単純、そもそもレジストリ類をいじる事自体がちょっとした事でPC全体の動作を不全に陥らせる危険に満ちたものであって、やるにしても各変更内容を十分に理解し、かつすぐに戻せるよう配慮した上で慎重にしなければならないものなところ、それを何をやるかもわからない外部製のツールのバッチ処理に任せてしまう、という判断自体があり得ないと思うからです。それは文字通り管理者権限を白紙で明け渡すものであって、ツールの作者が意図せずとも、致命的な破壊行為になってしまう可能性が非常に高い処理なのですから。率直に言えば、Microsoftにすら無断で変更はして欲しくないと思う位です。

そういうわけで、その種のツールとその処理自体が只でさえ危険なものなのに、そこに悪意が混入すれば、その被害が洒落にならないものになるだろう、という事は考えるまでもない自明の事でした。それが現実のものになったのが本件、というわけですが、これは当然に予想された事態であり、別段驚くべき事というわけでもないのです。

そもそも、こういうツールは誰もが使うようなものではありません。一般には存在を知る必要すらないものと言えるでしょう。しかるに、この種のツールを使う人は、まずそれなりの知識があって、その危険性もある程度認識した上で、それでもリスクよりも利便性を優先する判断をした人が大半であるものと思われます。そうであれば、その対処にも慣れているだろう、とも考えられますし、通常想像されるより実際の被害は小さいものになっている、とも推測されます。無論、何も知らずに使って、感染するに任せ、そのまま気づきもしないような人もある程度はいるのでしょうけど、それはもうどうしようもない、というか、何もわからないのにホイホイとそんな危険なツールを使ってしまうような人には多少の警告があったとして無意味だろうし、ご愁傷さまという他ないのでしょう。いずれにせよ、この種のツールの利用に関して、社会的に広く警鐘を鳴らしたりする必要、というか意味は、必ずしもないのではないかと思うのです。

使わなければPCが動かなくなる、というものでもないのだから、基本使うな、使うなら自己責任、でいい、というかそうするよりどうしようもない話だと思うのですね。どうせこれで懲りる人もそんなにいないんでしょうし。使わない人間からすれば、本末転倒も甚だしいと思うんですが。。。まあ好きにすればいいのです。ただし、人に迷惑をかけない範囲でね。

(原因とか感染経路とかは?)

ちょっと気になるのは、CCleanerの提供会社Piriformはアンチウィルスソフト作成会社のavastの傘下にある、という点です。本件の感染経路は今の所不明ですが、内部の可能性が強く疑われています。で、昔からウィルス対策ソフトの開発会社にはマッチポンプの類の噂が絶えないんですよね。自前でウィルスを作っているから、対処も速いんだ、といった類の。まさかその辺の管理の不手際が原因というわけじゃあるまいな、とか、妙な想像をしてしまうわけなのです。といって、確かめようもないわけなのですけれど。

Hackers hid malicious code in popular CCleaner software
Hackers slipped malware into popular PC software CCleaner

9/15/2017

[law] 法務局職員、印紙横領10年4億超

そんな事が可能なのか、と。唖然としてしまいました。東京の法務局で前代未聞の巨額かつ長期に渡る横領、というより窃盗?が発覚したそうです。

具体的には次の通り。既に刑事告発済みの容疑者は東京の複数の法務局に勤務していた天野直樹63歳。判明している分で2006年から2016年にかけて2778件の登記申請書に貼られた登録免許税納付用の印紙を、消印が押される前に剥がして処理済の別の申請書から切り取った消印済の印紙とすり替える手口で盗み、換金していたとの事。被害額は総額で5億円近くにもなる、との事です。なお、天野は本件発覚後、2016年12月に懲戒免職になっています。

平均すると一件あたり17万円、ということはおそらくは対象となった印紙は一枚あたり10万や20万の高額印紙で、これを営業日換算でおよそ毎日一回以上という驚くべきペースで、ほぼ10年に渡り盗み続けた計算になります。これが事実であって、かつ既に財産として残っていないなら個人では返還のしようもないでしょうから、その規模、悪質性を鑑みると、業務上横領もしくは窃盗罪の法定上限まで、すなわち10年に限りなく近い位の懲役刑が確実、といったところでしょうか、とそれはともかく。

本件は率直に言って、法務局の杜撰な管理体制が招いた被害と評価すべきものであり、従って組織全体が責任を負うべきものであると言えるでしょう。管理・監督等の組織の運用に関して、当然あって然るべき体制が少しでも備わっていれば、そもそも起こり得なかったような犯行なのですから。

それを裏付ける事実は幾つもあります。まず、それほど頻繁に、おそらくは所内で犯行がなされていたにも関わらず、これほどの長期に渡って発覚しなかった、という点。これは、相互監視や責任者であるところの登記官等によるチェックといった、犯罪を予防するしくみ自体が存在しなかった事を示しています。

次に、本件犯行は、その手口の性質上、すり替え用の印紙を切り出した元の申請書(の印紙台紙)を見れば一発で発覚する筈なところ、そうならなかったという事実です。さらに、そもそも法によって保管が義務付けられている筈のそれらの重要書類に、一事務官に過ぎず、そのように頻繁に接触する必要すら無かった筈の本件元職員がアクセスし放題、毀損もし放題だったという事実も併せて見るべきでしょう。巨額の資産・権利の得喪に直結する、極めて重要な文書類にも関わらず、その管理の不備や過失があった、というよりは、むしろ管理・保管という概念自体が存在しなかったかの如き有様には、公務員がどこまでも杜撰な生き物である、その事をよくよく承知した上でなお、戦慄を禁じえません。

あと、印紙について、現在は収入印紙に切り替えられ、廃止されましたが、従来は登記申請には専用の登記印紙が用いられていたところ、本件で窃取され、市中で売却された印紙は基本的に別件の登記の申請に用いられていた筈です。その分は不正な使い回しですから、当然ながら国に納付されず、その結果国の側で、印紙の納付額と申請された免許税の額面の総額との間にズレが生じる事になります。

もとより発行された印紙が全てすぐに使用されるわけではありませんから、同一期間、例えば年度内での印紙の発行額と免許税の額面総額とは必ずしも一致しません。しかし、印紙は専ら税の納付に使用される性質上、一般にその発行は必要最小限に留められます。とりわけ高額の印紙は、申請直前に必要な分だけの発行を受け、即日使用される事が殆どの筈です。直前で申請が中止になる事も全くないではないのでしょうけれど、だとしても高額の印紙がそのまま長期間使用されずにただ保管される、というのは非常に少ない筈なのです。

そして、ズレは増えはしても減りはせず、累積します。しかるに、短期的にはともかく、累積してこれだけの巨額にもなれば、流石に発行と使用までの時期のズレ、では説明が付かない程に収支が合わなくなっていた筈なのです。発覚の経緯は報じられておらず不明ですが、その発覚の端緒になったにせよ、ならなかったにせよ、これほどの額になるまで、もしくはそこに至ってなお、その異常に気づかなかった、というのでは、国税局はじめ会計方も、会計監査の面での非難を免れないものと言わざるを得ません。

どこを見ても、信じ難い程の惨状っぷりには目眩がします。勿論、一義的には本件犯人に責があり、法務局や国は基本的に被害者ではあります。あるのですが。。。いくら何でもそんなになるまで気づかなかった、というのは許されないでしょうと。

もっとも、犯人の供述しているとされるところの、治療費に使った、等という、額からしてそれだけでは説明がつかないだろう理由や、これほどの量の印紙を恒常的にどうやって換金していたのか、等と考えると、犯人は単独犯ではなく他に共犯者がいるのでは、といった疑念も抱かざるを得ませんし、少なくとも本件の全体が納得出来る形で明らかになったとは到底言えないだろう現状、まだ諸々の批判をするのも早計なのかもしれませんが。まあ、評価がさらに下がる事はあっても、上がる事はないんでしょうけれどもね。やれやれです。

元法務局職員、4.7億円分の印紙横領の疑い 刑事告発

9/13/2017

[PC] iPhoneX、お披露目デモで顔認証に失敗

昨日発表された新型iPhone、正式名称iPhoneX(テン)ですけれども。そのお披露目のデモでやらかしたんだそうです。

具体的には、iPhoneXではホームボタンが廃止され、ボタン下に埋め込まれていたAppleID用の指紋認証デバイスも削除され、これの代替としてカメラによる顔認証ログインを採用しているのですが、このログインデモに失敗したのです。

既に至るところで公開されている動画では、iPhoneXの機能紹介デモを担当していたCraig Federighiが、機能の実演をするために実機を手に取り、"これがiPhone Xです。(画面を)見て、スワイプするだけで・・・"とここまで操作しながら言ったところで、ロックが解除されなかったんですね。しばし絶句した後、気を取り直して代替機を使ってロック解除しましたが、会場は凍りつき、あるいは失笑が漏れていて、その後もその空気は相当に後を引きました。

この失敗自体は短時間で、この種のトラブル発生時にありがちな、繰り返しトライして失敗を繰り返すような醜態を晒すこともありませんでしたから、本来なら一時的な失笑を買いつつ、後でネガティブな点の一つとして批判を受ける程度で済んだのかもしれません。しかし、当該機能はログインの部分という事で、当然ながら最も注目と期待を集める実機デモの初っ端に配されていたのが最悪でした。誰しも、最初と最後は覚えやすいものです。おそらくは、iPhoneX自体にも当該失敗のイメージを関連付けてしまった人も多かったのではないでしょうか。それでなくとも、ログイン時の認証が安定しないというのは全てのユーザにとって実際に悪夢になるのですし。

そもそもの話をすれば、数ある生体認証方式の中でもとりわけ対象の特徴や環境条件の変動が大きいために認証精度が低く、むしろ失敗して当たり前の顔認証を、環境条件や対象がそれこそ際限なく変動するモバイルデバイスの認証機能に、それも標準として採用する事自体が現実的な判断ではない、と言って良いんでしょうけれども。顔認証より桁違いに精度の高い他の生体認証方式、それこそ従来採用していた指紋認証ですら、失敗はそれなりに有意なレベルで生ずる、そのことをAppleが認識していなかった筈はないのですが、何故こんな無謀な判断をしてしまったのでしょう?現実的に考えれば、従来通りの採用方法、すなわち使える人は使ってもよい、とする任意の機能として導入すべきものだっただろうし、少なくとも、絶対に失敗してはいけなかった筈の、新製品の最初に紹介する目玉機能としてアピール出来るようなものではなかった筈です。

しかし、もうやらかしてしまったのは事実で、取り返しも付きません。ホームボタンも取っ払ってしまった以上、FaceIDを別の方式に変更することも出来ませんし、このまま発売するしかないのでしょう。ただ、入念に準備され、リハーサルも繰り返された筈のデモですら失敗するのですから、普段の利用ではどれほどそれが頻発し、ユーザがイライラさせられるかは推して知るべしです。容易に想像できる通り、その報いをAppleとそのユーザが受ける事になるのか、実際のところは販売されてからでなければ知りようもありませんが、少なくない人の中で、その期待が大きくしぼんだ事は間違いなさそうです。

加えて、価格は予想通りですが大きく値上げ。最低価格の時点で米国では$999、英国に至ってはまさかの£999。日本円で10万を大きく超える事は確実です。ホームボタンが無くなって、画面が全面に広がったデザインを気に入る人はそれなりにいるのかもしれませんし、記憶容量が増え、処理能力が向上したと言っても、いくら何でも高すぎじゃないでしょうか。

もっとも、従来路線のiPhone8/8Plusが併売されますし、気に入らなければ手を出さなければいいだけのこと、結果としてiPhoneXがあまり売れなければ、実験的に投入されたマニア向けの記念モデル、等として例外扱いに留まるのかもしれませんけれど。さてさて。

Face ID on iPhone X failed in its first public demo, but it may not be its fault

(追記)

この失敗を巡って、認証に失敗したのではなく、長時間放置もしくは再起動後で、生体認証(FaceID)自体が使用出来ない状態になっていて、そのロック解除画面が表示された、すなわちそもそも認証自体されていなかった、という説明がちらほらと出ています。だから顔認証の精度が低いわけではない、としてAppleを擁護しているんでしょうが。。。どっちにしろプレゼンの良し悪しの観点からは大差ないわけだし、そういうロック機能を入れなければならないのは生体認証自体が不完全な事の証左と言えるでしょう。そもそも、そんな馬鹿な事が起こりうるの?と疑問も禁じ得ません。認証機能のロックが従来からの仕様だというなら、デモの準備段階でそのような状態になる可能性に誰も気づかなかった、というのは不自然に思われるし、仮に気づかなかったとしても、デモ機をそんな長時間放置したりしないでしょうし。直前に再起動して、動作確認もしないまま本番に臨んだ、なんて事はなおさら考えられません。予備機の方はロックされていなかった、というところからしても、通常なら予備機の方がむしろ放置されていそうなものだと思うのですが。

現実的に考えて、放置or再起動後ロック説には無理があると思うのです。想像するに、やはり顔認証には失敗していて、それによってFaceIDがロックされたために、その解除用の画面が表示された、と考えた方が自然なように思われます。で、予備機の方は認証の閾値が緩く、もしくは実質誰でもパスするような設定になっていた、とか。本当のところは確かめようがないのですけれども、さてどうなんでしょうね。

9/07/2017

[pol] 民進党はやっぱり民主党のまま、むしろ悪化してる?

いや、どうせ長くは持たないだろうとは思ってましたけどさ。。。つくづく救い難い阿呆だなと。民進党の不愉快な面々の件です。

まず、最初から終わっていたというべき蓮舫前代表の後任に、民主党時代に外国人からの違法献金その他諸々の不祥事の清算も満足にしないまま逃亡した前原誠司が選任された事からして理解し難いところでした。次いで、その執行部人事案の中で、政治資金の詐欺について誰が見ても嘘とわかる強弁を弄し、世論からはガソリーヌとも揶揄されて信用どころかもはや犯罪者同然の扱いを受けていたにも関わらず、そのまま議員の職はおろか党の看板としても居座り続けていた山尾志桜里を、更迭するどころか逆に昇進させて幹事長ないし代表代行の要職に当てようとするに及んで、これはもう処置なしだと認識した人も多かった事でしょう。

しかし現実はさらに醜悪で信じ難いものでした。人事案の公表から殆ど日を置かずして、あれほどまでに世間の批判に晒されながらも頑なに党から保護されていた山尾の人事があっさりと撤回されたのです。何が起こった、と思っていたらさらに離党。民進党の役職どころか、党自体から追い出されてしまったのですね。誰しもが驚く、というよりは不可解に思ったのではないでしょうか。

当然、それには相応の理由があるだろう、何かやばい犯罪でもやらかしたか、と訝しんでいたところに公表されたその理由は、まさかの不倫。無論、不倫は不道徳ではありますが、違法行為ではありません。悪質な違法行為であるところの公金の詐取ですら党に守られ続けたのに、不倫だと即刻追い出される、というのは、正直意味がわからないわけです。民進党の組織の規律とか倫理規定って、一体どうなってるんでしょうか。やっぱりというか、そもそもそんなもの無いも同然という事なんでしょうか。だとしたら恐ろしい事です。仮にも国権の最高機関たる立法府の、しかも小さくない勢力が丸ごとそんななのだという事なのですから。

いや、確かに不倫については、自民党の複数の議員に発覚した際、当人ないし党がこぞってそこまでやるかという位に散々非難した手前、いくらダブルスタンダードが当たり前の民進党でも弁護のしようもなかった、というのはあるんでしょうけど。それにしても、と思わざるを得ないのです。

何にせよ、新代表の前原誠司も、蓮舫に続いて死に体での出発となった、その事は疑いようがないでしょう。山尾関連については、まだ自身の問題ではない点で蓮舫よりはマシと言えなくもないのかもしれませんが、そもそも前原自身も前回の不祥事の清算が済んだとは言えず、元々小さくないマイナスからのスタートだった点も考慮すると、大差無いような気もします。のみならず、政策そっちのけで改憲への積極発言をしたり、単独で与党に対抗出来る見込みもなく選挙協力の解消を主張したりして、ただでさえボロボロの党内や野党間の関係をさらに悪化させているあたり、やっぱり今回もまた近い内に無残に終わってしまうんだろうなと、今となっては数少ない民進党支持者や与党を批判する向きですら、早々と見限った人も少なくないのではないでしょうか。

もっとも、党の支持率も1桁台の前半が当たり前になり、もはや大多数の国民からは非難以前に無視されていると言うべき現状、元々党自体が終わっているのだから、今更どうなろうと大した影響はないんでしょうけれども。そうであれば、見苦しい姿を見ずに済むよう、速やかに党ごと消えて欲しいと思う次第なのです。というか、本件も既に進行している消滅へのプロセスの一部という事なのかもしれませんね。どうせ消えるなら、ひっそりかつすっぱりと消えてくれればいいのに、と思わずにはいられません。

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