5/29/2015

[biz law] 日本ハム、特許の効果捏造がバレて取り下げ

日本ハムが虚偽の効果を謳った特許を申請・取得し、数年に渡りライセンス収入も得ていたところ、その嘘がバレたので取り下げた、とかいう信じ難い話が。なんじゃそら。

具体的には、豚用の飼料への添加すれば従来比3倍の免疫機能向上効果が得られるとして申請し2010年に取得した乳酸菌の新種に関する特許について、申請後に内部検証で効果が無い事を認識しておきながらそのまま取得、さらに製薬会社にライセンス提供し、これまで2268万円のライセンス収入を得ていたところ、効果が無い事が露見したんだとか。

当然ながら特許は取り下げ、ライセンス料は返還するとの事ですが。製薬会社は本件の乳酸菌を配合した飼料を販売するに際し、特に免疫向上を謳ってはいない、とか言っているそうですけれども、わざわざライセンス料まで払っておいてそんなわけないだろうし、その営業トークに騙されただろう購入客にも賠償が必要でしょう。また、優良誤認につき日本ハムには刑事罰も併せて課されるべきでしょう。

しかし阿呆にも程があろうかと。恐らくは先日の理研のSTAP細胞捏造と同様、研究所の開発部隊が多分に保身のため、成果を焦ってやった事なんでしょうけど、企業の特許なんて効果が十分なら即製品化されるものだし、製品になれば当然広く利用され、効果のあるなしも真っ先にユーザの実地検証を受けるもの、早晩露見する事は目に見えていたでしょうに、何故そんな稚拙な嘘を付いたのか。免疫機能の向上というのは把握に時間がかかる面はあるにしても、隠し果せると考えた事自体が理解し難いところです。畜産業自体を舐めていたのか、単に無知だったのか、それとも先の事は何も考えていなかったのか。いずれにしても話になりません。

もっとも、毎年多数申請される特許が全て特許の名にふさわしい新規性や効果を備えているはずもなし、おそらくは本件のように単に研究・開発職のノルマ達成のためにでっち上げられた無意味もしくは虚偽の特許も特段珍しいものではないのでしょう。それらの特許群と本件との違いは、その謳った効果の高さ、実用性の点だけなのではないでしょうか。すなわち、他の虚偽特許は、効果が微妙だったりして実用に至らないために、検証もされず、従って露見もしない、それだけの事だと思うのです。

どちらも特許には値せず、無駄なものであって、公益の観点からは害悪でしかないし、その意味でいずれも非難を免れない事に変わりはないでしょう。ただ、本件や理研の捏造は、その後始末も含め直接間接に現実の被害を生む点でより悪質だと言わざるを得ません。本件の犯人たる研究者達が何を考えてその業務に従事してきたのかは知りませんが、その資格も適正もない事は明らかなのだから、即刻職を辞し、然るべき裁きを受けて頂きたいと強く思う次第なのです。 というか、犯罪に手を染めてまでその職にしがみついたところで、一体何になるというのでしょうか。全く以って理解出来ませんし、容認も出来ません。合理的に考えれば、そんな状況に追い込まれる前に潔く辞めて、他の職を探すべきと分かりそうなものに思うのですけれども。。。困ったものです。

日本ハム、豚飼料用乳酸菌で効果偽り特許登録 取り下げへ 

[関連記事 [note] 研究開発における捏造の必然性について]

[biz law] FIFA汚職立件に見る国際組織摘発の困難性

サッカーの国際組織、FIFAが大変な事になっていますね。長年、その高い経済的価値から、国際大会の開催地選定等を巡って各候補地やスポンサーから委員への贈収賄等の汚職疑惑が絶えなかった同組織ですけれども、その長年のツケを払う時が来た、という事でしょうか。

本件はいささか規模の大きな話につき、その全容を挙げて論じるのは止めておこうと思います。各所で解説はされていますしね。私が気になるのはただ一点。この種の国際組織が摘発される事自体がとても珍しい話なわけですが、どういった方法、建前でそれがなされたのかというところです。

本件の摘発に当たったのは、直接的にはスイスの当局です。FIFAの会議がスイスで開催されていて、嫌疑のかかっていた委員達がその出席のためスイスに集まっていたところ、そのホテルに踏み込んで一斉に逮捕したのだとか。管轄的には現地の担当なのですからこれは当然と言えますが、しかし本件の実体面での捜査を担当というか主導していたのは米FBIなのですね。

報道されたところによると、FBIから告発された容疑は主に贈収賄に絡んだ資金洗浄で、ニューヨーク等の金融機関を経由してなされたとの事。これに絡んで米国の各金融機関が主な捜査対象に含まれています、というかむしろそちらから発覚したと考えるべきなのでしょう。具体的には、南アフリカW杯の開催地決定選や中南米での国際大会、またそれらに関する放映権の獲得に関して、それらの金融機関を経由して隠蔽を図りつつ成された委員向けの贈収賄、特にその過程での資金洗浄が違法とされる、との事。ここで米国の金融機関が関与しているため、米国の捜査機関に管轄が生じた、という建前なのですね。で、FBIは贈収賄については特に言及しておらず、そちらはスイス当局が起訴時の罪状に挙げているようです。

米国側での主たる容疑は贈収賄ではなく資金洗浄、というところが本件の特徴的な点と言えるでしょうか。資金洗浄と贈収賄では、一般に後者の方が重い罪と見做されるものでしょう。けれども、FIFAは特定の国に属しない国際組織であり、従って贈収賄により侵害される公益の所在も特定の国に専属するわけではなく、従ってその管轄が必ずしも明確でないために、各国とも自国内での公益侵害を問う類の罪による検挙はし難い筈なのです。如何に世界の警察たる米国、その司法当局と言えど、その国に属する機関である以上、国内法の管轄内でなければ罪に問い得ない、というわけですね。対してFIFAの本部が立地し、直接的な管轄があるスイス当局にはより広範で一般的な管轄があるため、贈収賄による起訴が可能だと。逆にスイス当局にはおそらく資金洗浄についての管轄は無い筈なのですけれども。

といって、米国が贈収賄を全く問えない、というわけではないでしょう。ただ、FIFAは米国の組織ではないため収賄での検挙は困難な筈であり、直接罪に問えるのは贈賄側、それも米国籍のある者に限定されます。このやり方、すなわち贈賄側からの摘発だと、贈賄者の属する各国の司法当局が各々の管轄の被疑者をそれぞれ摘発する、という極めて煩雑な手続きによらなければならないのですね。それは流石に現実的でなく、やるとしても容疑が具体的に明らかになってからでなければ難しいでしょう。このため、今回は実現可能性や効率を重視し、米国と現地当局の二者のみで、贈収賄と資金洗浄とに容疑を分担する形で摘発したのだろう、と思われるわけです。それでも大変だったでしょうに、よく頑張りました。その努力は素直に賞賛したいと思います。
 
ただ、これで終わり、とはとても考えられません。こういう、その法的な摘発のされ難さが、国際組織を一種の安全地帯にし、それが汚職の土壌になっただろう事は殆ど疑いようの無いところで、組織の構造自体が原因である以上、その影響がごく一部に留まり、その他は清廉である等という事があり得よう筈もないのですから。本件にしても、やはり米国が主たる役割を担っているからか、摘発の対象は米国の金融機関を経由した部分が中心で、その他は必ずしも十分に捜査されたわけではないものと思われるのですし。実際、具体的容疑に挙げられた大会や逮捕された委員は中南米関連ばかりで、従来から汚職疑惑が掛かっているところのカタールやロシアはじめ候補地に関連したところが全く含まれていません。そもそも贈賄側や各スポンサーはじめ企業周りは殆ど手付かずですしね。VISAはじめ、スポンサーからの撤退検討を表明した企業も複数あるようですが、それが潔白の証明になるわけでなし。

そちらはそちらで、残りとかそういうような生易しい話ではなく、どれも国際的な企業だったり国家そのものだったり、罪に問うのも捜査するのも、管轄から色々と、本件にも増して大変な話になるだろう難物なわけです。むしろ中南米より余程摘発が困難で、かつ手を入れた後の影響が甚大だから今回は見送って、摘発が容易で影響も限定的な部分から手をつけた、と見るほうが自然な気がします。これからの案件であり、普通にW杯の開催が白紙になりかねないロシアとか中東とか、既に脅迫まがいの予防線を貼りまくってる様子から察するまでもなく普通に死人が山程出るでしょうしね。米国司法の手にすら余るだろう話に見えるのですが、各国が連携して一斉摘発、というのも中々想像しづらいところ、さてどうなるのやら。どうせFIFAの委員は会長以下殆ど全員黒なんだろうし、いっそ、本件から芋づるで一気に全員逮捕して組織は一端解散、位までしないとすっきりしないと思うんですが、当局は何処まで、どうやって頑張ってくれるんでしょう。あまり期待しないで、しかしその工夫には注目して待つとしましょうか。

The most damning bribery allegations from the bombshell case against FIFA
Putin, on Guard for 2018 World Cup in Russia, Denounces FIFA Arrests
FIFA、9大会で汚職…放送権受注で

[biz law] 北越紀州製紙子会社で15年24億超の横領発覚

北越紀州製紙の子会社で多額の横領が発覚したそうです。

容疑者は、北越紀州製紙の不動産関連子会社である北越トレイディングの経理担当部長。正確には懲戒解雇されていますから元部長ですけれども、虚偽の手形を振り出して換金し着服していたそうです。この種の横領、それ自体は昨今では取り立てて珍しいわけでもありませんが、本件はその期間と額が凄いのです。聞けば実に15年、総額24億超にもなるんだとか。

北越紀州曰く、長年同一業務担当でチェックが働かなかった、との言い訳をしているそうですが・・・。いくら不動産関連の事業はスパンが長く、かつ子会社の決済権限者の犯行につき発覚しにくい、と言っても、無理がありはしませんかね。子会社だから本体とは隔離されていた面はあるにしても、北越は紀州を2011年に吸収合併していて、少なくともその際にはグループ全社にそれなりの監査が入っていた筈なのですし。一般的に言って、その部長の権限がどのようなものであれ、一管理職程度が単独で隠し果せる額ではないと思うんですが。怪しすぎます。

しかもその目的が遊興費等の専ら費消するだけのもので、自転車操業ですら無く、従って実体的には何ら誤魔化せる要素が無かったというのですから尚更です。仮に監査の類いが形式的なものだったにしても、本件の手形周りの操作は全く帳簿上に残らないわけでは当然なく、物品の購入にせよ、下請の依頼にせよ、何らかの取引を仮装して振り出された事になっていた筈。その全てが一切、実際の発注も検収手続きもされずに成し得る仕組みだった、という事なのでしょうか。それともその確認等も全てこの部長が単独で担当していたというのでしょうか。経理部長が?仮にそうだとして、棚卸等はどうやって誤魔化したのか。部下や発注等の各業務の担当は居なかったのか、もし居たなら、それら担当者の全てが気付かない、等という事が有り得るのでしょうか。

結局のところ、この規模の仮装取引が、何がどうなっていればこんな長期間見過ごされ得るのか、全く以って不可解と言わざるを得ないのです。一体どういう事なんでしょうね?

北越紀州製紙 子会社元幹部が24億円余着服

5/25/2015

[note] John Nash、事故により逝去

数学者のJohn Nash氏がこの世を去ったそうです。享年86、ノルウェーでのAbel prize授賞式からNew Jerseyの自宅へ帰宅する途上、乗っていたタクシーがガードレールに衝突する事故を起こし、おそらくシートベルトを着用していなかったために車外に投げ出されたとのこと。同乗していた妻のAliciaも共に。

多少なりと応用数学に触れた者ならば誰しもが感銘を受けただろうNash均衡の概念提唱をはじめ、氏の業績はあまりに偉大でした。その人生の終わりがこのような、その魂にふさわしいとは到底言えないだろう形になった事は極めて残念ではありますが、氏がこの世にもたらした恩恵に感謝を捧げつつ、冥福を祈りたいと思うのです。R.I.P.

John F. Nash Jr., Mathematician Whose Life Story Inspired ‘A Beautiful Mind,’ Dies at 86

5/21/2015

[IT biz] 信金ネット傷害、東日本50信金のサービス停止

信金ネットが久しぶりに傷害を起こしたそうです。勘定系の一部サーバが起動せず、これに伴って関東を中心とした東日本の50信金でATMやネットバンク等の各種サービスが朝から昼前まで、半日程に渡って全面的に利用不可に。

またNTTデータ&富士通の仕業ですか。。。前回は2012年でしたっけ?あの時止まったサービスは確か法人向けネット決済のみでしたけど、その代わり全国の142信金が対象で、まる一日止まりもした筈ですから、被害の規模としては差し引きしておよそ似たようなものと言えるでしょうか。普通に大惨事です。

体制や担当はまさかあの時と同じではないでしょうけど、仮に同じなら無責任・無反省も甚だしいし、さりとて変更されていたとしても、それはそれで同じように再発したからには無意味であって運営する組織の構造自体に問題があるものとも考えざるを得ないわけです。いずれにせよ、非難は免れないというか、これを理由に見限られても仕方ない失態というべきでしょう。ホント懲りませんね。困ったものです。

東日本にある50の信用金庫でシステム障害

[関連記事 [IT biz] 信金ネット決済が障害でダウン]

[law] ドローン撮影配信の少年、業務妨害容疑で逮捕

結局はこうなるんですね。配信用映像撮影のため各地でカメラを搭載した無人ヘリ通称droneの遠隔操作によるイベントの空撮を繰り返して、一度は行事の只中に墜落させて社会中から非難を集めもし、幾度と無く警察の指導・警告を受けながら、全く反省もせずその後も挑発的に飛行・撮影を続けていた少年が逮捕されたそうで。

容疑は威力業務妨害。先日開催された浅草・三社祭に際し、事前に撮影の予告をして開催者に撮影自粛のアナウンスや掲示等、諸々の対応を強いる事で運営を妨害したものとされています。本来なら墜落のあった善光寺の件も同罪に該当する筈なのですが、その際は善光寺側が予告等を認識せず、従って事前の被害は無かった事、また当日の墜落やそれ以降の騒動についても、単に善光寺側が告発を控えた為に刑事化が避けられたに過ぎませんでした。あの無反省ぶりからすれば、いずれはこうなるだろう事は当然に予想されたところであって、特に驚くべきものではないし、それ自体は有り触れた単なる愚か者の不法行為が、たまたま話題性あるデバイスを使用し、また個人映像配信を介したがために注目を集めた、というだけの話なのでしょう。

とはいえ本件の社会的影響は小さくないわけで。すなわち、遠隔操作ヘリに関して、その犯罪に悪用され得る負の側面が広く社会に印象付けられ、その対策のために法による強行的な規制の導入を是とする論調が急速に高まっている事は周知の通りです。無論、これまでも官邸屋上へのデモを意図した墜落等を経て規制が導入されつつはあったものの、産業発展への配慮もあってか、概ね重要な施設等での個別限定的なものに留まっていたし、一般的な規制については必ずしも強く意識されていたわけでは無かったように思うのです。そこに現れた本件。それら個別の規制ではとても対応し得ず、従って一般的かつ広範な規制を求める根拠足り得る具体的な事例として認識されてしまった、いうわけですね。

しかし、一般的な規制を導入する、と口で言うのは簡単ですが、実際には相当に面倒な話だろうものと懸念されるのであって。予想される規制の内容としては、大まかに言って、使用者及び機体の登録制導入や、私有地外における飛行可否の条件や各種注意・管理義務の制定、事故等の発生時における規律、各種損害保険への加入義務付け等が考えられますが、それらを満たすために利用者に求められる知識の複雑さは相当なものと思われます。加えて、仮に事故等が発生した場合、基本的に高所からの重量物落下であって、さらにプロペラの破損や高容量バッテリーの発火等により深刻な被害に直結し得る危険性を考えれば、資格制又は免許制が導入される可能性も低くはないでしょう。

もっとも、自宅敷地内での私的利用についてはさほど厳格にする必要もないだろうし、実際にそこまで規制するのは困難でもあるでしょう。その困難さから、従来法制すなわち本件同様個別に業務妨害や過失傷害等による規律で足りるとして放置するという考え方も無いではないだろうし、それは流石にまずかろうという意見も強かろうし、果たして何処までどう規制するか、あるいはしないのか、それを検討するだけでも、とても一筋縄では行かないだろう話なわけです。

ましてその後の運用、特に費用周りの面倒さについては何をかいわんや。人件費だけでもどれだけかかるか、その予算は何処から捻出するのか。ドローン税とか導入する?と言っても、現時点では国内に保有されている機体は数万台に過ぎず、そんな大掛かりな手間を掛ける程の経済的な利益は無く、従って税収も期待し得ないわけで。社会的にはもう面倒だから、と一律禁止になってもおかしくない状況に見えるんですが、さて立法と行政は頑張ってくれるのでしょうか。

正直に言えば、あまり建設的な結果は期待しづらく思うところなのです。けれども、元々遠隔操作ヘリ自体が個人より産業的な利用の方で役に立ちやすい類のものだろうと思うし、リスクやコストが過大になるというのなら、未普及な今の段階で思い切って切り捨ててしまうのもそれはそれで是認すべき判断と言えるのかもしれません。

こういう規制導入の是非やその程度に関する議論は、3Dプリンターで製造される銃器類を巡って起きたものと構造としては類似のものだろうと思うのですが、それに比べても本件のドローンは危険性や違法行為との関係性が有意に高いし、同様の結論が妥当とは考えづらいんですよね。うーん。どうなるのでしょう。

ドローン飛行示唆、15歳逮捕=浅草・三社祭の業務妨害容疑-動画で配信・警視庁

(追記)

ちなみに外国ではどうかというと、やはりそれなりに規制されているのです。操縦者から100m以内でなければならない、とか、一定以上の密度で人が密集している所の上空は禁止だとか。例えば英国だと1000人以上が集まるイベントでは不可になっているそうで、サッカーの試合を撮影していた人がこれに引っ掛かって逮捕される事件が少し前に起きもしたのです。本件の少年は英国なら普通に逮捕される事になりますから、国内導入されるだろう規制もそれに倣うというのも一つの候補になり得るでしょう。今の論調を見る限り、必ずしも多人数相手でないテロや示威行動の懸念も強いようですし、それを踏まえるともう少し厳しいものになりそうですけれども。

Man arrested for filming Premier League matches with a drone

そういう、ドローンの規制云々や少年の罪状とは別に、その活動の動機であり資金源でもあるところの動画配信周りに議論が飛び火しているようで。一応幇助や教唆の容疑は掛かりうるのですから無関係というわけではないものの、主に責任の所在に関してむしろそちらの方が問題視されつつあるようです。確かに、本件は未成年者の犯罪という時点で、監督義務のある保護者はじめ、周囲に一定の責任が帰せられるべきものではあるし、多少なりとその動画配信システム、またそれを通じて教唆や資金提供が成されたというのであれば、それぞれが相応の責任を問われて然るべきところかと思われるわけです。しかるにサービス自体が犯罪の温床になるというのであれば、規制が掛かるのも避け得ないところなんでしょう。経済的、社会的に見れば、ドローンへの規制よりもむしろこちらの方が影響が大きいかもしれませんね。逆に言えば、動画配信サービスの仕組み自体に内在する問題が表面化したのが本件と言えるのかもしれません。そうであれば、本件の発生は偶然ではなく必然の帰結だった、と解釈すべき話になるわけですが、さてどうなんでしょう。

[関連記事 [law] 銃作成対策に3Dプリンタの販売規制とかいう愚論]

5/20/2015

[biz law] タカタ製エアバッグ全面リコール、責任逃れの果て

全面リコールを頑なに拒否し続ける事半年余り。その間安全が確認されるどころか逆に問題は拡大の一途を辿り、新たな死亡事故も発生するに至ってもはや産業犯罪の様相を呈していたタカタ製エアバッグの件ですけれども、ようやく全米でのリコールに応じる運びになったそうです。しかしGMの件といい、自動車業界の人命軽視と不祥事の隠蔽ぶりは目を覆わんばかりです。一体どうなってるんでしょう。

本件の対象台数は約3380万。従来のおよそ2倍、リコールの規模の巨大化が著しい昨今にあってもなお突出した数字で、GMが連発した不具合に伴うリコールの合算に一件で匹敵するという凄まじい案件になりました。しかしこれは米国単独の話で、他地域のものも合算すればさらに増えるというのもまた。。。聞くだけでも恐ろしい話です。タカタ並びに各自動車メーカーが被る損失にも、それほど多くのユーザーが今なお危険に晒されているという事実にも。

しかしタカタ自身については、当然ながら同情の余地はありません。問題が広く認識され、あれだけの批判と要請を受けてなお頑なに対応を拒否し続け、この事態を招いたのはタカタ自身なのですから。あまつさえ、10年以上前に少なくともこのような瑕疵が存在する可能性を認識し、その上で隠蔽に走っていたとされるのであって。結果、少なくとも米国においてタカタへの信用は最早欠片も存在せず、むしろ自社の金銭的利益を人命に優先する社会の敵と評価されるに至っています。

本件でタカタが被る損失は、リコール費用だけでも数千億のオーダーに上るだろう事は確実。巨額の損失ではありますが、しかしそれが一時的なものであれば、まだ存続は十分に可能だったでしょう。しかし一連の対応を通じてメーカー、ユーザー、各政府機関等、すなわちおよそ社会全体から評価や信用を決定的に失って、一体これからどうやって事業を続けていく事が出来るというのでしょうか。

そもそも、この期に及んでタカタは本件不良の原因は未だ不明としているのです。原因も把握せず、ただ新規に製造した部品に交換したとして、それで安全になるなどとどうして言えるのでしょうか。本来なら、誠実な対応をしていれば得られただろう社に対する信用がその担保になり得たのでしょうけれども、それすらもないのですから。その結果、自動車メーカーの中には、タカタを見限って他社製品への交換を宣言する所も出ています。只でさえこの種の供給先は一端切り替われば容易に元に戻る事は無いのですし、ここに至る経緯と現状を鑑みれば尚更、これから先同社製エアバッグを再び採用する可能性が極めて低いだろう事は確実でしょう。

結局、本件によって、タカタは巨額のリコール費用として目先の金銭的な損失を被ると共に、将来に渡ってその事業の拠って立つ基盤をも失ったというわけです。代わりに得たものは不信と憎悪、あるいは被害者や遺族の恨み等、およそ事業継続の障害になる不利益ばかり。リコール費用は不具合を出した時点で避けられないものでしたが、それ以外は違います。誰もがそうなるだろうから速やかかつ誠実に対応せよ、と諫言していたのにも関わらずのこの始末、全く以って救い難いと言わざるを得ません。リコールが完了次第、速やかに退場願いたく思う次第です。

Takata will declare 33.8 million vehicles defective due to exploding airbags

[関連記事 [biz law] リコールを拒否するタカタ、その主張の非論理性]

5/19/2015

[biz law] 富士通、NEC含む5社、東電の通信設備整備工事で談合し公金騙取

懲りない面々再び。通信設備関連事業5社が、東京電力の社内における通信設備の整備工事を受注するに際し談合を繰り返していた、として公取の立ち入り検査を受けたそうです。

被疑対象は富士通、NEC、大井電気、扶桑電通、中松商会の五社。期間は過去数年、規模は年数十億につき計百億程度でしょうか。

東電発注工事での談合は無論今回が初めてというわけではないし、珍しい話ですらありません。むしろ少し前に送電線工事で談合が摘発されたばかりにつき、当該期間中は多少なりと東電の調査・警戒があった筈で、公取から重点的に監視されてもいただろう、その只中での犯行というわけです。何とも大胆というか無謀というか、そんなもんバレて当然としか言いようが無いし、自殺同然の愚行にしか見えないのですが、一体彼らはどういう訳で犯行に踏み込み得たのか、また多分に隠し果せるものと考え得たのか。あまりにも不可解で、非難云々以前に困惑させられてしまう次第なのです。

あれですかね。原発事故からこっち東電の事業運営、殊にこの種の発注も含めた支出の取り扱いについては、事実上公金が注ぎ込まれている都合上、各方面から強く抑制圧力がかかっているのは間違いないところだし、最低価格を下げたり、業者間の競争を奨励する傾向にはあるだろうから、それに対抗すべく業者側が談合に走った、とかそういう事情なんでしょうか。であれば、少し前の車部品業界で起きた談合と実態としては同じような格好と言えるでしょう。しかしそうであっても、何らその所業が正当化されるわけもなし。同様の犯罪は過去幾度と無く繰り返され、その度に罰則や非難が加えられ、各企業は揃って反省を口にしますが、実態は何ら是正されないまま、こうして犯行は繰り返されるのです。救い難い事甚だしく、もう一々非難するのも馬鹿馬鹿しく思いますね。

何より、今の東電は、その大部分が事実上税金で維持されている公共事業なのであって、その事業資金は国民の多大な犠牲によって賄われる公金に他ならず、それを不法に収受して恥じない倫理の欠落ぶりにしろ、そのような犯罪を犯すにあたってもおよそ過去の教訓や周囲の状況を全く顧みない愚かさにしろ、その醜悪さは見るに耐えないものと言わざるを得ません。もう改善を期待する気も失せました。厳重な処罰が加えられるべき事は無論ですが、このような事が二度と起こらないよう、全社を永久に受注禁止にすべきだと思うのです。そうでもしなければまた繰り返されるだろう事は殆ど疑いようが無いのですから。

(追記)

続報によれば、東電では原発事故後に随意契約から指名入札に切り替えがあって、そのタイミングで談合も始まったものと見られるそうです。何という安直な。本件が発覚しなかったのは偶か、担当者の隠蔽が比較的徹底されていたからか、いずれにせよ時間の問題だった事は間違いなさそうです。いやはや。

東電発注工事で談合か=NEC、富士通など-5社に立ち入り・公取委

(再追記)

反省を口にしながら、余罪を隠していたようです。半年以上経ってからあえなく再摘発されてしまいました。

[続き記事 [biz law] 富士通、NEC、大井電気ら、談合の余罪隠蔽に失敗し再摘発]

5/17/2015

[pol] 大阪市廃止案否決、橋下氏及び維新の終焉

大阪市廃止案は否決だそうです。賛否の差は1%程度という僅差ですが、否決は否決。保守的な判断が上回った結果、これまで通り大阪市は存続する事と相成りました。否決時の政界引退を公言していた橋下氏以下、維新は存在意義を決定的に失い、今後は辞職なり解党なり、消滅していく流れに乗ったものと言ってよいのでしょう。

様々な意味で注目を集めまた物議を呼び、一時は地方分権による国家システムの変革を先導するものとして高く期待もされた本構想も、結果を見れば、ただ大阪内部で深刻な分裂を呼び、その過程で多大なコストを消費した挙句、無為に帰して終わり。まさに骨折り損のくたびれ儲けと言うべき始末です。結局どれだけリソースや費用をつぎ込んだのでしょうか。

こんな筈では無かった、とは言うなかれ。橋下氏以下の振る舞いは、少なくとも地域社会における住人間の相互協力関係の維持発展に関しては、独善的、独裁的という言葉が生易しく感じられる程、悪意に満ちたものであって、最初から合意形成を放棄し、批判を敵対行為と断じ、対立と分断を深めはしてもその逆を生じ得るものではありませんでした。その姿勢を幾らかでも改め、今少しでも協力者を得るか、敵対者を減じていたなら、今回の投票は可決に終わっていた事でしょう。

その意味で、今回の否決は必然的な結果と見る事も出来るだろうし、また見方を変えれば、そんな住民同士が先鋭かつ深刻に分断され対立した状態で可決され、その後反対派の意思が取り返しが付かない形で、それも真逆に抑圧されたままで事が進み、地域社会の分断もまた固定されてしまうような悲惨な未来が防がれた点において、相対的に望ましい結果に至ったものと理解する事も可能でしょう。少なくとも、本件のような地域社会の構成員全員に重大な影響を与える事案において、半数近いような多数を数の論理で抑圧するなど許されるべきものではないのであって、仮に僅差で可決されたとしても、その先に望ましい未来があったわけではない、その事は分かり切っていた話なのです。

今後は、地域社会を敵味方に分断するのではなく、協力し合って維持発展させるよう、少なくとも維新の取ったような、その稚拙な手段が改められる事を願う次第なのです。部外の傍観者の立場ではありますが、以前からのそのやり口と合せ、とりわけ本件は見てて不愉快でしたからね。いくら住民の自由であって、その決定方法が多数決によると決められているのだとしても、わざわざお互いを疎外し合うようなそのやり方は幾ら何でもないだろうと。

[関連記事 [pol] 大阪市住民投票、地域の自治権放棄は同意され得るのか]

[pol] 大阪市住民投票、地域の自治権放棄は同意され得るのか

大阪市廃止の是非を決する住民投票が実施されました。無論、部外者が賛否についてどうこう言う筋合いでは無いのですけれども、傍観する立場から思う所を少し。

本件は、政令指定都市である大阪市を廃止し、その代わりに大幅に権限を限定した5つの特別区を設置するというものです。縮減された権限並びにそれに伴う予算については、府が吸い上げる事になります。この特別区は東京版のそれに若干権限を拡大させたような感じですね。

特別区の権限は、東京版に比べれば裁量があるとは言え、政令指定都市のそれとは比較にならない程限定されています。そして、その他の行政機能を担う事になる府政は当然ながら大阪市以外のその他市町村との合議体であるので、特別区に対する諸々の政策は他区域代表の同意無しには決定出来なくなりますから、地域住民の決定権は大幅に縮減されざるを得ません。とりわけ、拒否権が事実上無くなる点は無視し難い変化と言えるでしょう。デメリットのある施策、例えば核廃棄物の処分場や軍事施設を設置するとかいう話が出た時に、各区域は単独で拒否する事が出来なくなってしまうのですね。

予算についても、区外地域と共有する形になります。本来共有というのは一方的なものではなく、区域内から出る分と入る分と双方向の流れが発生する筈なのですが、現時点で大阪市内とそれ以外との間で人口も経済規模も相当な格差がありますから、差し引きで事実上区域内から区外へ予算が流出する形にならざるを得ないでしょう。

というわけで、今回の大阪市廃止及び特別区への移行は、基本的に大阪市民にとっては予算を含めた各種裁量が縮減される、すなわち相当の不利益が発生するものと推測されるのですね。

対して、推進側が掲げるところのメリットであり目的でもある筈なところの府市二重行政の解消による余剰リソースの削減については、全くの零ではないものの、具体的に見てみると微妙な感じです。

まず議会関連のコストについては、大阪市議会が消滅し、各特別区の議会が設置されるわけですが、各区議会の定数次第としか言えませんから、今の所コストが削減されるとも増えるとも判じられません。人口比例で従来と同程度の議席数とするのであれば議員歳費については基本変化なしという事になりますが、一方議会の数は増えるので、その分コスト増と言えるかもしれません。ただ、権限と予算の縮減に伴って区議会の活動量は従来の市議会に比べて少ないものになるでしょうから、その辺との差引きになります。中立的に見れば、殆ど変化なしと仮定して良いかもしれません。また、基本的なインフラ等の住民への行政サービスの面については、原則変化なし。というか変化があってはまずいでしょうし、総じて、不明もしくは変化なしに留まるものと考えるべきかと。

従って、確実かつ有意な変化が期待し得るのは、各種政策のうち、特に府の権限で成される広域的な施策であって、かつ市が独立で同様のものを実施していた部分だけであろうという事になります。これについては確かに市が消滅し、府の権限に一本化される事によって余剰が解消されるでしょう。ただ、具体的に何が、というと、これがまたよくわからないのです。元々、各種の経済的な施策は殆どが市の裁量で実施されて来たらしく、そもそも府の権限で行ったケース自体があまり無いのだそうで。

そういう現状を踏まえて、これからは大阪市とそれ以外の区域に跨るような施策を推進する事で地域経済を発展させたい、とかいう話なら、確かにそういう施策を実施しやすくなる面はあるだろうし、分からないでもないんですが、それは今云々されている二重行政の解消によるコスト削減とは全く別の話なわけで。そもそも現状広域的な施策の実施が困難というわけでもなく、まして大阪市が決定的な障害になっているとも言えない以上、今現在において多大なコストを払ってまで大阪市を廃止する現実的な必要性を説く根拠にはなり得ないものと言わざるを得ないように思われるのです。

結局のところ、行政面でのコストやリソースの削減については、必ずしも期待出来るとは言えないように思われるのですね。一応、他にメリットが無いというわけでもなく、行政システムが若干整理される結果、大阪府全体で見れば行政運営の円滑化が期待出来る面はあるだろう筈なのですけれども、それは上記の通り特別区内住民の裁量すなわち権利の制限・放棄と引き換えになるのであって、言い換えれば犠牲を強いるものなわけです。

そして、決定権はその住民にあるのであって。となれば、通常その過半がみすみす不利益だけを被るような判断を進んで取るものとは考えられません。ですから、成立するとすれば、他ならぬその住民にそれ相応の補償的なメリットがもたらされる必要があるのですね。

で、その補償ですけれども。以前であれば、橋下氏以下の個人・組織的な信用と期待を担保にして空手形を切る事で、いかに怪しく錯覚めいていようとも、少なくとも精神的にはその補償が与えられる形に出来たわけなのですが、数々の失態を経て既にそのような信用は失われ、現実的な補償が必要な状況になっているように見えます。でも、それに代わる何かが提示されているわけではない、と来れば、自ずから結果は推して知るべし。実際、事前調査ではそういう結果になっていました。むしろ賛成派が多くて驚いた後、それはやはり既存の公務員や議会への反感がそれだけ強いという事なんだろうなと納得し、そんなアンチ感情だけで行政システムの解体に踏み切っていいのかと戦慄したりもしたのですが、それはともかく。

以上の様に見てみると、やはり住民に特段のメリットがなく、デメリットは決定的なまでに大きいように思われる本件、可決される見込みは非常に低いだろうと予想せざるを得ないところ、果たして結果はどうなるのか、見物を決め込ませて頂こうかと思う次第なのです。結局、どうなろうと当事者たる地域住民の問題なのですし、社会調査としては興味深いものなのですしね。 さてさて。

(追記)

そして結果は否決。やはり容易に通るものではありませんでした。骨折り損のくたびれ儲け、お疲れ様でした。同時に橋下維新は終了確定。

[続き記事 [pol] 大阪市廃止案否決、橋下氏及び維新の終焉]

[関連記事 [pol] 維新の会内紛、意味不明な責任転嫁の醜悪]
[関連記事 [pol] 橋下大阪市長が無駄に辞任]
[関連記事 [pol] 橋下大阪市長の慰安婦制度肯定・風俗推奨に]

5/14/2015

[biz law] 岡三証券、顧客に嘘の株価を伝え続け元本3割損失させる

岡三証券が馬鹿をやらかしたそうです。仙台支店の営業が、1年以上に渡って顧客に虚偽の株価を伝え続けて損失が拡大するに任せ、最終的には投資額1000万に対し310万の損失が発生していたのを隠し、56万と伝えていたのだそうで。酷い話ですね。

しかし投資先はツイッターやグーグル等海外社の株という事ですが、海外株と言っても株価は検索すれば直ぐに分かるのですし、よくそんな長期間騙し果せたものだと。その辺、被害者は高齢の方らしいですし、自分で確認しようとしないのか、出来なかったという事なんでしょうか。海外ハイテク株は株自体の値動きの激しさに加え為替の変動も加わってリスクは極めて高い部類の資産なのですし、普通は気になるものだと思うんですが、そういう前提知識がそもそも無かったのか、それとも余程営業のやり口が巧妙だったのでしょうか。それにしては露見したきっかけが件の影響の不審な言動というあたりはいささか不可解な気がしないでもないですけれども、それはともかく。

発覚は14年11月、その後被害者が証券・金融商品あっせん相談センターに和解の仲介を申し立て、今も事件は係属中とのこと。

顧客に負わせた被害を賠償する事は当然として。本件は紛うことなき犯罪、それも相当に悪質なものですし、社会的には正式に告訴を受け、司法の裁きを受けるべき案件だと思うのです。岡三証券は「個別の事案につき」とか言って説明すら避ける始末、反省など全くしていない事は明白なのですから。

大体、犯罪に個別も何もあろう筈もないのです。証券会社として絶対にしてはならない犯罪を犯して顧客を裏切り、業界ひいては社会の基礎たる信用を損なった以上、もはや当事者間だけの問題ではなく、社会に対して償うべき責任が発生しているのですから。それは今後ともその業を続けようというのなら最低限果さずには済まされない義務なのであって、あくまで自発的にしないというのなら司法側から摘発がなされるだろう話ではあるんですが、せめてさらに迷惑を重ねる事なく、悔い改め、進んで罪を償いつつ、その経緯と処罰、また更生のために取るべき措置等を公表し、二度と顧客を裏切ることのないように自ら正される事を願う次第なのです。

岡三証券うその株価報告 顧客に1年間

(追記)

とか思ってたら、既にもう手遅れなんだそうで。本件以前にさらに高齢の方に対し、事故により認知能力が低下し判断が殆ど不能であるのをいいことに次々と社債等の取引をさせ、700万以上の損失を負わせたのだそうです。既に訴訟のち和解も成立しているとの事ですが、にもかかわらずこれとは、救えませんね。他にも調べてみたら成年後見の宣告取り消し直後の高齢者にも同様の取引で損失を負わせて訴訟になり、敗訴した前科もあるそうで。この種の高齢者を騙す営業が同社において常態化している事に疑いを入れる余地は無いように思われるところです。なんという反社会企業。

岡三証券、事故で判断力ない80歳女性と取引か

[biz] 赤字2223億で資本消滅、錯乱するシャープ

進退窮まりつつあるシャープの2015年3月期決算が発表されました。2223億の赤字だそうです。よくもこんなに毎年のように赤字を出せるものだと逆に感心してしまいもするわけですが、それはともかく。

周知の通り前期時点で既に累積で欠損が発生していましたから、これが丸々上乗せされる結果、2300億程度の債務超過という事になります。予定ではみずほとMUFJが2000億出資し、さらに減資が総会で承認されれば1200億程が加わりますから、差し引き1100億程残る計算になります。

で、来期の予想は公表されていませんが、今期の損失の主要因であるところの液晶と太陽光発電パネル等の状況が改善する見込みは今の所ありませんし、追加発表された3500人分のリストラ費用等も発生しますから恐らくは赤字で、一部では1000億程度になるものと予想されています。

という事は、来期の損失も合わせると、今回減資と追加出資で拠出される資金は殆ど相殺されて消滅し、債務は消えるものの、同時に資本も無くなる計算になってしまうわけです。勿論設備投資に回る資金なんてありません。従って事業は全く強化されないどころか立て直しすらされず、おそらくは衰退するのみです。シャープの事業はどれも設備投資が切れると競争力が著しく失われるものばかりですから殆ど致命的でしょう。もっともJDIも赤字で共倒れっぽいし、相対的な競争力はさほど変わりないのかもしれませんが、にしてもそれでいいのか、その先はどうするつもりなのかと、見ているこちらの方が困惑させられてしまうわけです。といって、手を打ちたくともこれ以上はもう鼻血も出ないという事なのかもしれませんけれども。

大体、あれだけ削減したここからさらに国内3500国外1500計5000人リストラって。。。この期に及んでそんな人員に余剰がある筈もないし、希望退職だからコアな人材は軒並み流出必至で開発も生産も崩壊する、というか既に崩壊してるでしょう。どうせ生産しても売れないからそれでもいいって事なんでしょうか。だとしたらもう時間の問題、それも長くなかろうと思わざるを得ないわけですが、さて。何処が何を引き取るのかとか、後始末の方を気にしたほうがいいのかもしれませんね。

そういえば、社内の英語公用語化ってその後どうなったんでしょうか。確か研究開発部門が対象でしたっけ。きっとそれで愛想が尽きて去った人もいるんでしょう。今となっては最早どうでもいい話ではありますけれども、あの頃もっと真面目にやってれば少しは違ったのかもね、等とふと思ったりしたのです。

しかし減資の計画を見直した、と言うから見てみれば、非大会社化は非難が強いから1億はやめて5億にするって、この期に及んでそんなどうでもいい体面を気にするというのには唖然としてしまいました。資本金が無くなって事業継続が困難になる事には変わりないし、追加出資額からすれば過半数をみずほとMUFJに握られて、実質的にシャープの決定権は失われ、今後は身売りも切り売りも銀行の思うがまま。その上、当初主目的とした筈の節税効果も失われる、というのですから、無意味というより自爆というか、実質的には銀行に身売りしてそのまま清算手続きに入ったも同然に見えて意味不明なわけなのですが、一体彼らは何がしたかったのでしょうか。多分に個々の人や部門、組織等が夫々に錯乱しつつ場当たり的に保身を図っているだけで組織としての合理的な活動自体が存在しないのかもしれませんが、何にせよ無残なものです。

シャープ最終赤字2223億円 15年3月期、設備の減損かさむ
シャープ、資本金5億円に大幅減資 主力行には優先株2000億円発行

[関連記事 [biz] 追い詰められたシャープ、狂気の99%超減資]

[biz] 東芝の粉飾、インフラ部門のみ公表最低500億

東芝が大規模な粉飾決算をやらかしていた件、一部ながらようやく数字が出たそうで。と言っても本当に一部の概算だけで、具体的な内容は今以って不明。遅すぎです。たったこれだけの情報を出すのにどれだけかかっているのかと。投資家の不安を和らげるためとかだそうですが、到底信じられません。どうせ舐めて掛かって出すつもりもなかったけれど思ったより非難が強烈だったから慌てて出したってだけなんでしょう。全く以って遺憾な限りです。

ともあれ。発表によれば、現時点では東芝本体のインフラ事業について3年間でおよそ500億の利益が虚偽だった事が判明している、とのこと。インフラ事業というのがどの部門を指しているのか判然としませんが、仮に電力システム社及び社会インフラ社だとすると、概ね売上高の1%程度という事でしょうか。営業利益率の約四分の一で、純利益率を上回る位です。という事で同事業は一気に純損益赤字転落。これは酷い。

当然ながら、その他の部門や子会社については含まれていません。しかし同社自身が調査の必要性を認めている点からして当然そちらも含め手広くやっていた事はほぼ確定だし、額はまだ増える筈なわけで。仮に同じく1%程度の粉飾がなされていたものとすると、電力システム及び社会インフラ、あとコミュニティソリューション周りも一部含むとして、売上高比率は全社売上の四分の一から三分の一程度なので、粉飾額もざっくり三倍〜四倍、1500〜2000億規模と見積もられる事になります。といって実際にはそんな単純なわけもないでしょうけれども、少なくともそれ位は覚悟しておくべきなんでしょう。大きな問題ではないとは到底言い得ない、どころか史上稀に見る規模の粉飾になりそうです。

額もヤバいですが、最も問題だろうのは本件が会社、というか上から下までグループぐるみの犯行なのがほぼ間違いないだろう点でありまして。従って責任の所在もグループ全体に渡ってしまうのだから、夏頃に始まるだろう後始末は大変どころの騒ぎではありません。あまりに悪質だからクビにしないわけにもいかないでしょうし、部門によってはいっそ組織を一旦解散した方が早い、とかいうレベルじゃないでしょうか。総会とかどうなってしまうんでしょう。東芝自身はどうなろうと自業自得ではあるのですが、せめて外部に死人が出ない事を祈ります。いやはや。

東芝、営業益500億円減額も 不適切会計での3年間

[関連記事 [biz] 粉飾の東芝、未だ不明の内容を巡って膨れ上がる疑念]

5/11/2015

[biz] 粉飾の東芝、未だ不明の内容を巡って膨れ上がる疑念

周知の通り、東芝で大規模な「不適切な会計処理」が発覚し、その子会社も含むとされる範囲の広さ、また複数年度に渡る期間の長さ等により調査に相当の時間が必要として2015年3月期決算の報告が出来ず、これに伴って無配にもなって大混乱中な件ですけれども。

これ、調査に時間がかかるのは仕方ないとして、問題が発覚してから一ヶ月以上経とうというのに未だに概要すら発表されないというのはどういう事なのでしょう。「不適切な会計処理」、というのはぶっちゃけ粉飾してましたという事なわけで、周囲に著しい影響を与える事は無論、程度によっては会社の存続に関わり得る重大事案なのだから、ステークホルダーは多かれ少なかれ誰しもがその程度を早急に把握する必要がある筈なのですが、第三者による調査だとか色々ヤバげなアクションが聞こえてくるばかりで、肝心な粉飾自体の具体的な内容については全く発せられません。普通はブチ切れるでしょうこれ。高齢の個人株主なんかは心労が酷い事になってそうです。南無。

公式の発表がそんなのだから、外野としては殆ど当てずっぽうな感じながら推測するしかないわけですが・・・。今出ている情報だけからしても、ネズミ一匹、で終わりそうに無い事だけは確実なように思われるところです。とりわけ、主力中の主力であり、ここ数年の安定した好業績を支えていた筈の電力システム社と社会インフラ社が対象に入っている時点で本件の対象になる売上は数兆にも上り、従って仮に粉飾額が売上のコンマ数%弱程度だったとしても数百億の規模に成り得るのだし、他部門や東芝テック等の子会社にも波及しているとの事ですから、もう一桁上も有り得るものと推測されるわけです。もしそうであれば、ここ数年の利益が吹っ飛びかねない、というか実はそんなもの元々ありません、嘘でした、となる結果、その収益の安定性から得てきたところの同社の高評価が丸ごと反転してしまうわけで、東芝という巨大グループ会社の立ち位置自体が崩壊しかねない酷い話になるのですね。信用もガタ落ちです。そもそも犯罪でもあるし、時を同じくして評価を落としているシャープと比較しても非常に悪質と言えるでしょう。

ただ、これは問題の内容が単なる付け替え程度、すなわちおよそ規模としては最小限と想定されるケースの場合の話です。もしそうではなく、例えば特許庁案件のような炎上プロジェクトで隠蔽されていたのが抑えきれなくなって大噴火したとかいう話だとすると、もっと桁違いに酷い事になってしまうのですが、どうなんでしょう。さっぱりわかりません。こういう疑念が膨らむのも、その辺の情報が全く出されない帰結なのですが、その辺東芝はどう考えてるんでしょうか。全く以って遺憾な事と言わざるを得ません。

考えても結論の出ない話はともかくとして。この規模の粉飾が事実であった場合、その後も大変になります。各事業部門の担当、責任者は無論の事、経営陣も丸ごとクビになって、かつ株主から大規模な損害賠償請求訴訟を起こされるだろうのもほぼ確実でしょう。そこに至るまでにも、内部では悪あがき的な言い逃れとか責任の押し付け合いだとか諸々の内紛も普通に発生するでしょうし、社員の方々も大変だろうなと。一応、単なる会計上の処理に留まるとか、経理周りの責任に限定される可能性も無いではないのかもしれませんが、進行基準における費用の過小見積もりなんて、現場の協力が無ければおそらく無理だろうし、まず無いでしょうから。

そういうあれこれの後々支払う事になる被害の甚大さは、粉飾で得られる利益では全く割に合わないものだと、少しでも考えれば分かりそうなものなのですけれども、こうして表面化した以上はもう取り返しは付きませんし、元より自業自得な話、この上は潔く罪を認め、速やかに賠償なり後始末が付けられるよう願う次第です。その前に、まずは早いところ内容を明らかにしてもらわなければならないんですけれども。本当にどうなってるんでしょう。

東芝、全上場子会社の決算発表延期 不適切会計問題で

さらに舐め切った態度が続く事数日。ようやく現時点で判明している分、すなわちインフラ部門の直近3年分の粉飾額が公表されました。500億だそうです。部門売上高の1%強。

[続き記事 [biz] 東芝の粉飾、インフラ部門のみ公表最低500億]

[関連記事 [biz law] 特許庁新システム案件、完成予定2022年で仕切り直し]

5/09/2015

[biz] 追い詰められたシャープ、狂気の99%超減資

周知の通り、毎年のように巨額赤字を連発し、財務的に存亡の危機に追い込まれた電機大手シャープが、99%以上の大幅な減資に踏み切る運びになっているそうで。1218億を1億にするという、狂気の沙汰的な減資なんだそうです。

理由は明白、積み上がった債務の返済に充てるという事です。がしかし、当然ながら資本金は株主にとっての会社の主たる価値そのものであって、対外的には資金調達等も含めおよそ全ての営業活動の担保となるべき会社運営の基礎、一言で言えば信用なわけです。それをほぼ0にするいう事は、すなわち信用が無くなるわけで、その意味では倒産と等価ともいうべき、決定的な措置なのですから、単に債務を返済して終わりになる筈もありません。

本社はじめ不動産等の資産は売却済み、工場等もとうの昔に売却乃至抵当に入っている筈な現状、もう目の前の資金を調達出来なければ倒産する他無いところまで追い詰められている、という事なんでしょうけれども、それにしても無茶をするなと思います。驚き半分、呆れ半分といったところでしょうか。

そういう事情は殆ど周知の事実ですし、ともかくとして。本件はこの規模の会社では殆ど前代未聞の措置ではあるわけですが、本当に実現するんでしょうか。減資の法定要件は株主総会での特別決議、すなわち別段の定款の定めがなければ議決権過半数の株主が出席した総会での2/3以上の賛成となります。然るに減資は株主にとっての保有株の換価価値そのものであるところの資本金(及び剰余金)を配当するどころか逆にみすみすほぼ全て放棄する事になるのですから、いくら破綻の危機と言われても、容易に同意が得られるものとは考え難いところです。

とはいえ、現実として資金面で破綻の危機にあるのは間違いないのだから、その回避を図るに当たって他に取りうる手段が無い、として説得が不可能なわけでもないでしょう。ただその説得が容易ではないだろうのが問題なわけで。これが、創業者一族だとか、ある程度大きな割合を持つ大株主が中心なら、手間はかかるけれども個別に交渉すれば何とでもなるのかもしれません。けれども、現在のシャープの株主構成は個人も機関も入り乱れていて、国内の個人だけで4割、外国人も2割にもなっています。決議の成立要件から考えれば、その膨大な個人株主のうち相当割合の出席及び賛成が必要になるわけですが、これはとても個別に説得し得る数ではありません。その達成は控えめに言っても困難で、いっそ至難と言ってもいいもののように思われるところですが、果たしてシャープ経営陣にどれ程の成算があるのでしょうか。少なくとも銀行周りの後押しはあるのでしょうから、数割程度は確保済みなんでしょうけれども。

ともあれ。その成否はひとまず置くとしても、少なくともこの話が出てしまった以上、来週以降シャープ株は紙くず同然の評価を受けるだろう事は必至です。減資すれば、PBRで見れば超絶な割高になってしまうのですし、評価する投資家も大変でしょうね。というか、東証はどうするんでしょう。一応、時価がそれなりにあれば上場継続の可能性もある筈なのですが、予想される諸々の混乱を考えれば、上場廃止にすべき案件だと思うのですけれども。一時的な取引停止は当然として、減資成立後はやはり廃止でしょうか。何せ前例の無い話なので予想しづらいですね。事業の実態面からは先行き復活の可能性が全く無いとも言えない点もその混乱に拍車を掛けるでしょう。さてどうなってしまうことやら。

あと、仮に減資が成立したとして、それで終わりになる筈もなく、その後の営業にも色々と困難があるでしょうから、その行方も気になるところです。とりわけ、資本金が無いも同然なのだから、借金をしなければ当座の資金すらまかなえなくなる点は誰が見てもヤバい、というか紛うことなき自転車操業になってしまうのに問題にならないわけがありません。元々シャープの事業はどれも巨額の設備投資を要し、従って資本のサイクルがとても長く、にも関わらず非常に市場の変動が激しく不安定なものなのだし、安定して黒字を出す事が困難な性質の事業である事は明らかなのです。しかし、減資によって資本金が無くなり、従って当座の運転資金も含めて全て借金によって賄わなければならなくなるがゆえに、その金利の支払い分も含め、安定して黒字を確保する必要があるわけです。でなければ運転資金すら得られないのですから。それに、減資で得られる資金は1200億強、剰余金が2000億強。ここ数年で毎年出す赤字を賄うには全く足りず、しかもこれは本当に最後の手段で、次は無いのです。もはや短期長期問わず、些細な失敗すら許されません。ここ数年の決算を改めて見るまでもなく、この期に及んでそんな理想的な経営が出来るとは到底思えないのですけれども、シャープ経営陣は正気なのでしょうか。

もっとも、個人的には上記のような自転車操業に陥る時点で既に終わっている気もするのですけれども。正直に言ってしまえば、あっという間に資金がショートして即死する未来が見えるかのような。多分に、無理に資金を注ぎこんで延命させたとして、その追加資金も含めて不良債権が増えて、破綻した時の被害が増えるだけなんじゃないかと思うのです。

ならば、いっそ一旦破綻して、再出資を受けるなりして出直す方がましなのでは、とも思うのですが。。。そんなに整理分割されたり海外資本に買収されたりするのが嫌なんでしょうか。嫌なんでしょうね。hong-hiの話も未だに決着してないみたいですし。でもそうだとしても、今現在のSHARPの動きは、どれもあまり意味のない悪あがきに過ぎないように見えますし、このままだと結局は同じ末路に至りそうにも思われるところ、あまり他所に被害を拡大させない内に始末が付けられるよう願います。無論、その辺はどう足掻くも当事者の自由ですし、他人がどうこう言うべき話ではないのですが、話が話だけに、やはり興味は惹かれてしまうのです。本当にどうなるんでしょうね。

シャープ大幅減資、増資で株主持ち分減少も 

(追記)

減資の要件について補足。減資の要件は原則として上記の通りですが、定時株主総会で欠損との相殺をするのであれば普通決議で良い特例があるので、今回はそれを使うという事なんでしょうか。であれば、上記より大幅にハードルが低くはなります。それはそれでいいんですが、もしそうだとすると、シャープの前期における欠損は200億強につき、今年は1000億以上の欠損が発生したという事にもなるわけだし、運転資金を借金で賄う事になるとかの実体面での追い込まれっぷりについては変わりない、というかやっぱり終わってるんじゃないかと。

(追記その2)

2015年3月期の赤字は2000億超。これを穴埋めするため、銀行からの優先株による増資2000億を受け入れ、事実上銀行の管理下に入る運びになりました。減資は5億残す方針に修正。唯一のメリットだった筈の税制優遇すら無くなり、もはや意味不明です。

[続き記事 [biz] 赤字2223億で資本消滅、錯乱するシャープ ]

[過去記事 [biz] hong-hiがシャープ出資契約無効を主張]

5/06/2015

[note] MeMOPad HD7の電源不調に振り回される

デバイスのトラブル記録です。今回は何かというと、2年弱前に購入し、以来時折程度ながら愛用しているタブレット、MeMOPad HD7(ME173X)の電源が突然入らなくなったのです。電源ボタンを長押しするとか、数時間充電するとか、一般に知られている一次的な措置を行ってもうんともすんとも言いません。故障です。しかし保証期間の1年は過ぎているので自前で対処するしかないのです。


ハード面の問題なのは確実なのですが、この種のデバイスのハード面は完全にブラックボックスになっているために外から見ても原因が全くの不明。電源が入らない現象の原因としては、バッテリーの故障、基盤の故障、内部コネクタの接触不良等、色々と有り得るわけですが、さっぱりわかりません。まる2日程充電ケーブルの抜き差し等を繰り返しても変化が見られず、これは腹を決めて分解するしかないかと。

というわけで久しぶりにカバーから取り出してみると、カバーの色が移って随分と汚れてしまっています。少し残念に思う一方、まあこれなら多少傷が付いてもいいかと気楽になった面も。


で、その分解手順ですけれども。基本的に背面のプラスチックカバーがツメで嵌めこまれているだけなので、隙間のある部分すなわちUSBコネクタの周辺からマイナスの精密ドライバで開けていきます。基本背面カバー側を外側に広げて少しずつ外していく感じで、割らないよう慎重にパチパチと。



幸いにも接着等はされておらず、無事取り外しに成功。で、テスター等で診断していきます。


一部個体ではコネクタの接触不良等が報告されていたのですけれども、一通り調べた所では、基盤やコネクタ周りは意外としっかり作られていて、特に異常も見当たりませんでした。一応フラットケーブルの抜き差しもしてみましたがおそらく関係ないでしょう。ただ、バッテリーの電圧を調べてみたところ、本来3.8Vの筈な所が2.7V程度に低下していました。おそらくはこれが起動時のバッテリー容量チェックに引っかかって起動しないのかなと。しかし微妙な。普通バッテリーの故障と言えばもっと極端に反転したりするものな筈なんですが、どういうわけでこんなヘタり方をしたのか、その理由が気になるところです。が、考えても分かるわけでなし、それはともかくとして。

で、交換用バッテリーの調達を検討したところ、送料込み$26程度。正直少し高いかな、と円安の厳しさを実感させられて、本体ごと買い換えた方がいいかも、等と思案しつつ購入を保留すること数日。その間も電源は挿しっぱなしにしていたのですが、ふと電源ボタンを長押ししてみると、電源が入ったのです。


えええー何それ、と驚きつつ、まあ使えるんなら、と確認してみても、特に問題なし。一応の喜びを感じつつ、何をしたわけでもないにも関わらずの復活には、今ひとつ釈然としない思いを禁じ得ないのです。まあバッテリーを発注する前で良かったと思うべきなんでしょうか。といって、バッテリーが弱っているのは事実なのだろうし、そのうち再発する可能性は高いんでしょうから、いずれにせよ買い替えなりバッテリー交換なり、心づもりをしておくべきなんでしょうね。本機はアップデートも絶えて久しいですし買い替えるべきか。買い換えるなら、次はlollipop搭載機にすべきか、それともwindows10機を待つべきか、色々と悩ましいところです。けれども一まずはこれでおしまい。やれやれです。