3/27/2017

[biz law] てるみくらぶ破産、大規模詐欺の様相を呈す

格安を謳った旅行会社のてるみくらぶ破産の件、酷いですね。

何が酷いって、同社は海外旅行を多数取り扱っていたところ、現在渡航中のツアー客については帰りの便が同社では手配出来ず、そのため自力でチケット等を確保する他ない場合があるというのです。宿泊も自動的にキャンセルされ、現地に到着して初めて宿泊の手配がされていない事に気づいた客もいたそうです。それらの被害を被っただろう、破綻時点で渡航中の海外旅行客は約2500人とか。いやはや酷い話です。

さらには、破産の数日前から、予約客に対して現金での即時の支払いを要求していたとか。これは明らかに詐欺にあたります。上記の復路や宿泊の未確保についても、その予見時期によっては同じく詐欺にあたるものが多数あるものと考えられますし、そうでなくとも確保不能が明らかになった時点で速やかに通知すべきところ、それすら怠っていた、というのでは擁護のしようもありません。

本件の悪質性は、本件の発覚が航空チケットの発券不能から始まったところ、当初はあたかもシステム障害によるものであるかの如く報じられていた点にも認められるでしょう。その際、原因が障害ではなく、単に資金がショートして支払がされなかったためだと正確に報じられていれば、まだ被害は抑制出来た筈なのですが。。。結局、破産申請するまでそれは明らかにされませんでした。債権者間の公平を図る意図があったにせよ、その債権者でもある筈の顧客の事は何一つ考慮せず、旅行業者として以前にサービス提供者としての最低限の誠意すら微塵も感じさせない所業に戦慄せざるを得ないのです。会見では非を認めるのではなく自己弁護を図ったようですし、尚更ですね。

被害に遭った人達には、御愁傷様ですとしか。いやはや恐ろしいですね。

3/23/2017

[pol law] 証人の証言を検証もせず否定する政府の反応について

先日設立認可申請が取り下げられた森友学園関連の不正疑惑の追求のため、同学園理事長の籠池氏の国会での証人喚問が今まさに実施されています。

とりあえず前半の、主に籠池氏側からの全体的な説明について拝見しました。ざっと確認したところでは、文理上の矛盾は特になく、また言及されている事実の表現、内容についても、明らかに不自然と言える点はないように見えます。

内容自体はこれまで五月雨的になされてきた諸々の発言と異なるところはないものですが、今回のそれはこれまでの私的な状況での一方的な発言とは異なり、宣誓を経た証人として偽証罪に問われるリスクを負っての尋問を受ける中での発言です。そこに明らかな矛盾等が認められない以上は、ある程度の、少なくとも主観的な真実性が担保されるものと考えるべきでしょう。無論証明されるわけではなく、虚偽を述べている可能性もあるわけですが、通常はそれを判断するために、さらに詳細な検証に進むべき状況でしょう。例えば通常の訴訟なら、その証言中の個々の事実について真否等を検証するため、さらに尋問をするなり、言及された人物を証人尋問するなりされて然るべきところです。

なのですが、菅官房長官はじめ政府側は検証を経る前に頭から否定する旨の声明を出しています。根拠は特になく、従って籠池氏が偽証をしていると断定するものに他ならないわけですが。。。これはどうなんでしょう。証人として呼び出したのは政府側です。それに応じ、宣誓も経た上でなされた、明らかな不備が認められるわけでもない、むしろこの種の尋問では異例と言えるだろう程に具体的で詳細な証言を、政府側の主張するところと整合しないからと言って、頭から特に根拠もなく否定するというのは、いささか軽率かつ理不尽に過ぎると言わざるを得ないと思うのです。事実上、一個人に対し、政府の意に沿う証言を強制するも同然の圧力を掛けるものでもあるでしょう。

当然ながら、そのような圧力等がかかるようでは、そもそも証人喚問手続の正当性が損なわれ、そのかかった労力等諸々が無為に帰してしまうことでしょう。あるいは虚偽の証言により冤罪が生じるやもしれません。厳に慎まれるべきことです。

思うに、政府は本件に関してあまりに結論ありきで、それを担保するための事実の検証等の手続を軽視し過ぎているように見えます。少なくとも、首相夫人と籠池氏ならびに森友学園が密接な関係にあった事は疑いようがないのだし、その時点で本件で生じている諸々の疑惑も、根拠なしと頭から否定するには無理がある事も明らかなわけです。そうである以上、個別の証言等を個別に否定しようとするのではなく、疑惑が否定されるにせよ肯定されるにせよ、全ての事実を明らかにする事で、包括的に処理すべきだろうと思われるところ、政府の対応は真逆なわけで、これでは収拾のつけようがないだろう、と思わざるを得ないのです。

もっとも、証人喚問が当初門前払いされていた時の対応ぶりを見るに、政府・与党側に後ろ暗いところが多々ある事はほぼ確実なのだし、もとより事実が事実として明らかになれば終りで、従って事実に沿う証拠も発言も頭ごなしに否定し、証人には偽証を強いる、すなわち強権を以って事実を否定する以外にその責を逃れる術がない、というだけの事なのかもしれませんけれども。だとしたらあまりに救いようがなく愚かな話、という事になってしまうのですけれども。。。

[関連記事 [pol law] 強弁と虚言の稲田朋美防衛大臣を擁護する首相・与党の狂気]

3/14/2017

[biz] 為すすべなく崩壊する東芝に明日はあるのか

Q3決算の延期、また同時に発表された無謀という他ない半導体事業の部分的売却決定から早1ヶ月。このわずかな間にもさらに積み上がる損失を前にして、あれよという間に規定路線となった半導体事業全部の売却に加え、原発事業の破産処理及び連結外し。明らかになったLNGの先物取引に伴う巨額の損失リスク。当然のように再延期され未だ確定しないQ3決算など瑣末な事に思えるような、どれ一つ取っても単独で致命傷になりかねない巨大な損失が積み重なり、それに流されるままにグループの解体が進んでいく惨状には最早言葉もありません。

今現在の報道を見る限り、世間一般の現在の焦点は上場廃止になるかならないか、その当否にあるように見えますが、中核事業を手放したとしても補填出来るか不明な程に積み上がる損失を見る限り、現実として既に上場云々を問題にしている場合ではなく、東芝という事業体そのものが破綻するかしないかの瀬戸際に立っていると言わざるを得ないわけです。

仮に事業売却による損失の穴埋めが失敗すれば終わりですし、もしそれに成功したとしても危機の回避には程遠く、会計的にも事業ポートフォリオの面でもその後の事業の継続に疑義が付く事も避けられないでしょう。そして何より、このような組織が崩壊していく惨状を前にして、人材の流出が起こらない筈はありません。今のところその辺は特に表立ってまとまった規模の流出は伝えられていませんが、これまでの会計的な計算上の危機のみならず、組織面でも崩壊の危機に直面する、あるいは既にしているだろう事はおよそ疑いようのないところです。それでなくとも同社は近年リストラを連発し、賞与のカット等して待遇も悪化させていたところなのですし、能力・実績のある人材は、余程忠誠心が高いだとか特別な理由を有しているのでない限り、自身の将来を再検討せずにはいられないでしょう。引き抜きの類の動きも活発になっているものと考えられます。

しかし、伝え聞く限り、そのような状況にあってなお経営陣は、およそ事業を売って現在の損失を穴埋めする以外、何もしていません。もっとも、あれだけの規模の事業売却ですから、それをこなすだけでも大変な労力を要するだろうし、それ以外の事まで手が回らなくなっても仕方ないと言えばそうなのかもしれませんが。それでも、不正を含め無茶な指示にもただ粛々と従う事だけを強いられてきた社員に今更自主的な改革を期待できよう筈もないし、社員の側からそのようなアクションを起こした場合に生じうるリスクを侵す義理を感じる事もないだろう以上は、経営陣が裁かないと回らないだろうところなわけですが。というか、元より不正の後始末として組織とそのガバナンスの改革もしなければならないわけで、それは当然経営陣がやらなければどうにもならない話なのであって。でもそれどころではない、という。やっぱりもう駄目なのかもしれませんね。いやはや。

しかしこれ、対処するなら何処からどう手を付けるのがベストなんでしょう。外側から見る限り、組織の基盤自体がぐちゃぐちゃな上に、解体も急速に進められているわけで、事業や組織の統廃合等をしようにも動かしようがないですよね。こういう状況だと誰も彼もが保身に走るだろうし、普通に考えてもうどうしようもないような。。。内側から見ればまた違うんでしょうか。おそらくそんなわけはないだろうと思いつつ。

あと、原子力を連結から外すべくWH株を売却する旨発表されていますが、どうやって売るつもりなんでしょう。現状だと、少なくとも数千億程度を支払って引き取ってもらう形になるだろうし、それでも業界の現状からして引き取り手の候補が居るかも怪しい位な筈なのですが。ほんとわけがわかりません。破綻させてから譲渡する、と言うのは簡単ですが、それにかかる時間と発生する損失を考えると、処理が終わるまでグループが持たないんじゃないでしょうか。

[前記事 [biz] 時間切れ濃厚な東芝の惨状に改めて戦慄]

[pol law] 強弁と虚言の稲田朋美防衛大臣を擁護する首相・与党の狂気

森友学園を巡り、その右翼的な方針・姿勢等への共感ぶり等から、かねてより疑われて来たところの現政権またその閣僚の面々の関与、その疑惑について、これまでは直接の関与は疑われつつもかろうじて疑惑に留まっていたところ、ようやく確たる証拠が明らかになったようですね。

今回森友学園との関係が明らかになったのは、稲田朋美防衛大臣です。報道によれば、10年余り前、学園が提起した訴訟につき当事者の訴訟代理人として出廷した記録が呈示されたとの事。訴訟代理の引受については従来より疑われ、当然に国会の場で追求もされて来たところ、あくまで名前を貸しただけで実際には代理しておらず、従って関係はない、との苦しい答弁をしていた事は周知の通り。しかし今回の記録は森友学園を代理しての出廷記録ですから、実際に訴訟を代理した事を直接に示すものに他ならないわけです。本件記録が全くの虚偽もしくは誤りであったとかいうのでない限り、言い逃れのしようもないでしょう。

これにより稲田氏本人については、10年以上前から法人としての森友学園の訴訟代理を引き受ける程に密接な関係にあった事が明らかになってしまいました。これまでの発言が虚偽であった事も加えれば、本件疑惑の主たる要素であるところの国有地の不自然な程の廉価での売却や異常に速い認可手続等、不正・不法行為への関与の疑惑も決定的なものになった事もまた明らかです。

そして、これまで稲田氏同様に関与が疑われてきたところの、安倍首相本人をはじめとする自民党内で右派に属するとされる面々についても、連鎖的に疑惑が決定的に強まる事は避けられないだろうし、また同時に彼らを擁護すべく籠池理事長らの国会招致等の追求を妨害して来た与党への疑惑もまた生じざるを得ないものと思われるわけです。あれですよね、自民党の面々はこの辺全部知ってたんでしょう?本件はもとより国の財産に絡む話で、問題の重大さも明らかなのにも関わらず、その調査すら頑なに拒絶する様は異様と言うしかないものでしたし、知らなかったとは到底考えられない動きでしたから。

少なくとも、これからしばらくの間は本件問題が鎮まる見込みはないだろうところ、そこでは一体どのような事実が明らかになるのか、流石に注目せざるを得ないのです。

また周知の通り、同学園については国有地を巡る財産的な不正の他にも、その教育方針、すなわち同法人が経営する幼稚園での教育勅語暗唱に代表されるところの戦前回帰的な天皇主権思想及び全体主義に立脚し、人種差別をもあからさまに是とする洗脳教育について、違憲の疑いが強く指摘されるところです。現政権の多くが多かれ少なかれ同様の右翼的なスタンスを取っている事から共感を示して来た事もまた周知の事実であり、その意向が強く反映された改憲を図る動きも鮮明となっている現状、本件の行く末は、この種の極右的教育とそれを後押しする政治家らの思想・姿勢、それに基づく今後の憲法はじめ法のあり方について、決定的な意味を持つ可能性がある、と言えるのではないでしょうか。その意味で、イデオロギーに関する話だからと議論を避けるのではなく、この機会に諸々の問題について正面から追求がなされる事を期待したいと思うのです。教育勅語を斉唱する幼稚園児とか、この種の思想の狂気をわかりやすく見せる例が出来た事ですしね。

そういえば、稲田氏はこの問題に関連して、教育勅語の肯定を公言していたのでした。"朕惟フニ・・・"で始まり、"我カ臣民・・・"等と、明らかに天皇主権と全体主義に塗れ、戦前・戦中の狂気を象徴する本令を、事もあろうに公の教育を通じて幼児に刷り込む、その行いを肯定した事になるわけです。その意味を十分に理解しての発言なのか、そうでないのか、いずれにせよ個々の人権を普遍的なものとして尊重する意思が多少でもあるのなら、少なくとも教育の場に持ち込んで良いものではない事位わかりそうなものですが、その分別もつかないという事自体が、氏とその振る舞いを肯定する現政権の狂気を証明しているものと言うべきなのでしょう。恐ろしくも残念な事です。

3/10/2017

[biz] 6倍値上げで非難のEpiPenに価格1/60の競合出現でシェア崩壊

昨年あたりから主に米国で社会問題化していたところの、医薬品の価格高騰とそれを主導する医薬品メーカー各社への非難、またそれに対する法規制の議論、その契機となりまた象徴ともされていた米Mylan社のEpiPenについて、今年に入って大きく事態が動いたようです。

まず、EpiPenは、アナフィラキシーショックや小児喘息等の治療薬として用いられるホルモン剤であるところのepinephrine(通称adrenalin)を、その投与を容易にする注射機器に封入したものです。このepinephrine自体は既に特許切れでgenericとなっているのですが、注射器の構造の方の特許をMylan社が保有しているため、製品としてはMylan社の専売となっています。当然ながら注射器部分を異なる構造にした製品も複数存在してはいたものの、昨今米製薬業界でよく行われているgeneric品製造業者を次々に買収していく手法を取ることで独占状態を維持し、その立場を濫用して競合を駆逐して高価格を維持、というかそれに留まらず短期間の内に大幅な値上げを続けていたものです。具体的には2009年に$100程度だったのが2016年には$600を超えており、その値上げ幅は実にここ約500%、6倍にもなる高騰ぶり。当然ながら患者の中には高価になったEpiPenを購入するために困窮に陥ったり、購入出来なくなった者が続出し、他の超が付く程高価な新薬の頻発と共に、社会問題化して各方面から広く非難の声が上がったわけです。

で、急激に高まった非難の声に押される形で、Mylan社は自社で半額程度の互換品を出しはしたものの、解決されたとは到底言えない状況にあって非難の声は一向に治まらず、Trump大統領も薬価の大幅な低減を目指す旨公言している事もあり、その行方はさらに注目を集めているところです。

なのですが、今年に入って、競合製品が格安で発売されたところ、雪崩を打ってユーザがそちらへ移行していて、このまま行けば今後数か月の内にEpiPen(とMylan製の互換品)は駆逐される見込みになっているんだそうです。

どういう事なのか、と確認してみれば、有力な競合製品2種の一つであるImpax Laboratories社のAdrenaclickについて、価格が$110に引き下げられ、Mylan製の互換品よりも大幅に安くなっていたところ、さらに被保険者向けにメーカーから$100引のクーポンが発行されるようになったんだそうで。これを用いれば、実質の価格は$10ドル、EpiPenの60分の1になるわけです。なお被保険者の大半はクーポンを適用出来、また米薬局チェーン最大手のCVSがAdrenaclickを常時在庫を保持するようになったこともあり、事実上大半の患者がこの価格で購入出来るようになった、とされています。

この価格差のインパクトは極めて大きいものでした。今年に入ってから2ヶ月の間に、EpiPenのシェアは95%から71%へと激減し、減少分のほぼ全てがAdrenaclickへと流れた格好だとか。勿論これで終わったわけではなく、早晩、ほぼ全てのユーザがAdrenaclickへと流れるものと予想されています。このクーポンが何時まで発行され続けるのかは不明ながら、Mylan社製品の寡占状態が解消された時点で、少なくともEpiPenの暴利とそれに関連する問題は事実上終わったものと考えて良いのでしょう。

勿論、社会的には歓迎すべき事なのは疑いようもないのですが、あれだけ社会的に非難を受けても動かなかった本問題が、かようにあっけなく解決されてしまった事には拍子抜けというか、これから薬価決定の制度改正の議論を始めようとしていた向きにはその象徴が失われた事で少なからず困惑がもたらされたのではないかとも思うわけです。振り上げられたその拳の行き先はさて何処になるのでしょうか。

EpiPen is getting crushed by a $10 copycat

3/07/2017

[biz] ヤマト運輸が荷物量増大対策に運賃値上げ、の意味不明

ヤマト運輸が運送料の値上げを検討しているんだそうですが、解せません。

報道されているところの理由は、アマゾンを中心とした通販の利用拡大による荷物量の増大にリソースが追いつかない現状を打開するため、とされています。解決ではなく打開という曖昧な表現を使っているところからして怪しい感が漂うところですが、それもその筈、単価の値上げはあくまで値上げに過ぎず、荷物量の減少には必ずしも繋がらないものです。

昨今盛んに報道される物流現場の疲弊についても、そこで問題とされているのは社員の収入不足等による困窮ではなく、荷物の量が処理能力を超えつつあり、しかし処理能力すなわちドライバー等の人員の増強が追いつかないという、純粋にシステム上のリソース面の不足のみです。そうである以上、単価を上げて収入を増やし、これを原資に人員の給与を増やしたとしても何の解決にもなりません。増えた収入を原資に待遇を改善して人員を獲得しやすくする、という考えはあるのかもしれませんが、リソース不足が運送業界全体の構造的かつ慢性的な現象である以上、多少給与を上げたところで劇的な改善がされるとは到底考えられません。単に人員の取り合いが激化し、それによってコストが上昇するだけで、本来の問題である人員不足は解決されないままに終わるものと予想されます。

リソースの大幅な増強は困難である以上、人員を増やさずに解決する必要があるわけですが、それには、荷物量自体を減らす以外に手段はありません。ヤマト運輸は、値上げをすれば自然と荷物が減ると期待しているのかもしれません。しかし、運賃の値上げをその手段とする考えは物流業者のそれとしては明らかに誤りです。それは顧客に必要以上のコストを課す事で、法人の事業であると個人の日常のやり取りであるとを問わず、顧客の活動を広く制限しようとするものであって、広く社会経済を害する性質を帯びる上に、そもそもの原因が自社の体制の不備に起因するものでありながら、それを顧客に転嫁するに留まらず、さらに不当な利益をも得ようとするものだからです。反社会的であるとすら言えるでしょう。

昨今の、特にヤマトの荷物量増大は、アマゾン等の法人の通販事業の急激な成長が主要因である筈です。しかるに、多少運賃を値上げしたところでアマゾンがその事業を(数割程度も)縮小しようとするとは到底考えられず、従って値上げが荷物量の増大に対し効果が見込めるとも言えないでしょう。であれば、運賃の値上げ等という迂遠な上に実効性不明かつ不当な手段に及ぶのではなく、それらの荷物量が増大している業者間の契約を見直し、一日あたりに引き受ける荷物量に上限を設ける等すべき話なのです。それが出来ない、というのであれば、いずれにせよその量の処理は不可能であって運送契約を履行出来なくなるのだから、佐川のように契約を打切るべきでしょう。

もっとも、ヤマトもそういった理屈が通らないところは全て承知の上で、単に運賃を値上げするいい機会と捉え、リソース不足をその建前として利用しようとしているだけなのかもしれませんけれどもね。だとしたらなおさら残念な話と言わざるを得ないわけなのですが、さて。

宅配便、27年ぶり値上げ=個人向け含め全面的に-ドライバー不足深刻・ヤマト運輸