11/30/2011

[law] 違法配信損賠訴訟で1億7千万確定

単に被告人が争わなかったために原告の請求が確定した、ってだけですが、個人相手の、それも間接的な逸失利益の損害賠償額としては稀に見る金額で吃驚です。被告はおそらく出頭もしなかったんでしょうし、これを受けて原告が強制執行したとしてもどれだけ回収出来るか怪しいものとは思われますけれども。

それはともかく、確認された配信曲数が1万8千だから、一曲あたりだと約1万ですか。そう聞くと直感的にはさほど異常でもない気もしないでもありませんけれども、本来は曲毎に異なるその価値を算出して総計する必要があるわけで。すなわち例えば、本サイトからの各曲ダウンロード数に、各ユーザが本サイトが無かった場合に正規に購入した確率を乗算した期待値を求め、その全曲について総和を取る、とかしなければいけない筈なんですよね。その算出は極めて困難、というか事実上不可能だからって、往々にして全部放り投げてエイヤってぶっちゃけ適当かつ本末転倒的に罰金的意味合いの小額が適用される可能性が高かったわけですけれども、裁判所として実際にどのような判断基準を用いるのか気になる所ではありましたから、その機会が失われたという意味では残念です。そういうある種の興味本位で見るのも不謹慎な話なんでしょうけれどね。民事ですし。

着うた違法配信、男性に1億7千万円賠償命令 東京地裁

11/27/2011

[law] 掌紋誤登録で取り逃がした殺人容疑者が再び殺人

先日の誤登録とは一応別件ですが、修正の過程で検証してみたら出てきたって話なんでしょうし、メーカーの瑕疵には違いないでしょうから、無関係とは到底言えませんね。よりによって殺人事件、しかもこのために取り逃がした容疑者がその後別の殺人で起訴されていたと。いずれも未だ容疑者の段階ではありますが、その容疑は相当に確定的な様子ですから、照合が出来ていれば防げた可能性は非常に高く、従って、誤登録を起こしたメーカー及び担当者の過失によって死亡被害者が出てしまったと言うべきもので、考え得る限り最悪のケースが現実になっていた事が明らかになってしまいました。被害者、遺族、捜査関係者の無念いかばかりか。

しかし誤登録されたデータの数、関連する事件数、また期間からすれば、本件同様の事例の存在は相当に予期されたし、まだ同様の事例が多数ある可能性も非常に高いのです。そして当然の事ですが時は戻りません。ただひたすら、無念です。

掌紋誤登録で殺人容疑者見落とし
掌紋誤登録で浮上せず 警視庁12年前の殺害事件容疑者

[過去記事 [biz] NECの過失により警察庁掌紋DB登録失敗4年10万件 ]

11/25/2011

[biz] 中国の投資用ゴーストタウンの価格が崩壊

ようやっと、ですかね。中国の異常な不動産バブル、その象徴として少し前に話題になっていた、中国はモンゴル自治区オルドスのゴーストタウンについて、ここ数ヶ月で不動産の価格がほぼ1/3と完全に崩壊したとのことで。

当地は中国としてもとんでもない田舎、ほぼ無人の土地に新築の豪邸的な家だけが立ち並ぶ様はまさに異様というべきものだったわけで、しかも崩壊前には北京の1/2位の単価になっていたというのだから、改めて見ても無茶苦茶な話でした。崩壊して当然、というかむしろ一時的にせよバブルが成立した事自体が信じ難いところです。外から見る分には、壮絶なババ抜きというか、丸ごと出来の悪い詐欺にしか見えませんでしたけれども、当事者はどういう思惑、認識で手を出していたのか、その社会的心理も実に不可解で、逆に興味が湧きますね。

本件は、普通なら上海その他の地域を含めた、長らく予期されてきたところの中国の不動産バブル崩壊の端緒と捉えるべき面が多分にあって然るべきものですけれども、そのあまりの異常さから、本件と他地域の連動性にも懐疑的にならざるを得ない程です。もっとも、地域やカテゴリによる程度の差こそあれ、規制強化に伴って不動産価格は下落傾向にあるらしいし、端緒というよりは既に緩やかな崩壊の過程にあって、本件についてはその特殊性のために急激だっただけ、という見方も出来そうですけれども。どうなんでしょうねえ。

Home Prices Crash 62.5% Since September In Chinese 'Ghost Town' Ordos

11/24/2011

[biz] 米国で缶詰から発癌性物質

キャンベル社やデルモンテ社等のメジャーなメーカーの缶詰複数から発癌性物質のBPAが検出されたという事で、これら缶詰が大量消費される感謝祭が目前という事もあってちょっとした騒ぎになっているそうで。報道された品名の抜粋は以下の通りですが、まさにthanksgiving dinner的な缶詰で、実際の健康被害リスクはその汚染の程度如何によるとはいえ当事者の範囲は非常に広く、その影響は相当なものであろうと想像されます。もっとも、いつも食べてて大丈夫だったし今更、と気にしない人も相当いるでしょうけれども。どれくらいの割合なんでしょうかね?

・Campbell's Cream of Mushroom Soup
・Campbell's Turkey Gravy
・Carnation Evaporated Milk (Nestle)
・Del Monte Fresh Cut Sweet Corn, Cream Style
・Green Giant Cut Green Beans (General Mills)
・Libby's Pumpkin (Nestle)
・Ocean Spray Jellied Cranberry Sauce

グレービーソースとか、カボチャの缶詰なんかは日本では殆ど見かけませんが、キャンベルのマッシュルーム入りクリームスープなんかは同等品が出回っている筈ですし、必ずしも人事では済まない話でなんとも。同じ製品でも当該物質が検出される場合とされない場合がまちまちだという事なので、なおさらタチの悪い話で。速やかな実態・原因究明と防止措置が望まれるところですね。

Canned Food Might Come With A Side Of Cancer This Thanksgiving

[biz] Nokia Siemensが17,000人リストラ

実に全社員の23%をカットする大胆なリストラ。もっとも、前年に買収したMotorolaの通信部門との重複部分の解消という意味合いが強いものでしょうから、同率で事業規模を縮小するというわけではないんでしょうけれども。それにしても激しい規模です。

ノキアもシーメンスも、本体の方でも大規模な人員削減を相次いで行っている所ですし、それと歩調を合わせたものと見るのが自然そうで、その意味でもさほど驚くべきものではないのかもしれません。原因は本体のリストラと同じく中国台湾等の競合他社の攻勢を受けての業績低迷ですけれども、こちらもやっぱりね、という位の話ではあります。

ネガティブな話ではありますが、少なくとも動きが迅速な点は評価出来る点ではあるでしょうし、ただ座して衰退に甘んじるばかりの日本国内のメーカーの鈍さとは対照的です。もっとも、長期的に見てどちらが良いのかは断じがたい面もあるのですけれども。

Nokia Siemens to Lay Off 17,000 Worldwide

[過去記事 [biz] Nokiaが大赤字、中国での売上4割減 ]

[biz law] スズキの株式売渡請求仲裁申立

これも珍しい話ですね。VWとの提携を解消すべく株式の売渡を求めるSUZUKI経営陣に対し、シカトを決め込むVWの構図が続いていた本件、そもそもVWが大株主である以上決定権は形式的にも実質的にもVW側にあって、かつ取得条項もない、従ってSUZUKIの要求には根拠というか法的な実効性がなかったわけで、どうすんだろうと周囲からは概ね冷やかに見られていたわけですけれども。ICCのInternational Court Of Arbitration(国際仲裁裁判所)への申し立てを行ったと。

しかし、これも謎です。というのも、仲裁の申立はSUZUKI単体で可能ではあるものの、仲裁が有効に成立する、というかそれ以前に手続きが進められる為には、遅くとも仲裁判断の前には被申立者すなわちVWの仲裁合意が必要になる筈なんですけれども、現状客観的に見る限り、明確な権利保有者たるVWがあえて権利をただ失う可能性が生ずるだけの仲裁に合意する必要はどこにもないわけで。普通に行けば、途中で審理打切りになりそうなものですが、何時の間にか内々で仲裁に付託する旨合意を取り付けたんでしょうか。でなければ完全に意味不明なわけですけれども。うーん。

確かに、仮に仲裁に付託されたとして、SUZUKIの主張には色々と無理な感も強いですし、売渡すべきとの判断が出る可能性は極めて低いものと言わざるを得ない現状、早期の決着を求めてVWも合意した可能性も無いではないんでしょうけれど。それでも負ける可能性はゼロではないし、やっぱりVWが応じた可能性は低いものと思われるところです。だとすると、SUZUKIが血迷って騒いでいるだけの迷惑な話、ということになるわけですけれども、さて。

Suzuki starts arbitration procedure against Volkswagen

[過去記事 [biz] VWのスズキに対する姿勢が意味不明 ]

------追記

VWのコメントが出てました。このコメントを読む限りでは、仲裁には合意した様に見えますね。万が一にも問題ないと考えているのか、それとも仮に売却すべきとなっても構わないと思っているのか。素直に読めば前者ですけれども。
VW、改めてスズキ株売却拒否 仲裁手続きに自信

[biz law] 盗品買取でTSUTAYAが摘発される

古物営業法15条3項の不正品申告義務違反とは、また珍しい容疑で。刑法の盗品等譲受でも良さそうなものですけれども、単に証拠面でそこまでの明確性がないという見立てなのか、ブックオフはじめ盗品の換金先として長らく事実上放置されてきた中古品買取業者への取り締まりを厳格に行う旨の意思表示、という事なんでしょうか。

最大手のTSUTAYAが対象になっているあたり、後者っぽい感じがしますけれど、ペナルティ面では高々数週間の営業停止、それも個別店舗のみの処分にとどまる、という事で、いささか甘すぎて抑止効果が期待出来るのか疑問も感じさせます。グループ全体を営業停止にする、位しないと効果がないんじゃないかと思うわけで。最初という事で躊躇したのか、警告的な意味合いが強いのか、そもそも単にフランチャイズだからグループには直接の責任はないって事なのか、その意図等は判然としないし、どうにも微妙感が漂いますね。

いずれにしても、結局のところ、本件に懲りて多くの古物業者が買取の際のトレースを一品ずつ厳格に行うようになる、なんて変化は期待出来よう筈もありませんし、しばらくはいたちごっこが続くのかもしれませんね。まあそれでも、摘発に着手した点は相対的にせよ歓迎すべきところではあるでしょう。警察が三日坊主にならず、地道に摘発を継続する事が前提ですけれども。その点、一々公安に行政処分を依頼しなきゃいけないところとか、いかにも迂遠で面倒そうに見えますし、少々不安も感じられるところですが。

未成年の盗品、疑いつつ通報せず TSUTAYA処分へ
TSUTAYA、盗品疑いの買い取り品届け出ず
都が行政処分へ


-----------追記

そして当然のようにGEOでも。ていうかこっちは悪意が明確で、刑法で挙げられるべきところのより悪質なもののようですけれども。
盗品買い取り:ゲオ店舗でも 「もっと持ってきて」と誘発か

11/23/2011

[note] 談志が死んだ

75歳ですか。その壮絶な有り様を思えば、むしろよくここまで生きた、というべきですかね。さようなら、安らかに。

落語家の立川談志さん死去 75歳

11/21/2011

[law] 米イリノイ州の水道システムがハッキングで破壊

されたとか。Springfield市のシステムだそうですけれども、オンライン制御システムSCADAがハッキングされ、浄水場の弁が不正に操作を繰り返された結果、過剰負荷で壊れた、と。容疑者は不明ですが、ロシアが怪しいとの説が記事では紹介されていますね。サイバー攻撃というと情報システムが機能不全に追い込まれるとか、情報が盗まれるだとか、大多数の被害はその種のソフト面に限定される中、珍しく直接的に物理的な影響のある攻撃という事で、レトロなというかSF的というか、サイバー攻撃が空想の世界にあった頃の絵に描いたようなサイバー攻撃で、少々の感慨も抱いてしまった次第です。いやまあ被害を受けた当事者はそれどころではないんでしょうけれども。

しかし、この種の物理システムは、一般のネットワークに接続するメリットはあまりなく、逆にこういう不正アクセスのリスクは大きいのだから、物理的に遮断されているのが普通だと思っていたんですが、最近は変わりつつあるんですかね?主にコスト面で共用したくなる事情は当然あるだろうし、自然と言えば自然な気もしますし。

だとすると、さすがに国防やら致命的な部分で安全保障に直結するようなシステムは隔離されてるんでしょうけれど、この種の安全性を金銭と引き換えにする話というのは、担当部門・企業等担当者の近視眼的で安易かつ安直な楽観論に支えられて急速に広まる傾向が強いものだし、グレーゾーン的な部分は既に同種の脆弱なシステムになってしまっている可能性も否定しがたいものと予想されるところですが、さて。危機意識の強い米国でもこれなら、日本はいわずもがなですよねえきっと。まあ、一度二度痛い目を見ないと仕方ないんでしょうけど。うーん。

Water pump reportedly destroyed by SCADA hackers

11/18/2011

[biz] 富士通東芝製スマホT-01D、初日不具合で販売停止

富士通東芝・・・。今流れてる情報によれば、本日発売初日、販売されたと見られる数千台のうち数割でネットや通話が出来ない致命的な不具合が発生しているとか。au向けのIS04あたりの遅延&フリーズ頻発で悪名高かった同社製のスマホですが、その名にふさわしいやらかしっぷりで、いっそ清清しい程であります。

原因はハードかソフトか、その両方か。いずれにしても通信部の何処かの不具合っぽい感じですけれども、信じられません。ていうか、品証は何をやってたんでしょうか。開発部隊と共に全員クビですよこんなの。そもそも常識があるのなら、これまでの失態を受けて再発防止を期していて然るべき筈のところが真逆なわけで。

最近、どこぞの新聞記事で、スマホの開発リソースは従来の携帯とは別に必要で負担が大きいだとか、ドコモの戦略ミスでiPhoneに致命的な遅れを取っただとか、敗北宣言同然の苦しげな同社幹部の言い訳コメントが載ってましたけど、半ば諦めムードの中、削っちゃいけないところを削っちゃったりしたんでしょうか。だとしたら不具合が出てユーザに被害が及ぶだろう事も認識出来た筈だし、なおさら同情の余地はないわけですけれども。

ドコモ、「REGZA Phone T-01D」の販売中止

11/17/2011

[biz] USPSの来季予測損失1兆円超

とか。先日の年金債務等支払い期限延期措置によって延命中の米国郵政公社ですが、前期決算と共に公表された来季の予測について、損失は抑制どころか桁がまた一つ増える見込みだそうで。

当然リストラ圧力は相当なもので、米国の至る所で集配体制の見直しの検討が進められているらしいのですけれども、見直しと言ってもほぼリストラと同義なわけで、人員削減と拠点の統廃合が中心、ということで、直接の対象となる雇用云々はもちろん、USPSのサービスに依存している地域の企業にも色々と影響が及びつつあるようです。当然の事ではありますけれども。

確かに、いくらネットへの移行が進んでいると言っても、モノの流通自体は必要不可欠には違いないし、スケールメリットの減少に伴うコスト比率の上昇と需要とを如何に均衡させるかが問題なわけです。そのコスト上昇の緩和にはリストラが有効である事は間違いありません。

ただ、全国への集配機能を維持する必要はあるわけで、その点、米国は日本等に比べると国土が広大で、人口密度が低いために、固定費にあたるところの集配網の設置および配送に必要となるコストが高めである事がネックになって、拠点、人員共に、削減可能な範囲には自ずから限界がある筈なわけで。それらの厳しい制約とコスト削減の間で、実際問題どうバランスを取るのか、そもそも解は存在するのか。無責任な外野の意見としては一旦潰して再構築する方が現実的な気もしますが、米国としてはそれも容認し難い話でしょうし、さてどうなることやら。

After $5.1 Billion Loss, Postal Service Predicts Weaker 2012

[note] WD製HDD故障再び

そしてRMA。今度はWD20EARSです。以前謎のエラー頻発でサブのサブに格下げの上、ひっそりと運用していたブツですが、とある事情で少し使用頻度を増やしたところ、今度はアクセス速度が数kb/s~数Mb/sに低下するいわゆる低速病+セクタエラーのコンボを発症、CHKDSKもローレベルフォーマットも途中でフリーズする始末で。今回は確定診断であります。カッコン即死ではないだけまだましか。

低速病に遭遇したのは初めてです。噂には聞いていましたけれども、本当にあるんですね。原因はよくわかりませんが、HDDコピーを試した際の速度変化や止まり方を見るに、HDDの中でも前の方のセクタが壊れかけてる様子で、このためにセクタチェーンを辿れなくなって遅くなるのかな、とか、あとCrystalDiskInfoで見ると代替不能セクターも結構な数になっている様子で、完全にフリーズする原因はこれかな、とか想像したりはするんですけれども。

元々お払い箱同然だったし、今更壊れたところでどうという事はないんですけれども、確認やらで色々と時間が無駄になったりもするのはやはり嫌なものだし、システムのストレージにはまだ余裕はありますけど、もし他にも故障が出たりしたらこのHDD高騰の折に予備の追加も必要になるし。確かこのWD20EARSを購入した時は7000円位だったと思うんですけど、それより高いですもんね。RMAの代替品が届くまで持ってほしいところです。

RMAについては、前回同様WDのサイトから確認、登録の上、梱包して小形包装物扱いのSAL便でSingaporeの窓口へ郵便局から送付。トラッキングは当然なし。前回は2.5inch、今回は3.5inchという事で重量が増えた分送料が増えて800円。先方にRMA用の在庫がちゃんとあるか不安ですが、元々一ヶ月位はかかるのだし、気長に待つとしましょう。

[過去記事 [note] WD製HDDが故障したのでRMA ]

------------------追記
発送から三週間過ぎてようやくReceivedに。ロストしたのかと不安になってしまいましたが、これで一安心。

------------------追記2
数日後、Shippedに。前回のCarrierはFedexでしたが、今度はDHL。

------------------追記3
Fedexに引き継がれて、前回同様MalaysiaのSenaiからChinaはGuangzhouを経て日本へ。さらにFedexの国内拠点で日通航空に引き継がれて、とかれこれ丸一週間、結構かかりましたが無事到着。お疲れさまでした。代替品もまあ問題はなかったんですが、ただ、ドライブのラベルが白地に黒文字だけで、お馴染みの緑色もCavier Greenの表記もなかったのは、Cavier Greenの評判があまりに悪いからやめたのか、単に洪水絡みでラベルの調達に支障が出たのか、それともコスト削減という事なのか、はたまたリサイクル品という事なのか。少し気になるけれども、まあラベルがどうだろうと使えれば文句はないし、今度は壊れないでいて欲しいものです。というわけでこれでおしまい。

11/11/2011

[biz] 富士通クラウド障害、一般顧客の被害はどう

なんでしょうね。200を超す自治体で被害が確認されたという報道ばかり流れていますが、データセンター自体が過負荷で動作不良に陥ったのですから、自治体以外の顧客にも当然同様の障害があった筈なのですけれども。

もっとも、富士通のクラウドはまだ売り込みを始めたばかりの状況で、採用比率はさほど高くはなかったし、個別に見ると、一般の顧客が本件のようなものも含めたセキュリティ面等のリスクに対する懸念から導入に慎重であった中、公共セクターの顧客はそのあたりを軽視し、先行して飛びついた恰好ではありましたから、要するに、現在の富士通のクラウドユーザが自治体中心だった、というだけの事である可能性は高そうです。

であれば、クラウドのしくみ、その集中管理方式に内在するところのほとんど致命的に思われる欠陥すなわち、データセンターにおける障害、漏洩等によって、全顧客に被害が及ぶ、という大半が懸念する欠陥、リスクが、クラウドによるITシステムの置き換えが実際に普及を始めてからほぼ即座と言っていいだろう程早々に顕在化した事例という事になるわけで、ああやっぱり、と冷めた目で見る向きが大半であろうかと思われるところです。報道内容にも、今更感というか多分に白々しさが漂うわけで。止まったり漏洩したりして困る所は外に預けちゃ駄目って散々言われてんでしょうに。いやまあ本件の自治体窓口なんかは本音では一日くらい止まってもいいって考えてたりするのかもしれませんけど。

本件を受けた今後については、一般顧客はじめ、只でさえ慎重だったところは一層及び腰になるでしょうし、公共セクターにも再考を促される所は少なくないでしょう。対策には大幅なコスト増が必要というような話も流れていて、その程度の対策すらしていない現状に戦慄するとともに、クラウドの主要セールスポイントであったところの安さにも疑問符が付きつつありますし、うまい話などなかった的な流れになっているように見えて、結局のところまたこれもIT業界ぐるみの詐欺という事になっていくのかな、とアホらしく思う次第なのです。

富士通のサーバーに攻撃 クラウドの安全対策急務

11/08/2011

[biz law] オリンパス不祥事の理由は粉飾穴埋め

だった、とかいう報道が出てますね。事実であれば、誰しもが予想した通りの違法行為でした、という事になります。過去の粉飾の辻褄合わせというのは、予想された理由の中では違法性の程度の面で比較的マシな部類のようにも思われますけれども、この手の粉飾は一度やりだすと粉飾が粉飾を呼んで雪だるま的に増えるもの、しかるに90年代からとか長期に渡る旨も報道されていますし、これから明らかになるであろうその総額如何によっては、文字通り会社が潰れ兼ねないわけで。当該資金が粉飾だけに使われたとも限らず、これからの裏取りで他にも色々と出てきそうですしね。

言うまでもなく前会長はじめ歴代経営陣は全員塀の中直行コースであります。何処からどう見ても阿呆ですねえ。

オリンパス、過去の損失計上先送り 90年代ごろから
買収資金を含み損解消に利用


続報によると、本件を受けて副社長を解職、監査役も辞任意向とか。今更尻尾切り&逃亡のつもりでしょうか。笑わせます。

オリンパスが森副社長を解職 損失隠しに関与、山田監査役も辞任の意向

[過去記事 [biz law] オリンパス不祥事の理由は何でしょう]

11/05/2011

[biz] PHV車のリッター燃費表示が詐欺的

プラグインハイブリッドプリウスの新型で燃費が61km/lとかいう見出しの記事が出ていたのが目に留まり、眉唾で読んでみると、予想通り、満充電からの走行距離を積載ガソリン容量で割った数値を燃費として表示していたのでありまして。これはかなりまずいことです。この表示方法だと、バッテリーはそのままで、ガソリンタンクの容量だけを小さくすればあら不思議、リッター1000kmも夢じゃない、って笑い話では済みません。以前GMがvoltで似たようなやり方で100km/lとかいう表示を出していたのに比べるとまだ自重した形ではありますけど、完全に消費者に誤解を与える不当広告、虚偽表示にあたるわけで、違法なものである事は明白です。

言うまでもない事ですが、本来燃費というのはガソリンタンクの容量と走行距離の比ではなく、走行時に消費されるエネルギーと走行距離の比であって、ガソリン以外のエネルギーを使用、または併用するのであれば当然その分も消費に含めなければなりません。この場合、プラグ充電される電気エネルギーはそれにあたりますから、ガソリン消費量あたりの走行距離で表示する形式を取るなら、プラグ充電される分の電気エネルギーをガソリン消費量に換算して合算する必要があります。

しかるに、今回の改良はバッテリーの素材を水素イオンからリチウムに変更したという事で、概ね充電容量が増え、その追加されたエネルギー分走行距離が伸びたに過ぎない、ぶっちゃけガソリンタンク大きくしました、ってのと大して変わらない話なのですから、重量比の改善で若干改善される可能性を考慮しても、燃費倍増、などという事はありえず、完全にアウトです。換算等に際して公的な基準がないのかも知れませんが、だからと言って本件のような誤った表示が許される筈も無いわけで。

しかし、なんでこういう稚拙でセコい事をするのか理解しがたい所ですね。無補給での総走行可能距離が伸びたのは事実で、それは人によっては十分にメリットになる筈なのだから、素直にそう表示すればいいだけの話だと思うんですけど。あと従来それなりに燃費表示には一定の規範を遵守してきた態度と比較して、本件は逸脱ぶりが明らさま過ぎるようにも見えて、違和感も禁じ得ません。理由はさっぱりわかりませんが、こういう詐欺的な誇大広告は往々にして厳しい事業環境に追い込まれた企業でよく見られるものだし、トヨタも外から見える以上にヤバい状況なのかもしれませんね。案外、報道機関が先走っただけかもしれませんけど。ともかく、本件については早急に修正されるべきだと思う次第です。

プリウスPHV、燃費は現行の2倍61キロ 1月発売

11/04/2011

[IT] Google readerの新UIが重い

数日前にリニューアルされたGoogle Reader、Google+への半ば強制的な移行を促すべくShare機能が消されたりして非難轟々な感じですが、個人的にはそれよりも、割と良く使うFirefoxで前に比べてUI全般の挙動が非常に重くなった事が気に入りません。ていうか、アイテム表示の時は勿論、マウスカーソルを動かすだけでも挙動に遅れが感じられるようになってしまったわけで、常用するに苦痛を感じるレベルの悪化、率直に言って許容しかねます。Chromeなら殆ど気にならないんですけど、Chromeに一本化ってわけにもいかないし。

というわけで、Firefox向けにはRSSリーダーを久しぶりに変更しました。Newsfoxとか、機能的には微妙に感じるところもありますが、レスポンスは良い感じです。この際だから幾つか使って見ることにしますかね。しかしGoogleにも困ったもんです。元に戻してくれればそれが一番望ましいんですけど、その可能性は殆ど無いでしょうし。依存は禁物、代替案は常日頃から用意しておくべき、という事ですかね。

[pol] 消費増税、独りよがりの首相

G20参加中の野田首相が来年の通常国会で消費税増税法案を提出、成立後に解散する意向を表明したんだとか。まず周囲はそれどころではなく、誰も聞いていない筈の所で全く関係の無い内輪の話をしてしまう姿を見るに付け、先代、先々代の悪夢が頭をよぎるわけですけれども。少なくとも、国際的に総ハブられな状況が変わっていない事は間違いなさそうです。

そういうコミュ障的で色々とプアーな状況については今に始まったことではないし、EUの件に下手に関わると大怪我をしかねないのでまあいいんですけど。翻って一国民として関係すべきところの話の中身については、そもそも消費増税法案を成立させられる見込みが現状あるのかというと全く無いわけで、また今回もゴリ押ししようとして玉砕するパターンに見えて泣けます。

前言を守らない、筋は通さない、そもそも自身の独りよがりな結論ありきで目的と手段が入れ替わって論理破綻を来たす、それでも主張に内在する欠陥は無視する、それはもはや民主党の一員である時点で当然の態度なんでしょうけれども、他ならぬその態度によって国民、また参院で多数を占め法案成立に同意が必須になる野党との対立を生んでいるんであって。その結果として通るものも通らず、妥協案すら見出せなくなっている事すら理解していない、理解できない無能がまたしても首相の重責を形式的に担って自滅する姿を見るのも、既にうんざりを通り越して絶望の念を抱かざるを得ないのであります。

これが参院でも多数を占めているのなら、如何に独善と非難を受けようとも、それによって運営出来るだけの権限があるという事なのだから理解も出来ようものですけれども、そうじゃないんですから。その権力は前回の参院選で敗北した時点で既に失われたのであって、独善は単なる無為愚行に成り下がり、何を成すにも個別にコンセンサスを取って信任を得なければならない、それが現実なわけで。なのにまたこう独り善がりな進め方を取るんだからたまりませんね。

首相、消費税10%を国際公約 解散は法案成立後

[tech] 独e-volo社の一人乗り電動多翼ヘリ

うおー、これは凄い。ていうか怖い。一つ一つの羽は小さいから比較的壊れにくい面もあるんだろうけれど、ちょっと調子が崩れたりするだけで制御不能の大惨事になりそうで。フレームも細くて、いやちゃんと計算はしてるんでしょうけれども、それでも余裕が全く無いように見えますし。パイロットはヘルメット一つだけとか完全に気休めですね。羽が欠けて飛んだりしたらそれだけで死ねます。

乗る人にも周囲にも極めて危険な事は間違いなく、怖さの方がどうしても先に来ますけど、しかし夢がある代物ではあります。水平方向の面積がもう少しコンパクトになればなおいい感じだと思うんですけど、安定性、可制御性等の面で無理でしょうかね。ともあれ、くれぐれも死人が出ないように気を付けつつ、うまく開発を進めて行って頂きたいものです。

11/02/2011

[biz] 2011年度Q2決算インプレ

概観したところでは、営業益は極小ながら黒転しつつも評価損・為替差損等で経常益は赤、という感じの所が多数見えますね。概ねQ1の惨状からひとまず若干回復した、とは言えそうです。もっとも先行き真っ暗なのは相変わらずで、小売に近いところから急速に波及する売上げ減の影響は凄まじく、パナ、TDKをはじめ、何処も彼処もリストラ・経費削減に邁進せざるを得ない、まあそれは当然としても、その先について、新事業とか、成長のせの字も聞こえない状況を鑑みると、進行速度の差こそあれ、殆どのセクターで下期以降も悪化傾向に変わりはなさそうです、とまあそんなところですね。まだまだ地獄はこれからですよー。

[過去記事 [biz] 2011年度Q1決算インプレ ]