7/30/2013

[biz] NEC携帯事業売却破談

以前売却交渉中の報が流れ、本決まりかと思われたNECの携帯事業売却の件、Lenovoに断られたそうで。原因はおそらくドコモのツートップ戦略の影響、話が出た当時ですら弱小だったシェアがさらにまさかの激減、ほぼ消滅して買う理由を見出せなくなってしまった、ってところでしょうか。

流石に主力のスマホで、只でさえ規模の小さい国内専業なのにトップのSonyの100分の1も売れてないって言うんだから仕方ないですね。もはや事業とは言えませんし、続けているのが不思議に思われる程です。さらに仮にドコモが今後その方針を撤回等したとしても、そのドコモ自体がジリ貧なのですから詰んでいます。生産調整して耐えるにも、当然その間設備費人件維持費材料費保管費もろもろが損失としてのしかかるわけで限度がありますし、レノボが参入するにしても今そのポジションからのスタートでは流石に勝ち目はないと判断しただろうのも無理からぬ話と言わざるを得ません。

もっとも報道によれば知財は売るという事で、売却自体が無くなったわけではなく、そして事業継続の上で欠くべからざる防衛戦略の要を手放してしまう以上、いずれにしてもNECが携帯から撤退する事だけは変わらない様子で、道連れとなる旧カシオ旧日立含め、配置転換もしくはリストラは必至、これに伴う損失も相当なものになりそうです。

しかしNEC、本件のように身切りすらままならなくなって、進退極まりつつある感がひしひしとしますし、これから先何を以って事業とし、企業体として継続していくつもりなのか、割と本気で疑問を覚えます。まさか宇宙産業とか本気じゃないでしょうし、ITサービス、あと通信設備位しか残りそうにない事は明白に見えるわけですけれども、逆にそこまで削げ落ちた後、果たして他社と十分に競るだけの体力が残されているか、またそれ以前に独立を保てるだけのポジションがあるのか。それすらも正直微妙な気もしますが、さて。

NEC、レノボへ携帯事業売却を断念 多額損失のおそれ

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そして間髪入れずスマホ撤退。引っ張る意味はないでしょうから当然と言うべきですか。国内メーカーの中では一番最初にAndroidに取り組んだメーカーだった筈ですが、そこが撤退本決まりも一番になるとは多少なりと皮肉な話です。

NECがスマホ事業から撤退 ドコモ「ツートップ」戦略で苦境に

7/27/2013

[IT] 顔認証による入出国自動化、廃案

やっと諦めましたか。

法務省がここ10年ほど実証実験を繰り返し、無茶だという外部の声を無視して導入を推進して来た、空港における顔認証による出入国時の本人確認自動化ですけれども、先日行われた大規模実証実験での2割近い論外な認識失敗率によって、遂に引導を渡される運びとなったそうで。理由はあまりにザルで不正し放題になってしまうから、だそうですが、そんなの最初から分かり切ってたでしょうに何を今更、としか。

ベンダーは非公表ですが、以前耳にした実証実験等の結果から推測するにおそらくはNECでしょうか。技術的な裏付けの全くない中、建前だけで無理やり進められたプロジェクトに延々と付き合ったその苦労は相当なものだったでしょう。まあお疲れです。少なくとも技術担当は殆ど詐欺にも等しい本案件からようやく解放されて安堵しているところか、それとも後始末の最中、コミットメントした性能やら何やら色々と違えた責任を追求されて針の筵、あるいは失業の危機で責任逃れに邁進中でしょうか。いずれにしても、元はと言えばメーカー側が売り込んだ話だし、長年に渡り巨額の委託費も貰い続けて来たのだから、およそ全て自業自得なわけですけれども、しかしよく実現の見込みの無いハリボテ技術でこれだけ引っ張れたものと、呆れの中にも若干の感心を否定出来ないところなのです。

そして今後は、というと、既に試験導入済みの指紋認証による自動手続きのみの推進に切り替えるんだそうで。これだけやらかしておいてまだやるか、とその面の皮の厚さ加減に改めて呆れさせられてしまうわけですが、そもそも今回顔認証は不正防止に難があるから諦めた、と言うのなら、指紋認証も偽造変造が容易なのだからその点は同じ、従って法務省の説明は論理的に一貫していないわけで。そんな事で大丈夫、なわけはないとも思うんですが、一度に全部諦める、というのは偉い人や組織、あと関連業界の事情から出来ないとかそういう事なんでしょうか。もし本気で指紋認証入出国を普及させようと考えているなら、結局のところ二の舞は必至に思われますし、少なくとも税金の無駄遣いには違いないのですから、一市民としては即刻やめて頂きたく思うのですけれども、そんな思慮が出来る人たちならとっくに止めてた筈ですよね。ええ。分かっていましたとも。

とりあえず、本件で利益を得てきたメーカー各位には、せめて本件の失敗の責任だけは速やかに取って頂きたく思う次第です。当人達は逃げ切る気満々なんでしょうけれどもね。

顔認証の導入見送り 空港の出入国審査、精度低く

7/26/2013

[IT biz] OCNがまた侵入されてダウン

OCNがまたまた。400万件のアドレス流出からの騒ぎも収まらぬ中、みすみす再度の攻撃を受けて侵入されてしまったんだそうで、慌てて該当サーバを隔離した結果、殆どのサービスが止まっちゃって阿鼻叫喚なんだとか。特にID関連のサービスを利用していた人は文字通り何にも出来ない感じ。

いやもう今更ですけどザルにも程があるでしょう。現在進行中で被害を被っているユーザの方々には誠にご愁傷さまです。これはもうユーザに掛かってる迷惑も明らかに度が過ぎてますから相当の賠償は避けられないでしょうし、プロバイダ自体の乗り換えが相当出るだろう事も必至、どうなっちゃうんでしょうOCN。まあでも自業自得だし仕方ないね。

OCN IDに再び不正アクセス、情報流出などの被害は調査中

[law] 研究費詐取で東大教授逮捕、に

東大よお前もか。容疑は研究費詐取、手口は架空発注からの還流、金額が判明している分で2000万強と少し大きい点にのみ東大らしさが多少反映されているように思われる以外は、このところ時々検挙の報が流れる従前の例と全く同様の陳腐な事件なわけですけれども。

既に逮捕済みの容疑者は秋山昌範教授、所属は東京大学政策ビジョンセンターの再生医療政策研究ユニット。長年医療機関の勤務医として過ごしながら、突然MITのビジネススクール客員教授への転身を経て現職に収まるという見るからに怪しい経歴の持ち主で、多少なりと興味を感じる一方、何かここ十年くらい東大ってこの手のアカデミックなバックグラウンドに乏しい、山師だか詐欺師だかな怪しげな人が増えたよね、と嘆息を禁じ得ないのであります。

特任教授とか導入しだした頃からでしょうか?産官学連携の名の下、そういう怪しげな、率直に言って従来の教授陣が漏れなく持っていた圧倒的な知的能力と膨大な実績、その両方がない凡庸もしくはお粗末な人たちが目に付くようになったのは。もはや珍しくもない経歴詐称や捏造等の犯罪も、その能力的に不相応な人事の帰結であるように思われて、残念でなりません。

といってそれも、伝統的な、硬直化しがちな組織を社会の要望に応えるべく変革を試みた結果ではあるし、副作用に過ぎない場合もあるだろうから、必ずしも一律に否定されるべきものではないんでしょうけれども。しかし、そこで安易に設立されたセンターやら横断組織やらの多くが、その安直な設計の帰結として何らの成果も生み出せぬまま膨大な予算をただ浪費して期待を裏切り、さらにおそらくは新組織の運営に付き物であるところの諸々の隙につけ込まれて不適切な人事のち本件の如き犯罪まで発生するとあっては、流石に杜撰と言わざるを得ないし、その運営の仕組み自体にも欠陥があるものと考えざるを得ないのです。

大学、またその所属する学者の方々が、その卓越した知的能力をより直接的に社会に生かそうとする、その志は誠に結構ですし、社会側が期待を掛ける気持ちも理解は出来ますが、肝心の学問が疎かになるようでは本末転倒も甚だしいし、元より私学を中心に経済はじめ各種社会活動に寄ったポジションを取っている大学も多数あるのですから、東大はあくまで最高学府として学問を追求し発展させる事がまず第一に求められるところ、すなわち社会貢献でもあって、それを犠牲にしては意味がないだろうと思うのです。もし現在の複雑化した社会的立場がそれを困難にしているのだとすれば、それは遺憾な事だとも。

もっとも本件のような犯罪が発生しているようでは話にもなりませんから、さしあたってまず本件の犯人・関係者が漏れなく速やかに検挙され、かつ同様の犯罪が二度と発生しないよう、組織運営の改変、殊に人事基準と予算管理システムの修正が必要でしょうけれども、さて。流石にそんな事も出来ない筈はない、と思いたいところですが。

東大教授を詐欺容疑で逮捕 架空の研究費を請求

7/18/2013

[biz law] JR東がSuica利用個人データを無断で外販

JR東がSuicaの利用データを利用客に無断で販売開始して、国交省からお叱りを受けつつ事情聴取中なんだそうで。

当該データは住所氏名が伏せられてはいるものの、年齢性別と紐付けられた個々人の生の乗降データの形式を取っているとか。これは単独では個人情報ではありませんが、他の情報と照らし合わせれば個々人との対応付けもある程度可能な状態と言えるわけですからアウトの可能性が高く思われます。国交省が問題視するのも当然でしょう。いけません。

そもそも、通常この種のサービス利用データは個人のプライバシーに属する情報であって、原則として商業利用は許されません。その極めて高いリスクを承知で利用しようとする場合には、最低限個々人の許諾を得た上で内部での取扱いにも当然慎重に慎重を期すべきだし、さらに外部に出す際には、万が一にも個人のプライバシー等を侵害しないよう、個人性が完全に除去された統計データの形式とするのが常識であるところ、その辺りの配慮を殆ど全くしてもいない点には愕然とさせられます。

おそらくはJR東にはそういう処理を自前で行う能力がないから日立に生データを売って後の処理は任せる形にしたんでしょうけど、自前で扱えないならなおさら外に出すべきではないわけで。しかもユーザに隠して勝手に売渡すとか全く理解出来ません。発覚すれば世間の袋叩きに遭って有形無形の損害を被るだろう事は容易に想像が付く筈なんですけれども。もっともそういうヤバさをある程度は理解していたからこそ非公表でやったのかもしれませんけど、しかしそれにしてもなぜにそう軽々しく人権侵害の領域に踏み込んでしまうんでしょう。これからはビッグデータですよ、名前を伏せれば個人情報じゃないですよ、とかそういう日立の口車に乗せられたとかそんな話なんでしょうか。いずれにせよ愚かにも程があろうというものです。JR東も日立も、法務は何をやってたんでしょう。

ちょっと前には富士通もビッグデータの市場を開くとか無茶苦茶な事言ってましたし、日立に限らず日本のITサービス業界全体がそんな感じなのかもしれませんけど。皆どうしてそんな考えなしなんでしょうね。困ったものです。

Suica履歴、販売していた…乗客に説明せず

----追記

激しい非難抗議を受けて一旦データの販売を停止、破棄したものの、2ヶ月後に再開予定、それもオプトアウトすなわち拒否の意思表示をした顧客データのみ除外して販売するつもりだとか。

反省してませんねえ。事前の告知説明とその上での個々の顧客の了解を取らなかった事が問題なのであって、オプトインすなわち事前に了解した顧客のデータのみ販売するようにしなければ誰も納得しないだろう事は明白なのに何を考えてるんでしょうか。いやそうすると手間はかかるし多分に大半の了解を取れずに販売出来なくなるからなんでしょうが、それはそもそも販売するなって話で、論外と言わざるを得ません。当然ながらこれで収まる筈はなく、このまま強行すれば訴訟が起こるだろう可能性も相当に高く思われるわけですが、本当に困ったものです。

あと、拒否の意思表示をするにしてもメールもしくは電話、それもその方法、アドレスや電話番号はJRのHPから記事を辿った先にあるPDFファイルの文書のしかも最後にこっそり記載されているだけとか、こんなもの告知したとは全く言えないどころか隠しているに等しいわけで、ふざけるにも程があるというものです。何様のつもりでしょうか。

本文です スイカ履歴販売「説明欠けていた」JR東陳謝

7/02/2013

[biz] ペンタックス消滅

流浪の果てに、遂に事業者としてのペンタックスが消滅してしまいました。一応ブランドとしては当面残るそうですが、それも長くなさそうですね。さらばPENTAX。

しかし本件の前提である所のRICOHのカメラ部門の整理目処が立ったって本当かねえ。事業的にはどう見てもボロボロだし次のネタも皆無、再建と言うより単にリストラの準備が出来たってだけな可能性も高そうに見えて、旧PENTAX含め当該部門の方々は今後より一層お気の毒な感じです。南無。

リコーイメージングに社名変更 ペンタックスリコー