4/25/2015

[note] ubuntu15.04、ほぼ無意味な感じの新版

がリリースされました。コードネームはVivid Vervet、ハツラツとしたオナガザルさんです。相変わらず意味不明で適当極まりないコードネームよろしくというか、このところのアップグレードは少なくとも非Unityユーザとしてdesktopで使う分には殆ど変化もなく、実質的に無意味になっていると思うんですが、一応。

Release Noteをざっと読んでも新カーネルでは高負荷時のinodeロック処理が改善されただとか内部的なものにつき、ユーザ的には実質変更なし。個人的には以前から挙動が安定せず色々苦労させたられた所のgtk-window-decoratorに大分手が入ったらしいのは有り難いような、今更なような。何にせよ、これでは互換性の問題も殆ど起こり得ないだろう、という事でさっさと適用する事にしました。

今回は新規なしアップグレードのみ3台分です。全て14.10から。普通にupdate-managerからアップグレードを選択して実行、時々設定に手を入れたものの更新可否を聞かれるのに答えつつ数十分、特に問題なく全て完了。一通り使ってみても殆ど変化も問題もなし。スムーズに移行できた事を有り難いと思うべきか、逆にこの程度の変更でそれだけの手間を取らされた事を遺憾に思うべきか、少し迷うところです。

一応、全く同じだったというわけでもないんですが。gtk周りに若干手が入っているのは本当らしく、自前のプログラムでdecoratorのオンオフ切り替えとウィンドウの変形や移動を組み合わせた時の挙動が安定したような気もします。しかしその一方で、従来は有効だったメッセージ処理が無効になっているらしく本来なら動作するところが無反応になった事もありました。それじゃ駄目じゃん、と言っても簡単に修正出来るものだったんですけれども、これはむしろそんな微妙な影響を受けるような使い方するなって話なんでしょうか。しかしそうだとしても、そもそもgtkとかその辺のライブラリの実装というか挙動とかってあまり厳密に定義されてないし、実際のところ使う側で試行錯誤して使いこなすしかないのが現状なのにどうしろって話なんですけれども。うーん。なんとも微妙。

ともあれ。予想通り殆ど問題もなく、さりとて良くなったと感じられる点もなく。やっぱりほぼ無意味になっているというかアップグレードと言えるのか疑問だし、それでもそれなりにちゃんと使おうとするなら毎度検証とか色々手間がかかって無駄も多かろうし、もう半年サイクルとかやめた方がいいんじゃ?と、意義を疑わざるを得ない更新でした。今に始まった話じゃないですけど。というわけでおしまい。

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4/22/2015

[biz] 英TESCOの赤字決算、1兆超え

英小売大手TESCOの決算が63.8億ポンドの赤字になったそうです。日本円にして1.1兆。

同社がここ数年深刻な不振に陥っている事は周知の事実でしたし、少し前に発覚した大規模な会計粉飾の後始末もあって巨額の赤字になるだろうものと概ね予想されてはいましたが、改めて見るとヤバい額です。

一応今回の赤字の主要因は粉飾の後始末、すなわち株式や年金費用等の評価損と、同時に行われたリストラ費用等につき一時的なものではあるんでしょうけれども、それにしても額が額なのでありまして。只でさえ新興の通販業態等に食われて減少する需要、さらに競合他社間の価格競争により総量が縮小する一方の小売業でこの損失を取り返すのは至難の業でしょうし、あるいは致命傷になる可能性も無いではなさそうです。自業自得ですが。

しかし何と言うか。こういう具体的な大赤字決算とかその隠蔽とかが実際に明るみに出ているのを見ると、欧州の不況というのは本当に深刻なんだなと、改めて実感する次第なのです。ちょっと前までは日米で日常茶飯事的に出てたわけですが、およそ自ら二の轍を踏み進んだかの如き惨状を見るに、欧州は本当に他人事と考えていたものと理解せざるを得ないわけですが。。。人間というのはやはり本質的に阿呆なのだなと。

そして、差し当たり緩和資金による株式・債権の買い支えで麻酔中毒状態の日本も、遠からずそれが切れた時には、また再びこういう話が山程出るようになるんでしょう。何せ、潜在的に需要が激減してしまっていて、しかし供給側はそのままなのですから、避けようがありません。本件類似で言えば小売大手イオンの決算はじめ、そこかしこに出ている兆候を見るにつけ、気が滅入ります。

Tesco Suffers Record Annual Loss

4/18/2015

[IT biz] 違法プロキシから発見のユーザ情報、漏洩原因不明で窮する各社

少し前に摘発された中華系プロキシサーバ運営会社サンテクノの件ですが。押収されたサーバを解析した結果、ユーザIDとパスワードはじめ数百万件にもなる大量の個人情報が発見されたという事で、中々騒ぎが大きくなっているようですね。

大半は非公表ながら、LINEや楽天のアカウントが数万から数百万単位で含まれており、実際に過去の不正アクセス等で悪用されたものらしい事から、各社が後始末に追われているようで、被害に遭われたユーザ共々ご愁傷様です。

まあその辺の騒ぎは当然の話だとして。本件の問題は、被害を受けた各社とも、本件調査で明るみに出るまでそもそも流出していた事自体把握していなかった、すなわち今以って流出の原因が不明らしい事だと思うのです。原因がわからない事には対策のしようもないわけですから。

当然、元の流出した経路やそれに寄与したシステム上の構造がそのままであれば、一般に容易に再利用され得るわけで、従って現在各社からアナウンスされているところの対策すなわちパスワードの変更をしたところで再び盗まれてしまい無意味になる可能性が非常に高いものと推測されるのですよね。

その辺、大騒ぎと言っても本当に騒いでいるだけで、普通なら直ぐに出されるはずの脆弱性修正等の対策やそれに伴う安全宣言とか、その辺の具体的な話が何も話が聞こえてこないのは、やはり各社とも手の打ちようがなく対応に窮しているという事なんでしょうけれども。。。だとすると、各業者のサービス全体の信用に割と致命的な影響があってもおかしくない深刻な話になるわけですが、さてどうなってしまうのでしょう。

個人的には元々その辺の信用性の低さから楽天もLINEも使っておらず、当然会員登録もしていなかったので、今のところ本件の被害各社がどうなろうと構わないんですが。両社ともにユーザはその辺の危険に無頓着な人が多いと言われるところ、果たしてこれが警鐘となって幾らかでも危機感を生むなり意識の改善を促すきっかけになるのか、それともいつものように何事もなかったかのようにスルーして、詐欺師連中のいいカモであり続けるのか。この種の漏洩発覚で対策が打てないケースというのは珍しいので、少し興味を持って観察したく思う次第なのです。

そんな風に余裕こいてたら、その後続報でamazonジャパンのアカウントも含まれていたとか。流石にamazonは使っているのでありまして、もしシステム上の脆弱性があったとかいうのだと個人的にもまずいわけで他人事でなくなってしまいました。ユーザの母数に比して件数が少ない点からすればユーザIDとパスワードの使い回しアタックで抜かれたものな可能性は高そうで、であれば被害は限定的なんでしょうけども、まだ判明したのは一部につき今後増える見込みな事もあって少し焦ります。今のところ決済用クレカの履歴に見覚えのないものはありませんが。はらはら。

ああでもその辺がはっきりするまで相当に時間がかかるんでしょうね。サーバ類は警察が押収して調査中なのだから、被害各社は手が出せずにその結果公表を待つしか無いわけだし、実際のところ押収から漏洩発覚まで数ヶ月も空いたのはそのせいなんでしょうけれども。その点でも漏洩事件としては珍しいケースに違いないのですが、やきもきします。

あとなんか、一部では今回の件における規模の割に金銭等の詐取が少ない点を理由に、組織的かつ政治的な経済攻撃と考える見方が出ているようですが・・・。有り得ない話ではないと思う一方、陰謀論染みた感じというか、現時点の情報からそこまで導くのはちょっと無理があるんじゃないかと思うのです。色々と不明な点が多いので色々想像を逞しくしてしまうのは仕方がないんでしょうけれども。詐取等が少ない点をしても、そこに大規模に手を付ければそれだけ発覚しやすくなるわけだし、それを避けてちまちまやってただけな可能性の方がまだありそうな位じゃないかと。あるいは試行錯誤中だったとか。さてどうなんでしょうね。

サーバーにLINE乗っ取りIDか

4/16/2015

[biz law] コンビニFC店主と本部間の労働関係及び店主組合との団体交渉義務認定

コンビニチェーンのフランチャイズ契約店の店主の作る組合が、労働組合法における労働組合であると認められたんだそうです。従って本部は当該組合と労働協議を行う義務があり、その拒否は不当労働行為にあたるとして団体交渉を行うよう命令も出されました。

今回対象となったのはファミリーマート。そのフランチャイズ店主約20名が構成する組合が、契約更新の条件等につき本部側に交渉を求め、本部に拒否された事から労働委員会へ救済を求めたところ上記のような判断・命令が出されたとの事。本件認定及び命令を出したのは東京都労働委員会。首都の委員会につき最大といっていいだろう高い影響力から、余程の事が無い限り以降は全国共通の公式見解という事になるのでしょう。

本件は言うまでもなく、相当に画期的な判断です。店主は個人事業者であり、形式的な意味での本部との雇用契約は存在しない事から、労働組合法に言うところの使用者と労働者の関係にはなく、団体交渉の義務も存在しないものとされて来ました。随分昔から、それこそコンビニチェーンの黎明期から、幾度となくFC契約店の店主が過酷な労働環境に陥り、それを問題とする指摘が上がれども、個人事業者の自己責任とされた結果本部に是正が促される事すらなく、実質的に放置され続けて来たわけですが、ようやくそれらを覆し、弱者たる店主が救われ得る道が開かれたわけです。

具体的には、フランチャイズ契約における本部と契約店主は、その店舗運営はおよそ本部の指揮下にあり、また本部の運営は店主の労務提供なくして成立しない事から、実質的に使用者と労務提供者の関係にある、と認定されました。素直に首肯し得る合理的な見解のように思われます。また、本判断はその高い一般性から、ファミマ以外のコンビニチェーンは当然として、その他業種にも広く適用されるべきものであり、より広く労働者の救済に資するだろう点からしても、尚更に歓迎すべき判断と思われるわけです。

といって、団体交渉はそれなりの割合の労働者が加入し規模を備えなければ有意な影響力を持ち難いものなところ、長年バラバラでやってきたFC店主達が団結するにも色々と困難も予想されるわけで、直ちにどうこうというわけにも行かないんでしょうけれども。行く行くは纏まるだろう、とは言っても、それまでに本部側がFC店潰しに走る可能性も懸念されますし。折角状況を根本的に改善する道が開けたのだから、店主側は目先の妨害に負けず、また焦ることなく、地道に連携を強めて行って欲しいものだと思うのです。そうすれば、遠くない将来には悲惨な話を聞く事も無くなる、とまでは行かずとも、相当に減る事になるでしょう。

本部側の抵抗は酷い事になるんでしょうけど。しかしまあ、労働組合が出来る時というのは何処でもそんなものとも言えるわけで。元々の労働規制が導入された経緯にしろ、個別の会社にしろ。そういう抵抗は見苦しいし、さっさと諦める方がすっきりしていいだろうに、と第三者的には思うわけですが、とりわけブラックな業界、会社ほど反発するものだし、これまでの業界の実態を鑑みるに最悪に近いだろうコンビニ本部とあっては、その種の経営側の例に漏れず、聞く耳持た合ずに合法不法取り混ぜて無茶苦茶やったりするんでしょうきっと。それはもうそういうものだと諦める他無いんじゃないかと。というわけで、その辺はすっぱり無視して、さっさと組合が構築され、逆に本部側が諦めるところまで行く事を願う次第なのです。そこまで行って、ようやく本来なすべき労働環境の改善に手が付けられる筈なのですから。

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4/11/2015

[sci] ロシアで計画中の頭部全体の移植手術に戦慄

ロシア人は本当にクレイジーだと痛感させる話が聞こえてきました。難病につき体の生命維持機能が早晩失われる見込みの患者について、体を取り替えると言えばいいでしょうか、頭部を体から切り離し、丸ごと他人の体に移植しようというのです。

被験者はValery Spiridonov、Moscow近郊Vladimir在住の30歳IT会社勤務のコンピュータ技術者で、Werdnig Hoffman disorderと呼ばれる、主に脊髄周辺等のニューロンが異常を来し減少する事によって筋肉が弱り、多くの発病者が若くして死に至る重病を患っているとの事。当該疾患の罹患者は一般に幼少時に発症し、長くとも20年以内に死亡するというのですから、30歳の彼はむしろここまで生き延びた事が奇跡的とも言えるのでしょう。逆に言えば、現状で彼に残された時間が極めて少ない可能性は非常に高いものと推測されるわけです。

彼がこの程受ける施術は、体温を10度程度まで低下させ仮死状態にした上で頭部を一旦切り離し、脳死状態の他人について頭部を分離した体に接合する、というもの。接合後は低温を維持したまま、拒絶反応を抑制しつつ数週間程定着を待ち、問題がなければ蘇生を行う予定だそうです。いつから、とは具体的な施術時期は公表されていないようですが、2017年に完了させる予定とのこと。

恐るべきというか。少し前に顔面丸ごとの移植に成功した例がありましたが、そんなものは比較になりません。もはやリスクが高いという表現するより、成功の可能性、その有無すら疑わざるを得ないだろう程の難手術です。当然現代においては成功の確率以前に挑戦した例すらないわけで、何を以って成功とするべきなのかも判然としませんが、仮に被験者が意識を回復する事を成功と定義するとして、その実現は文字通りの奇跡とさえ言えるでしょう。

もっとも、意識を回復したところで、元通りの身体・生命機能を獲得する可能性はさらに低いわけで、多分に"死より過酷な"状態になる可能性すら懸念されるそうです。

そういった、もはやリスクとすら言えない程の危険性も、Spiridonov氏は全て承知の上で同意したとの事。氏にそれを成さしめた境遇の残酷さ、またそれに併せて今回の、もはや医療行為の名を借りた人体実験と言うべき措置を案出し、氏へ持ち掛け、およそ倫理の概念自体無きが如くして実行に踏み切ろうとする関係者はじめロシアの環境には、戦慄とともに畏れを抱かずにはいられません。

ただ、非難を加えようとは思えません。 氏の状況、またインタビューの発言等を鑑みれば、当人は元より死を覚悟し、ただこのまま病で衰えるに任せて死ぬよりもと、自身の意志に基づいて施術を選んだ事は事実なのでしょうから。これから多くの物議を呼ぶだろう事は必至で、すんなり実行されるかは不明と思われるところですが、その是非、また実行されたとしてその結果がどうあれ、せめて氏の魂が救われる事を祈りたく思う次第なのです。

Revolutionary: Russian man to undergo first head-to-body transplant

4/10/2015

[IT crime] 不正送金ウィルス感染実台数、驚きの多さ

警視庁がこの程発表したところによれば、ネットバンキング等の偽サイト経由による不正送金等のウィルスに感染したPCの、それもアクティブなものの台数が、少なくとも44000台以上にもなる事が判明したそうです。注意喚起も併せてされていますね。

調査にあたっては、海外の対象サーバを特定し、それへのアクセスを監視して集計したという事ですから、信頼性は非常に高いものと言えるでしょう。割と貴重な調査結果なんじゃないでしょうか。もっとも、今回調査対象になったサーバはあくまで活動中に特定出来たものであり、当然ながら実際に稼働している同種のもののごく一部に過ぎないわけで、それでこの数というのは、可能性はあるだろうと漠然と予想はしていたと言っても、やはりそれなりの衝撃も禁じ得ないところなのです。

当然ながら、PCにしろ携帯デバイスにしろ、ネットバンキングの利用者には最低限度のリテラシーを備えているべき筈なところ、感染経路は主に虚偽メール経由なんでしょうけれども、そんな明らさまな手口にひっかかる人がそんなにいるものなのかと。

ああでも、私の所にも時々届きますよ。銀行のアナウンスを騙るその種のメールは。ムカつくので、サーバのIPを特定のちプチDOSアタックもどきを掛けるとかつまらない嫌がらせをして憂さ晴らししたりもするのですが、それはともかく。

私のメールアカウントについてはフィルタは大分きつく設定していて、むしろホワイトリストに合わない限りは滅多に届かない筈なんですが、それでも届く位なのだからフィルタリングしてない一般の人、特に漏洩事件の被害者にはさぞ沢山届いている事でしょう。しかし、だからこそその手のメールには慣れて反応しなくなるものだろうと思うわけなのですが。。。そうではなく、やはり引っかかるのは初見とか慣れていない人で、それだけでもこのような数になるという事なのでしょうか。そりゃ一向になくならないわけです。

ただ、同調査で海外からのアクセスが38000台で国内からのそれより少ない、というのですが、これはどう解釈すべきなのでしょう。素直に、日本人は詐欺にひっかかり易い、と解釈すべきか、それとも単にネットバンキングの普及率の問題なのか、あるいはその複合で、日本人を対象に攻撃するのだから当然日本語を使う都合上当然の帰結であって、むしろ海外にもかかわらず日本語の詐欺メールに反応する利用者がそんなにいる事を不思議に思うべきなのか。

ともあれ、総じてとても興味深い話だと思うのです。もっと色々調査して、公表もして欲しいと思いますね。無論犯罪なので、興味深いからといって検挙撲滅より調査を優先するわけにも行かないでしょうし、そうそう出来るものではないんでしょうけれども。

ちなみに、上記憂さ晴らしの際に取得したこの種の偽サイトのhtmlを見ると、画像とかCSSとか、ページ内の構成部品には正規サイトのそれへのリンクが貼られて、従ってデザインやバナー、ボタン等の外観は全く同じになる構造になってるんですね。ふてぶてしいにも程があるだろう、と呆れさせてくれますが、そりゃ一見しての雰囲気とか見た目からはそうと見抜けないのも無理はないでしょうから、事実上メール中のリンクを踏んだ時点でアウトというわけです。ですから、やはりメールを理解する段階で冷静に判断する素養の有無が問題であり、そこで騙される人はそもそもこの種のネットバンク等を利用すべきではないだろう、と思う次第なのです。少なくとも、それ位の判断能力が付くまでは、独力での利用は控えるべきなのでしょう。ウィルス対策ソフトの導入等は当然として。その辺、どうやれば周知されるんでしょうね。割と今更な話なわけですけれども。

国内PC、4万4千台感染=ネット銀、不正送金ウイルス-利用者に注意喚起・警視庁

4/09/2015

[law] サッカーボール転倒訴訟、最高裁にて破棄、賠償責任否定

ここまで来るのにどれだけ手間掛けてるのかと。子供が校庭から蹴りだしたサッカーボールを避けようとして転倒したバイクの運転手が入院後痴呆発症のち誤嚥からの肺炎で死亡し、遺族が当該子供の親を相手取って損害賠償を求めた件ですが、ようやく決着したそうです。

判決は、日常生活上の不測の事故については親の監督責任は認められないとして、1審2審の原告勝訴を全面破棄し、賠償責任なしと結論づけました。事実審の判決で最も違和感を感じさせられた点であり、最高裁の見解を知りたくもあったところの最初の事故と死亡の因果関係認定については、それ以前の点で責任が遮断されてしまった形につき特に判断がなされなかったようで、それは若干残念な気もします。が、最高裁の判例としてはそのような個別の事例への処理に留まらず、子供の行為を原因とする事案での親の監督責任一般に広く適用されるべき規律だろう今回の判決は、これはこれで歓迎すべきなのでしょう。

しかしホント時間がかかりましたね。まさかこのままトンデモ判例が確定し、親に無茶な責任が負わされ、また子供の行動を著しく制約される帰結になってしまうのかと非常に心配もされたところでしたが、そうでなくて本当に良かったと思います。ただ、結局のところを言えば、常識的には無茶にしか見えない請求が棄却されただけの話で、時間をかけて色々広く心配させられた意味もあまり無かった結果になったわけで。心配し損というか、こう、無駄な手間や心労を掛けさせないで欲しいと思わずにはいられないのです。せめてこれがもっと短期間の話ならまだしも、これだけの長期に渡るというのはやはり社会的にも色々損失があるでしょうし、この混乱をもたらした神戸地裁・大阪高裁の各裁判官には、強く反省を求めたいところですね。個人的には裁判官としての能力に欠けているだろうと思えるわけなのですが。何にせよ、やれやれです。お疲れ様でした。

子供が蹴ったボールで事故、親の賠償責任認めず 最高裁

[関連記事 [law] サッカーボール転倒訴訟、高裁も原告勝訴]
[過去記事 [law] サッカーボールによる転倒事故訴訟判決 ]

4/05/2015

[note] 故障した掛時計を分解修理

知人所有のとある掛時計、これもう10年以上前から使ってたものの、最近突然調子が悪くなってしまったという事だそうで、ダメ元で修理を試みて欲しいと依頼を受けたのです。具体的な症状は、単純に遅延が酷いというもの。針の進みが本来の5分の1も進まず、使い物にならないという事でした。

というわけで早速作業開始。なんか蜘蛛の死骸とか出て来て驚きつつ、早速ムーブメントを取り出してみると、どうも贈答向けの比較的特種な製品らしく、振り子とか音楽演奏機能とかと連携するための配線なんかもあって特種な型でした。これだと交換部品なんて手に入らないだろうし、ギヤとかが破損してたら実質修理不能になるだろうなと思いつつ開けてみると、意外にというか個々の部品は特に破損はしていませんでした。



なので、とりあえず潤滑用にシリコン系の潤滑剤を吹いてみます。


そして組み直し、蓋を閉める前に電池を入れてみると、なんか磁石コマ(上図中央の部品、スプレー先に納まる)の回転が不規則になっていました。一秒毎に半回転する筈が、時々回り切らなかったりするんですね。回る場合もトルク不足でギヤがついて来なかったり。これが原因か、というわけで、ここからコマの刺さり具合とか、コイル端子との位置関係とか微調整する事しばし、最終的にコイル端子と繋がる、コマを囲む形の金属端子の上下位置が若干斜めにズレていた事だったようで、それを直してやるととりあえず規則的に回るようになった様子につき、これで動かしてみる事にします。実際には蓋を閉じる時にギヤの軸を蓋の窪みに嵌める必要があるところ、これが中々上手く本来の位置に嵌らず何度もやり直すハメになったのですが、試行錯誤の末に一応クリア。


これで戻すと、果たしてカチコチとギヤが回る音も規則的になり、長針短針共に概ね正確に動くようになったのです。念の為時刻合わせをして一日程試運転してみましたが、ズレ等の問題もなし。枯れ切った機構につきその度合いはたかが知れてるとはいえ、精密機器の修理は色々と気を使わなければならず疲れましたが、成功すれば全てよし。お疲れ様でした。

ちなみに、修理の過程で、ダメ元で部品交換に使えないかと思って100均で掛時計を買ってきて分解したりもしてみました。結論としては使えなかったんですけれども、一応下記にその時の様子を載せておきます。

購入したのはこんなの。直径10数センチ程度の小さいものですが、ムーブメントのサイズは同じです。


これを分解して、



ムーブメントの蓋を開けたところが下図。部品の構成はほぼ同じですが、時報用の外部端子が無かったり、修理した時計と比べると直径が小さいためか、コマやコイルをはじめ個々の部品が小さくなっています。当然磁石も。なので残念ながら交換は断念。なお、半回転を繰り返すタイプと言うことは、それに伴ってカチカチと音がするわけで、従って最近の製品では標準的になっている連続秒針タイプとはそもそも機構面で互換性がありません。電波時計なら尚更でしょうか。いずれにせよ、この手のムーブメントの部品を流用した修理というのは一般に困難なものと言えそうです。残念ながら。


まあ、今回は部品の交換はせずとも修理出来たので結果としては問題なかったし、とりあえず喜んでおきますかね。というわけで今回はこれでおしまい。

[pol] 維新の会内紛、意味不明な責任転嫁の醜悪

このところ俄に国内の、とりわけ政治周りの話題を攫った感のある、日本維新の会所属の上西議員の件ですが。アレなんなんでしょうね。

橋下代表が突然出て来て、何やら議員失格だとか喚き立てた、と思ったら直後に大阪維新の会から除名。といって当然ながら国政とは関係なく、議員の資格には影響しない事もあって上西議員が議員の継続を表明したら即無意味な罵倒。一般市民からしてみたらわけがわかりません。何がどうなってんのと。というかそもそも何の意味があるのかと。

一応、理由としては予算案の採決をした本会議に病欠し、しかし2日後に旅行に出掛けていた事が非行に当たるという事らしいのですが・・・。そう言っていたと思ったらその次の日には本会議の前日に外食に出かけた事が主たる問題行動という事になっていて、その一方でもう単なる人格否定としか取りようのない非難をして、まとめて除籍の理由としていたり。論理性も一貫性も何もあったものではありません。強引というより支離滅裂にも見えて、一体何を言っているのか、理解に苦しむところです。せめて世間に公表するところの建前位は整合させて頂かないと、受け取る側としても困るのです。それに処分を云々するにしても、国会議員の話に市長にしろ知事にしろ、地域政党に過ぎない大阪の面々が出張って、本来責任を持つべき日本維新の会はただ追認するだけというのも理解し難い話でもありますし。

そもそも、問題とされている上記行動を個別に見れば、それ自体は必ずしも有り得ないとは言い難く思えるものなわけで。勿論、無断や仮病で本会議を欠席して旅行や外食に出掛けていた、というのであれば議員として不適正と言えるでしょう。けれどもそうではなく、欠席にあたっては診断書も提出し、諸々の行動もあくまで前日や後日の話で、本人曰く本件行動の際には体調が回復していた、というのですから、客観的に見て、疑念はあれども不適切と判じるには不足にも見えるし、まして個人をして議員として不適格と断じる事も、現時点では到底成し得ないもののように思われるわけで。むしろ、議員の職責の重大さを鑑みれば、少なくともその身分を左右するような処分に及ぶ根拠としては不確かで、にも関わらず処分に及んだ事は、国政に関わる者のそれとしして、あまりに軽率に過ぎると言わざるを得ないでしょう。国会議員というのは、そんな適当にホイホイすげ替えられていいものではない筈、それを法に基づかず、殆ど脅迫とも言うべき威力をもって辞任を迫り、また受け入れられないと見るや放逐し党としての議席を放棄した点からしても、議員という立場、すなわち国民の付託そのものを軽んじ過ぎている、とも言えるでしょうか。もっとも、そういう組織が有力政党足り得、またかような人物らを議員にしてしまえる制度自体が問題と言うべきなのでしょうけれども、それはともかく。

さらに言えば、氏は比例区選出議員につき、当選する程の上位候補として擁立し、その立場に就けたのは政党執行部たる自分たちなのであって、その責任のおよそ殆ど全てが帰せられるべき当人の筈なのですから、その当人達があたかも被害者であるが如く批判する側に回っている、というのはますますもって不可解な話なのです。政党として得た票、その信任を裏切ったのですから、その代表が不適格であり責任を取る、というのであれば、政党全部の議席を返上し、あるいは政党を解散する等、党に対して処分がなされるのが本来の筋というものでしょう。少なくとも、選挙にあたっての全判断における責任者たる執行部は、その関連する範囲において職を辞するべきもののように思われるわけです。それをせず、議員個人を攻撃する事によって本来受けるべき非難を回避しつつ責任転嫁に終止する代表らの振る舞いは姑息と言う他なく、その短慮かつ軽率さもあって、到底見るに耐えません。

まあ、タイミングがあまりに地方選の開始と合い過ぎにも思えるところからすれば、ここ最近は殆ど世間からの関心も失い、メディアへの露出の機会すら失っていた橋下氏はじめ維新の会としては、悪名でもいいからこの時期に有権者へ広告を打ちたいという腹づもりもあるのかもしれませんけど、もしそうなら言語道断な話であって。もっともその辺の思惑がどうであれ、これだけ意味不明だといくら責任転嫁に努めたところで全体的な悪印象は甚大で逆効果の方が大きいだろうし、維新の候補選定の杜撰さから、今回の地方選も含めた同党候補への信用も大幅に毀損されたでしょうから、これで元々死に体だった維新の会も大阪以外では実体的に消滅、となれば良いだろうとも期待する次第なのですが、さて。

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4/04/2015

[law] 米Californiaにてリベンジポルノサイト運営者に禁錮18年の有罪判決

が言い渡されたんだとか。被告はCalifornia州SanDiego在住のKevin Bollaert、年齢は28歳。数千枚の男女のプライベートかつ性的な写真を本人の承諾なく投稿・掲載するサイトugotposted.comを運営し、多数の名誉を傷つけ、甚大な社会的損害を与えた容疑とのこと。

性的関係にあった男女が離別した後、一方が他方への復讐のためその保有する性的写真を公開する所の所謂リベンジポルノ自体はもう随分昔からよくあった事ではありますが、意外にもというか、この手のサイト運営者が罪に問われ、有罪になったのは今回が初めての事なんだそうです。

無論この手の犯罪において一義的に罪に問われるべきは公開者なわけで、その手段に過ぎない投稿サイト並びにその運営者は、違法ファイル公開等の場合と同じく、基本的にそれ程有責性が高くはないわけです。少なくとも、その種の公開行為がサイト上で行われたからと言って、必ずしも罪に問われるものではなく、問われても悪意のない、間接的な幇助がせいぜいといったところです。これは自然な事、というか、そうでなければfacebookやtwitter、instagram等の写真投稿機能のあるSNSサイトはおよそ運営に甚大な支障を来し、あるいは存在自体が困難になるでしょうから、妥協の結果、責任はある程度軽減されているわけです。

にも関わらず、本件被告が禁錮18年もの重い刑を課されまでした、という事は、余程特異で、悪質だった、と言えるでしょう。果たしてそれはどんなものか、と一通り報道をさらって見たところでは・・・流石にこれはいかんだろうと。

まず第一に、このサイトの体裁がまさにリベンジポルノの実行に特化されている事が明白らしい点。具体的には、投稿フォームには"Post Nude"とあり、かつ写真の投稿時に、被撮影者の名前やfacebookページへのリンクの入力が促されていて、当然ながら入力された情報は写真とセットで表示されます。復讐目的とは限りませんが、少なくとも悪意は明白で、幇助罪に問われる事も避けられないでしょう。しかもこれだけではありません。

第二に、同容疑者は、本件サイトとは別に、本件サイト上の投稿の削除を有料(~$350)で請け負うサイトchangemyreputation.comを運営していたというのです。マッチポンプというか、犯罪を幇助して、その被害者からも金銭を奪っていた、というわけですが、強盗が盗品を持ち主に売りつけるが如き、というより、被害が回復され得ない分遥かに酷い鬼畜ぶり、しかもそれをネットという公開の場で行う異常性には、戦慄を禁じ得ません。そりゃそれ位の刑が課されてもおかしくないだろう、と、納得せざるを得なかった次第なのです。こちらの方がより直接的には悪質と評価されたんじゃないでしょうか。

ただ、やはり色々とちぐはぐで、釈然としない点も残ります。特に事の重大さに比較してその低い報酬額とか。その点から逆に考えれば、本人は一般のネットビジネスのそれと同じようなつもりで行っていたのかもしれませんが。。。もっとも、例えそうだとしても被害者にしてみれば洒落にならないわけで、実際、Bollaert被告と本件の行いをして、とても人間とは思えない、といった旨のコメントしている人もいるそうです。やはり本場の犯罪者は、頭のネジの飛び方もスケールが違う、という事でしょうか。恐ろしい事です。予防しようと思えば、恋人相手にもその種の写真を撮影させない位しかしようがないわけですけれども、人によっては難しいんでしょうしね。日本ではまさか、と思いたい所ですが、流出自体が起こり得ないわけでもないし、油断は禁物かもしれません。いやはやなんとも。

California man gets 18 years for US 'revenge porn' site