4/27/2016

[biz law] 25年不正を隠蔽し果せた戦慄すべき三菱自の組織力と、混沌とする先行きについて

三菱自動車の燃費等不正の件、流石に戦慄が走りました。

次々と明るみに出る不正行為の数々、その規模も凄いしそれぞれの態様も驚くべきものですが、特に恐ろしいのはその不正を行っていたとされる期間の長さです。その開始は1991年、およそ25年も前から、というのを見た時には目を疑いました。え、本当に?と。

このあまりに長い期間の中には、件のリコール隠しの時期も当然に含んでいるわけですから、あの犯行が露見した後、二度と欺かないと誓いつつ謝罪し、再生を謳って販売回復に奔走する裏で実際にはユーザは無論、当局をも含めおよそ自社以外の全てを欺く詐欺が続けられていた事になるわけです。あれだけの全方位的な非難に晒され、調査や取材等が殺到し、組織の内実を明らかにすべく多くの外部の目が注がれ続け、当局の捜索も受けておきながら、本件のような大規模な不正の情報を漏らさず、最終的に日産から追求を受けるまで隠しおおせたという事実、そこに透けて見える組織の自己防衛の不自然なまでの完璧さには、空恐ろしいものを感じずにはいられません。

本件は開発目標の達成に直結する部分での不正なのだから、開発の最初から最後まで、進捗のあらゆる段階で確認が行われるべきものである以上、少なくとも開発部門と検証部門が関わらなかったわけはないし、少なくない人数が直接間接に関与しただろう点に疑いを入れる余地はないように思われるところです。そして、それらの部門で、20年以上もの間、人の入れ替わりがなかった、などという事もまたあり得ません。普通に出入りはあったでしょうし、組織の再編も頻繁に行われた筈だし、無論退社・転社した者も相当にいる筈ですから、通常ならその過程で情報が漏れそうなものです。しかし、そのおよそ全てが本件を秘匿し続けた事になるわけで。そんな事が現実に可能であるとは、それが事実として突き付けられた今でさえ信じがたく思われてなりません。そこは日本を代表する企業の筆頭たる三菱、その並外れた組織力と忠誠心のなせる業という事なのでしょうか。だとしても、こんな形でそれを実感する事になろうとは露ほども思いませんでした。最悪です。

しかしこれで三菱自動車がこれからどうなるのか、さらに見通せなくなりました。本件不正が20年以上前から続いていたという事は、事実上現存するほぼ全ての三菱自動車製の車両について賠償等の責任が発生するという事でもあるわけです。法的には半分以上が時効になっている、とは言っても、過失ではなく完全な悪意による犯行である点からすれば、法律を盾にしたところで顧客に対しては無意味、最低限補償なくして被害者たるユーザが戻る筈もなく、さもなくば今後の事業継続がより困難になるだろうわけで。結局のところ補償しなければ立ち行かない話のように思われるわけです。

本件への補償を特に困難なものにしているのは、不正が燃費に関する詐欺であり、すなわち取得時点のみならず、日々の運行につき継続的に損害が発生する性質のものであるために、当然に膨大になるその被害の範囲です。一例を挙げると、一時的に借りて使用したに過ぎない利用者も燃料費について損害を被っている以上、補償すべき対象に含まれるわけです。額の多寡は兎も角として。

取得時の不当に高価な評価額による損失についても、現在のオーナーがその補償すべき対象に含まれる事は当然として、価格の評価に燃費がどの程度影響したかは個別の事例毎に異なるでしょうから、その評価にも困難が生じます。さらに、当然譲渡がくり返されたケースは多々あるでしょうし、所有者の追跡すら困難な事も少なくないでしょう。

要するに、誰にどういう形で賠償するのか、すればいいのか、補償の相手を判別する事すら極めて困難になっているわけです。理論的には、全ての所有者と利用者について、個別にその取得・利用の態様と保有・利用の期間や頻度等に応じて個別に算定された相当の補償がなされるべきところですが、言うまでもなく現実的には困難もしくは不可能な場合も少なくないでしょう。それでも個別の訴えがあれば裁判所はそのように対処するでしょうけれども、何しろ数が多すぎるわけで、その全てを訴訟により処理する事は司法システムの容量的に不可能ですから、大半は当事者間の和解により解決を期す事になるでしょうが、それも何処まで可能かは見通せません。

しかも、仮にその膨大な補償の実行が可能だとしても、今後の三菱自の事業継続の可否はまた別の話なのであって。とりわけリコール隠し以降の主たる販売経路だった日産が、今後もOEM取引を継続する可能性は無きに等しい以上、売上の大部分が消える事に変わりはないし、同時にユーザの大半が決定的に離反してしまう事実は致命的としか言いようがありません。法的にも致命的な障害を抱え、そもそも製品の生産・販売を行う事自体が困難です。率直に言って事業が成立しません。状況を客観的に見れば、継続は困難というより不能と言い切って良いところでしょう。

おそらく今後三菱自がとり得る選択肢は2通り。一つは三菱グループの支援を受けて抜本的な再生を目指す道。三菱グループにはそれだけの力はある筈です。ただ、直近でグループの主要3社、特に商事が資源安から巨額損失を出し、重工も船舶・航空で不手際から少なくない損失を出している状態ですから、あまり楽観は出来ないだろうところです。銀行は余力十分ですが、問題の性質からして銀行主導で立て直しが可能なものか疑義がつくところでしょう。

この点、再建の前提として、三菱自が競合他社と同等の製品開発を可能な所まで開発レベルを引き上げななければ話にならないわけですが、そもそもそれが可能なら元々こんな状況にはなっていなかった筈で、その達成に必要な資本や時間を云々する以前に、その可能性というか、実現方法の見通しすら立っていないのです。三菱自の事業状況は、本件発覚によるマイナスがなくとも、製品開発の段階で競合に決定的に敗北しており、元々の生産規模の小ささも相俟って、本来的に退場を余儀なくされるだろうケースにあたります。その立て直しには、多額の人的物的なリソース・資本の追加投入が当然に必要なわけです。当面の資金さえあればどうにかなる性質のものではあり得ませんし、まして組織の隠蔽体質の改善云々は製品競争力の回復には関係ありません。そこに本件。信用がマイナスに振り切れているというのも、本来ならそれだけで致命的な話な筈ですし、常識的にはもう資産を切り売りして清算する以外の選択肢は無いように見えるところですが、それでも三菱は見捨てず、その資本力で立て直そうとするのでしょうか。一部にはそういったグループ幹部の意向も伝えられていますが、いささか正気を疑わざるを得ないところです。さて。

もう一つの選択肢は、既に触れたように、大人しく独立での事業継続を諦め、身売りもしくは資産切り売りのち会社自身は清算し、自主営業を廃する方向へ進む道です。こちらは残る大きな問題は補償だけで、再建とは比べるべくもなく現実性は遥かに上です。ただ、関連会社を含め、多数の失業者が出るのが社会的には問題になるでしょう。とはいえ、人不足の折ですから、より好みをしなければ大半はどうにでもなるでしょうか。まあ、そこで三菱のプライドが邪魔するかもしれませんが。。。三菱重工あたりに転籍するケースもありそうですが、全員が出来る筈もなし、却って不公平感が強まりそうです。あと、工場を処分するにあたっては、軽自動車が日本国内特化規格である事から、プラットフォームの共通化が普及している他社には獲得しづらい案件であろう点は問題になるでしょうか。日産等が開発部隊の一部と一緒に取得して軽専用の開発ラインを立ち上げるという案もないではないでしょうけれども、やはり軽が国内限定である事と、それによる売上規模の小ささがネックになって揉めるでしょう。だからこそこれまでOEMで調達してきたのですしね。

いやもう、無茶苦茶過ぎて整理しようにもキリも付かず、逆にどうなるのか興味も尽きない本件ですが、とりあえずはそんな感じで、引き続きウォッチさせて頂こうと思うのです。ここまで来ると、追加で何が出てきてもおかしくないですしね。ともあれ、因果応報になるのならそれでよし、というか相応に報いがないと流石に社会的にまずいんでしょうけど。

----その後追記

さほど日を置かず行き先が決まったようです。三菱グループからは見捨てられ、あえなく日産傘下に。このような腐りきった会社を取り込もうとする日産の思惑には色々と疑問を覚えずにはいられませんが、このまま三菱自は消える運びになったという事でしょうか。

[続き記事 [biz] 日産はどうして三菱自の救済に動いたのだろうか]

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4/25/2016

[pol] 批判票を集めても届かない、野党の虚しい現実

前職死去に伴う衆議院北海道5区の補選が終わりました。本選挙はこのところの政治を巡る諸々の変化を反映するものとして注目されていましたが、期待通りというか、やはりその結果は中々に興味深いものであったようです。

前提として、前職が大物議員だった事もあり、当然ながら地域の地盤面ではその後継者として擁立された与党候補が圧倒的に有利でした。ただ新人ではあるので、コア層以外の支持は得られておらず、とりわけ無党派層の動向に現状のマクロな情勢を反映する余地があり、その結果は現状の、特に夏の参院選についての指標になるものと言われていたわけです。

その変動に影響する要因としては、政策面では

 ・安保法施行、及び政権の改憲(9条廃止)推進姿勢の鮮明化
 ・TPP(特に北海道につき)の推進と大臣更迭に伴う頓挫
 ・経済指標の悪化及びマイナス金利等金融政策、
   またそれに伴う運用難からの年金等社会保障の破綻懸念
 ・消費税増税

等、主に経済面の政策とその結果への賛否等の評価が挙げられ、政府・政党自体については、

 ・甘利前大臣を筆頭とした政府・与党側の不祥事とその自己弁護
 ・山尾衆院議員ら野党側の不祥事とその自己弁護
 ・民主党と維新の合併・共産党の選挙協力による批判受け皿の一本化

等、主たるものだけでも色々とあって、与党候補・野党候補への支持・不支持が差し引きどのようになるかは極めて読みづらい状態だったわけです。強いて言えば、金融政策への批判の程度が一番の争点であっただろうとは言えるでしょうか。

結果から言えば、僅差での与党側候補の勝利に終わりました。報道によれば、各党の支持層はほぼ崩れる事はなく、注目の無党派層は野党候補への支持が大勢を占めたようです。投票率は低くはなく、60%弱。この結果をどう解釈すべきか。

無党派層での与党への支持が明らかに少数だった点からすれば、政策等への批判は相当にあるものと言えるでしょうし、野党の選挙協力による受け皿一本化の効果も有意にあったものと見て良さそうです。ただ、そもそもここ数年で拡大していた与党と野党の支持基盤の規模の差を埋める程ではなかった、とそのように解釈し得るでしょう。

そのような傾向が他の地域にも通じると仮定すれば、都市圏等の流動性の高い地域では、野党候補が逆転する可能性は以前より高まっていると推測出来るだろうし、逆に流動性の低い地域では批判票は増えても及ばず、結局のところ与党側が勝利する傾向が強くなるものと予想されます。今回の北海道が農業セクターが強く、従ってTPP絡みで批判が強い地域であったにも関わらず与党側が勝利した点を重視すれば、流動的な部分での逆転の可能性は高まったとは言っても、平均的にはまださらに弱いと考えるべきかもしれません。総合すれば、以前ほど圧倒的ではないものの、全体的には与党側が優勢と考えるのが妥当なところでしょうか。

一言で言えば、批判は相当に強いけれども、野党は基本的な支持地盤自体が貧弱で過半の支持には大半の地域で届かない、と言えそうです。その要因は、無論民主党の政権時代の致命的な失敗が大元の原因だろう事は明らかです。また直近では、完全に黒と見做されている中、誰もが反感を覚えるだろう詭弁と強弁を弄し続ける山尾衆院議員を処分せず、それどころか今回の選挙戦も含め看板として晒し続けた事も相当に影響したでしょう。あれでは支持の獲得など期待しようもないところです。

言うまでもなく本番は次の参院選ですが、既に固定されたと言っていいだろう野党への不信・嫌悪はもはや回復不能と言うべき程であって、おそらく参院選までに野党側に打てる、この状況を改善し得る手立ては殆どないでしょう。ただ、批判票を集められるよう、障害を除いておく位がせいぜいです。といっても元々それが基本な筈なのですが、それが出来ていないからこその現状なわけです。少なくとも、山尾氏のような例を抱えている内は変わりようがないでしょう。せめてその辺位は処理して臨むのか、それともこのまま、そこそこ批判の受け皿になるに留まり玉砕するのか。どう転ぶにしても経済等の改善が期待出来るわけではないのですけれども、悪化を緩和する可能性はあるわけだし、せめて見える部分だけでも見苦しくないよう取り繕う位はして頂きたく願う次第なのです。

一方その陰で旧維新の大阪部門はひっそりと爆死しました。目的も組織も名前からしても大阪の地域内に特化した政党が、大阪の外で、しかも唯一の売りだった看板もなく、政党としての存在意義も既に乏しく、聞くに耐えない暴言を吐く所属議員だけが顔になっている現状を以って臨んだというのだから、むしろ当然の結果なんでしょうけど。というかそもそも何の勝算があって他所の選挙に出てきたのか謎です。協力関係を強める他の野党連とも競合し、足を引っ張る位しか出来ない事は明らかなのだから、潔く諦めた方が良さそうなものですけど、そんな空気を読む能力すらもうないのかもしれません。残念な話です。

4/22/2016

[note] Ubuntu16.04LTS導入

またこの季節がやって来ました。半年に一度のUbuntuバージョンアップ、今回は2年ぶりのLTS版となる16.04LTSです。コードネームはXenial Xerus、饗応のリスさんです。意味不明なのは相変わらずではあるものの、ここ最近の明らかにファンタジーに遊んでいた例と比べると格段にわかりやすい方でしょうか。LTS版だから?前は信頼のおけるヤギさんでしたしね。

なお、LTS版という事で、14.04LTSから久しぶりにアップグレードを検討する向きも多いかと思われますが、14.04LTSから16.04LTSへの直接のアップグレードは可能になる旨予定されてはいるものの、現時点ではまだ実行不可な事に注意が必要です。リリースノートによると当該LTS間のアップグレードパスは3ヶ月後、7月にリリース予定の16.04.1で可能になる予定なんだそうで。

サポートを謳う以上、アップグレードに伴う諸々のバグや問題を十分に潰してからにしたいという事なんでしょう。特にLTS間に限れば2年も開いていますし、差分を引き継げるようにするのも大変なんでしょう。一応、14.10,15.04,15.10と逐次アップグレードをすれば当然今からでも上げられるのですが、手間もかかるしリスクも大きいしで、余程の理由がない限り避けたほうが無難でしょうね。

これに伴い、私の所にも一台14.04LTSがあるのですが、当然それのアップグレードはしばらくお預けとなりました。もっともLTS版は安定が命だし、14.04LTSのサポートもまだ十分残っているので、特に問題もないのですけれども。update managerを立ち上げて、14.04LTSだけ何時まで待っても始まらないのには少し気持ち悪さと不安を感じた次第です。Release Noteはよく読むべきでした、と反省しきり。

一方、15.10からのアップグレードはいつもの通りです。update managerの設定で、"Ubuntuの新バージョンの通知"を"すべての新バージョン"に設定して、アップグレード可能な旨ポップアップ表示されたら適用するだけ。サーバ・クライアント含め4台程アップグレードしましたが、それぞれ一時間前後で完了し、特に大きな問題はなし。不要になったパッケージにpython関連がごっそり載っているのに少し驚いた(pythonのバージョンが2から3に変わったため)のと、何故か存在しない設定ファイルを置換する旨警告が出て差分も空白というのがあって理解に苦しんだものの置き換えを選択しても特に問題は無い様子だったのに戸惑ったり、Braseroとか幾つか標準アプリにリストラがあって驚きはしましたけれども、その程度です。

gtk等GUI周りも特に大きな問題はなく、概ね良好。ただ、一部挙動が変わっているところも。特にIME周り。私はfcitx-mozcを使っていて、全角/半角キーでOn/Offを切替える設定にしているのですけれども、GUI版のemacsで以前は特に設定せずとも他のアプリと同様に切替出来ていたのが、デフォルトでは出来なくなっていました。切り替わりません。仕方なく暫定的にemacs-mozcを入れた上で.emacsを編集してfcitxを経由せずにmozcを使う設定にする事で日本語入力可能にしていますが、一々ウィンドウ内部に候補表示を割り込ませたりするせいかレスポンスが今ひとつで、誤入力が頻発するのが気に入りません。なので以前と同じようにする方法を探しているのですが、それは今の所まだ不明。うーん困った。使えなくはないんですけどね。emacs以外はアップグレード前と変わりないのだから、emacs側の問題だとは思うんですが。(追記:これは勘違いで、IM側の問題だったようです)

ともあれ。見た目とか微妙に変化はありますが、挙動自体はLTS版らしく安定しているようで一安心です。引き続きこの調子で、14.04LTSからの直接アップグレードも同様にすんなり行けるよう、周到な準備がなされる事を願いたいところです。というわけで、今回はひとまずこれでおしまい。

<追記:emacsでfcitxが使えない現象の修正方法>

emacsでfcitxが使えない点は頑張ってworkaroundに勤しみました。色々と調べた結果、アップグレード後にも環境変数が一部不適切で、
 XMODIFIERS=@im=ibus
になってしまっているのが原因(の一部)のようです。16.04LTSではfcitxが標準なのでバグですね。これを、fcitxに戻してやればいいわけです。

具体的には、環境変数を
 export XMODIFIERS=@im=fcitx
等としてやれば元通り。ちなみにtcsh等Cシェル系の場合は下記。
 setenv XMODIFIERS @im=fcitx

暫定で適用したemacs-mozcはインライン入力出来るのはいいんですが、私のようなかな入力派には駄目なのです。というのも、ローマ字入力を標準として想定しているらしく、かな文字入力の時には一旦ローマ字に変換してからmozcに渡される仕様みたいで、そのためにかな入力で速く打つと誤って途中の英文字が入力されたりして誤入力・誤変換が頻発するんです。濁点が`になったり。一文打つのにどれだけ打ち直しさせるのって位で、そうでなくとも候補のインライン表示等でラグが激しいところにこれでは、とても話になりません。しかしこれで元に戻りました。やれやれです。おそらく直ぐに公式でも修正されるんでしょうけれども、そんなの待ってられなかったのです。一安心。

しかし、起動時に自動適用する設定はまだ適切な方法が見つかっていません。というのも、上記環境変数設定を.bashrcとか.xinputとかに入れて起動すると、fcitx自体が起動しないようなのです。emacsはおろか、他のアプリも含めIMが全く使えなくなります。なので、暫定的に起動後に上記変数設定を別途行うようにして回避していて、とりあえずはそれでいいのですが、とても適切な方法とは思えません。困ったものです。LTS版なのに。。。

その後、どうにも気持ち悪いので何とかならないかと、さらに色々とfcitx-diagnoseの出力結果を見ながら試してみたところ、ibusをアンインストールして、かつ.xprofileに上記XMODIFIERSと併せてQT_IM_MODULE=fcitx,GTK_IM_MODULE=fcitxを設定した上でfcitxを手動起動すると上手く行きました。具体的には下記。(Cシェル系はsetenv)
 export QT_IM_MODULE=fcitx
 export GTK_IM_MODULE=fcitx
なお、ibusをアンインストールしておかないと、起動はせずとも邪魔をするのかこれらの変数を設定しても上手く行きません。という事でibus sucksというわけなのですが、でもibusって削除の時にシステムの設定周りをごっそり引き連れて消えていくんですよね。開発用のライブラリも含めて。使えなくはないんですけど、gnomeのシステム設定周りのインタフェースとかも消えるので、これはあまりよろしくありません。ibus自体クソな事は周知の通りなので、もう公式に外してくれればいいと思うんですが、難しいですかね。下手に組み込んじゃうからこんな事に。。。うーん。

さらにその後、ibusをアンインストールせずとも、下記でibusを無効化してから手動でfcitx起動、でも行けるらしい事が判明しましたのでメモ。なおこの場合、上記3件の環境変数設定は不要のようです。

>gsettings set org.gnome.settings-daemon.plugins.keyboard active false

fcitxは自動起動アプリに登録しておけばいいでしょう。まだすっきりしたわけではありませんが、とりあえずこれで一段落でしょうか。やれやれです。

<解決?>

さらに後日、別のPCで色々試してみたところ、何故か言語サポートの"キーボード入力に使うIMシステム"をibusにしておき、上記3変数を.xprofileに登録の上、fcitxを自動起動アプリに登録(~/.config/autostartに.desktopファイルを作成)してみたところ、emacsも含め正常にfcitx-mozcが使えるようになりました。他の一台では、同様に.xprofileの変数と自動起動を設定だけで、IMシステムはfcitxのままでOKでした。PCによって挙動も違います。わけがわかりません。どういうことなの。

<その他不具合>

後気になった点としては、今回アップグレードした内の一台(ノートPC)で、端末ウィンドウの操作中等に画面が頻繁にチラつく現象が起こっていて、とても気になります。あまり使わないPCなので運用上問題はないのですが、とても落ち着きません。早めに対処して貰えるとありがたいんですけれども。 
→その後配信されたアップデートを適用したところ、この問題は解決したようです。しかしアップデートされたパッケージを見ても描画に関係しそうなものなんてないんですけど、どういうことなんでしょう。libllvmとか関係ないだろうし、distro-info-data?うーん。まあ治ればなんでもいいんですけどね。

---後日追記

軽量化環境Lubuntuの16.04LTS版がリリースされて、ふと気が向いたので試しに使ってみました。数年ぶり。色々面倒なのは変わっていませんが、パフォーマンスはとても良いです。
[関連記事 [note] Lubuntuはやはり軽くて良いけれど]

[関連記事 [note] Ubuntu15.10導入]
[関連記事 [note] ubuntu 14.04LTS導入]

[biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅

やはり余罪が、というか、むしろ氷山の一角だったという事でしょうか。三菱自動車の燃費改竄詐欺の件、当局の立ち入り検査の結果、当初発覚した軽自動車4種以外の車種でも同様の不正がされていた事が明らかになったそうです。

とりあえず確定したのはi-MiEV。疑われているのはアウトランダー、RVR、パジェロ等、全車種の半数以上に上るとのこと。揃いも揃って主力車種ばかりです。もっとも競合とのカタログ性能差埋めと減税区分の達成という目的を考えれば主力にこそ必要な措置だっただろう事は間違いないところで、それ自体はむしろ自然な帰結なのかもしれません。

が、もしこれが事実なら、いや報道のされ方とか見る限りもうほぼ確定なんでしょうけれど、であれば看板でもあるEVとRV系がアウトになった事で、軽と併せて主力車種が揃って生産販売停止、どころか報道によれば十年以上に渡って行って来た不正につき既に販売した分の賠償責任まで降りかかって来ますから、いくら国内向けの比率が高くはないとは言っても、普通に廃業に追い込まれるだろう事態に思われるところです。シャープの次は三菱自、と何となく各業界で競合に負けた弱いところが順調に淘汰されているように見えなくもない気もします。淘汰のされ方が如何にも急激に過ぎますし、経緯は最悪の一言ではありますけれども。

当然の報いではありますから同情はしませんが、本当に知らなかった社員はご愁傷さまです。とはいえ人不足の折ですし、選り好みしなければ再就職先が見つからないという事もあまりないかもしれません。ご健闘をお祈り申し上げます。知ってた社員?経営陣もろとも責任取って死ねばいいと思いますよ。償いようのない事態なわけですし。というかもう既に死人も出てるんじゃないでしょうか。

一度他のメーカーでもチェックはしておいた方がいいかもしれませんね。今回発覚の契機になった日産あたりへの疑いは薄いとしても、動機は十分だし実行は容易、本件のような前例もあるとなれば、必要な措置と言えるでしょう。併せて国交省への報告時に第三者のチェックを義務付けるとか、真正を担保出来るよう制度の改善も必要に思われるところです。もっともわざわざ外野が言わずとも、やましいところがなければそのように業界が自主的に動くでしょう。逆に消極的な姿勢を見せるようなら不正が推定されてしまうだろうわけですが、さて。

[前記事 [biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺]

4/20/2016

[biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺

三菱自動車がまたやらかしてくれたようです。国交省に報告する燃費試験の結果を改ざんしていたんだそうで。

対象は、主力の軽自動車2車種。ekワゴン・ekスペース。日産にもデイズ・デイズルークスとしてOEM供給されているものです。当然その他車種での余罪も疑われるわけですが、それはさておき。

その手法は、試験時の車輪に加えられる負荷を軽く設定する事で、5〜10%程度燃費を良く見せかけていた、との事。ekワゴンで言えば、カタログ燃費は25〜30.4km/lですけれども、実際には22〜27km/l程度だったという事ですね。 確かに全然受ける印象が違ってきます。競合するスズキのワゴンRが33km/lを謳っているところからすれば、素の数値では太刀打ち出来ない感が漂います。減税の区分も当然変更になるでしょう。

本件の後始末については、よりによっての主力車種ですし、当該車種の総販売台数にして60万台を超える規模のカテゴリー自体が丸ごと事業から消える事による年間数千億規模の売上減少、ユーザーと日産への損害賠償、減税分の不当利得返還、あといよいよ壊滅的に失われた信用の将来への影響も考えれば、少なく見積もっても会社の存続に強い疑義が付くだろう、極めて深刻な事態と評価すべきものでしょう。

しかしもうなんでそんな事したの、としか。無論燃費が最重要項目な車種である事は間違いなく、上述の通り到底敵わない競合がある以上、改竄の動機は十分ではあるだろうところですが、そもそも第3者が試験したら即バレな数値、しかもOEM車種。車の性能値の中ではおそらく最も誰もが気にするところでもあるし、隠しおおせる可能性など最初からなく、やったが最後、遅かれ早かれその先には破滅しかないだろう事は分かり切っていた筈なのですけれども。全く以ってわけがわかりません。

そういえば、三菱自では以前に開発の遅れの責任を取らされて部長が2人クビになってましたけど、実はこの辺の絡みだったという事なんでしょうか。しかしあの時の部門は確かRVRだった筈で、今回は軽自動車なので直接の関係は無い筈、であれば間接的に、すなわちそういう恐怖政治的というか、無茶な目標を現場に押し付け、目標未達ならクビ、という理不尽な社内体質が、その場しのぎの破滅的な改竄に走らせたものと考えるべき所でしょうか。

もしそうなら、なんと言うか。あまりにも愚かで、かつ哀れな話です。開発部門はじめ、三菱自の社員は何のために生きてるんでしょうね。そこまで追い詰められたなら、RVRの部長達と同じように、さっさと辞めればよかったのに、と残念に思わずにはいられません。彼らが諭旨退職であり、すなわち自発的なものではおそらくなかった点からすれば、見せしめ効果で恐怖が先に立ったか、それともやはり元々の社員の体質的にも難しかったのか。外野からではわかりませんが、もはや云々しても仕方ないところなのでしょう。返す返すも残念です。

無論、そうさせた会社側は存分に報いを受ければいいと思うわけですけれども。リコールの件の時も酷いと思いましたが、組織というのは一度腐るとこうまで救えなくなってしまうものなのかと、驚きと共に落胆を禁じえません。どうせそうさせた体質は棚に上げて、部門に責任を押し付けて済まそうとするんでしょうし、もう会社ごと潰れてしまえばいいと思わずにはいられないわけです。いやはや。

三菱自、燃費試験での不正を発表 日産自の指摘で発覚

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そして当然のようにその他車種でも余罪が発覚。主力車種が全滅の模様で、流石にもう無理ですかね。

[続き記事 [biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅]

[IT] QuickTIme for Windowsの脆弱性へのAppleの対応拒絶の仕方が酷すぎる

Apple製メディアプレイヤーQuickTimeのWindows版に脆弱性が発見され、しかしAppleがパッチ提供を拒否した件、ちょっと酷いと思うのです。特にAppleの対応の仕方が。

当該プレイヤーは、Appleが今年初め頃にリリースした7.7.9を最後にWindows版のサポートは打ち切られているので、パッチ提供も出来ない、とした事については、非難は免れずとも仕方ないと言えなくもないかもしれません。元々Vistaと7しかサポートしていなかった点等から、打ち切りが完全に唐突だったわけでもないように見えなくもありませんから。

しかし、サポートの打ち切りにあたり、ユーザに告知がなされず、その後のアナウンスも皆無であり、そのために多くのユーザが本件脆弱性の発覚、またそれに伴うTrendMicroや米国当局の警告とその報道がなされるに至って初めてサポートが無い事を知らされ、当然殺到した筈の問い合わせすらもサポート切れを理由に門前払いになっているという、不誠実という言葉でも足りないだろう対応ぶりには、流石に酷すぎて擁護の余地はないと思うのです。

せめてユーザに事前事後ともアナウンス位はしておくべきだし、このような状況に至ったからには、サポートは当然すべきものな筈なのですが、いまだにHP上には全くその辺の警告のかけらもないあたり、Appleにはそういう考え自体が存在しないようです。恐ろしい。

被害が個人に留まらず、Adobeのサービスが影響を受けているのも、Appleの対応自体が不適切だった証左と言えるでしょう。事前のしかるべきアナウンスがあれば、そのような大手のサービスならば当然に対応はされていたでしょうから。不具合自体はAdobeの不手際でもあるわけですが、Appleのサポート、クロージングの仕方が不適切な事が第一の要因である事も疑いようのないところであって、Adobeにしてみればとんだとばっちりです。

これがQuickTime自体の廃止というならまだわかる話だったんですが、OSX等のApple製品版は継続というのもまた苛立たしい話です。共通のプラットフォームとして運用していた所では余計に混乱するに決まってるでしょうに。

付け加えれば、本件の脆弱性は、QuickTime for Windowsというプレイヤーアプリケーションのものであって、QuickTimeのビデオコーデック自体に問題は無く、従って他のプレイヤーやエディタ等でQuickTimeコーデックを導入して再生・編集等している場合には関係しません。なのでQuickTimeビデオを扱うユーザでも、その大半には関係ない話なのですが、Appleがサポートを完全に拒否しているために、それらのユーザも脆弱性の影響を受ける可能性を懸念して、その確認等に手間をかける羽目になっているのです。というか私自身、懸念もしたし確認もせざるを得ませんでした。QuickTimeファイルを扱う事自体殆ど無きに等しい状態ではありましたけれども、それでもゼロデイ脆弱性があると言われれば、確認するしかないに決まっているのです。それは完全にAppleの無責任な無対応ぶりによる被害であるわけで、非常に遺憾な事と言わざるを得ません。腹立たしい限りです。

サポートはされているけれども、脆弱性が多すぎて常時危険に晒されているも同然のFlashも酷いですけれど、悪意が感じられる分、本件Appleの方が腹立たしさでは上ですね。とはいえ五十歩百歩的な話で、Flash同様アンインストールしてしまうのが良いのでしょう。やれやれです。

Apple Ends Support for QuickTime for Windows; New Vulnerabilities Announced

[biz] IntelがPC部門に見切りを付け、大規模リストラ

予想通りと言うべきでしょうか。intelが大規模なリストラを計画中だそうです。

規模はおよそ全体の一割12000人程度、主な削減対象はPC関連部門で、新規ビジネスに注力する方針との事なんだそうです。PC市場の急激な縮小と、それを代替する筈のモバイル系でARM系に概ね敗北した事で不良債権化したリソースに見切りをつけた、という事で。PC周りは技術の進歩の余地もほぼ枯渇して、実質的に新製品の投入が困難になっている事も併せて見れば当然の結果と言えるでしょう。外部環境面では割と八方塞がりな感じですから。

もっとも、外部的な要因を別にしても、以前ALTERAを買収した事でintel内部のリソースには明らかに余剰があって、かつソリューション面とプロダクト面とで組織体制に齟齬が生じていただろうところ、それを整理統合する必要は当然あっただろうから、そちらが主な目的で、リストラは副次的な位置づけのものなのかもしれませんけれども。

ともあれ、今後の方針としては、基本的にはデータセンター向け中心にFPGAとサーバ用プロセッサのラインを統合して、それによって成立するソリューションをこれからの主力に位置づけるって感じでしょうか。その割を食うのが決算でほとんど一人負け状態なクライアントコンピューティング部門と。具体的な製品で言えばAtom系とか厳しそうですね。本来なら主力になっていた筈なんでしょうが、ARM系ともろ競合で惨敗した結果ということで、当該部門の人達はさぞ無念でしょう。解雇されるのでなければ、新しい分野に挑戦出来る機会と捉えてむしろ喜んでいるかもしれませんが。

一応、PCが衰退しているって言っても、Windowsは無論、OSXもLinuxも基本的にCPUはintelの独占は変わりないわけだし、intelのクライアント向け製品自体が近い内に消えてしまうわけではないんでしょう。それでもこうして、先日のムーアの法則終了宣言と併せ、intel自身がゆっくりとしかし確実に白旗を挙げていくのを見て、少なくともこれからはもう殆ど進歩もしないんだろうと思うと、やはり残念に思う部分はあるわけです。一つの時代の終わり、になるんでしょうか。

[関連記事 [biz] IntelがFPGA大手ALTERAを買収]

4/15/2016

[biz] 富士通・東芝・VAIOのPC事業統合破談

国内大手PCメーカー3社事業統合の件、破談したそうで。

統合後の事業方針やらで合意出来なかったからとかいう事ですが、あれですかね。統合の主たる目的である所の集約によるコスト削減及び生産性の向上において、当然必要になるところのOEM先とか、国内・国外工場とかの統廃合については、まず間違いなくそれぞれ一つを残して残りはリストラ、って話になっていた筈なわけで。それはすなわち実質的に3社の内2社が撤退するのと同等と言えるだろうところ、先は無い事は明白ではあるけれども、各々が即倒産するわけではない現時点の状況下では受け入れ難かった、という事なのでしょうか。

保身と言えば保身ではあるのでしょうけれども、事実上の生き死にが掛かっている以上は致し方ないと言うか、これはもう各々が本当に単独では立ち行かない、文字通りの破綻直前ぐらいにならないと纏まらない話なのかもしれないと、改めて思うわけです。

おそらく大きな問題は2点。一点は、統合後のカラーというか、主にVAIOの主力たる尖った製品ラインの継続の是非、また搾り込みをどうするかという事。ある程度は残すにしても、その特殊性の強さから開発・生産体制の統合には相当な困難が見込まれるし、販売の戦略面でも色々とややこしい面が生まれるのは間違いないところです。VAIOのようなブランドイメージ重視の路線は、少なくとも事業体の前面に出さないと意味のないものですが、そうするとブランド的にはVAIOが他2社を吸収した形になるわけで、事業体の規模比的にそれは難しいでしょうし。そりゃ揉めて当然でしょう。

もう一点は、上記で触れたように、純粋に生産・開発・販売リソースの統廃合の方法でしょうか。東芝と富士通は法人向け中心に類似性は高いものの、それだけにどちらか片方は余剰につき必然的かつ単純に削減対象とせざるを得ないだろうところです。しかるに工場も開発部隊も販売部隊も。それらはそれぞれ垂直的に繋がりがあるわけですから、各々が丸ごと残すべきだと主張すれば、自然と一社分だけを残してそこに合流出来る一部以外の残り2社分は廃棄、というような思惑になりがちなパターンに見えます。富士通は特に国内工場の処遇も頭の痛いところでしょう。これまた揉めて当然、というか普通ならやはり、統合出来なければ破綻、位になってないと受け入れられない類の話と言えるでしょう。

一応、当初の思惑的には、各社の全リソースを一旦まとめてシャッフルして、そこから最適化を図る、とかそういう理想論的な考えはあったんでしょうけれども、具体的なプランに出来なかったか、出来ても実現が極めて困難だったか、はたまた3社共が欲をかく、もしくは保身に走ったか。いずれにしろ結果として形にはなりませんでした。やはり3社の統合、それも概ね対等に近い立場の事業体同士のそれとなると、余程の明確かつ差し迫った、強制力の強い事由がないと、任意ではまとまりませんよね、という話で。問答無用で買収するとかするのが普通、と言ってもそんな余力は何処にもなかったのも要因と言えるかもしれません。こう見てみると、圧倒的な資本力の差からあっさりLenovoに買われたNECのPC事業は高く買われ、かつそれなりにリソースの保全も出来て幸運だったとも言えるんでしょうか。

第三者的には、DynabookとかVAIOとか、それらの個々のPC製品自体が枯れてしまって、従来のブランド戦略とか個々の製品品質やらものづくり技術云々ではどうにもならないからこそここまで追い込まれてるわけだし、もう一旦そういうのは全て捨てて、ビジネスモデルから何から名称も含めて全て事業丸ごと新規に立ち上げた方がいいんじゃないの、と無責任にも思うわけですけれども、そんな怖い事したくないというか出来ない、って話なんでしょう。難儀な事です。まあ競合が多すぎるし勝算の立てようもない以上、どうにもならないのかもしれませんけれども。でもね、そもそもの話、統合した所で規模的にはLenovoやら海外大手とは勝負にならないのだから、この辺は結局は避けて通れない筈なんですけれどもね。最終的に買収される事を想定しているのなら別ですが。

ともあれ。さしあたりご破算になったのは事実ですから、しばらくはこのまま、少なくとも本年度は各社とも赤字を垂れ流す運びになってしまいました。

およそチキンレースの様相を強めている本件、その中でいよいよ持たなくなった所から、相対的にまだマシな所へと、力関係がはっきりした時点で順次吸収されていく、とかいう流れになるのかもしれませんね。というよりそれ以外ないと言うべきなんでしょうか。しかし今でさえ瀕死の弱者連合と揶揄される位なのに、さらに弱ってからだと、その時に統合する余力があるのか疑問、というか吸収するorされる意味があるのかすら怪しいし、そのまま共倒れになる可能性の方が高いだろうと思うわけなのですが。とはいえこれも当人達の選択、ありもしない可能性に妄想じみた期待を抱いて機会を逸してしまったとしても、致し方ないところなのでしょう。やれやれです。

しかし困っただろうのは東芝ですかね。どうするのでしょう。まさか単体で放り出す?次いで富士通。既に分社化した同社のPC事業ですが、目的であるところの切り離しができなくなってしまいました。このままだと超赤字で即死コースです。両社とも一刻も早く連結から外したかった筈の両事業、その目論見が崩れてしまったわけですが、さてどうする。

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4/09/2016

[PC] Bash on Windowsが本当に出て困惑

Bash on Ubuntu on WindowsがPreview Releaseされたそうですね。正直なところ何故?と困惑を否めませんでしたし、意義とか諸々の側面を鑑みるに本当に出るのかと疑わざるを得なかったわけですが、本当に出て驚きました。今でもあまり実感が湧きませんが、出たからには当然ながらそれなりに興味の対象にはなるわけです。皆も、と言ってもその方面限定ですが、色々と盛り上がっているようですね。

もっとも現時点では名前の通りシェルのみ、すなわちコマンドライン上のアプリが動くだけで、XはじめGUI周り一般は当然対象外だし、Previewテスターの報告を見る限り安定性は無論皆無、パフォーマンスも、桁違いのオーバーヘッドのかかるCygwinと比べても若干マシ程度とあって、現時点では大半の用途で丸ごと仮想化した方が良いだろう実質的には無意味なものらしいんですけれども。わざわざカーネルに専用のサブセットを用意までした割には如何にも中途半端に見えます。

それでも、完全に行き詰まって久しいCygwinや混沌としたmsys2(MinGW)の代替足りうる新たな希望として、一応は歓迎したいと思います。個人的にはメンテ終了してしまったgtk for windowsの代替が欲しかったんですけれども、この路線が継続されれば、将来的には当然その辺も復活する目もあるでしょうし。無論パフォーマンスもまだまだ改善の余地はあるでしょう。でも現時点では近い内に使い物になりそうな感じがしないんですよね。意義の薄さからすると、あっさり消える可能性の方が遙かに高そうですけれども、続いてくれるかなあ。。。と疑問が先に立つのも致し方無いところでしょうか。

将来的にはLinuxベースのプログラムがWindowsで動く、って言っても、そもそもLinuxのアプリを必要とするWindowsユーザなんて全体からしたらほぼ皆無に等しい位でしょうし。その割には大げさというか、開発やらにリソースが掛かり過ぎているような。。。Microsoftは人余りなんでしょうか?とか。主に開発環境周りでのOSX対抗って意図はわかるんですけれども、周知の通り元々Unix(BSD)ベースのOSXに、その方面でしかも後付で対抗しようとしても無理があるんじゃないかとも。開発向けというならなおさらパフォーマンスが十分に上がらないと使いようがないわけですしね。法人のLinuxサーバー需要取り込みとか連携とかの思惑もあるとしても、性能の期待値やら安定性面やら、諸々で話にならないでしょうし。うーん。まあ、とりあえず安定するまでは静観するとしますか。Ubuntu(Linux)ユーザとしては歓迎すべき話なのは確かなわけで。糠喜びしないよう、眉唾しつつ。

しかし、Bash上で動くsedとかpythonとかのLinuxネイティブアプリ類をUbuntuアプリと呼ぶのは違和感が半端ないですね。Linuxコマンドラインアプリだろうと。

Bash on Ubuntu on Windows

<追記:各所で行われたベンチマークについて>

リリースされてからしばらく経って、不安定性に悩まされつつもテスターの方々が頑張って詳細なベンチマークを行ってくれたようです。

The Performance Of Ubuntu Software Running On Windows 10 With The New Linux Subsystem

その結果を見る限り、CPU内部で完結する計算処理等については高々数十パーセント程度のオーバーヘッドで済んでいて、中々に優秀なようですね。と言ってもこの辺はOSよりもx86CPUの命令セットに依存する話なので、元々バイナリの形式はあまり関係しない部分ですから当然と言えば当然の結果とも言えるでしょう。

問題はファイルシステムのI/O周り。ここは文字通り桁違いに遅いとの結果が出ています。一番OSに依存する部分ですから仕方ないと言えば仕方ないのでしょうけれど、大半のアプリでのボトルネックもここにありますから、そこでのこれはやはり厳しいと言わざるを得ません。GUI等を除外してシェルに限定した理由もおそらくはこの辺のI/O周りの困難さにあるのではないでしょうか。無論実装を頑張れば解決出来なくもないんでしょうけれど、それはもう殆ど仮想化と変わらないような。うーん。