7/28/2011

[biz] 任天堂、3Dの泥沼

任天堂もトリプル赤の大爆死、っていうか前年度比で売上げ半減、営業赤字が売上げ比で4割近いという目を疑う程の壮絶な決算でした。普通なら倒産一直線です。そして起死回生を狙って3DSの4割引きを発表と。3DSについては、コンセプトの段階で矛盾を抱えていたところ、不振を挽回しようと無理に強行してさらに事態を悪化させた格好で、だから言ったのに、という声が山ほど聞こえて来そうです。まさに泥沼といった感じですね。しかしこれで終わりかというと、まだ3DSがDSの後継機との位置づけは崩しておらず、自縄自縛に陥っている感じでもあって、まださらに落ち続けそうな感があるのがなんとも。

今回の値下げも、一応、高すぎる価格は確かにコケた主要因の一つではあったし、興味を持ちつつも値段だけを気にして購入を躊躇っていた大人は買うから、一定の効果はあるんでしょうけれども、健康面の悪影響は依然としてあるから、相当な割合のユーザ、特に子供とファミリー方面には大部分訴求出来ない事には変わりないんだし、自ずから限定的なものに留まる筈なんですよね。当然単価も落ちるからそれでは足りない可能性は高いものと思われるわけです。

そもそもの構成が矛盾に満ちたものであって、その中核たる3D自体が、多くの人に対して、訴求点になるどころか拒否反応を引き起こす事は確実だった以上、3DSはDSの後継たり得ない事は発売前から明らかでした。個人的には3Dはさっさと捨てて、以前のようにユニバーサルな方向へ向かい、中身の追求に注力した上で、自然な形で広く訴求していける道を探すべきだと思うんですけども、もうアイデアが枯渇してそれは出来ない状態なのかもしれないし、それならこうして衰退するのも仕方のない事なんでしょう。少々寂しい話ではありますが。

[過去記事 [biz] 3DS、らしくない任天堂 ]
[過去記事 [biz game] 裸眼3DのNDSって ]

[biz] 2011年度Q1決算インプレ

一言で言えば総崩れ。多くのメーカーで売上1割減少、赤字転落多数といった感じの大惨事になりました。東芝はかろうじて黒字を確保したもののほぼゼロ近くまで激減、ソニー、シャープ、パナソニックは純利益赤字、NEC、富士通に至ってはトリプル赤。いやNECは相変わらずってだけですけど。金融業界、資源業界は概ね健闘。焼け野原の中で、ソフトバンクの驚くべき超利益が唯一の例外といった所でしょうか。詐欺の件が気になりますけどね。

震災の影響がこの程度で済んで良かったと考えて早々と一息つく事が出来る状況なのか、回復の見込みもあまりはっきりしない現状、転落の真っ只中と考えるべきなのか、他にも、政策効果の剥げ落ちた分はどの程度影響しているのか、欧州・米国を中心とした連鎖的な地域経済衰退の影響はどの程度なのか、等々、通常なら一大要因となる規模の事象が入り乱れていて、一見しただけではその中身は判然としないわけです。だから、今後について詳細な見通しは立て難いでしょうし、ミクロにもマクロにも対策を見出し難い、きわめて混沌とした状況にあるように見えます。ただ、製造業全般における売上の急激かつ大規模な減少は事実であって、それはすなわち経済活動自体の全体的な縮減を意味するし、そのまま同程度の割合によるGDPの減少にも直結しているだろうわけで、とりあえず今年度一杯位は各種年度指標がぶっ壊れるでしょうし、実体的にも期待的にも凄まじい影響があるものと予想されます。

2008年の時より酷い、というかあれから回復もしていないのにさらにそれ以上に減少、というのだから戦々恐々ですね。まさにLike a rolling stone、というか押し潰される側?しかし一市民としては何が出来るわけでなし、泰然として日々を生きるしかないのです。さしあたりまだ決算発表も前半、さて後半にサプライズはあるかな。

[biz] Panasonicがまず三洋ハイアールを放出

リストラ第一弾かな?ただ、社員数は2000人とそれなりですが、額は100億と小さく、ほとんど無視すべき規模ですし、売却先は当然元からの合弁先ハイアール、ここの製品は元々三洋というよりまんまハイアールだったのだし、結局の所本件は実態に合わせて株式のやり取りをしただけのものに近く、リストラと言うには少々違和感も感じる所です。最初という事でやりやすい所から手を付けて、やってますよ的なポーズを取ったものに見えなくもありませんし。もっとも、旧三洋の某国内主力工場も閉鎖予定とかいう噂も耳にしますし、その他もとっくに着手済み、その目くらまし的な話なのかもしれませんけれども。さて。いずれにせよ、中国企業への売却の形には違いないし、時節柄注目されやすい事情はわかるんですけども、実質的には取り立てて注目すべきものでもない感じですかね。

パナソニック、三洋の白物家電事業売却へ 中国大手に

[過去記事 [biz] Panasonicが国内1.4万人リストラ ]

7/26/2011

[biz law] ベアリングでカルテル摘発

先日のラジエータ等の件に続いて、今度はベアリングで。公取委が頑張っていますね。今回摘発されたのは日本精工、NTN、ジェイテクト、不二越の四社。市場規模は4千億と前回に比較して一気に規模の大きい所に切り込んで来ました。摘発された事自体は、業界の競合っぷりからしていかにもやってそうな部品ではあったし、特段の驚きもありませんが、ラジエータの時と違って大手の一角であるところのミネベアが入っていないのが意外というか、それでカルテルとして成立するのか、したのか、いまいち腑に落ちません。単に今回対象になった件についてうまく逃げる事が出来ただけかもしれませんし、そのあたりは今後の捜査で明らかになるんでしょう

ともあれ市場規模の大きさからして、期間にもよるでしょうけれど課徴金は少なくとも数百億にはなる筈、当局の方々には、徹底的に容赦なく締め上げた上で懲罰金3倍返し位まで頑張って欲しいものです。もちろん他の業界もこの調子で。次に挙げられるのはどの業界か、身に覚えのある方面の方々は皆戦々恐々といったところだろうと思われますけれども、完全に自業自得だし、一方は検挙されて他方は逃れるというのでは不公平というものです。

ベアリング4社、カルテルの疑いで強制調査 公取委

[過去記事 [biz law] 自動車部品カルテルが摘発 ]

--------------追記・訂正
ミネベアが入っていないのは、今回摘発の対象となったベアリングは大型のもの中心で、同社が得意とする小口径のものは入っていなかったからみたいですね。大変失礼しました。

7/25/2011

[pol] 米債務を巡る与野党・政府間対立

一言で言えば、いかにも茶番っぽい感じな本件。大統領も民主党も共和党も、建前では色々対立っぽい事を言って、確かにその先の破綻可能性の高低という所では多少の違いはあるのだけれど、それは随分と先の話、それぞれがどう均衡するのか、またどちらが良いのか、それは結局のところ誰にもわからないのであって、今本質的に問題なのは、当面の米経済の方向性という点、すなわちドル・米国債のポジションをどの辺に誘導するかなわけでね。

その点で見ると、債務増加と歳出削減、またその組み合わせの中でどういう配分・規模にするかが俎上に乗ってるわけですけれども、いずれにせよその帰結の中で米経済の縮小は避けられないのですよね。だから、今の議論には、現実的な部分での意味がほぼないも同然であって、その意味で茶番に見えるわけです。実際、破綻云々は少なくとも数年以上は先の話、その時にどうなっているのか、何が最適解なのか、神ならぬ身ではよくわかっていない、それは間違いありません。

一市民としては、先の話は程々にして、今現在で基本的に均衡させて、少しずつ発展させる位が良いだろうと思うのですけれど。年を跨ぐ借金は緊急の場合と極低リスクの場合に限定してね。でも政治家は無理でも先の話をしなくちゃならない。でなきゃ支持されない、だから大部分しがらみやら思い込みやらから半ば強制される形で、遠い先の抽象的な危機のイメージをでっちあげ、あたかもそれが唯一の未来であるかのように主張し、その主張に対応する対策を必須のものとして主張しているだけなのでしょう。政治とはそういうものだ、と言えばそれはその通りなんでしょうけれど、それは現実とは言えない、有り体に言えば詐欺同然というのも事実であって、結局のところ、それはやはり建前に過ぎないだろうわけです。

その辺は当然当人らの大半も理解はしているだろうし、建前の裏には、やはり実質的な所での意図が別にあるのが常です。今回の件に関してのそれは、雰囲気作りというか、方向作りというか、グタグダと引き摺って、デフォルトの可能性を長期間に渡って薄くチラつかせる事で、その間にジリジリとドル&米国債のレートを低下方向に誘導するソフトランディングを狙っている、というところなんでしょうけれど。その影響をもろに被る日本とか中国とかの債権国の面々におかれましてはご愁傷さまです。知ってか知らずか、建前に一々右往左往する人達については、元々金目当ての自業自得な話だろうし、それで儲かる場合もあるだろうし、どうでもいいんですけどね。

7/24/2011

[biz] 中国新幹線が脱線・転落事故

運行面のお粗末さ加減からして時間の問題だとは言われていましたけれど、現実になってしまいました。死傷者の数は現時点で不明ですが、大惨事である事は必至、悲しい事です。

中国・浙江省で高速鉄道が脱線 死傷者多数か
2両が橋から転落


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原因調査とか今後の対策とか、そういう常識は中国にはやはりない様子です。しかし国外メディアの目の前でこの所業、わけがわかりません。

事故車両の運転席、当局が現場の穴に埋める 中国脱線

橋脚に寄りかかっていた車両については、救出作業も満足にしないまま、おそらくは犠牲者ごと引き倒し、重機で解体している様子、言葉もありません。犠牲者は死者が現時点で45人と発表されているのが最大の数字ですが、この状況と照らし合わせて見れば、虚偽である事は確実でしょう。事故自体の惨事に輪をかけて、極めて残念な事です。

7/23/2011

[note] Core i3-2100Tを導入

消費電力が低く、性能も随分と高く、かつ安価と聞いて、メインのサーバ兼PCを、二年程の付き合いだったAMDの5050eから移行しました。OSは当然従来のものを引き継ぐ形でUbuntu11.04の64bitです。その他部品は次のとおり。

CPU: Core i3-2100T
マザー: ECS H61H2-I2 ( Mini-itx )
メモリ: Patriot PSD34G1333KH(2GBx2)
HDD: WesterDigital WD5000BEVT
電源 : CorePower2-500W
CPUファン: Slim Silence i-Plus

ケースはEdenに使っていたケースに入れ替え、ケース付属の電源はコネクタが古くて合わず、変換ケーブルも無かったのと、容量が60Wで足りるか不安だったので、暫定的に予備に取っておいたCorePower2をケース外に置く変態的な形を取りました。CPUファンはケースの都合上、リテールファンだとギリギリ干渉しそうだったので追加したのです。ものの10分程度で組み上げ完了、とりあえずハード的には何も問題無し。

問題はその次、OSとその設定・データの移行のところであります。全部再設定するのは流石に面倒、ということで、最初は、元のシステムとはプラットフォームが違うという事で無理かなと思いつつ、駄目元で旧サーバのHDDを丸ごとコピーして繋いでみたのですけれども、やはり色々と設定が合わないらしく、リカバリモードとかでしか起動しませんでした。といって、ちまちま手動で直すのも余計に時間がかかりそうだったし、というわけで次善の策として、CDから元の設定を保持するモードで上書きインストール。したら、その最後のあたりで元からインストールされていたパッケージを再インストールするのですけれども、ここで原因不明のエラー。結局、アプリ等は大半再インストールして、confファイルとかも再作成する羽目になってしまいました。とほほ。一応、ユーザフォルダやユーザの設定は残ったのでそれは不幸中の幸いだったのですけれども、それ以外の/etcフォルダや/varフォルダ以下も初期化されて、再作成して大量のデータを後からコピーする必要もあったりして。まあコピーして待つだけなのですけれども、存外に時間がかかってしまったわけで。それでも、手間はそれなりに省けたし、出来ただけよしと思うべきなのでしょうか。うーん。

ともあれ、一度設定してしまえば、後は快調なものです。重めの処理をさせると、5050eより速くなったのが体感出来ますね。それでいて消費する電力は、ワットチェッカーで測ったところでは、普通の作業をしている分には30W程度、負荷をかけても40W程度。50Wは超えません。電源も効率的とは言えない部類なのに、何という優秀さ。素晴らしい。

5050eも悪くはなかったけれど、GPGPUのために大きいグラボを積んでた事もあって100W位行ってたから、実に半分以下になったわけです。節電・節約にもなって気分も良いですね。これならケース付属の60W電源をちょっと増強する程度で行けそうです。もちろんその代償として本機ではGPGPUが使えないわけですけれども、そんなに頻繁にやるわけでもなし。ちょっと測ってみたところだとCPU自体の計算力が2倍位になった様子で、それで全体的に底上げされてもいるし、特段の問題も感じません。

久々に気持ちの良いリプレースでした。手間と費用をかけた甲斐があったというもので、いつもこうあって欲しいと思うところです。後は連続運用で問題が出なきゃいいんですけれども。さてさて。

7/22/2011

[biz] Nokiaが大赤字、中国での売上4割減

Q2は500億超の赤字に転落したとか。スマホ一色の世界で有力なプラットフォームを持たないNokiaがジリ貧になるのは当然の話ですが、真っ逆さま、というべき急激な転落ぶりで、これには少々驚きました。まあ、ここ最近、Symbianの部隊を中心に超絶リストラしたり、色々売却したりしてて、なりふり構ってられない程度には窮状にある事も周知の事実ではあったんですけれども。中核たる途上国市場、その中でも最大規模の中国で、売上自体が4割も毀損するというのは、ジリ貧どころの話ではなく、存亡の危機にあると言ってよいでしょう。まさに一寸先は闇、であります。

一応、今回の赤字・売上減に関しては原因がはっきりしてるので、それに対処すれば、すなわちスマホの市場へ食い込めれば、まだ立ち直る可能性もある筈なのですが、ZTEあたりの中国メーカーも品質が上がってきているので、弾を用意する頃には既に入り込む余地がなくなってしまっている可能性も高いだろうし、全く容易な話ではないものと思われます。よりによってWindowsPhone採用というのもまた。もっとも、それでもシェア自体はまだ巨大だし、日本のメーカーの方が絶望的な感じなんですけどね。しかしあの巨人Nokiaが負け組転落ですか。凄まじいっすね。

Nokia's Chinese Death Spiral
Nokia Posts Less Terrible Q2 Numbers Than Expected, Still Imploding In Slow Motion

7/21/2011

[play] 第三舞台が再開公演をもって解散

しちゃうんですと。封印に入って早10年、封印の再の宣言通りに遂に再開、の矢先で、嬉しいやら寂しいやら。しかし鴻上さんももう52歳。月日の経つのは早いものです。切れ味の鋭い、心に突き刺さるようなメッセージに溢れた舞台には、随分と楽しませて頂きましたし、数え切れない程心を揺さぶられ、また勇気づけられたものです。一観客としては残念ではありますが、いつもの通り、彼らの選択が良きものになると信じて見送るべきなのでしょう。ともあれ、再開にして最後の公演、それに相応しい痺れるような舞台になる筈だし、期待して待ちますかね。

鴻上尚史さん主宰、劇団第三舞台が解散へ

[law] ウィルス作成罪で初の逮捕者

ウィルス作成による器物損壊罪による有罪判決が出て、ウィルス作成罪で新設された保管容疑での事例はいつ出るかな、と思っていたら、その翌日に初の逮捕者が出たでござる。なんともタイムリーな。

容疑者は川口靖博38歳無職、独学でウィルス作成方法を学んで、P2P利用者の無秩序さに立腹して懲らしめようと思い、ウィルスを作ってShareで流した、と。刑法の条文に言う所の「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」を、「正当な理由なく」保持した、という要件には綺麗に当てはまりますね。未遂も罰せられる本罪ですが、本件は既遂でもあって、その点で立件はし易かったところでしょう。

作者が摘発の対象になる事には議論の余地はありません。しかしこう簡単に作者が見つかるとは、少々予想外で驚きました。筋から言えば作者の方が先に摘発されるべきなのは当然ですが、匿名のネットワーク上で転送を繰り返すウィルスの性質上、一般には作者を見つけ出すのは容易ではないし、末端の利用者が先に立件されて物議を醸すものとばかり。ともあれ、量刑については、前日の器物損壊罪での判例に倣うなら数年単位の割と重い懲役刑の適用が予想されるところですが、さてどうなるか。その次は、懸念の焦点であるところの、単に保管しているだけの者が立件されるのか、されるとすればどう扱われる事になるのか、というところで、引き続き要注目です。既に候補者はそれなりにリストアップされている筈でしょうから、警察、検察の判断次第な筈なのですけれども。

ウイルス作成罪初適用、38歳男逮捕 パソコンに保管容疑
警視庁


[過去記事 [law] ウィルス作成による器物損壊、懲役2年6ヶ月]

7/20/2011

[biz] 米政府がデータセンター4割削減

を計画中だそうです。要するに組織毎にセンターを持つ形で重複が酷いから集約しようというだけの話なわけですけれど、驚くべきは現在の保有数で、その数約2000とか。すげー。その4割だから、実に800箇所ものセンターを閉鎖する事になって、数千億単位での予算削減見込まれると。すごい額です。IBMはじめITベンダには相当のインパクトが避け難いものでしょう。しかしそれでも、数百兆円に及ぶ予算削減計画の一環という事で、全体からすればほんの一部に過ぎないわけで、これまたすごい話なのです。さすが超大国、リストラもスケールが違う。そのダイナミックさを見るにつけ、大国が実際に破綻しつつある財政を均衡させるには、これ位はしなければ立ち行かないという現実と、それを前にしても、何処までも現実的かつ具体的な対応を追及する米国の運営システムの真価が現れているように見えて、色々と考えさせられてしまいます。

振り返って米国より遥かに深刻な事態に陥っている筈の日本は、IT投資を集中選択するどころか必要でもないスパコンに散財し、未だに主たる経費であるところの公務員や各種余剰組織の削減については議論が始まってもおらず、ただ事態を悪化するに任せ、現実逃避を続ける体たらく。近く訪れるべき破綻の時、その政府の支出に依存している国内IT産業はじめ多くの企業・人が、今回の米国における削減どころではない喪失を前にして如何に醜態を見せるのか、いや既に醜態と言うべき状況になっているのかもしれないのだけれども、想像するに気分が極めて悪くなる次第なのです。

U.S. to Close 800 Computer Data Centers

[biz law] 自動車部品カルテルが摘発

ラジエータ等の自動車部品業界で大規模なカルテルの嫌疑がかかって、公取委のガサ入れがあった、と。被疑者の顔ぶれは、デンソー、三菱電機、日立、ホンダ系のミツバ、日産系のカルソニックカンセイ、トヨタに近いティラド、と国内の全自動車メーカーをほぼカバーする範囲という事で、それはカルテルを機能させるために必要だったんでしょうけど、こんだけ沢山のプレイヤーが関わってたらバレるのも当然、仕組み自体が無理だった、とそのように思われます。しかし始まったのは遅くとも2002年という事だから、10年近くは発覚を免れてきたわけで、相当上手く隠すシステムを確立していたのか、単に運が良かったのか、公取委の怠慢があったのか。いずれにせよ、その報いは存分に受けるべきところです。各々が得た利益の3倍返しくらいで。

2002年当時頃と言えば、いわゆる系列の崩壊が進んでいた頃で、それから今日に至るまで続く自動車メーカーからの苛烈な値下げ圧力という事情があった、そこには多少なりと同情できなくはない側面もあるでしょう。しかし、それはこの業界に限った事ではないし、他の業界の多くでは個々の技術革新と合従連衡によって業界全体としてコストを削減し、それでも多くの企業は淘汰されつつ、その態様には是非緒論あれども、業界自体が適応していったわけで。いかに系列時代との落差が激しく厳しいものであったとしても、本業界が特に保護されるべき理由は何処にもない、むしろ業界自体には存続に足るだけの需要があっただけ恵まれていた筈なのに、その事を理解せず、従来の地位に安穏とするために違法な協定に手を染めた、その安易で卑劣な振る舞いには、極めて残念な思いを禁じ得ないのであります。

まあ、同様の話は他にも山ほどあるんでしょうけどね。公取委には、速やかに摘発の上、再発防止のため、厳罰の適用を願う次第です。

車部品カルテルの疑い デンソーなど7社立ち入り
公取委

[law] ウィルス作成による器物損壊、懲役2年6ヶ月

ちょっと予想より量刑が重い気がしますけど、そんなもんでしょうかね。ウィルス作成罪に移行するので、器物損壊で扱われるのはこれが最初で(?)最後になるのかもしれない特殊なケースではあるのだけれども、量刑の基準的にはおそらく引き継がれる筈、という事で注目されていたところの本件。ウィルス作成罪に規定された懲役刑の上限3年にほぼ近い形で、ここ数年の厳罰化傾向を踏襲した格好になりました。第一審ではありますが、東京地裁の判断は割と安定しているので、今後の参考になる判決であろうかと思われます。

もっとも、今回は事実関係についてはほぼ議論の余地もなく、弁護の内容も素人丸出しのお粗末なものだったので、上限を適用するに躊躇なしであっただろう事からすると、当然というか自明の結果とも言えるでしょう。問題は、ウィルス作成罪において新たに刑罰の対象となった、所持作成のみだとか、被害が潜在的なものに留まる場合にどう扱うのか、という未知の点であるわけで、それは今後に持ち越しです。もちろん実際には適用がなされない、というのであればそれが望ましい話であろうけれども、適用されれば、その影響は非常に大きい事も間違いないという事で、いずれにせよ不安定な現状、司法側の公式スタンスがどのあたりにあるのか、出来れば早めに知りたい所であります。予防を建前にした警察権力の濫用も懸念されますから。

イカタコウイルス作成者に実刑判決 器物損壊罪
東京地裁、懲役2年6月

7/18/2011

[biz] ギリシャ短期国債利率が35%目前

つい先月25%超えたって驚いたところだったのに、もう35%とかホント容赦ないっすね。それでもまだストとかやってるらしいし、絵に描いたようなデフォルト一直線、まさに地獄です。イタリアも上がり始めてて、まだ5%手前だけれども、気が付いたら似たような感じに、とかなってたりするんでしょうか。日米も早晩後を追いかねない瀬戸際に立ってて、割とマジで今年は年を越せるのかわからない感じです。さてどうなることやら。とはいえ、一小市民としては気にしてもしょうがない話、なべてこの世はケ・セラ・セラ、で生きていくしかないのですけれどもね。

Greek Yields Continue Surge Into Uncharted Waters

[過去記事 [biz] ギリシャ短期国債利率が25%突破 ]

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そんな事言ってる間にあっという間に35%突破して既に40%目前。なんくるないなんくるない。
Holy Cow, Greece!

7/17/2011

[note] 休息

去る者は日々に疎し。どんな悲しみも、時につれて遠ざかっていく。けれど、忘れちゃいけない事がある。来し方行く末に思いを巡らせつつ、しばしの休息。

7/15/2011

[law] 光市事件の懲戒請求訴訟、最高裁で棄却

一審での前面敗訴から二審で半分になって、最高裁でついに橋下知事の全面勝訴。そもそも橋下氏側には業務妨害等の害意があったわけでもなく、制度の啓蒙をしたに過ぎないのであって、むしろその意図としては、弁護士制度、ひいては司法制度の適正な運営に向けられていた、すなわち公共の利益に資すると解するのが相当に思われるようなものだったのだから、当然と言えば当然の判決でしょう。

それに便乗して、単に安田弁護士はじめ当該弁護団を攻撃するためだけに懲戒請求を出した人達については、個別に業務妨害等に問われるべき場合もあるんでしょうけれどもね。もっとも、懲戒請求を業務妨害扱いしてしまうと、それこそ制度自体の否定になりかねないわけで、彼らとしては、自らの非を認めないのであればこうするより他は無かったんでしょう。

しかしだからと言って免責されるべきではないだろうと思います。そもそもの発端であった光市事件の弁護の時から、彼らの活動、言動は完全に常軌を逸していました。その内容は、如何なる責務を斟酌しても、正当とは到底言えないものだったのだから、本来社会正義の代弁者たらねばならない弁護士としては非難を受けるのは当然だったし、少なくともその非難は謙虚に受け止めなければならなかった筈なのです。そこで自己正当化に走って逆ギレ、責任転嫁の挙句に訴訟にまで及んだ時点で、訴訟の行方がどうであろうと、もはや弁護士として不適格である事は明白でした。遅きに失してはいるけれども、この期に及んでは、速やかに除名等の処分が下される事を願う次第です。

橋下知事に賠償責任なし 光市事件の発言巡り最高裁判決

[law] 賃貸更新料有効の最高裁判断

高裁までの流れをぶった切っての有効判決が出ました。任意による契約の要素である以上は原則有効、というだけの事ですね。慣習的にも広く認められてもいますし、更新料を一方的に値上げするだとか、特段不合理とすべき事情があれば別なのでしょうけれども、本件に関してはそのような無効とすべき程の事情はない、という事で、それはそれで妥当な判断のように思われます。

本件自体はそれで良いと思うのですけれども、過払いに続く特需を期待していた弁護士及び書士業界の中には、それなりにショックを受けたり落胆したりする向きもあるでしょう。でも影響があるのはそれくらいかも。要するに現状維持ってだけの話なのですから。個人的には、関西あたりの2ヶ月分以上が当たり前っていう更新料は、一時的な支出として高すぎるとは思いますし、月々の賃料に分散させた方が賃借人としては支払いやすいだろうから、双方にとって便宜だろうと思うんですけどね。

賃貸住宅の更新料「有効」 最高裁が初判断

7/13/2011

[biz] MRAM開発で東芝とHynixが提携

したとか。長年の間、実用的な容量での製品化の目処が立たず、開発費を浪費し続けた挙句、殆ど忘れられかけていたMRAMが突然の復活?です。本件における製品化のターゲットが2014年、三年後と短期的な話である点からして、何かブレークスルーがあったんでしょうか。今回の開発拠点はHynix側という事だから、あったとすればそれはHynix側なんでしょうね。で、東芝はそれに乗っかろうとしてる、と。それが本当なら歓迎すべき話であろうかと思われます。

ただ、それこそ数多の大手が長年挑戦し続けたにも関わらず、これまで製品化の可能性を見出せなかった、殆ど幻の技術と言ってよい程の大容量MRAM、その開発の高い難度に加え、元々さほど開発力があるわけでもなく、しかも経営的には瀕死状態というHynixの状況からすれば、どうにも胡散臭い感が否めない所です。公的資金獲得のための見せ玉的な何かのような気がして仕方がない。実際、三年で出来る事なんて、生産技術の改良ぐらいがせいぜいだし、基礎技術の研究開発は既にあらかた終わってないといけない話なのだけれど、その辺の話が殆ど聞こえてこないのは、如何にも不自然に思われるのです。現在標準であるところのDRAM+NAND Flashと伍するには、少なくとも数十倍から数百倍、結構なレベルの飛躍的な改良が必要な筈なのにね。

大方の見方はそんな所であろうと思われるし、東芝もその辺は承知してるだろうから、怪しいけどとりあえず出来るって言うから眉唾で乗ってみた、という感じかもしれませんね。まあ、お手並み拝見です。

東芝、韓国ハイニックスとMRAM共同開発で合意
東芝、次世代メモリーを韓国大手と共同開発

7/11/2011

[biz law] いすゞのNOx規制逃れの件

泥沼化してるみたいですね。エンジン制御を工夫することで脱硝装置なしでもNOx排出規制をクリアした、として低価格・高性能を謳っていた車種について、確かに法定の試験ではパスしたけれど、都が独自試験で実際に走らせてみると3倍程度も超過する場合が普通にある事がバレたっていうあの件。6月にリコールしてた筈だったんですけど、当然ながら具体的な解決策はまだ見つかってないらしく、都の怒りがむしろ増幅されて、国に立法規制を求める事態に発展してるとか。

本件について、いすゞは意図的ではないと一応釈明してますけど、嘘である事は明白です。本件のNOx数値のような、まさに開発のターゲットであるところの数値について、開発過程でその特性を把握していなかった筈はありません。それもほぼ通常モードですよ?ありえない。おそらくはむしろ逆、ごく一部の理想条件下以外では全く意図通りの性能にはならない、そういう技術である事を承知の上で、試験に通るようにチューニングした、というところかと。もっとも、そういう、試験向けにするその場しのぎの詐欺的な化粧というのは、往々にして建前と現実のギャップが激しい「画期的な新技術」を謳う技術の商品化にあたってはよくある事です。ただ、今回の3倍とかは誰が見てもやり過ぎ、詐欺認定されてしまうレベルなわけで、法規の強行性に照らしても、いすゞがあまりに無謀だったというだけの話なのでしょう。

リコールにあたっては、パラメタ調整とかエンジン設計の見直しとかで対策する、とかいう話ですが、そもそも基本技術が現時点で存在しない以上、まずもって実現出来る見込みも無く、仮に出来てもどれだけ時間がかかるのかも分からない、最低でも数年はかかる、そういう状況である事は間違いないし、まず無理でしょう。結局の所、大人しく脱硝装置を付けるとか、既存の実績ある技術を適用するしかないものです。馬鹿らしい。開発者も経営者もみんな揃ってその馬鹿さ加減の報いを受けるが良いのですよ。

東京都、NOxでいすゞに激怒

7/08/2011

[biz law] プログラマがsoftbank通信障害で逮捕

おお。エンジニアなら誰しも一度は想像する所の、制御コードへの時限爆弾埋め込み、それが実際に行われていて、さらに意図どおり爆発もしてた、とのことで。当然ながら業務妨害で逮捕された容疑者は当時関西ネットワークセンターで運営委託を受けていた会社の社員壱崎寿彦、鹿児島在住という事でいかにもソフトバンク系な感じです。

しかし、この種の悪意のあるコードの仕込みというのは、まっとうな開発体制であればコードのチェック、デバッグの過程で当然に事前発覚する筈で、そうなったら当然にクビだし犯罪者にもなってしまう、それが分かっているから大半のエンジニアは想像するだけで実行する事はないわけですけれども、この委託会社はそのチェック体制自体が無かったと言う事が明らかになったわけです。いかなる理由があろうとも、いやまあおそらくは単にその分の工数をケチってるだけなんでしょうけど、社会の基盤たる通信インフラのキャリアとして、極めて不適格であるものと言わざるを得ません。

いや本当に、何処の糞ベンチャーかと。大手系なら、ダブルチェック位当然やるでしょうよ。ソフトバンク側はチェックも含めて丸投げなんでしょうけれど、そのような体制であるという事自体、免許剥奪で当然なレベルの失態であろうかと思われます。実際に被害も甚大なわけですし。こんな体たらくで事業拡大とか、寝言は寝て言えと思うのです。

関西のソフトバンク通信障害、委託先の元社員を逮捕
不正プログラム仕掛けた疑い

7/06/2011

[biz] 九電が一般人を装って世論工作

原発の再稼働について、他地域とは一線を画す地元の推進っぷりで注目を集めている九州は佐賀県の玄海原発ですが、県民向けの説明番組で、一般人を装った再稼働賛成の意見メールを関係会社を通じて送る、ガチの世論工作をしていたと。しかし即バレ、シラを切ろうとするも当然逃れられず、あっという間に追い込まれてゲロ。慣れない事はするもんじゃありませんね。

まあ、これだけ全国的に原発sucksな状態であそこだけ、しかも他と比べても老朽化が指摘されているにも関わらず、地元も含めて賛成に傾いていたのはいかにも不自然、政府・九電の仕込みっぽい感じの違和感が強くあったわけなので、やはりそういう事情でしたか、とむしろ納得出来る話ですけどね。しかし政府側はいつもの通り首尾一貫せず、苦し紛れのストレステストの話が持ち上がって、それを受けて佐賀県知事が判断先送りを表明したのに合わせて出た本件、いや政府も地元も本件が出たから転換したのかなとも思いますけれども、いずれにせよ再稼働の話はこれで完全に終わったものと思われます。ただ、社会的には稼働する前でまだ良かったという所でしょうか。

政府・自治体との関係で言えば、九電は梯子を外された恰好に近い感じですけどね。でも主犯には違いないし、同情の余地はないのです。課長の独断という事にしようとしてますけど、通りませんよそんなの。もっともそれは政府・自治体側にも言える事で、関与の度合いは今ひとつよくわかりませんが、揃ってその浅薄な愚行の報いを存分に受けるが良いのです。

大体、複数の子会社にまるごとメールで指示って、どうしてそれでバレないと思ったのか。あるいは何も考えていなかったのか。いずれにしろ恐るべきレベルの馬鹿だという事は間違いないところでしょう。速やかに路頭に迷われるのがよろしいかと存じます。

九電:「原発賛成」やらせメール 関連会社に依頼