9/26/2022

[pol] 地獄へと加速するロシア

隣国ウクライナへの侵略の失敗が確実になりつつあるロシアですが、現実を受け入れて戦争の終わらせ方を模索する、などという理性的な行動に移る事は当然なく、それどころか無謀な戦力追加を試みているそうで。

直近では30万人とも120万人とも言われる予備役の徴兵を決定し、逃亡や降伏への罰則を大幅に加重して脅しをかけた上で対象者を強制的に連行しようとしているとの事。

大本営発表が通用した時代は遥か遠くに過ぎ去りました。個々人がそれぞれに戦況をつぶさに知りうる現代にあって、当然ながらその悲惨な状況を知っている徴兵対象者は、死地へ送られる事を回避すべく、ある者は逃亡を試み、ある者はわざと負傷する事で対象から外れようとし、逮捕される事がわかっていても抗議のデモを決行する者さえ少なくないとか。徴兵事務所が襲撃される事件すら起こっているそうです。そこまで行くとほとんどパルチザンですね。

無論、それらの行為に対する取り締まりは苛烈に行われているようですが、取り締まり及び逮捕者の管理に多数の官憲を動員しているのを見ると、本末転倒にしか見えません。まずその官憲を戦場に送るべきでは、と。

それはともかく、徴兵です。今の時代に。あの状況で。なんというか・・・わけがわかりません。その是非は論ずるまでもありませんが、それ以前に、戦闘に消極的どころか拒絶の意思が明確な者を戦地に無理やり連れて行ってどうしようというのでしょうか。まさか戦力になると本気で思っているのでしょうか。死にたくない、と怯えて逃げ惑う、無駄飯食らいの足手まといの類になるならまだましな方で、逃げるためにその支給された武器を上官等に向けかねないでしょうに。

ましてウクライナはもうすぐ冬。元より補給線は寸断され、物資も足りない。砲火に晒されずともそこに留まるだけで兵は死ぬ、文字通りの地獄になる事は明らかです。そこに無理やり放り込まれる哀れな素人たち。戦闘など出来る筈もなく、しかし食料や武装等の消費はその分増える。戦況の改善どころか、部隊をまともに維持する事も出来ないでしょう。

このまま行けば、第二次世界大戦でかつてソ連へと侵攻したナチスが見た地獄、かのスターリングラードをロシア自身が今度は逆の立場で繰り返す事になる、そういう未来が見えるのは私だけではないでしょう。ロシア軍の中にもその最悪の、しかし間近に迫った結末を恐れる者がいない筈はありません。生きて帰る事が出来るのかも不明で、運良く生還出来たとしても得られるものは何もない。地獄へ向かっている事は明らかなのに、止まる事が出来ないどころかむしろ加速しようとする。まさしく阿呆の所業です。もうどうにもなりませんね。

9/23/2022

[note] 自転車のブレーキ交換修理

愛車のブレーキの交換等をやりました。その記録です。

対象の自転車はフラットハンドルのクロスバイク型です。が、材質やコンポーネントのランクは最低、すなわち実質はママチャリと同じ、いわゆるルック車というやつですね。前カゴも泥除けもあり、変速機はついていますが、後輪側に6段のものだけ。フレームの剛性等スポーツ車にあってしかるべきあれこれは無きに等しい、紛うことなき安物。でも街乗りする分には問題なく、むしろ安物だけあって盗難に遭う心配等もあまりせずに済むので、かれこれ10年以上に渡って愛用し続けて来ました。

それなりに大事にして来たつもりですが、それでも流石にこれだけ長く乗っていると、故障が生ずるのも避けられないわけで、今回はそれがブレーキだったということですね。実のところ、大分前から後輪側がブレーキを強く効かせた時にキーキーと甲高く不愉快な音で鳴くようになってしまっていて、何とかしたいなあと思っていたところに、加えて前輪側のブレーキワイヤーが切れかけてしまい、この際だから両方交換するかとなったわけです。作業内容は、前輪側がワイヤーとブレーキシューの交換、後輪側がブレーキユニットの交換です。後輪側のワイヤーは特に問題なかったのでそのまま。

ちなみにというかこれは余談ですが、音が鳴る原因について少し触れておきます。後輪のブレーキはバンドブレーキと言って、その名の通りバンド状のゴムで車輪に固定されたドラムを締め付けてそこに生ずる摩擦力により車輪を制動する仕組みになっています。このゴムバンドがゴムなので経年劣化により硬化・摩耗してしまい、摩擦時に滑るようになってしまうのですね。これはゴムバンドを使っている以上避けられない構造的な事象なわけで、これを解消するにあたり、単に新品に交換するだけだと、またしばらくすれば再発する事は必至です。であれば、音が出ない、あるいは出にくい構造のものに交換した方がよい、という事になります。

ただ、交換先のブレーキには、当然ながら物理的に元のバンドブレーキと互換性がなければなりません。スポーツ車で一般に使われるリムにシューを当てるようなタイプは無論駄目ですし、そもそもの目的からして鳴きが出にくいタイプでなければなりません。そうなると、選択肢としては事実上サーボブレーキ一択になります。

サーボブレーキは、バンドブレーキを最初に開発した唐沢製作所がその欠点を改善した互換品として開発したもので、開発元自らが用意した互換品だけあって見た目の構造はバンドブレーキと同じですが、その中の構造がバンドブレーキとは逆、すなわちドラムの内側から円環状のブレーキシューを押し付けるタイプのブレーキです。バイクではおなじみなタイプのブレーキですね。

名称中のサーボ、というのは、ブレーキシューとドラムが接触する際に生じる摩擦力がフィードバックとなって、ブレーキシューがさらにドラムに押し付けられてより制動力が増すという点でサーボ的な動作をする、というところからつけられています。本来のサーボの定義であるところの出力値と目標値との差に応じてフィードバック制御をかける挙動とはいささか異なるように思いますが、それはともかく、制動力と耐久性の双方に優れる方式で、摩擦音も低め。ただ、バイクに乗る人ならば分かるでしょうけれども、ブレーキシューが摩耗すればキーキー音が鳴るようになる事もあります。あくまで摩耗しにくい、摩耗しても高音は鳴りにくい、というだけの話ですね。自転車であれば、必要な摩擦力がバイクよりは格段に小さい分、摩耗もしにくいでしょうから、そこまで心配はしなくてもいいのかもしれませんけれども。

斯様に素性良さげなサーボブレーキですが、実はあまり普及していません。価格ではバンドブレーキの方が安いためコスト優先の低価格帯ではバンドブレーキが採用され、一方で高級車にはサーボブレーキ以上に鳴きが生じにくく、かつ密閉性も高く雨風等環境の影響を受けにくいローラーブレーキが主流だからです。特に電動アシスト自転車はモーターを回生ブレーキとして利用する(事を想定する)構造と相性のいいローラーブレーキ一択ですね。そしてローラーブレーキとバンド/サーボの両者間には構造的な互換性がありません。というわけで、サーボブレーキはほとんどバンドブレーキからの交換にしか使われていないのですね。その割には部品一式で1500円〜2000円程度と安い事もあって、今回のようなバンドブレーキからの変更・交換に際しては事実上唯一の選択肢と言ってよいというわけなのです。

なお、ローラーブレーキへの変更は不可能ではないのですが、あまり現実的ではありません。というのも、ローラーブレーキは車輪のハブ内にブレーキシュー等が埋め込まれる形式なので、ホイールも交換する必要があるのです。ということはギヤやらタイヤチューブやらあれこれ移植もしなければならないということで、費用も手間も跳ね上がりますから、元々安物の自転車のブレーキのためだけにそこまでするというのは流石に割に合わないというか本末転倒というかなので、それなら本体ごと買い替えた方がいいでしょう。

前置きはここまで。作業開始です。後輪に手をつける前に、前輪を片付けます。簡単なので。前輪については、ワイヤー交換とついでにブレーキシューを交換。これは至極簡単なので詳細は省きますが、調整が二度手間にならないよう、先にシューを交換しておいてから元のワイヤーを取り外し、交換用のワイヤーとその保護チューブをそれぞれ元と同じ長さになるように切断して取り付けるだけです。後はワイヤーの固定位置を調整しておしまい。ちなみに、下図のような感じになっていました。図は交換の途中、ワイヤーを取り外すところです。半分ぐらい切れていますね。所要時間は15分程度でしょうか。

しかるのちに本命であるところの後輪ブレーキの交換です。 下図が元の状態。黒いキャップの下にシャフトとボルトがあります。元に戻す際に必要となるシャフトに留められている部品の順番は、外側から順に[キャップ]-[ボルト(15mm)]-[ワッシャ]-[泥除け]-[スタンド]です。

反対側は下図。こちらの順番は、同じく外側から[キャップ]-[ボルト]-[ワッシャ]-[泥除け]-[変速機ガード]です。

それぞれ順番をメモしてから、車体を逆さまにして両側ともキャップを取り、レンチ(15mm)でボルトを外し、泥除けやスタンド、変速機ガード等を順次外します。言うまでも無い事ですが部品はなくさないように管理します。


 
同時に、ブレーキユニットのワイヤーとユニットをフレームに固定しているボルトを外します。この機種ではワイヤー一箇所とフレーム側二箇所ですね。ワイヤー固定部は10mmのレンチ、フレーム側はプラスドライバーで外します。

これで車輪がフリーになったので、引き抜きます。この時、変速機が干渉しにくいよう、シフトは一番外側(ギヤ比が重い方、この場合は6速)にしておきます。チェーンや変速機ユニットを少し引っ張りながらやると抜きやすいでしょう。

引き抜けました。ブレーキユニットはナットで留められているので、ナットをスパナ等で外してから取り外します。
ちなみに取り外したバンドブレーキの内側はこんな感じ。まだそれほど摩耗しているわけではなく、ブレーキとしての機能自体には問題なさそうですが、それでも音がひどい、というのはやはり元々の構造上の問題なのでしょう。ともあれ長い間お疲れ様でした。
ブレーキ本体を外した車輪側には、まだドラムが残っています。このドラムはサーボブレーキのドラムと似ているもののサイズ等が異なるのでこれも交換しなければならないのですが、これを外すのが最難関。長年ブレーキの制動力を受け続けて来ただけあって、締め込まれ方が半端ではなく、例えば手で回そうとしてもびくともしません。
当然というか、このドラムの取り外しには、専用の工具が存在します。HOZANのC-349という、バイク用のY字ホルダーと同様の形状の工具です。通称ドラム抜き。一般のY字ホルダーとの違いはその剛性と柄の長さ。Y字ホルダーの方が一般に安価なので、それで試してみる人も多いようですが、剛性が足りず工具のほうが壊れてしまう事も多いそうです。南無。経験上、この種の専用工具は代用品で済ませようとすると碌な事にならないので、私は最初から大人しくこの工具を使うことにしました。4000円強。もしかしなくてもこの作業での一番の出費です。とほほ。ともかく、それを下図のような感じでドラムの穴にセットします。
で、車輪を立てて、体重をかけてぐいっと。やはり固いですが、流石に専用だけあって工具が負ける事はありません。容赦なくぐいぐいと力を強める事しばし、ようやく回ります。
回りだしたら後は手でも問題ないので、くるくると回します。
取れました。
取り付けに移ります。サーボブレーキ一式が下図。
ドラムを取り付けて、

 本体を取り付けます。ちなみに本体の内側は下図のようになっています。半月状のブレーキシューが外側についた部品が2つ、Cの字というかパックマンのような形になるように配置されていて、その片方が軸に留められています。軸の反対側、パックマンの口にあたる部分に挟まっている台形状の金属部品はワイヤーを引くと回転するようになっていて、これが回る事でパックマンの口が拡がって円の半径が大きくなり、外側のブレーキシューがドラムに押し付けられて摩擦力を生ずる、というわけです。まんまバイクのものと同じですね。自転車の部品としてはかなり重たいのが欠点ですが、その分制動力も耐久性も高い事は間違いありません。
これを車輪に取り付けます。ナットを忘れずに。
本体に戻します。チェーンを外側のギヤにかけてから押し込みます。この時、ブレーキユニットが所定の向きになるように調整しておくとよいでしょう。後から回そうとするとフレームに干渉する場合があり、そうなるとフレームに傷がついたり、やり直す羽目になったりしますので。
外した際と逆の順番で変速機ガードや泥除け、スタンド等をシャフトに差し込み、ボルトで留めます。後の調整時に緩めるのでここでは軽くで。
ブレーキユニットをフレームに留め、ブレーキワイヤーを取り付けます。こちらも後で調整するのでどちらも仮留めで。ワイヤーにはスプリングを通すのを忘れずに。通した後でワイヤーの後端にはピンをカシメておきます。

最後に調整。調整するのは2点、車輪の向きと、ブレーキの効き具合です。まず車輪の向きについて、後側からフレームと車輪が綺麗に並行になるように合わせて車輪のボルトを固定します。車輪を回してみたりして、フレームの向きとズレがないか確認し、ズレていれば合うように調整し、よければボルトを締め込みます。

次いでブレーキの調整。ブレーキの調整は2段階になります。1段目は、車輪を回転させながらブレーキユニットのネジ(緑色のシールがはられている部分から出ているネジ)をドライバーで回して、シューシュー摩擦音が鳴るポイントを探り、そこから少し緩めて音がしなくなるところに設定します。2段目はワイヤーの調整。一旦ワイヤーをフリーにし、ワイヤーがピンと張る位置でワイヤーを固定します。実際にブレーキレバーを引いてみて、緩すぎずきつすぎずの良い感じになっていればOK。でなければワイヤーの固定位置を少しずらしてまた固定、を繰り返して合わせます。一発で綺麗に出来る事は稀でしょうけれども、一番大事なところですので、横着せずに満足行くまで根気よく合わせます。

下図は取り外したバンドブレーキの部品です。サーボブレーキに問題が生じた時は戻せるよう、本体も含めて一応取っておくのがよいでしょう。
調整が終われば出来上がり。作業完了お疲れ。試しに乗ってみると良好な効き具合です。急な坂を降りる際に強くブレーキをかけても甲高い音が鳴ることもありません。やはり音は大事ですよね。

以下は感想です。

作業自体は適切な工具(特にドラム外し)を準備していれば特に困難なところはありません。所要時間はおよそ1時間前後でしょうか。ドラム外し用の工具が高価で、しかも他の作業等に流用する事も難しい、というのがネックになるので、誰にでもおすすめ出来るものではないのですが、自転車やバイクをいじるのが好きな人であればとても楽しい一時になる事は間違いありません。私はとても楽しかったです。愛車が鳴かなくなる実利もあり、準備等がそれなりに必要な分、作業後の達成感等は小さくはないでしょうから、余裕があればチャレンジしてみるのも一興ではないでしょうか。それでは今回はこの辺で。

9/15/2022

[law] 東京五輪の贈収賄事件、その軽々しさに引く

東京五輪でのスポンサー選定に関する贈収賄の件、順調に摘発が進んでいますね。普段は立件が難しいだとか色々意味不明な言い訳をして摘発をしないのが常だった検察にしては珍しい話で驚きました。贈賄は3年、受託収賄は5年の公訴時効が迫る中、急がなければ起訴出来なくなる、という事情はあるにしても、ここまでの積極的な姿勢は長らく見なかったレベルである事は間違いありません。

その姿勢の変化の理由は、やはり検察・警察を含めた司法組織の弱体化を強力に進めた安倍元首相の暗殺、それにより後ろ盾を失った向きからの圧力が緩んだか、あるいは検察の側でもう横槍が入らないだろうという見込みが得られたからなのではないかと推測されるわけですが、果たして。そのあたりの事の真偽はそのうち明らかになるのでしょう。

現時点で、収賄側は五輪組織委元理事かつ元電通の高橋治之容疑者、贈賄側はAOKI会長の青木拡憲容疑者に同副会長青木寶久容疑者、同執行役上田雄久容疑者、KADOKAWA会長の角川歴彦容疑者、同元専務の芳原世幸容疑者、同担当室長の馬庭教二容疑者が逮捕されている他、広告代理店の大広と駐車場大手のパーク24の2社には家宅捜索、さらに参考人として当時の五輪組織委員長だった森喜朗元首相を含めた多数の関係者に聴取を行っているそうです。その他にも、同様の容疑がかかっている60社以上のスポンサー企業についても捜査が進められているとの事。その中心にいる筈の電通本体の名前が聞こえてこないのは腑に落ちない気もしますが、それはともかく。

本件は既に大変な規模になっています。が、五輪の規模、性質から見て、現時点での検挙対象が氷山の一角であり、同様の犯罪に手を染めていた者が他にも多数いるだろう事は疑いようのない所でもあるわけで。まだ始まったばかりと言っても良さそうで、時効が成立するまではまだまだ摘発が続くだろう事も必至。規模・範囲の大きさ広さに加えて厳しい時間制限もあるという事で、摘発する検察も大変でしょうけれども、長らく役立たず同然であった鬱憤を晴らす意味も込めて、是非とも頑張ってもらいたいところですね。

ところで、そもそもの話、贈収賄は著しく公益を損なう重罪なのです。少なくとも、やってはいけない事である事は誰もが知っている事で、通常の倫理があれば忌避して当然の行いです。にも関わらず、これだけの、それなり以上に社会的な地位もある面々が大勢、軽々しく(としか思えない)手を染めている様は一種異様な感がありますね。五輪が商業化しているにしても、だからと言って贈収賄だ、とは普通ならないわけで。

名前の上がっているメンツを見ても、高々数億円の協賛金を値切らなければ払えない、という事もないだろうし、罪を犯す必要性というか必然性もそんなに高くないと思うのですが。無論、数億円は安くはありませんが、犯罪に手を染めてまでして得られる利益としては釣り合わないと思うのですよ。でもこぞって軽々にやっている。そこがどうにも気持ち悪いのです。皆が皆、その辺りの倫理観やらもとっくに失くしてしまっていたというだけの事なんでしょうけれども・・・。正直ドン引きです。これも現在の日本の偽らざる有様という事なんでしょうかね。なんとも無残な話です。

KADOKAWA会長を逮捕 五輪組織委元理事に贈賄容疑 東京地検

9/03/2022

[note] ubuntu 22.04LTS へのアップグレードで snap がネックになった話

久方ぶりのubuntuアップグレードの話です。20.04LTSから22.04LTSへ。server版です。22.04LTSはJammy Jellyfish、運の良いクラゲさんですね。デスクトップ版は既に複数アップグレード済みですが、LTSの最新版が出てから暫く経ち、サーバーの方もそろそろいいだろう、という事で。

何はともあれまずバックアップ。partclone等を使ってドライブをまるごとイメージ化します。しかるのちに、アップグレード。なお、serverはLTS版のみを採用するのが普通だと想いますが、そのニーズに対応して、LTS版からLTS版へは、中間をすっ飛ばしてアップグレードする事が出来ます。/etc/update-manager/release-upgrades中のPromptをltsにしておけばOK。確認後、do-release-upgrade です。

で・・・警告からエラー発生、のち中断してそのまま起動不可に。ぐえー。いくつかのパッケージのインストールに失敗していました。何に失敗したのかというと、悪名高きsnapです。 snapはcanonicalが開発、導入したaptに代わるバッケージ管理システムで、Firefoxやchromium等のブラウザ中心にaptからの移行が進められています。ubuntuでは21.10から既に採用されているのですが、LTS版としては22.04が初という事になるわけですね。

問題は、snap関連は通常のubuntuとは別のサーバで管理がなされていて、snapd自体から各種パッケージまで、そのインストール等をするには、専用のサーバにアクセスする必要があるのです。で、私のサーバーではホワイトリスト的なアクセス制御設定をしていて、アップデートの際にはその都度リポジトリのサーバーにアクセス許可を出すやり方を取っているのですが、新規に追加されたsnap関連サーバは当然含まれておらず、従ってアクセスできない、という事で失敗してしまったのです。

無論、snap関連サーバにアクセス許可を出せばいいだけの話なわけですが。ここで許可を出すべきサーバを調べるのに一苦労です。ほとんど情報がない。まあ、クライアント運用する場合はそもそも細かいアクセス制御なんてしないだろうし、そんな情報を必要とする人自体少ない、という事なんでしょうけれども。サーバーの管理には必要な情報だと思うんですけどね。。。

ともかく、四苦八苦する事数時間。結果から言えば下記ページに記載されているサーバにアクセス許可を出せばよい事がわかりました。

https://snapcraft.io/docs/network-requirements

具体的には、

public.apps.ubuntu.com 

storage.snapcraftcontent.com 

canonical-lgw01.cdn.snapcraftcontent.com 

canonical-lcy01.cdn.snapcraftcontent.com

canonical-lcy02.cdn.snapcraftcontent.com

canonical-bos01.cdn.snapcraftcontent.com

cloudfront.cdn.snapcraftcontent.com

です。なお、必要なポートは全て443。リスト中、deprecatedとしつつも記載されているfastlyから始まるサーバーも一応追加してみましたが、既に存在しないようです。ので除外。

これらにアクセス許可を出します。例えば、私はiptablesを使用しているので、それぞれ

$ sudo iptables  -I INPUT -p tcp -s [各サーバー] -j ACCEPT

等としてやるわけですね。今後も繰り返し必要になる筈なので、スクリプトにして。

で、バックアップから失敗前の状態に戻し、上記アクセス許可を出してから再実行。

すると、今度はsnap関連でエラーを吐くこともなく問題なく進みます。時折各種変更済みの設定ファイルを保持するか聞かれるのに全てN(保持)と応答することしばし。無事完了しました。おつかれー。

<付記>

ちなみに、今回の件でsnap関連の情報を漁っている時に少し気になった事がありまして。何かというと、snapの評判ってすごい悪いんですね。あらゆる意味で。

私のようにサーバー運用をしている身からすると完全に余計な手間が増えただけなのだから当然なのですが、そもそもアップデートすると環境との不整合からクラッシュするようになったり、パッケージ管理システムとして不完全なところが多々あって、ユーザーのみならず、当の開発・管理の側からも非難轟々なんだそうで。

そういえば、デスクトップでsnap版のfirefoxやchromiumを既に使ってはいるのですが、当初は頻繁にアップデートしろしろとメッセージが出て鬱陶しかったのが最近は出なくなったように思います。これはアップデート時のリスクから、そもそもアップデートを提供しにくくなった、という事なのでしょうか。だとしたら本末転倒ですね。

それはともかく、確かに現状snapが導入されてプラスになった点、またこれから期待できる部分があるかというと、少なくともユーザー側から見れば皆無だし、管理システムが併存している以上、ベンダ側からしても管理すべきシステムが複雑化しただけでしかないのでは、と。これでは悪評が出るのもむべなるかな。

もっとも、これまで、Canonicalが独自の機能やらアプリやらの開発に手を出していい結果になったためしがないので、その辺のsnapに関する悪評を聞いても正直またか、と思うだけではあるのですが。改めて余計な事はしないで頂きたいと願いつつも、きっと懲りないんだろうなあと。ほんと残念な企業ですね。 もう諦めてますが。