3/29/2013

[biz] NEC、PCに続き携帯もLenovoへ

正確にはNECカシオの譲渡という事で。それもまだ交渉中とのことではありますが、PCや液晶の例からすれば、こうして報道された時点でほぼ決まりなんでしょうか。一時は国内携帯市場で圧倒的に優位なポジションを誇り海外進出に野心も見せた栄華も既に遠く、ここ数年は国外はおろか国内で上位5社にすら漏れる衰退にあって、あえなく訪れた消滅、その有様の対照は改めて見てもあまりに激しく、盛者必衰の無常をまざまざと感じさせます。

もっとも、携帯で隆盛を誇ったと言ってもその期間はさほど長くもなく、またパナソニック等同程度の存在感ある競合も複数あって、あくまで携帯の発展普及期の一要素に過ぎなかった同事業ですから、分野そのものの象徴だった同社PC事業売却の際程には喪失感も強くはないかもしれませんけれども。それでもユーザ数は数千万にもなるし、デバイス自体が日常的に接するものですから、愛着を感じていた人も相当多数いて、その大半は、よりによって安かろう悪かろうの象徴たる中国企業に、と残念に思うことでしょうね。

同事業の今後については、PCの例に習えば直ちに消滅するわけではないでしょうけれども、それはPCではそれなりのシェアがあったからであって。Lenovoの通信デバイス事業は少なくとも国内向けは殆ど無に等しい状況ですからベースの部分としては残るでしょうけれども、相当の整理にかけられるだろう事は間違いなく思われるところです。PCの時もそうでしたけれども、社員の皆様方におかれましては語学にしろ転職にしろ、適宜次の生活の準備に努められるのがよろしいかと存じますが、いずれにせよ幸運をお祈り申し上げます。

あと、周辺技術の扱いも少し気になります。音声認識やらそれを使った翻訳とか、長年NECが優位を持った、しかし現状携帯周りにしか出口のないメディア技術とかも一緒に売られちゃうんでしょうか。まあ他社でもそれなりに開発されて来たし、今となっては特別価値のある技術というわけでもないんでしょうけれども。どちらにせよNECは結局それら技術を生かす事が出来なかったのは事実で、それをレノボが生かせるというなら悪いことでもないんでしょうしね。

しかし景気の悪い話ばかり続きますねえ。

NECが携帯事業再編で中国レノボと交渉 PCに続き事業統合か
NEC、レノボと携帯事業の統合交渉 

[過去記事 [biz] NECの事業売却が進行中、今度は液晶 ]
[過去記事 [biz] NECのPC事業譲渡成立 ]

3/28/2013

[biz] ルネサスと富士通でまた大規模リストラ

示し合わせたかのように。ルネサスでは新たに3000人、富士通では旧電子デバイスの富士通セミを中心に国内2300人。富士通の方は既に公表されていた計画の一部という事で特段の驚きがあるわけではありませんが、結果的に先般のロジック統合破談、その後始末という恰好になって、より残念な意味合いを帯びてしまいました。あと、欧州の富士通テクノロジーソリューションズで1500人。こちらは旧独Siemensの人達が切られたということで、被買収事業の悲哀を感じさせます。

ルネサスはスマホやタブレットでのシェア獲得に失敗したし、さらに弱小たる富士通セミは得意先の分野が悉く斜陽で言わずもがな。FTSも新旧の製品分野を問わず規模面の不利を覆す事も出来ず。と、要するに昨今のパーソナルデバイスを巡るパワーバランスの急激な変化の中でポジションの確保に失敗した面々、その残酷な末路とも解釈出来そうです。

しかしね。それでも人切りはやはり愚策です。少なくとも、事業を継続するつもりがあるのなら。リストラの目的は無論人件費削減による事業の採算改善ですが、それと引き換えに先端技術メーカーにとって生命線であるところの開発力等を失ってさらに状況が悪化するだけ、そういう指摘は既に山ほどなされ、実例も枚挙に暇がありません。もはや常識と言えるほどです。なのにどうしてこう短絡的に人減らしに走るんでしょうか。不可解というか、残念でなりません。もっともR&D面は完全にネタ切れ、賭ける資金も全く足りず、しかし社内組織と社員はあらゆる面で官僚化や硬直化が進んで機能不全を来し、適宜適時のアクションを起こす事すら期待し難い現状を鑑みれば、政治的な思惑は別にして事業自体の力で見れば現状を覆す可能性はもはや皆無と言わざるを得ない状況ですから、既に匙を投げて延命に専念する他ないと諦めた結果の施策なのかもしれませんが。であれば、本当に救いのない話です。

残念です。この種のニュースに接する度にいつも感じる事ですが、やはり今回も。

3/27/2013

[biz] GSユアサ製自動車用リチウムイオンバッテリー発火

EV、PHV等、車用のリチウムイオン電池で発火事件が発生したと。当該電池は三菱向けGSユアサ製、国内の主要メーカーの車ではこれまで同様の事象は殆ど確認されていなかったところ、長らく懸念されたバッテリーの発火リスク、それがついに顕在化してしまった事になります。もっとも、同様の発火事象は、そのエネルギー密度の高さから、携帯デバイス類から先日のBoeing787まで、ほぼ全ての搭載製品で起こってきたものですから、容量も使用環境も従前のそれと同等以上に厳しい車用でこれまで特筆する程の事象が発生しなかった、その事の方が奇跡的だったというべきなのかもしれませんけれども。

既存例として車で同様のバッテリーの発火トラブルが大きな問題になったのは米GMのVolt位ですかね?ただあれは一応建前としては事故後の場合だった筈ですから、工場内で未使用の個体から発生した本件では、問題の規模、深刻さが全く異なってしまうわけで。損傷が無くとも製造段階から、すなわち全個体が同様に発火する可能性がある結論になるんですよね。特定ロットの製造ミス等が確認されれば範囲が限定されますが、まだ原因も判っていないようですし。しかし発表してしまった以上は予防措置すなわちバッテリーのリコールを実施せざるを得ないだろうわけで、一個数百万にもなるリチウムイオンバッテリーの価格を考えると割と洒落にならない事態に思われるところです。

とはいえ、EVにしろPHVにしろ、リチウムイオンバッテリーを搭載した車種の販売台数は幸か不幸かさほど多くはないし、従って全交換でも高々数百億程度の損失で済むでしょうから、現時点でそれほど大騒ぎする必要はないんでしょうけれども。少なくとも三菱は。ただ、部品メーカーとして他ユーザーからも同様の懸念と保証やら補償の要求を突きつけられるだろうGSユアサだけは本気で洒落にならないかもしれませんね。只でさえ787の件で危機なのに。まあでも懸念はされてた事ではあるし、それでビジネスをやってる以上はこういう事態への対応も当然の義務、適当に誤魔化して後々大惨事、なんて事だけは避けて頂きたく願うところです。本当に。

三菱自、EVやPHVのリチウムイオン電池で発火・発熱

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リコールも視野に、と三菱経営陣。まあそうですよね。とりあえず直接の該当車種であるハイランダーPHVとiMievは止めるそうですけど、さてどこまで延焼するか。隠さなかっただけ三菱も少しは進歩した、と思いたいところですが、実は隠しきれないと判断せざるを得ない程の事象が裏にあるんじゃないの、というような懸念も禁じ得ないあたり、一度失った信用というのは回復しないものなのですねとしみじみ思います。

三菱自取締役、PHEV「リコールの可能性ないと言えない」

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関係者もメディアも焦っているのか五月雨式に情報が流れていて少々げんなりします。 とりあえずユアサの製造ラインに責任をなすりつけようとしている様子ですが、製造段階で不良品が発生するのは当然の話、その選別も当然なされていなければならない筈で、本件のような納品後の異常はそこで不良品を通してしまった品証の責任だと思うんですけど、ユアサがどういう体制なのか少々疑問を覚えます。検査が難しい事情はあるんでしょうけどそれは言い訳になりませんし。あと、787のバッテリーとは工場も構造も違うから関係ない、とか言ってるそうですが、それだとむしろ逆に工場によらず製造方法とか検査体制とか基本構造そのものとか、製造ライン固有の不備より遥に深刻な問題があるものと解釈せざるを得なくなってしまうわけなんですが、いいんでしょうかそれで。いや良くないんでしょうけど。大分錯乱してる感じがしますねえ。

三菱自、原因は供給元製造ラインでの問題の可能性 電池発火

[過去記事 [biz] リチウムイオン電池採用EVの地雷性 ]

3/25/2013

[law] 衆院選、高裁で無効判断

ついに出ました。衆院選小選挙区の選挙無効判決が。他の高裁では、違憲としつつ有効と判断する、という不合理極まりない、要するに前回の最高裁判例をそのまま踏襲するだけの判決が続き、高裁では判例の変更には踏みきれないのかと絶望に沈みつつあったところですが、よく覆してくれました。今や現状の票格差は明確に違憲である以上、論理的整合性の点から当該選挙の無効も当然の結論である事は今更論ずるまでもなく明白、法の下の正義と平等を守る責務を果たす事の出来る裁判官がまだ残っていた事を素直に喜びたいと思います。それに引き換え他高裁判事の責務放棄っぷりには絶望しました。単に上級審の判例を踏襲するだけでかような矛盾を正そうともしない法廷など設置しておくだけ無駄ですし全員即刻辞任して頂きたく思います。

ともあれこれで最高裁で無効判断が出る可能性も飛躍的に回復したわけです。さすがに最高裁がかくも矛盾した判断を放置するとは考えたくないところですが、さて。果たして司法は健在であった、とそう安心したく、妥当な判断がなされ、この忌むべき現状が是正される事を心から願う次第なのです。

 昨年12月の衆院選は無効 広島高裁判決、広島1・2区
昨年の衆院選は無効 一票の格差訴訟で初判断 広島高裁

[過去記事 [pol law] 違憲状態での衆院選 ]

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広島に続いて岡山でも無効判決。大変結構な事です。

一票の格差、また違憲・無効の判決 衆院岡山2区

[biz law] キプロスを巡って漂う諦観

後り一日。結局残った選択肢は相も変わらず預金徴収と即時破綻の二つだけ、それも唯一の能動的な施策であるところの前者は利害関係者兼決定権者すなわち徴 収対象たる預金者にコンセンサスを取る見込み以前に交渉の準備すら出来ていないというのでは、もう事実上終了という事になってしまったんでしょうか。肝心 のロシアを蚊帳の外にしてすんなり終わる筈もないでしょうにねえ。それとも実は裏では打ち合わせ済みで、EUかロシアが突如手のひらを返し、結局全て茶番 でしたという事になるのか。市民としてはもうどうにでも勝手にしてください的な諦めの境地であります。

何か日本も含めUKとか当地以外の大半の地域では危機感が薄い、というかどうせ解決するんだろう的に殆ど関心すら持たれていない様子なのは不可思議ではあ るんですけど、まあ騒いだ所でどうにもなりませんし、気にするだけ無駄でしょうか。全体としてはそうでも個々人はそれぞれ、人が本当に絶望すると沈黙した り現実逃避に走ったりして却って騒がなくなるとか言いますし、本気で騒いでる金融関係者は既に狼少年的なポジションで一般には影響がないとかそういう可能 性も考えられますしね。いやもうシャレになってない事態のように見えるんですけど。うーん。

[過去記事 [biz law] キプロスの預金強盗法案否決に ]
[過去記事 [biz law] キプロスで銀行預金から強制徴収 ]

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合意した、って、結局10万ユーロ以上への預金徴収ですか。。。あと銀行の分割も加わってるみたいですけど、実質先週合意したのと同じなわけで。また同じ事の繰り返しになる事は分かり切ってる筈なのに何故。特に第2位のLaiki銀への預金徴収率は40%とかCyprusの議員も賛成しようがないでしょ う。ロシア人とかに殺されちゃいますよ。

Cyprus bailout: Deal reached in Eurogroup talks

・・・とか思ってたら、何か今回の対象は法的に保証のない預金者で、その場合には法の修正は不要なんだとかいう話も。本当ですかねえ。仮に本当でも政府や議会の面々が殺されて当然程度に恨みを買う事には変わりないんでしょうけど。

Why The Cypriot Parliament Doesn't Have To Vote On The Bailout Deal This Tim

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上記10万ユーロ以上への徴収等は本当にやっちゃう見込みだそうで。関係者には今からお悔やみ申し上げたい気分です。しかしEUの金融当局者は今回のこれを雛形にするとか言ってるらしいですが、本当ならもう言葉もありませんね。一定額以上のdepositは徴収対象と公認したわけでさ。それに、この件が始まってからこれまで、一連の措置はCyprusだけの特殊な話だって言ってた筈なのに。まあ元々それが本音で、なおかつそれを時も場合も後先も考えずに公言しちゃう、責任者達が揃いも揃ってそんなだからこそこういう事態になってるんでしょうけど。

3/23/2013

[IT pol] 中国が国産OSにUbuntuを採用

国外で作られた既存OSなのに国産ってのも変な話ですけど。

先般流れた中国の国産OSの件、実はUbuntuベース、っていうか要するにUbuntuの中華ローカライズ版でしたって話なんだそうで。具体的なバージョンはRaring Ringtailすなわち次期13.04ですね。13.04からはサポート期間が9ヶ月に短縮されちゃう筈ですけど、あくまでベースって建前だしそれはいいのか。しかしUbuntuは元から中国語にも対応してたんだし、それに少々のアプリやIMEを追加したりして多少アレンジする程度の話、これを国産OSとして発表しちゃう恥ずかしさ加減は中華らしいというか何というか。

もっとも、開発期間から考えれば、これかWebOSか、いずれにせよ外から丸ごと買ってくるしかありえないだろうと思われたところではありますし、組み合わせについても、WindowsにせよAndroidにせよiOSにせよ海外の企業にOSを握られ続けてきて、恣意的なコントロールが効かない状況を苦々しく思っていただろう中国政府と、最近携帯デバイス向けまでカバーしたはいいけれども全くユーザが集まらず、事態打開のためインパクトのある大口ユーザを欲していただろうUbuntu(Canonical)とで利害は概ね綺麗に一致していますから、中身自体にはむしろ自然な印象を受けますね。

ただ、ITと言えば何を措いてもまず監視やら統制やらから入る中国の事ですから、これでUbuntu向けに中国謹製のスパイウェアが増殖とか、さらに進んでUbuntu自体にデフォルトで監視機能混入とかいう話になると、っていうか多分になるんでしょうけれども、オープンソースだから適宜チェックも修正もなされるだろうとしても、それでもUbuntuユーザとしては警戒やら対応やら色々と面倒な作業を強いられて非常に迷惑な話になるだろう事も確実なわけで、Ubuntuのシェアが広まる事を歓迎したく思う部分とで挟まれて少々複雑な心境になるのも致し方のないところ。中国以外なら素直に喜べたんですけど。といって中国以外の大国が積極的に既存OSを捨てる判断なんかしそうにありませんし、なるようになれ、ですかね。

China chooses Ubuntu for a national reference OS coming in April

3/22/2013

[IT note] 或る食材の名誉毀損、その再来に

いや至極どうでもいい話なんですけどね。

スパムに代わってベーコンが生産性に与える影響が問題に、なんて話題が英国のITニュースサイトで上がってたんです。そんなの見たら、なんじゃそらと興味の一つも惹かれようというものでしょう。何?ありがちな朝食メニューネタのイングリッシュジョーク?とか思うでしょう。違ったんですね。いやそのネーミング自体は一種のジョークではあるんでしょうけども、いわゆるメールやらにおける有害メッセージの話でした。

欧米圏でポピュラーな豚肉加工食品であるスパムが、モンティパイソンにレストランでその名を連呼して客の注文を邪魔するネタに採用されていた事から何故か電子メール等における無承諾な有害メッセージの俗称として定着してしまった事は周知の通りですが、最近は正規サイトによるセール情報等の、従来のスパムの定義には当てはまらない、しかしユーザには無益なメッセージがメッセージリストを埋め尽くし、必要なメッセージへのアクセスを阻害する現象が近年認知され、かかる除外困難な無駄メッセージ群をよせばいいのにスパムの親戚的な意味でベーコンと呼ぶんだそうです。と、長い記事を途中まで読んで理解した時には、あまりのくだらなさに崩れ落ちそうになりました。

いやまあその、そういう新しい事象にわかりやすい名前を付ける益はあるんでしょうけど、スパムが加工肉だから類似品はベーコン、っていくら何でも安直すぎじゃないかと。まだ広まってはいないから実害はありませんが、もしスパムと同様の認知を得てしまった暁には、実際問題食材としてのベーコンのイメージが毀損される事間違いなしなわけで、しかも今回の場合はモンティパイソンのネタっていうエクスキューズもない殆ど純然たる名誉毀損になるわけでね?いや何を言ってるんだ私は。大体スパムの元ネタ自体日本では元々マニア以外には知られてもいない話だし。いやいや、特に日本ではスパムはそもそもマイナー食材だから関係ありませんでしたけど、ベーコンは違うわけだしそれなりに広い影響が出るんじゃないかしら、とか。無視すればいい?はいそうですね。でも釣られちゃったんだから仕方ない。一番の問題はジョークとしても全然面白くないところだと思いますが、名づけた当人は大満足なんでしょうねえ。ああくだらない。

Why your inbox fills with bacn instead of spam

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確認してみたら、ベーコンメールとか呼称自体は何年も前からあったようで、しかしとんと聞いた記憶もない程度には広まらなかったようですが。やっぱり面白くないからでしょうか。

[biz law] 条例での企業税に最高裁の違法判断

長らくその適法性が争われてきた神奈川県の臨時特例企業税条例について、完全に違法と断じる旨の最高裁判決が出たそうで。理由は地方税法で認められている欠損金の繰越控除を無効化する形で抵触するため。条例は国法に抵触する限りにおいて無効、という大原則に沿った概ね当然の結果という事ですね。

神奈川県は1700社から徴収した計約480億円を返還する運びとなり、しかし法定の利子がついて返還額は635億。法定利率の高さから対象企業には結果としていい投資になった格好ですが、その分県は只でさえ苦しい財政状況に加えての損失になってしまったわけで、しかしその責を帰せられるべき本法案の実現に関与した面々は事実上不問ですから、その肩代わりをする格好になった県民各位には何ともご愁傷様な話です。もっとも、議員を選出したのは他ならぬ当の県民、最低限の原則も理解していない無知な議員を任じたという意味で自業自得と言うべきところかもしれませんけれども。

ともあれ、国内有数の大規模自治体である神奈川ですらこの始末、この種の地方政治におけるお粗末な現状を見るにつけ、地方分権の非現実性を強く実感させられる次第です。当初から国政進出を必須の手段と定め、それを成功させた維新の会、その基盤たる大阪はほぼ唯一の例外でしょうけれども、だからと言って他の地域、また維新の現代表以外の首長に同様の知見や能力を期待する事は不可能だし、そもそも維新の会にしても結局の所頭にあるのは財源の奪取だけで肝心のその運用等については埒外な有様ですしで、仮に地方分権が成立するとしても遠い未来の話になりそうです。それが良い事なのか悪い事なのかは判断しかねるところですが、少なくとも地方に予算を与えて現状よりそう良くなる具体的な根拠は皆無ですし、あまり拘る必要もないって事ですかね。実際の所、維新ですら政党としては体を成してないんですし。

神奈川県、1700社に635億円返還へ 独自企業税に「違法」 最高裁判決

3/21/2013

[biz note] バブルの再来にげんなり

皆、そんなにバブルが好きですか。いや、ここ数ヶ月続くリスク資金の膨張について思う事です。市場に合理性や必然性等の理論付けられるメカニズムなどはなく、従ってあるべき未来も存在せず、ただプレイヤーの思惑が衝突しあって跳ね飛ばされた結果としての現状が事実としてある、それだけの事とは分かってはいるんですけれども。それでも、幾度と無く実際に体験を通して実証された数少ない決定的な経験則、すなわちバブルは必ず弾けて、得られた利益を上回る不利益が、無関係な人の所にまでまとめて降ってくる、そういう極めて認識が容易なものですら未だ全く考慮しようとしない面々で溢れかえる現状を見せつけられれば、さすがにため息の一つも吐きたくなろうというものです。

本日めでたくそういうバブリーな空気の象徴として就任した日銀の新総裁はさっそくその務めを果たすべくバブルを否定する発言をしたらしいですけど、あまりの白々しさにこちらもため息を禁じ得ません。今更一々指摘するのもダルい話ですが、企業の業績は一部セクターを除いて大半が回復の兆しすら全く見えず、マクロ指数も貿易赤字を筆頭に内外問わず絶望的なものが並ぶ中、それでも株式やREITやら各市場は狂ったようにひたすら上がりつづけているわけでさ。実体の裏付けがなく、単なる市場の思惑から起きた高騰自体が資金の流入させまた高騰、のループにある現状、これをバブルと呼ばない道理があるなら伺いたいものです。

目先の利益に目が眩み、都合の悪い事は無視あるいは過小評価する空気で満ち満ちて、いやそれ自体は各人、各社の勝手だし好きにすればいい話ではあるんですけど、逆転して"また"大損こいた時には、今渡こそ全部自分ら、すなわち市場で金のやり取りをした人だけで責任を取ってもらいたいとは思います。だけど、きっとそうなった時には、また被害者のふりをして他人に救済を求め、拒否しようとすれば逆ギレして脅迫とか自爆テロとかそういう迷惑な話になるんでしょう?もういい加減勘弁して欲しいんです。そんだけ。

3/20/2013

[biz law] キプロスの預金強盗法案否決に

大方の予想通りに否決されたようで。無論、可決されるよりは遥にマシな結果ではあるんですが、問題はこの法案の成立がEUからキプロスの銀行への金融支援の条件につき、全て白紙に戻って銀行が破綻一直線な一方、ECB、EU首脳、Cyprus政府が結託して預金を収奪しようとした事実だけは残ってしまった結果、欧州の金融行政および各機関の信用を崩壊させてしまった事です。少なくとも預金は完全に引き上げられるでしょうし、Cyprusの銀行には救済どころか止めを刺してしまった事になるわけで、文字通り百害あって一利もなしのこの結果、どう責任を取るつもりでしょうか。取れるわけがないですよね。実行力のある無能は殺すしかないとはよく言いますが、全員速やかに腹をお切りになられるのがよろしいかと存じます。いや実際何人かは消されても全く不思議ではないんでしょうけど。特に直接の主犯であるところのCryprus大統領Nicos Anastasiadesは多分今世界で一番、特にロシアあたりから憎まれてる人でしょうし、今頃亡命の算段とかしてそうですね。自業自得だけど、ていうか何で少数与党の癖にこんな無茶な事しようとしたのさ。

Rejection of Deposit Tax Scuttles Deal on Bailout for Cyprus

後始末については、どうもCyprusのロシア植民地化的な流れになっているようで、ロシアによる救済の条件が軍港の割譲だとか銀行自体の買収だとか色々生々しいっすね。どれも極めて眉唾な話ではありますが、支援の名を借りた侵略であるにも関わらず、さしあたり目前の破綻回避という意味でポジティブな受け止め方をされている感じで、それでいいのか欧州連合、と他人事ながらいささかの疑問を禁じ得ないのであります。そんな適当な話に大きく左右される経済自体の現状にも。もっとも事の経緯自体が滅茶苦茶なのだから、それに対する反応がそんなだというのは、逆に釣り合いが取れているとも言えそうですけれども。あの公にしてこの民あり、的なね。

あと、それ絡みでCyprusの政府閣僚がモスクワに陳情に行ってるようですが、よく行けますねえ。強盗未遂の直後に犯人が被害者、それもその筋の親分の所に無心しに行くようなものなわけですから。超厚顔な命知らずなのか、それとも救いようのないお花畑なのか。以前ロシアから受けた支援も食い潰して平気な顔が出来ている時点で前者なんでしょうけれども、いずれにせよ激しい狂気が感じられて、その意味でも戦慄を禁じ得ないのであります。もっともロシア側から呼び出された面も多分にあるんでしょうけどね。

After Deal Is Rejected, Cyprus Scrambles to Find Funds

ところで、Cyprusの銀行についてはなし崩し的に木曜も閉鎖が続いているわけですが、開いたら即取り付け殺到で即死するのも明白だし、もうこれ二度と開けないんじゃないでしょうか。でこのまま破綻処理とか。その場合当然起こるだろう暴動もセットで。いや自分で書いてて寒気がします。回避するには預金の全額保証が必要になりますが、その資金をロシアが全額出すかというと、それも現実味が感じられないんですけど。何かまたCyprusではATMに列が出来始めてるとかいう速報も入ってきて、どこから見ても実際既に詰んでて、暴発待ったなしな感じなんですが。ねえ。

[過去記事 [biz law] キプロスで銀行預金から強制徴収 ]

3/17/2013

[note] BTアダプタやら色々導入

ちょっと前から割安感が強くなってきたBluetooth接続の機器を購入して使うようになって、でもサーバやら古いノートやら、Bluetoothモジュールが搭載されていない機器では使えない現状がどうにも不便に感じるようになって来ておりまして。ちょうど円安に振れる最中で発注していた送料込み一個約1$の安物Bluetoothドングル2種計5個が届いたので、ひょいひょいと全PCに取り付けてみた次第なのです。

購入したのは、角型4個に丸形1個。其々別の、共に在Hongkongの業者から。角型は北京から、丸形はSingaporeから発送されていました。北京からってのは珍しい。


とりあえずメインPC含め、OSがUbuntuの場合は差すだけで即認識。BluetoothマネージャとしてはBluemanを使用、キーボード類等のペアリングも特に問題なし。ただ、後述の通りヘッドセットでは若干微妙な面も。一方、WindowsではXPも7も差すだけでアダプタは認識されるものの、肝心の機器の認識、ペアリング等が標準のマネージャではうまくいきません。機器が認識されてもサービスの列挙に失敗したりしてしまいます。色々と調査した結果、機器の接続処理を行うBluetoothスタックの機能不足が原因ということで、3rdパーティ製のスタックを導入する事で解決。ちなみに入手のし易さから東芝製のスタックが定番のようですが、新しいバージョンは試用版につき期間制限等があるので、それら制約のない古いバージョン(v3.20.02)がよく使われているようです。今現在は東芝のダウンロードサイトから入手できますね。ちなみに2005年公開で、不具合等の懸念なきにしもあらずではありますが、特段の問題は報告されていないようですし、とりあえず目を瞑ることにしましょう。接続出来てしまえば後の動作自体は問題なし。ただ、東芝スタックの上記バージョンはWindows7では事実上使えないようで、代わりのスタックもこれというのが見当たりません。BlueSoleilも通信量制限付きの評価版しかないし。といってさしあたりWin7のPCでは使えなくても構わないので、当該機を除くPCで使えるようになったところでアダプタ側の設定はひとまず終了。

あと、これまでは入力機器の類しか使ってこなかったのですが、この機会に他も、という事で、ちょくちょく便利だとの評判を耳にするところのヘッドセットも新たに導入してみました。一体型は重いし、バッテリ内臓式はバッテリ交換が出来ないのが不便なので、アダプタ型かつ電池交換式の多摩電子製S4101をチョイス。電池は単四一本。インナーイヤー式のイヤホンも付属してますが、ここは愛用のヘッドホンを接続。アダプタ型の利点ですね。


こいつの接続はキーボード等とは違ってちょっと戸惑いました。まずペアリングキーが決め打ちなので、PC側マネージャでどの設定経路を辿るべきなのかはっきりしないのです。

東芝のマネージャならペアリング処理中にPC側で勝手にキー入力のダイアログが出ますから、ここで入力すれば接続は出来ます。ただ、自動設定に任せるとオーディオ鑑賞用のA2DPプロファイルが選択され、後から切替は出来ないようなので注意が必要です。ヘッドセット用のHSPプロファイルで接続したいなら、接続時に手動設定からそちらを選択してやる必要があって、ちょっと不親切ですね。

UbuntuでのBluemanによる接続は東芝のそれより幾分親切です。キー入力の所では複数選択肢が表示されて戸惑いますが、自分で設定したキーを使う方式を選んでそこに固定キーを入力すればOKだし、プロファイルの選択画面もデフォルトで表示されます。さらに接続後も接続したままプロファイルの切替が可能です。と概ね良い感じなのですが、ヘッドセットプロファイルを選択しようとしてもストリームの確立に失敗して接続できない場合があるのが難点です。その条件も何かPC毎に問題の有無がまちまちな事もあってどうにもよく分かりません。どうすればいいんですかね?うーん。とりあえずメインPCではマイクの入力もOKになったのでさしあたってはこのまま使いますけど。

ともあれ、音質自体はオーディオプロファイルであればまず問題ない程度の品質、特段の遅延も感じられません。ヘッドセットプロファイルだとモノラルかつ低品質ではありますが、通話程度ならこれも問題ないでしょう。後は複数PC間で切り替る際に、一々ペアリングし直さないで済むと良いんですが、まあ旧式の2.0規格な安物アダプタだし仕方ないと妥協しましょう。それでもコードレスという時点で非常に快適で、さしあたりはこれで満足なのです。また気が向けば色々試してみますかね。というわけで今回はこれでおしまい。

-------追記

UbuntuでBluemanを使った時のヘッドセットプロファイル切替失敗の解決方法が判明したのでメモ。下記の通り設定ファイル(/etc/bluetooth/audio.conf)のgeneralセクションに追記すればOKです。
 
Disable = Media

しかるのちに再起動。これでA2DPとHDP間の切替等もすんなり成功するように。やれやれです。

-------さらに後日追記

Windows7でも使えるようにしたのでメモ。まず角型はwindows7だとそもそもアダプタの認識から躓くのでパスします。丸形の方はすんなり認識されるのでこちらを使用。bluetoothデバイスも認識はされるのですが、個別ドライバのインストールに失敗してしまいます。これは認識処理を行うサービスがデフォルトでは動いていないためで、コントロールパネルの[管理ツール]-[サービス]から[Bluetooth Support Service]を開始してやる必要があります。これを開始すると、デバイスの認識がとりあえず動くようになるのですが、個別のドライバがシステムにデフォルトで入っていないためまだ動きません。WindowsUpdate経由でドライバを取得するオプションを有効にしてやる必要があります。WindowsUpdateのオプションを直接いじってもいいですし、認識された各デバイスの[トラブルシューティング]から有効にする旨指示されるのでそこから有効にしても良いでしょう。するとようやく各デバイスのドライバがインストールされ、デバイスが利用可能になります。正直とても面倒ですが仕方ない。動くだけよしとしましょう。

3/16/2013

[biz law] キプロスで銀行預金から強制徴収

は?え?何これ。金融支援の見返りに、10万EURO以上の預金者には9.9%、未満の場合も6.75%を徴収するって、そんなクレイジーな事が可能なんでしょうか。普通に考えれば引き出されたら徴収出来ないだろうし、皆がそう考えて取り付け騒ぎになった時点で金融機関は即死じゃないんでしょうか。全口座を即時凍結するか、もしくは過去の時点での残高を基準にして差額は債務として残すとか?それならそれで、例えば法人なら決済金とか資本金とか色々消えてあちらもこちらも即死亡とかならないんでしょうか。しかも年度末に。どう考えてもヤバ過ぎます。一回限りとか申し訳程度に予防線を張ってはいますが、誰もそんなの信じないでしょうし。Cyprusは小国だからいっその事潰してしまえって事なんでしょうか。その辺の詳しい事はまだ公表されていないようですが、いずれにせよわけがわかりません。いや久々に驚愕しました。どういう事なんでしょう。

After Negotiations, Cyprus Agrees to a Euro Zone Bailout Package
ユーロ圏、キプロスに金融支援 銀行預金に課徴金 

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普通に19日に徴収されるんだとか。そして当然取り付け騒ぎに。徴収まで銀行が休業でATMの上限額までしか取り出せず事実上の凍結とかいう話でとりあえず徴収は実行されてしまうようです。といってこのまま人々が納得する筈はないし、これマジで死人がでるんじゃ。さらにまずいのは、EUの援助に絡んでかような強行措置があり得る、と認識される事で、それによって同様な状況にある他地域でも壊滅的な預金流出が発生し、銀行はじめ金融システム自体が崩壊するだろう事ですね。要するに預金の安全性、その信頼を完全に崩してしまったわけですが、このような措置の実行を決定したEU首脳陣は正気とは思えません。いやもう冗談抜きでEUまるごと地獄直行必至な感じで、あまりの戦慄に眩暈がします。

突然の「預金に課徴金」、ATMに行列も キプロス EUが金融支援の条件に 

当然ながら、経済方からはアンフェアかつ近視眼的でナンセンス、とか滅茶苦茶批判されてますね。しかしECBももう後に退けないでしょうし、仮に今後批判を受けて撤回したとしても、このような決定をしてしまった事実に変わりはないのだから、信用は既に地に落ちたも同然、取り返しのつけようもないわけですが。

ECONOMIST: The Cyprus Bailout Is An 'Unfair' Short-Sighted Failure, And Makes No Strategic Sense

Euroの崩壊や大恐慌の再来を懸念する向きもあちこちで聞こえます。ギリシャ、イタリア、スペインなんかモロですもんね。現実の根拠が出来てしまった以上、今回ばかりはよくある大げさな煽りと受け流す事も出来ません。週明けは地獄の釜の蓋が開く事間違いなし、言うまでもないでしょうけれども皆様心の準備は怠りなく。一応、Cyprus議会は与党が少数派で議案が通るか不明らしいので、これが否決されれば影響はだいぶ小さくなるでしょうけれども、しかしその時は支援もナシになって銀行が破綻するだろうから、マシとはいえどっちにしろ地獄には違いないものと思われます。

This Crazy Cyprus Deal Could Screw Up A Lot More Than Cyprus...
Facing Bailout Tax, Cypriots Try to Get Cash Out of Banks
Cyprus Depositor Tax: Genius Plan or the End of the Euro?

イギリスは現地駐在の自国民分は補填するとか。もう無茶苦茶。
Cyprus bank levy: UK to compensate troops and government workers

UKメディアは銀行強盗と罵倒。いやそれよりよほど悪質だと思いますけどね。
The great EU bank robbery: British taxpayers to bail out victims of outrageous raid 

そして否決。 何がしたいんですかあなた方は。
[続き記事 [biz law] キプロスの預金強盗法案否決に ]

一週間後、10万ユーロ以上の預金への20~40%の徴収実施で一旦決着したようで。結局銀行の破綻確定ですか。EUの金融当局者はこれを雛形にするとか言ってますしもう。。。
[続き記事 [biz law] キプロスを巡って漂う諦観]

[biz] 楽天の生鮮物通販爆死とAmazon値上げと

まず楽天、実店舗販売の最後の聖域を奪うべくこの程進出した楽天マートなる生鮮品の通販サービスで、サービスエリアの拡大直後から広範囲かつ大規模に遅延不着を頻発させ、しかも問い合わせへも殆どまともに対応しなかったらしいということで、某価格比較サイトの口コミ掲示板がもうちょっと記憶にないほど怒りに溢れているそうで。ちょっと見てみたら冒頭から「最悪の楽天マート」とか言われちゃって。口コミサイトの情報は信憑性が不十分である事を念頭に置いて話半分としても阿鼻叫喚と言うべき惨状で、Koboの悪夢が記憶に新しいところ、同様にユーザ対応の面でセンシティブなサービスでの壊滅的な不手際、その無反省っぷりにはもう笑うしかないのであります。社内英語化の件も国内の本業が崩壊してちゃ本末転倒、とかって叩かれるんでしょうね。完全に自業自得ですけど。

一方のAmazon、何か一斉値上げがあったとかいう話が俄に流れてて、確認してみれば確かにちょっと通常の価格変動の幅を越えた値上げがちらほらと見受けられます。円安の影響では説明できない程の上がり方だし、範囲も個別品の需給の変化によるものとは思えない広さのようです。であれば何故なのか、興味をそそられますね。といって現時点では特に公式の情報はありませんから想像するしかないのですけれども、あえて穿った見方をしてみれば、例えば昨今の消費活動全般における変移すなわち実店舗のショールーム化などと言われる実店舗から通販への消費形態自体の遷移が進む中、最大手としてやり玉に挙げられつつあったAmazonが各方面からの批判や圧力を躱すために緊急避難的に価格の修正を行った可能性も考えられなくもないし、あるいは最近の急激な売上増加に伴って処理が追いつかずキャパ超えして設備増強まで流通量を削減する必要が出たために、流通コストの割に利幅の低い品目の販売を抑制し、それによる売上と流通コストの平準化を狙ったのでは、とか、色々と想像は膨らむわけです。どうなんでしょうね?

まあ楽天の方は素でやらかしただけ、Amazonは色々とその裏におそらくは合理的な意図があるだろう(しそもそも正当かつ通常の業務運営内の行為である)点で対照的ではありますが、いずれも通販形態の拡大に伴う現象、それも消費者側からすれば不利益になるものには違いなく、といって即新たな規制が必要というわけでもないでしょうけれども、あまり好き勝手無茶が過ぎるようだとそういう話にもなりかねないわけで、多少のひっかかりを感じないではいられません。一時的なものに止まる分には特段の問題はないんでしょうけれど、さて。

3/14/2013

[law] 被後見人の選挙権剥奪に地裁で違憲判決

うーん。地裁レベルではありますが、成年被後見人に選挙権がないとする公職選挙法第十一条の規定に違憲判断が出たとのことで。本規定は形式的には民主主義国家における基本的権利の剥奪に他ならないし、人権原理主義的な観点からは自然な判断なんでしょうけれども、被後見人は法的に言えば当然ながら意志能力自体がない、事理を弁識する事が出来ない建前ですから、従って選挙に必要な判断も不可能な筈なんですよね。すなわち被後見人にとって選挙権は行使が原理的に不可能な権利であって、それを制限されたとしても実質的に侵害にあたる筈もない一方、仮に意志無能力者が選挙権を得てそれを行使するとすれば、それは必然的に他人による代理行使になってしまう弊害がある、その点を考慮すれば剥奪措置は妥当であり必要、とそういう昔からの確立された根拠に基づいて置かれている規定なわけで。それを人権侵害だと言うのは全く以て筋違いに思われる話なわけです。何故今更、との疑念も否めません。

もし原告に選挙に必要な判断能力、意志能力があるというのなら、それは被後見人とされた事が間違いなのであって、その能力の程度に合わせて保左か補助に切り替えるべき話です。被後見人の方が詐欺にあった時等に強力な保護があって安心とかそういう判断があるのかもしれませんが、もしそうならその判断自体が間違っているという事ですね。

被後見人から一律に選挙権を剥奪している点を問題視する意見も、同様に筋違いというべきものでしょう。被後見人はあくまで事理を弁識する能力に欠けている人であって、そうでない、選挙行為が出来るような人は元々対象外だし、一度審判を受けたとしても、回復しているのであればその審判は取り消されるべきものです。被後見のまま意志表示が可能とする、その破綻した論理にこそ問題があるものと言わざるを得ません。

人権を原理的に捉える、殆ど信仰しているような人達には、そういう理屈などどうでもいい事なのかもしれませんけれども、あまりに不合理な主張を公然となされれば社会にとって負担になるわけで、甚だ迷惑な話です。多分に高級審ではひっくり返るだろうとは予想されるだけになおさら。どうにかならないものでしょうか。ならないんでしょうね。

成年後見制度利用、選挙権奪うのは「違憲」 地裁判決

[IT biz] Google Reader、サービス廃止に

停止じゃなくて廃止。突然ながら、といって下記記事によると完全終了は7/1とのことですが、切られてしまったようで。

理由はユーザ数の減少、Google Readerは時折問題を起したりはするものの、RSSリーダー、とりわけクラウド型のそれとしては定番だったしてっきりトップシェアだろうと思ってたんですが、そんな切られちゃう位に低迷してたんですかね。いやそれは多分に建前で、逆に処理が重い割に広告とか関係なくて儲からないから切ったってだけなんじゃないかなとは疑うところですけど。もっとも私個人としても、クラウド型の欠点であるところの動作の遅さからもうずいぶん前からNG Filterを使うサイト限定でしか利用しておらずメインのリーダーは別アプリに移行しているので正直無くなっても特段の問題もないわけですけれどもね。ただ、それでも多少は残念に思わないでもないのです。

しかし、仮に発表された理由の通りだとしても、日常的に多用していた(る)ユーザもそれなりに大勢いるわけで、移行を強制され、それに伴って相当の不自由やら手間やらの被害を被るその人達を中心にGoogleには各方面から山程苦情が行くんでしょう。しかしユーザの被る被害不都合なんて知ったこっちゃなく、この手のサービス改廃で人の意見を聞いた試しのないGoogleの事ですから、まず覆らないんでしょう。誠にご愁傷さまです。本件自体はクラウド、特に無料のサービスにはつきものの消失リスクという事で、諦めざるを得ない事は承知しつつも、しかし業者はその所業の報いを存分に受けるがよいとは思うのです。身勝手ですね本当に。

Google Reader to shut down with other services in another 'spring cleaning' 

---追記

さっきReader使ってみたら、"Google Reader will not be available after July 1,2013"って警告ウィンドウが表示されました。という事で正式に確定。けどこれって実質今から使うなって事ですよね。素早い、っていうかせっかちですねえ。こういうやり方だと、吃驚する人、逆上する人が多数発生して阿鼻叫喚間違いなしなわけですが、まあ都合の悪いことは一気に済ませる方が効率的って考えなのかもしれませんね。やれやれです。

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やはり予想通り阿鼻叫喚。コアなユーザーの嘆きと怒りがそこかしこで飛び交っています。後釜に名乗り出るところも出て大混乱。これはひどい。

3/06/2013

[biz] SamsungがSharpに出資

冗談かと思いましたが事実のようで驚愕。Hong-hiの救済に見せかけた吸収を忌避したのはまあ理解できない事もないとして、その代わりがよりによって競合の筆頭Samsungですか。。。しかも100億って。どこからどう見てもあらゆる条件が悪化したようにしか見えませんが、経営陣は酔っ払って仕事してんですかね。

報道ではSamsungにパネル供給で工場稼働率改善とかこちらも正気を疑うような寝言が並んでいますが、SamsungはSharpより遥かに優位に立ってるパネルメーカーなのですよ?Sharpを潰す理由はあっても、利する理由はカケラもないし、そもそもパネル買うだけなら別に出資する必要もないんですし。Hong-hiの時は相手が組み立て屋ですからサプライヤーとしてそれなりに事業面でSharpと相互に利する可能性もあったんですけど。

Samsungの事情を考慮してみれば、単に円安ウォン高で買収しやすくなった日本企業を物色してた所に溺れるSharpがフィッシュしたってだけの話でしょうし、その対価はまずもって第一に競合潰し、第二に各種リソースの収奪なのは明白。後は携帯での自社OS陣営への取り込みも視野に入れてるかもしれませんね。何にせよ3%も握れれば技術の吸収は勿論のこと大抵の口出しは可能になるし、物足りなければ買い増しする位の腹積もりなんでしょう。仮に失敗に終わっても今のSamsungにとっては100億程度は端金、屁でもないですしまさにお買い得という所でしょう。

Sharpの株価は急騰してるようですが、業績回復を期待してというよりは今後の争奪戦を見込んでの仕込みと見るべきでしょうか。関係者の緊張がびしびし伝わってきます。さてさてどうなることやら。

シャープ、サムスンとの資本提携を決議 取締役会で 

そしてめでたくHong-hiとは正式に破談の運び。元々Hong-hi側としては是が非でも的な性質の話でもなかったんだしむしろ当然ではあるんでしょうけど、兎に角Sharpはこれで500億程資本に穴が空いてしまったわけで、ただこれはどう埋めるつもりなんでしょう。いや只でさえそれでも全く足りないと言われてたわけで、仮に埋める事が出来てもヤバい状況には変わりないだろうし、格別気にする必要もないのかもしれませんけど。でもやっぱりヤバいものはヤバいでしょう。

鴻海、シャープへの出資見送り 会長方針、改めて検討へ

3/04/2013

[biz] 大証の先物取引システムが障害で停止

おお。大証の先物がダウン。例によって多分に富士通か、それとも大証側従来ベンダの日立?統合関係の更新失敗とかでしょうか、何にせよ両社とも関係する話なんでしょう。ただ一応方針としては富士通で統一するって話だった筈ですし、そちらの方の関与が自然強く疑われるところで、であればしばらくぶりにやらかしてくれた事になるわけで脱力しきり。つくづく反省というものを知らない面々です。

もっとも、ベンダ各社がやらかす度に二度と起こしませんって再発防止を誓いながら半年やそこらで再発、のループを繰り返してるのは周知の通りであるところ、取引所や銀行とか、公共性が高く障害が起これば社会に直接激しい被害が及ぶのに、過去の数知れない程の不手際と無反省を知っててそんなベンダを漫然と使いつづけるユーザが悪いと言えばその通りなんでしょうけど。双方共にその無能っぷりは残念な限りです。

日経平均先物の売買停止 大証、システムに障害

---追記

原因発表と言うから見てみたら、サーバに異常と。そんな事は最初から分かりきった、っていうか原因というより結果の範疇です。聞く側が知りたいのは、その異常がどういうもので、発生の条件は何か、要するにまた止まる可能性がどの程度あるのか、その一点でしょうが。挙句、再起動したらとりあえず動いたからそのまま取引続けてます、とか信じ難い話で、いっそ統合するより即刻廃止して東証に一本化してもいいんじゃないかとすら思うのです。

3/03/2013

[biz] EvernoteがCrackされる

公的私的取り混ぜて、ここ最近似たような話が続きます。今回はEvernote。私個人としてはその種のリスクや操作時のレスポンスの悪さの割に取り立てて使用する理由もないために、既に長いこと放置してアカウントの存在も忘れていたんですが、突然パスワードをリセットする旨のメールが届いて何かと確認してみればパスワードが漏洩したからだと。最近は殆ど脚光を浴びることも無くなった当該サービスですが、ヘビーユースに用いている人はまだ結構いる筈だし今頃慌てて引き揚げたりしてる向きもそれなりにあるんでしょうね。お疲れさまです。

本件事象自体は、要するによくあるクラウドサービス一般における欠陥が顕在化しただけの、事例別の詳細を云々するのもダルい今更な話なわけですが。そもそもEvernoteなんてユーザの大多数がフリーかつ匿名なサービスをハックしてどうすんだろう、と疑問に思う部分も無いこともないところなんですが、プレミアム会員の人なんかは無論、他にも色々と抑制の効かない使い方をしちゃってる人もいるんでしょうから、その辺を漁ればそこそこ益があるって事でしょうか。よくわかりませんけど。まあ純粋にデータを分析するだけでも色々と興味深いって面もあるかもしれませんが、クラッキングは結構な重罪ですから割に合わないと考えるのが普通かな。今一つ動機が見えにくいのであります。単なる趣味、暇つぶしって可能性もないこともないわけだし、あまり云々しても詮無い話なのかもしれませんが、いずれにせよ迷惑な事です。いやもう使ってないし無視すればいい話なんですけどもね。

Your Evernote Password Has Been Hacked