9/28/2013

[biz] 柏崎原発の2014春再稼働観測に辟易

何かまた無茶な話が持ち上がっているようなので。

東電の新潟は柏崎刈羽原発、条件付きながら県知事が安全審査申請を容認する姿勢に転じたところですけれども、早くも再稼働の観測報道が流されているようで驚きました。それも来春とか。

もう気が早いとかそういう以前の話だと思うのです。というのも、柏崎は今以て続く福島の惨事の当事者である東電の管轄であり、その時点で社会的に見て他事業者とは比較にならない程再稼働が受け入れられないだろうところであって、かつそもそも柏崎は中越地震の折に実際に深刻な事故も起こしており、従って元来的に非常にリスクが高いとされる事と合わせて見れば、既存原発の中で再稼働から最も遠い原発である事は明白な筈なのですから。

柏崎と比較して同種のリスクが小さいと見做されている他の原発ですら再稼働は困難、というか全く見通しも立たない現状にあってのこの再稼働観測、そこには控えめに言っても現実性が全く認められません。それと同時に客観性もない、即ち第三者のそれではあり得ない内容である以上、本観測は再稼働を容認する世論形成を期したものである可能性は極めて高いように思われます。しかるにそれを求める向きはほぼ唯一、東電及び電力業界しか存在しないわけで、要するに本件観測は、東電のプロパガンダというかやらせ報道的なものである可能性を非常に強く疑われてしかるべきものでしょう。

確かに、原発を稼働させる事で、少なくとも短期的には経済的利益が得られる事は間違いないでしょうから、財政面で追い詰められ、しかし撤退が許されない東電の立場からすればそのような活動が不合理とまでは言えないでしょう。けれども、元より福島が回復はおろかその目処も立たず、一層拡大し続けてすらいる現状にあっては、かような試みが無駄である事は明らかですから、そのような活動に使うリソースがあるなら、福島の方に回すべきだろうとは思います。福島が事故前程度まで回復しない事には、東電の原発事業の再開もあり得ない、すなわちそれが再稼働の前提条件なのですから。もっとも福島の収束を諦め、そちらへの投資こそ無駄と判断したという事なのかもしれませんけれども。それならそれで東電自体が事業者として不適格という事になりますから、速やかに分割譲渡等の事業整理に移行すべきところです。

と言って、その種の現実的な判断が出来るような組織なら、このような観測を流そうともしなかったでしょうし、そもそもこんな事にはなっていなかっただろうとも思います。ですから改善は望みません。というより、改善を期待する気持ちなど欠片も残っていません。ただ、早急な代替確立のち退場を切に望むだけです。

柏崎刈羽原発 政府、来春再稼働容認へ