2/08/2022

[biz] 東芝、血迷う?

何がしたいのかわからないというか。不祥事から数年、世間からはすっかり忘れられていた東芝ですが、また意味不明なムーブをして注目されているようで。

大雑把に言えば、どん詰りの大企業につきものの事業再編というか不採算事業の切り離しをしようとしているだけなのですが、その手段に何故か会社自体の分割、それも当初は(キオクシアの)持株、インフラ、デバイスのほぼ同レベルでの3分割で各会社の株を現株主に割り当てるというほとんど例のない案を出してきて、当然のように株主からの猛反発を食らい、じゃあデバイスだけを切り離す2分割ではどうか、と修正案を出してきたところなわけです。改めて見直しても意味がわかりませんね・・・。そういう問題じゃない、と株主も頭が痛いでしょうねこれは。

言うまでもなく、不採算事業の切り離しには通常子会社化からの株式売却が用いられます。株主ごと会社を完全に分割してしまう事はまずありません。理由は色々ありますが、要するに実行における障害が多い上に、それをクリアすること、つまりはステークホルダーを納得させるだけの理由を見出すことが困難だからです。

で、今回東芝が挙げた主な理由が、迅速な意思決定云々なのですね。これだけでもお前は何を言っているんだって話ですが、その上2分割に修正した理由は分割による上場維持etc経営リスクの低減という。当然2分割でも少なからずそういうリスクはあるわけですが、それと引き換えに得られるものが迅速な意思決定。全く釣り合っていません。

多分に、社内の派閥というか元メモリ組(の残り)とデバイス組とインフラ組が拮抗していて、通常の子会社化を経る形の再編が困難だという事情があって、苦肉の策として対等な形での分割を目指す事になったんじゃないかとは思うのですが、そんな内輪の事情なんて株主にすら関係ないわけで。ただでさえシビアな株主が増えている昨今、リスクしかない会社分割に賛同が得られる筈もなかったのです。

そんな当たり前の事もわからなくなっているのが今の東芝の偽らざる実情なのだと、否応なしにわからされてしまう今回の騒動、振り回される株主はじめステークホルダーの方々は大変ですね。もっとも、発端となった一連の不祥事からの体たらくを見てなお関わっているのだから、ある意味自業自得でもあるのでしょう。まあご愁傷さまです。

というか、そもそも原発とフラッシュメモリの二枚看板を両方失った時点で未来がない事は分かりきっていましたし、今更あがいたところであまり意味はない、つまり今回の騒動もほぼ無意味なのがなおさら虚しいですね。やれやれです。

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