9/24/2017

[biz] Uber、Londonでのライセンスを剥奪される

何かとお騒がせというかはた迷惑というか、なタクシー業界の敵Uberですけれども、9月末で切れるオペレータのライセンスが更新されない決定が下されたんだそうで。要するにbanされてしまったというわけです。さらっと言うけどヤバいですね。なんだかんだと経済的にはそれなりの規模を有する業者に対してこの爽快感すら感じられるバッサリ加減、流石は英国、と言うべきでしょうか。

管轄部門のTfL(Transport for London)によるとその理由は、 公共の安全、治安に害を及ぼす懸念があり、その点がオペレータとしてふさわしくないため、との事です。具体的にどういう事実がその判断の根拠になったのかは不明ながら、当局者のコメントを読む限り、ロンドンではタクシー業者に義務付けられているところの個々のドライバーの適正検査等につき、Uberはその辺でまずかったらしいのですね。検査で適正が低い結果が多数出たのか、検査自体を受けさせなかったりしたのかはわかりませんが、Uberのビジネスの形態やこれまで世界中でやらかした事例から推測するに、後者ではないかな、と思われるところ、さてどうなのでしょう。

元より、自前の検査云々以外にも、インドでのUberドライバーによる乗客への性的暴行事件等辺りは元々関係の深い英国ではよく知られている話ですし、Uber自体セクハラや性差別が社内で蔓延していた事から社会的に広く非難を受けている事も周知の通りなわけで、その辺が総合的に考慮されたという事なのかもしれません。

(追記)
公式文書を確認したところ、 英国内での性的暴行等の犯罪行為に対する同社の処置の他、ドライバーの健康診断に関する虚偽、また当局関係者を識別し、その利用を避ける事で監視を免れるツールGrayballの使用が理由に挙げられていました。

で、Uberの反応は、というと、無論大人しく当局の言うことを聞くような会社ではないわけで。当然ながら反論というか抗議の旨コメントを公表しています。その内容というか主張の要点は、概ね以下の2点に集約されます。

・ロンドン市民の利便性を損なう
・多数の失業者が出る

その他、ロンドンのタクシー業者の組織を利するアンフェアな決定だ、等とも主張しています。ちなみに、Uberのロンドンでの人員数は約40000人だそうです。たかが数年でそんなに増やした、というのは流石というべきか、無謀だったと言うべきか。多分に粗製乱造な面があっただろうし、不適正と判定されるのも当然だったのでしょう、とそれはともかく。

で、この反論?ですけれども。なんと言うか、的はずれ感が否めません。要するに、ロンドン市民とその経済にとってのデメリットを指摘しているわけですが、当局が今回の決定をした理由は、上記の通り安全面の不適正ないし違法性です。それを否定しようというのなら、安全性、すなわちドライバーの適格性や、組織やシステムの合法性を立証しなければならない筈、なのですが、そこには全く言及しておらず、反論になっていません。Uberはこんな的外れな主張で、当局がその判断を改めると本気で考えているのでしょうか。だとしたらもはや処置なしと言わざるを得ないわけなのですが。。。

ただ、そもそもの話、Uberがそのビジネスモデル上、ドライバーの規律につき専らインセンティブや顧客の評価に基づくペナルティといった経済的な要素による間接的な規律に頼っており、少なくとも通常採用や雇用の継続においてなされる類の直接的な措置は殆ど講じておらず、実質的に個々のドライバーを管理していないも同然である事は周知の事実だし、 そうである以上、適格性や安全性の保証なんて出来るわけがないのだから、Uberとしてはそれ以外の線から異議を申し立てる他なかった、という事なのかもしれませんけれども。そうだとしても、何とも滑稽な話です。

本件決定は、一般の行政処分がそうであるように、異議申し立てをすれば、その結果が出るまでは保留扱いとなり、Uberも当面は事業を継続する事が出来ます。が、この分では本当に少しの猶予が出来ただけで、遠からず異議は却下され、結局のところLondonないし英国から追い出される結末は避けられそうにありません。Denmark辺りでも適性検査絡みで不正が発覚してたりしますし、元々著しい困難を抱えていた欧州方面はいよいよ壊滅しちゃうんでしょうか。

しかしこの会社、あまりに無反省が過ぎるんじゃないでしょうか。米国発のIT系ベンチャーは基本そういうものだと言えばそうだし、今に始まった事でもありませんけれども、事業の継続自体が出来なくなるケースすら普通に繰り返しているというのに、それを改めようとしないのは普通に考えて頭おかしい話なわけで。

CEOはじめ経営陣が入れ代わってなお相変わらずというのだから、もう組織全体がそういう意識に染まっている、という事なのかもしれませんが、これで全体として利益が出ているというのならまだしも、赤字なのだからなおさら理解し難く思われてなりません。一連のトラブル、また同社を排斥する各国や都市の決定は、その原因が同社の傲慢で杜撰、あるいはしばしば法を無視する無謀なやり方にあるのは明らかだし、それを改めれば改善が見込まれるのにも関わらず、頑なに改めようとせず、同じ失敗を繰り返し続ける有様は、異様とすら言っていいかもしれません。何考えてるんでしょうね。あるいは何も考えてないだけ、なのでしょうか。

何にせよ、突然失業に追い込まれる従業員にはご愁傷さまです。まあでも、あんな無茶なやり方で長続きすると考えていた人もそんなにいないだろうし、いたとしても自業自得というべきなのかもしれませんけど。あっちもこっちも、困ったものです。他人事ですけどね。

Uber London loses licence to operate

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