2/28/2011

[law] 米国が特許先発明主義から先願主義への転換を議論中

らしい。現在採用している先発明主義では特許が形骸化してしまっているということで、世界的に標準である所の先願主義に転換すべく上院議員が中心になって法案作成中とか。といっても、あまりにドラスティックな変更だけに批判も大きく、成立するかは不明との事ですけれども。先願主義は手続きを進めるスピードに優れる大企業を利するもので、個人や小企業のイノベーションを阻害するだとか、当面不要なアイデアも取り敢えず押さえておくために申請が激増して、現在ですらパンク状態の審査プロセスがさらに破綻するだとか色々。現に日本では多かれ少なかれそういう側面は見られるし、概ね尤もな懸念ではあります。

事の成否は兎も角、米国の外からしてみれば、衰えつつあるとはいえハイテク産業とその関連する知財・ビジネスの中心である米国において、基本的なポリシーが世界標準と共通化されるのは歓迎すべき事ではあるでしょう。ただ、先願主義でも先発明主義でも、紛争が起こった時には特許自体の有効性や帰属が法的に争われるわけで、本質的な意味でどちらが明確に良い、というものではないとも思われるのですよね。結局のところ訴訟文化の違いの影響とかの方が実務上大きかったりして。とはいえ、米国の特許は審査自体が形骸化してて、米国以外であれば特許性が到底認められそうも無いようなものが通りまくる、いわゆるザルな状況なのも事実なわけで、少なくともそれは何とかすべきだと思うし、いずれせよ何十年も放置されてきたことによる制度の齟齬を見直すというのは良い事ではあるでしょう。公平かつ建設的な改善がなされる事を期待する次第です。ただ、ここのところ米議会・政府は機能不全に陥りつつあるし、巻き込まれてフェードアウト、と言う可能性も高いとは思いますけれど。

Senators to Debate Patent Bill