4/29/2021

[pol] ご都合主義的コロナ政策の末路

2021年のGWは、東京・大阪・兵庫・京都に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令される状況下で迎える事になりました。

また、首都圏・近畿の近隣県では限定的な緊急事態宣言と言うべき、同法に基づく蔓延防止措置も発令されています。従って、政府・自治体の施策の面では昨年とほぼ同様なわけです。

が、それに対する各個人・企業・店舗等、各種活動の実態としては、全くの別物と言う他ない状況にあるように見えます。

前提として、緊急事態宣言等に伴う政府・自治体から発令された正式な命令・要請のうち、過料等の制裁による強制力があり、かつ国民や各種業者の生活・経済に大きな影響のあるだろう主な内容は、概ね次の通りです。

・大型の商業施設・ホテル等のホール・集会場等の休業

・飲食店を中心とした小規模店舗の営業時間短縮

・各種スポーツ等のイベント・テーマパーク・展示会等の無観客化

・飲食店における酒類提供の禁止

・カラオケ禁止

この他、路上飲酒の禁止や宣言発令区域の出入り自粛等、法的根拠のない、従って強制力もない都知事らの口頭での要求が様々に発せられています。

もちろん、個人向けにも不要不急の外出を控える等の要請等が発令されているわけですが、これにも基本制裁がない、すなわち強制力がありません。

当然ながら、上記の命令・要請等に従った場合、個人・企業を問わず、程度の差はあれ損害が生じます。とりわけ、休業や酒類の提供禁止といった事業活動上深刻な損害を生ずべきものについては、相応の補償がなければ、事業者は経営が立ち行かなくなります。個人の場合は、経済的というより、精神的な苦痛等の方が大きいかも知れませんが、だとしても要請等に従った場合の損害は決して無視できるものではないでしょう。

また、これらの要請はここ一年以上繰り返され、それでいて終わりも見えない慢性的な状態が続いています。人は慣れる生き物であり、事態の長期化に伴い、当初抱いていた恐怖は薄れ、それに伴う危機感も当然に失われます。損害や苦痛を我慢しても意味がない、薄いと感じるようになれば、真面目に従わなくなる、どころか、従わずに済む抜け道的な方法を探すようにすらなるものです。

しかるに、強制力すなわち従わなかった場合に過料等の制裁があっても、損害に見合うだけの補償がなければ、公然・平然と命令等を無視して事業を続けようとする向きが増えるのも当然の帰結と言えるでしょう。いわんや、強制力がなく、当然ながら補償もない、いわば単なるお願いに過ぎない要請等、従うと考える方が愚かというものです。

その上、上記のようにあらゆる活動を罰則まで持ち出して禁止ないし制限しているというのに、五輪だけは例外、というより、国民の生命や生活を五輪開催のために犠牲にしようとしているとしか解釈のしようのない姿勢を顕にする政府や都のご都合主義的な振る舞いについては、もう何をかいわんやと。そんな意図が見えているのに、わざわざ彼らの政治的・経済的な都合に合わせて自分の損害や苦痛を我慢し、生活を犠牲にしようとする人は稀でしょう。

そもそも、本来なら、五輪のような尋常でない規模のイベントの開催前2ヶ月強の時期に、人員の手配どころか運営の方針すら定かでないような状況というのは、コロナ云々以前に論外というべきものです。医療スタッフの強奪をしようとして即失敗し、全方位的に非難が浴びせられていたのを見ても当然としか言いようがありませんし、この状況が早期に改善される見込みもありません。むしろこれから辞退者や参加拒否も一層増えるでしょう。

ワクチンもほぼ無力と懸念される変異株の蔓延したインドの惨状を見ても、五輪なんてとっくに諦めて、少なくとも医療関係のリソースはコロナ対策に集中し、それでも乗り切れるかどうか怪しい状況だというのを理解して・・・いないんでしょうね。

効果の定かでないワクチン、その必要数の確保すら出来ず、接種の体制を整える事も出来ず、しかし五輪前に高齢者4000万人弱の接種が終わるから大丈夫、とこの期に及んで寝言をのたまい、国民の生活や生命を含むその他の殆ど全てを犠牲にして狂気的に五輪開催に向け突き進む政府。行き着く先は国内での蔓延拡大に加えて変異株の大量輸入、文字通りの破滅でしかない事は明らかですが、歯止めがかかる見込みは今の所ありません。残念なことです。