12/24/2017

[note] Ubuntu17.10、BIOS破壊バグで丸ごと取り下げ、ユーザは放置。Ubuntuは終わるか

いつの間にか公開中止になってるんですね。Ubuntuの最新版であるところの17.10が。

理由はバグ。カーネル中のintel-spi-*ドライバの不具合により、Lenovo製を中心に複数のPCでBIOSを変更不能にしてしまうという酷いもので、USB等のレスキュー用のブートデバイスが使用不能になって復旧も出来なくなってしまうケースが生じているんだそうです。spiドライバはBIOSの操作に用いられるシリアルインタフェース用のドライバです。通常、OS側からBIOSの書き換えは行わないし、その必要もない筈なのに、何故こんな事が起こるのか、俄には信じ難い話です。しかし起こってしまったものは仕方ありません。

本件バグの影響を受ける事が確認された機種は、LenovoのYogaシリーズ、B,G,Yの各機種を含む多数機種、またAcerのTravelMateや東芝のSatelliteの複数モデルでも発生の旨報告が上がっています。当該機種でUbuntuを導入しているユーザは相当多数いた事は間違いありません。従って被害も甚大なものになってしまいました。

本件不具合は、11月の下旬にレポートが上がり、Ubuntuユーザを恐怖と絶望のどん底に突き落としました。既に17.10にアップグレード済みだった私も例に漏れず、慌てて確認しましたが、セーフで胸を撫で下ろしたのです。LenovoのPCも複数含まれていましたが、旧機種だった事が幸いしたようです。

リリース当初から多数の深刻な不具合を抱え、とても人には勧められないものである事は明らかだった17.10ですが、それらによって適用を見送った、もしくは様子見する事にしたユーザも多いでしょうけれども、結果としてそれが大正解であった、という事になります。

これだけの致命的とも言うべき被害が出てしまうと、通常ならば誰かがそれなりに責任を負わなければ収まらない話なんでしょうけれども、どうも誰も責任を取らない流れになりそうで、誠に遺憾な限りです。

まず、本件バグの影響が複数メーカーに及んでいる点からして、LenovoらのBIOS側がしばしば独自に導入するところの排他的な仕様に起因するものという事も出来ず、本件の責任は専らBIOSにライトアクセスをするモジュールを軽率に導入したCanonical側にあるものと言う他無いでしょう。ブートすら出来なくなり、かつ未だに復旧出来ていないユーザもいるようで、損害賠償等を請求されても当然な状況です。

しかし、Ubuntuの公式HP上では、本件について少なくともトップ近辺では何も触れられておらず、かろうじてダウンロードページの通常ダウンロードボタンがある筈の隅に公開停止中の旨が記載されているのと、Ubuntu17.10のリリースノート中に同様の、半端な記載があるだけです。あくまで自己責任として、一切の責任は取らない、どころか通常の脆弱性等と同程度のよくある問題として扱い、何もなかったものとするつもり、としか受け取りようがありません。

で、ダウンロードページでは、17.10など無かったかのように16.04LTSのダウンロードのみを掲げ、17.10のリリースノート中でも16.04LTSを使用するように促されているわけですが。。。寝言は寝て言えというのです。ロールバックの手段もないし、そもそもライブラリ等のパッケージ構成も異なるのに、そんな事出来るわけがないのですから。要するに、ユーザは自力で再インストールするなりして解決しろ、というわけです。

OSSであり、無料のソフトである以上、その選択も法的には原則として問題ないのでしょう。また、責任を取ろうにも、その能力、資力がない、という事情もあるのかもしれません。ですけれども、少なくともユーザのPCを使用不能に陥らせる危険があり、発生すればその復旧すら困難になるような致命的な問題を漫然と看過して正式リリースし、実際に甚大な被害を生じさせておきながら、それを認識した後もその被害の拡大防止を図ることすらせず、ただこそこそとHPからリリースを取り下げるだけで、その問題の告知も謝罪もない、さらにはロールバック等の復旧手段の提供もない、というのは、既存と潜在とを問わず、ユーザに容認され得るものでは到底ないように思われるところです。

長年ユーザを続けている私ですら、本件で認識させられたCanonicalの体制、姿勢に起因するだろうリスクは看過し難いものと感じ、他のディストリビューションへの切替えを真剣に考慮している程なのです。既にUbuntuを見限った向きも少なくはないのではないでしょうか。本件の経緯からすれば、もはや残念とも感じず、当然としか思いませんが、寂しい限りですね。

Canonicalのやり方を見る限り、今後再発する危険性は高いものと考えざるを得ず、だとするとLTSなら大丈夫、とかいう話でもないように見えますし、Ubuntuはもう駄目かもしれないと言わざるを得ません。一応本件バグの対象はDesktopのみで、Serverは対象外につき取り下げもされていないようですが、まとめて信用ガタ落ちは必至です。早めにCentOSに乗り換えた方がいいかもしれません。しかし、またそれ用に設定するの?また面倒な。。。とほほ。

Ubuntu 17.10 corrupting BIOS - many LENOVO laptops models

[過去記事 [note] ubuntu17.10は不具合多数、回避or様子見推奨]

12/19/2017

[biz law] 中央リニア受注業者が談合で全滅、工事の行方は

JRの中央リニア工事の談合疑惑の件、結局のところ、受注に参加した大手ゼネコンは全滅必至な感じですか。。。

無論、本件はまだ捜査中の段階であり、今まさに押収され、これから行われる資料の精査や、これから本格化するだろう関係者の聴取から証拠が出ない限りは確定ではないのですけれども。しかし、本プロジェクトの規模、期間等の重要性の高さと、是が非でも受注を逃したくはなかっただろう各社の事情等から、受注とその価格についての不正、有り体に言えば談合が行われる可能性は元々強く疑われていました。その主たる根拠であるところの建設業界の談合体質、その山のように積み上げられた前科については言うまでもありません。

そこに、検察当局による本件の摘発が開始されてから追加された情報、殊にJR東海の担当社員による価格漏洩の是認を筆頭として疑惑を裏付ける性質の当事者の証言が相次ぎ、一方で否定する性質のものは殆ど皆無です。一応、当該容疑のかかっている各社の経営陣は今の所疑惑を否認しているようですが、特に根拠もなく、単にやっていない、と言うばかりのもので、ほぼ無意味と言っていいでしょう。この状況を見て、黒だと思わない者がいるでしょうか。

まだ捜査が始まったばかりの状態でこれです。押収された資料の精査や、おそらくは受注企業の殆どに及ぶだろう聴取等の捜査が進めば、どれだけの容疑が出てくるか、第3者の立場から想像するだけでも冷や汗が出る気がします。うっかり別件が発覚する可能性も高いでしょうし。

とはいえ、犯罪は犯罪、それも故意が明らかな、極めて悪質なものです。いくら当人たちが必要悪だとか強弁しようとも、事が露見した以上は相応の刑罰に服する他ありません。皆それは十二分に承知の上での犯行なのでしょうし、それは今更どうこう言い得るものではないのです。何人たりとも。

ただ、工事の方はどうなるんでしょう。周知の通り、中核たるトンネル掘削等の路線敷設関連の工事はその必要となるノウハウを持つ業者が極めて少なく、今回摘発されている業者以外に担えるところはないと言われています。それが摘発され、仮に工事から除外された場合、当然ながら工事自体が立ち行きません。さりとてこのまま担当を変更せずに工事を進める、というのも談合を追認するに等しく、司法当局としても容認し得るものではないでしょう。

これが、工事が相当に進んだ後に発覚したのであれば、やむを得ず工事の担当の継続を認めるという事になったのかもしれませんが、幸いにしてまだ殆どの工事が始まったばかりで、中止の選択肢も残されています。また、トンネル部分はさておき、今回端緒となった大林組の名古屋の出口工事を含め、他の業者にも施工可能につき、入れ替えが可能な部分も多々あります。全て替えが効かない、という事は有り得ません。であれば、入れ替え可能な部分を選別し、それについては談合組排除の上で再入札等を行い、入れ替え不能な部分については別途ペナルティを与えた上で継続、等の複雑な措置を採る必要があるものと考えられます。しかし、 それは言うまでもなく大変な事です。色んな意味で。

本件を受けて、これからどうするのか、どう始末を付けるのか。中央リニアプロジェクト自体の帰趨をも左右するだろうその後始末は、多数の選択肢が残されているだけに厄介です。存在するのかどうかも不明ですが、もし本件談合に参加出来ず、しかし部分的にでも工事を担えるだけの能力を持つ陣営があるのであれば、これ幸いと食い込み、というより奪い取りにかかるでしょう。一方談合組は、一定の責任追及は甘受しつつも、受注自体は維持しようと画策する筈です。これまで関与が制限、というより原則排除されてきた格好の自治体や政府が好機と見て介入する事もあり得るでしょう。

ただでさえ膨大な利害が絡み合うプロジェクトです。果たして元々の計画の維持は出来るのか。少なくとも工期の延長は必至だと思われますが、むしろそれで済むのか、適当なところに落ち着ける事が出来るのか、それすらも危ういように見えます。下手をすればこのまま頓挫しかねない勢いですが、もしそうなれば、それは工事そのものの困難さによるのではなく、欲をかいた関係者の違法行為によって、という事になるわけです。いや大変な事になりました。どうなっちゃうんでしょうね。中央リニア事業については個人的にも期待していただけに、このような事になってしまった事は極めて残念に思います。

何にせよ、本件談合をやらかした大手ゼネコン連中には、相応の報いを受けて頂かなくてはなりません。検察には、容赦のない、徹底的な追及を期待したいですね。検察は不祥事以来のここ数年、何もしていなかったに等しいのですし、その分働いてもらわなくては。

[関連記事 [biz] 中央リニア建設批判、その周囲に漂う無責任]

12/08/2017

[biz] GEも電力部門リストラ12000人

先日の独ジーメンスに続き、米GEもタービン等の発電用機器を製造販売する電力部門で大規模なリストラをする運びになったそうです。

理由も同じ。再生エネルギーへの移行等により火力発電はじめ従来型の発電機器の需要が減少し、生産能力が過剰になったため。アメリカで再生エネルギーと言うと太陽光発電・・・が当初の掛け声からすると微妙な感じというか殆ど頓挫したような状態ではありますが、TESLA等がまだ一応諦めていない状態で、少なくとも当分の間は大幅な回帰はないだろうとGEも判断したという事なのでしょう。独Siemensの件と併せて考えれば、競争云々より市場全体が供給過多になっているものと解すべきでしょうか。

ただ、再生エネもその喧伝ぶりに反して、規模的には従来型の電力ソースを置き換え得るレベルには全く達していないわけで。にも関わらずこの規模のリストラをするというのは、ジーメンスにしろGEにしろ、基本的に電力需要は全体で見てもあまり伸びないものと考えている、と解釈すべきところなのでしょう。そして、両社とも、その顧客すなわち電力会社の意向、動向等を含め、市場の状況は十二分に把握しているだろうし、それを踏まえての施策なのでしょうから、これは電力業界の大方の見方と理解して差し支えないものと思われます。

という事は、電力の供給側は、EV等の新規に大規模な電力ソースを必要とする類の機器についても、自動車メーカー等の動向に関わらず、さほど普及しないものと考えている、という事になるわけですが。。。無情というか何と言うか。今まさに躓く、というより盛大にすっ転んで頭を打ち、下手をすればそのまま死にかねない感じのTESLAにしてみれば、死んだものと考えた親族が葬式の準備を始めた感じでしょうか。この状況からの復帰は容易ではないでしょうけれど、さてどうなる事やら。

GE Plans 12,000 Job Cuts as New CEO Revamps Power Unit

[関連記事 [biz] 独Siemens、電力関連6900人リストラ]

12/07/2017

[biz law] VW米法人役員に禁錮7年の実刑

が言い渡されたそうです。加えて40万ドルの罰金。重いのか軽いのか判断しづらいですね。日本基準で言えば非常に重いと言えるでしょうが、米国基準なら軽いと言うべきでしょうか。一応、法定刑の上限だそうですが、何せ規模、悪質さ共に前代未聞でしたから、法が予定していなかったレベルの罪を既存の範囲内で最大限裁いた結果という事なのでしょう。

容疑者はOliver Schmidt、同社米法人のMichigan州の担当役員でした。容疑は言うまでもなくDieselgateの米国内での案件全般、すなわち米国向け同社製ディーゼル車につき米規制当局の排気ガス検査時にのみ動作し、通常走行時には動作しない排ガス低減装置・機能を搭載する事で検査を欺き、違反車両数十万台を米国内で販売して法令に違反した罪という事になります。

容疑者は逮捕後は容疑を認めており、4年以下の懲役と10万ドル以下の罰金への量刑の軽減を求めていましたが、通りませんでした。

有罪との判断、及び量刑については、その悪質さと規模、また同氏が独VWの子会社内とはいえ上級の役員であり、米当局に対し繰り返し虚偽を述べていた事等から、特に疑義を挟む向きもないようです。ただ、本件は元々本国ドイツのVW本社で計画され、そのBoschが担当したとされる装置や制御ソフト等の開発も同じくドイツで行われたもので、米国法人はそれらを米国で販売するにあたっての当局への窓口に過ぎませんでした。そして、現時点ではその主犯たる独VW本社の面々は訴追も聴取もされていないわけです。そうである以上、Schmidt氏が断罪されたからといって、本件でなされるべき責任追及は一段落したとすら言えないだろう事は明らかです。

しかし、独の面々はその政治力によって守られ、米国へのその身柄の引き渡しはおろか、ドイツ国内で訴追される見込みもありません。クリーンディーゼル自体を無かった事にするかのように、EV事業のアピールに邁進する一方で、その指示に従った米国法人の役員は長期に渡る収監を余儀なくされるわけです。Schmidt氏に同情する余地はありませんが、同氏が公判内で訴えたとされる、その本社の決定に従ったに過ぎないのだ、との弁解、またその裏にあるだろう心情には、氏自身の罪の内には収まらない理不尽と不公平を見出さざるを得ません。

Schmidt氏が本件訴追に至った経緯についても、ドイツ国籍を有し、国内に留まっていればその他の役員らと同様に逮捕されなかっただろう同氏が、"たまたま"Floridaへ旅行に訪れた際に米当局に逮捕された、というのです。その不自然さから、同氏をスケープゴートにしようとしたという類の本社の思惑を疑う向きもある程です。

同氏が逮捕された時は、これで芋づる式にVW本社周りにも追及がなされるものだと期待したのですが、結果は完全に逆、全く進んでいません。同社以外にも偽装が発覚した伊・仏の大手各社も同様で、訴追以前にまともに捜査さえも行われていない現状、それが示すEU周辺の政財界の想像を絶する腐敗ぶりに、愕然とせざるを得ないのです。どうにもならないのでしょうか。

ところで、本件で吹っ飛んだクリーンディーゼルの代わりとしてVWが注力しているEV事業は、同社の掛け声の強さにも関わらず、今の所全く売れる気配もなく、同社の思うようには全く進んでいません。おそらく同社に怨恨を募らせているだろう同氏には、それが小さくない慰めになっているのかもしれませんね。それで足りる筈もないのでしょうけれど。

Volkswagen Official Gets 7-Year Term in Diesel-Emissions Cheating

[関連記事 [biz law] VW米法人の規制対応部門責任者逮捕]
[過去記事 [biz law] VWディーゼル車に排気ガス適合試験での不正プログラム使用発覚]

12/04/2017

[biz] FREETEL破綻

安価帯のSIMフリー端末関連事業の(比較的)大手、FREETELのプラスワン・マーケティングが民事再生手続を申請して破綻したんだそうです。

と言っても、債務総額は26億、債権者数も100強に過ぎず、知名度の割にその規模は大きいものとは言えませんし、本件自体はさほど騒ぐ程のものではないのでしょう。

本件破綻について、同社が運営していたMVNO事業とそれ向けのSIMフリー端末事業とを切り離して論じる意味はあまりないのかもしれませんが、まずFREETELブランドのMVNO事業は既に譲渡済みにつき、本件倒産は回線契約ユーザには影響しません。また、端末のユーザについても、同社の端末は大半が一般の小売業者からの買い切りでしょうから、保証・修理等のアフターサポートを受けられなくなる以上の不利益は殆どないでしょう。サポートが無くなる点にしたところで、もともとこの種の端末はそれらを必要としない層が中心で、かつ1万〜2万前後の安価な端末につき、使い捨てと割り切って気にしないユーザも多いだろうと推測されます。これらの点を鑑みても、実質的に見てさほど大きな問題にはならないのではないでしょうか。なんかCoinとかポイント的なものも発行していたようですが、その規模も推して知るべしですし、特に考慮すべきものでもないでしょう。

むしろ、プラスワン社周り以上に、本件でユーザからの問い合わせ等が殺到するだろう、FREETELブランドのMVNO事業を引き継いだ楽天の方が面倒な事になりそうです。まあ、名義を続用している以上、法的に言ってもその辺は予想された範囲内の責任につき仕方のないところと諦めてもらう他ないのでしょうけれども。

数多あるMVNO事業者や端末メーカーの中で、同社が破綻に至った原因は、概ね明らかです。要するに事業計画が甘く、広告や出店に予想される収益に不釣り合いな巨額の資金を投じたため、採算が取れなくなって破綻したというだけの事です。

というか、あの強気さ加減は、率直に言って意味不明でした。資本力、ブランド、ノウハウ等、およそあらゆる面で競合他社に対して特別優位にあったわけでもなく、むしろ体力面ではIIJは無論として大手系列の事業者には著しく劣っていたわけで。また、同社が一応競合他社と差別化し得る強みと考えていただろう自社ブランドの端末にしても、安価ではあるものの、値段相応の価値しかないもので、とてもマジョリティーに訴求し得るようなものではありませんでした。保証等アフターで稼ごうにも、高額の保証料・修理代金等を、最安価帯のSIMフリー端末に支払うユーザなど殆どいません。何の根拠があって同社があれほどに強気な投資を行っていたのか、ちょっと理解し難く思われるところです。

果たしてその結果はご覧の通り。MVNO並びにそれ用の安価帯の端末の需要が急拡大する中ですらトントンないしは赤字であった同事業が、その市場全体の拡大フェーズが終了し、おそらくは同社の予想に反してiPhoneが過半のシェアを維持するに伴ってMVNOへの移行も滞る中、国内の限られたSIMフリー端末の買い替え・買い増しの需要をさらにHuawei、ASUS等大手を含む多数で取り合うとなれば、投資の回収など出来るわけもなく、破綻は必然であったと言う他ないでしょう。一応、破綻直前にMVNO事業を切り離して延命を試みはしたものの、その時点で既に採算が取れなくなっていた端末事業単体で業績を回復させ得る可能性がある筈もなし、単なる悪あがきに過ぎなかった事は明らかです。同社が事業計画を立てるにあたり、その基礎たる市場の動向の見通しをおそらくは根拠のない楽観論に立って見誤った時点で、既に詰んでいたという事なのでしょう。

ただ、これがMVNO周りのトレンドになるかというと、そうとも考えづらいところです。その他の業者の大半は、実店舗を持たず、広告も殆ど打たず、端末は外部調達のみであり、そもそも自前の投資自体殆ど行っていません。加えて、大手関連業者との資本関係、またそれに基づく抱き合わせ販売等の協力関係を有するところも多々あります。これらの差異を考慮すれば、FREETELが破綻したからといって、他のMVNO業者が一気に淘汰される、というわけでは必ずしもないように思われるわけです。 かつて同様に多数の業者が乱立し、その後淘汰されたプロバイダ事業等と比較してもMVNO関連事業は規模・収益性共に高く、成長の余地もあるのですしね。

他の業者には、これを教訓に無謀な投資は控え、堅実・誠実な事業運営がなされるよう願いたいところです。過渡期の事業分野で淘汰がなされるのは致し方ない事とは言え、情報通信は既に社会に欠くべからざるインフラの一つなのですから。その点、MVNO事業を事前に他社に譲渡した判断は、ユーザへのサービス提供を途切れさせる事なく保護したものと言えるでしょうし、一定の評価に値すると言ってよいかも知れません。

「FREETEL」元運営会社、民事再生法申請 負債額26億円