4/25/2024

[IT] SNS上の投資詐欺について

ここ最近、Facebookや旧Twitter等のSNS上での投資詐欺について盛んに報道されています。

それ自体は以前からありふれた話でしたが、有名な企業経営者や起業家、また投資家等を騙るものが頻発したために、騙られた側の有名人側がSNSの運営側を非難したり、対応が不十分だとして訴える等の積極的な行動に出るのに併せ、各種メディア上で個別に一種のプロパガンダ的な発信をし始めたのがきっかけとなって広く報道されるようになったようです。

個々の詐欺の内容自体は以前からあったものと何ら変わりません。要するに非現実的なレベルの収益率を示して容易に莫大な利益が得られると騙り、投資資金もしくは手数料と称して金銭を騙し取るだけの話です。率直に言って騙される方がどうかしている、と言わざるを得ない程の使い古された稚拙なものです。

今回の詐欺は、それに著名な投資家の肩書がついただけで、勿論内容を見れば嘘だとすぐに分かります。専門知識など要りません。にも関わらず、それに騙される人が後を絶たないと言うのです。欲に目が眩む人というのは何時の時代も変わらず多いのですね。信じがたい事ですが。

昔なら、そういうリテラシーの低い人と詐欺師の接点があまりなかったために起こらなかっただろう被害が、SNSという個人同士が容易に濃密な情報のやり取りを行える場を得て顕在化してしまったのが現状という事なのでしょう。その意味では時代的に必然の結果だとも言えそうです。

その必然的な現状に対し、SNS業者等は否応無しに対応を求められているわけです。彼らは勿論この種の問題について昔から把握していたでしょうし、おそらく今のような、被害が看過出来ない程に拡大し、抜本的な対処を社会的に迫られる事態も想定していたでしょう。ですが、実際にはなかなか対応は出来ていないようです。そして、それを非難されている。サービスの管理運営者として、またそのサービスから収益を得る者として、責任を負っている以上はある程度はそれも仕方ないのでしょう。実際問題として、彼らがシステム的に対処する以外に有効な手段がないというのも事実です。

ただ、今回の話で一義的に非難されるべきは詐欺師です。SNSはあくまで不特定多数が相互に自由なやり取りをするコミュニケーションの場であって、SNS事業者は、その場上で行われるコミュニケーションの内容には原則として中立であるべき立場にあります。通信の秘密や表現の自由の観点からは、内容には立ち入るべきではないし、その義務があるとも言えます。

言い換えれば、SNS事業者による介入は、必然的に検閲の性質を帯びるのです。とりわけ、今回問題になっているような投資詐欺への対処のためには、個別のやり取りの内容をリアルタイムにチェックし、詐欺行為が行われているかどうかを判断する必要があります。

著名人を騙っているかどうかを判断するにも、前提として投稿される全ての画像や音声等を解析し、かつそれぞれの投稿者の素性を調べておき、本人かどうかを照合する必要があります。まさしく検閲です。

疑わしい場合のみチェックすればいいじゃないかと言う人がいるかもしれませんが、疑わしい場合というのを洗い出す時点で、全ての投稿データを調べる必要があるのです。調べなければ、疑わしいかどうかもわからないのですから。

当然、その処理には莫大なリソースが必要です。悪名高い中国の検閲システムと同等かそれ以上の事をしようというのですから当然です。国家権力の裏付けのない一民間事業者には、地理的な優位性も、SNS外のユーザーのバックグラウンドデータ等もありません。そもそも個別のデータをチェックし、詐欺かどうかを判断するのにも、技術的にも著しい困難を伴うでしょう。

NGワードを設定すれば済むような話ではないのです。通常の投資関連の話題と投資詐欺を正確に区別し、かつ厳密な本人確認もしなければなりません。完全な対処はおよそ不可能で、典型的なパターンをフィルタリングする経験的方法による対処もいたちごっこになるのは目に見えているし、事実上不可能と言ってもいいかもしれません。なお汎用的なAIは正確性が不十分なため、補助的にしか使えません。

 つまり、SNS上での投資詐欺へのシステム的な対処は、法的な面と技術的な面の両方で容易ならざる障害を抱えていると言えるのです。対処がなかなか進まないのも無理からぬところと言うべきでしょう。

今回の件で著名人やそれに倣うメディアはSNS事業者を非難しています。対応が遅い、甚だ不十分だ、等として。しかし、上記のようなSNS事業者の置かれた立場とその困難さを考えれば、それは理不尽な要求であり、やってはいけない事だと思うのです。あくまで要望のレベルに留めるべきでしょう。

詐欺行為に自身の名前や画像を利用される著名人の方々が不満を覚えるのは当然の事だとは思いますし、それにメディアが同調するのも自然な事だとは思いますが、詐欺を行っているのはあくまで個々の悪意あるユーザーであって、SNS事業者ではないという前提を改めて認識する必要があるのではないでしょうか。

個人的には、あの程度の、およそありえない投資話に騙されるようなアホな人を減らす方が現実的だと思いますね。あと、詐欺師を積極的に摘発するとか。

そういう事を思うのです。

3/20/2024

[biz] マイナス金利政策終了で開く地獄の釜

ようやく。長きに渡り続いたマイナス金利が終わりました。もっとも、事実上は既に終わっていて、それを今回ようやく追認したというだけの事なのですけれども。

当初は異次元の金融緩和の一環として、短期間の例外措置という体で始まった同政策ですが、その目的であった経済の成長が全く得られないまま、従って止め時を見失い、失敗を認められない政府・日銀の無能によって、延々と続いていた事は誰もが知っている通りです。

得られたものは株式等のバブルだけと言っても過言ではないでしょう。

一方、債権市場の機能喪失をはじめ、ゾンビ企業の大量発生に各種のバブル等、その副作用により決定的に取り返しがつかなくなったものの大きさも尋常なものではありませんでした。ただ、これだけ長く続けばそれも恒常的なものとなり、表面的にはそれなりに安定を見せるようになっていたのも事実です。バブルが安定というのもおかしな話ですが。

しかし、その歪で危うい安定もとうとう終わります。

原因は複合的ですが、直接の原因はインフレと言ってよいでしょう。ただ、目標としていた経済成長に伴うそれではなく、世界的な物価高と円安の二重要因による単純な物価上昇です。それによる国内経済への影響、特に国内消費の減少は既に深刻なレベルにあります。もはや輸出の増加では補えないほどに。

この状況を作り出した張本人である故安倍元首相と黒田元日銀総裁は、既に退場しました。安倍元首相が暗殺された事が、この異常な経済政策を終わらせる契機になった事に疑いの余地はありません。逆に言えば、氏が退場させられる事がなければ、今もまだマイナス金利は続いていた事でしょう。

それが良い事だったのか、悪い事だったのかは誰にもわかりません。個人的には、ここまで諸々の債務が膨張し、売ることも出来ない資産を日銀が抱えて身動きが取れなくなってしまっていては、多少時期が前後したところで大した違いはないだろうと思いますが。

ところで、マイナス金利解除の影響はどういうものでしょうか。既に各所で山ほど議論されているように、その予測は非常に困難です。言うまでもなく、各種の要素が絡み合って、時に増幅したり反発したりで混沌的な挙動を見せる関係にあるからです。例えば以下のような。

・円金利上昇=円の価値上昇

 主な影響 円高・円建て資産の価値上昇

      輸入コスト減・輸出減・国内物価低下・消費増

・資金調達コスト上昇 

 主な影響 投資減・経済活動縮小・倒産増・不動産市場縮小・バブル崩壊

      債権価値減

      金融機関増収(利息のみ)

上記の項目だけを見ても、各種の資産や通貨の価格への影響はプラスに働くものとマイナスに働くものが混在している事は明らかです。例えば、金利上昇により通貨単体として見た円の価値は上がりますが、国内経済の縮小や債権の価値下落(の見込み)によって経済活動と結合した資金としての円の価値は下がります。また同時に、消費の増加により資金としての円の価値は上がる側面もあります。さらに、為替市場を通じて投機的な動き等も加わりますし、貿易を行う企業はそれぞれレートを一定期間固定して実質的に独自の金利を用いた取引を行います。

本来なら、金利はその予測も制御も困難な経済活動を規律するための数少ないツールとして決定的な役割を果たす筈のものだったのですが、その喪失を政府・中央銀行が自ら進んでやってしまっていたのです。日銀があの状況、政府も債務で押しつぶされそうな現状にあっては、今更その機能を取り戻す事が出来るのかすら怪しいでしょう。

特に資金調達コストの増加は、およそ全ての商取引の現場に甚大な影響を及ぼします。長らくほぼ0だったものがそうでなくなるとなれば尚更です。

ゼロ金利解除と言っても、当然ながら金利が上がれば、1000兆円を越えて積み上がったあの国債残高は利払い費という形で政府の支出を破滅的に増大させます。他国のように数%の水準にまで上げる事は極めて困難というか、そこまで上がった時点で既に財政は破綻しているでしょう。1%の利払いにつき国家予算の1割超を持っていくのですから、数%となれば利払いだけで当然に支出の半分とかになります。無理です。借り換え前に償還すればいいと言うかもしれませんが、それはそもそも不可能です。

当然、その引受を担っている日銀も道連れになります。つまり国家の財政部門は崩壊します。従って、逆に言えば、破綻を避けるために金利は上げられない筈です。実際、それこそがこれまでマイナス金利が維持されてきた主たる理由なのですし。

しかし、だからと言って、例えば1%以内等の低水準に留めておけるものでしょうか。海外各国は当然のようにそれを遥かに超える水準にまで利上げをし、それでもインフレを制御出来ていないというのに。繰り返しますが、経済活動は元々制御困難なものです。今回の措置に追い込まれた原因たるインフレ等の流れが、金利を少々上げただけで落ち着くと楽観できる根拠は何もありません。

金利を本格的に上げる他に術がない、という残酷な現実が明らかになった時、政府・日銀は、どうするのでしょうか。何が出来るのでしょうか。何も出来ないのでしょうか。

要するに、溜まりに溜まったツケを払わされる時が、迫っているのかもしれません。

[gov] 日銀がゼロ金利放棄

2/01/2024

[biz] トヨタ本体も消えそう

・・・と言ってしかるべき状況になったわけですが。 

流石の影響力というか資金力というかスポンサー力というか。日野・ダイハツの場合と比べ、非難・追求の動きが明らかに鈍いようです。

今回不正が発覚したのは豊田自動織機で、内容は前2社と同じく検査不正、すなわち性能偽装による認証の不正取得です。対象のディーゼルエンジンを搭載する10車種が生産・出荷停止となり、その中にはランクル・ハイエース等の主力車種が含まれています。特にハイエースはトヨタを代表する主力中の主力です。やっぱりというか、ついに来たかとかいう感じがしますね。

豊田自動織機は形式的には子会社ではありますが、周知の通りそれは形式的なもので、実質的にトヨタ本体の一部、すなわち今回の件はトヨタ本体の不正と言えるものです。対象車種からもそれは明らかです。

そして、不正の内容やその原因たる企業体質等はまず間違いなく日野・ダイハツの場合と同様であろうと思われるわけです。というか、2社の体質等はトヨタ本体の体質・方針が波及したものと考えるべきでしょう。本体が子会社を支配し、人事権や組織の編成権も握っている以上、その逆はあり得ませんし、2社が本体の影響を受けず独立に同体質になったというのはもっと考えられません。

まあ、ぶっちゃけ日野とダイハツのあの上から下まで腐り切った状態を見せられて、その親玉であるトヨタ本体は違うと思える人なんて、最低限の認知・判断能力さえあればありえないでしょうけど。 やっぱりね、と納得するだけの事です。

そうである以上は、トヨタ本体も当然に日野・ダイハツと同様の末路を辿って然るべきなわけです。少なくとも、そうでないと考える理由はなく、そうだろうと予想する理由・前例は既に十分です。

そもそも、今回対象になった豊田自動織機はトヨタの巨大な開発部門のごく一部に過ぎません。その他の各子会社や本体の開発部門・検査部門等でも同様の不正はまず間違いなくあったでしょう。少なくともその疑いは非常に強い。これから広範に捜査・摘発がなされて然るべきだし、そうなれば山ほど違法行為が発覚するだろうと思われます。当然予想される結果として、世界有数かつ国内トップの生産台数を誇る自動車メーカー、その生産の全部とまではいかずとも、相当部分が停止する事になるものと思われます。信用も失墜します。

その影響は言うまでもなく甚大です。トヨタ側も役員・部門・各社員共に保身に走るだろうし、利害関係者は追求に及び腰にもなるでしょうね。何しろ自分が失職したり、会社・部門が潰れたりする可能性があるわけですから。トヨタレベルの得意先が消滅でもすれば、立ち行かなくなる会社も多々あるでしょう。

お得意様No.1の攻撃に及び腰になったメディア各社はじめ、国交省や財界、全国・全世界に散らばる数多の取引先等がこぞって忖度という名の擁護・自己防衛に励む姿が目に浮かぶようです。

クソ喰らえです。スペックの偽装などという自動車メーカーとして絶対にやってはいけない犯罪を組織ぐるみで犯し、それが一部発覚してなお改めようとしない姿勢は到底容認できるものではありません。お得意のカイゼン、その対象は自分の目先の利益になる事だけだったようです。

そうであれば、この惨状も、TPSの結果と言えるのでしょう。果てしなく思えたカイゼンの行き着いた先が粉飾まみれ、犯罪組織になっての破滅とは、皮肉が効き過ぎてませんかね。

それを擁護するメディア・政財界・取引先等も同罪と言う他ありません。ユーザーや社会の事なんかよりトヨタ様の方が、正確にはトヨタ様との商売の方が大事って事なんでしょう。そんなに大事なら、一緒に破滅すればいいと思います。

[biz] 日野に続いてダイハツも消えそう

[biz] 日野自動車、全車販売不能・・・まさか廃業?