Donald Trumpの大統領就任から2週間。激動、というべきなんでしょうか。何か違う気もしなくもありません。
何にせよ、概ね予想通りとは言え、洒落にならないレベルの過激な大統領令の連発に世界中が振り回され、精神的にとても疲れる日々でした。それでも、人は慣れるもの、な筈です。数ヶ月もすればきっと。・・・多分?
これまでの振る舞いを一期目と比較して見ると、個人への攻撃的な言動は殆どなく、その代わりに特定の属性毎の集団にターゲットを絞っている点に違いがあるように見えます。
各々の行動に際して何も根回しもせず、合憲性すら考慮せず、周囲を混乱に陥れる点は同じなのですが、対象が桁違いに広く、また規制等の程度が前例がない程に過激なため、個人から企業団体まで、一瞬にして危機的状況に見舞われる人たちが膨大に発生し、各所で当然に阿鼻叫喚の大混乱が生じました。Trumpが大統領の権限について理解を深め、より効果的な行動を選択するようになったものと評価できるでしょう。
米国籍の出生地主義の廃止は早々に違憲との司法判断から差し止められ、連邦政府の補助金・貸出金の一律停止についても司法により一時差止措置が取られましたが、それ以外の、米国憲法による規制が原則として及ばない対外的な政策については抑止が困難で、個々に標的となった近隣国等の対象との間の交渉に委ねられています。
交渉が不可能ないし困難な相手なら?言うまでもありません。不法移民のような交渉の余地のない相手は無論、DEI関連職員等のマイノリティには抗う術はなく、淡々と排斥が進められていますね。このあたりはTrumpの公約の中核的な部分ですし、法的にも問題は殆どありません。このまますんなり行くところまで行くでしょう。
流石にカナダ・メキシコへの25%の関税については、その目的(覚醒剤の流入抑止等)に比してあまりに国内経済への影響が大きすぎるし、報復措置もきつく、主に経済界からの反発を受けてあっという間に殆ど事実上の撤回に等しい延期に追い込まれました。このインフレ下でさらに何割も上乗せとか、米国民からしたら何の冗談だって話でしょうしね。
しかし、中国への10%追加についてはそのまま実行されそうです。もっとも、中国はWTOに提訴する構えを見せていて、提訴されれば間違いなく米国は負けるでしょうから、そう長く続くわけではないかもしれませんが。
とまあ、やっている事は過激ではありますが、実のところ概ね公約通りでもあります。その意味で驚きはないのですけれども、程度の面で予想を超えていた、という向きも多いようです。そういう意見については、正直甘いのでは、と言わざるを得ません。
明確に国民の多数の支持を得て大統領に復帰したTrumpには今更恐れるものもためらう理由もなく、1期目より過激になるだろう事は目に見えていました。これまでの言動からおよそTrumpが実行し得る事は原則として全て為されるものと想定すべきです。
もっとも、インサイダーなど知ったことかと無価値な暗号資産を売り出して儲けようとした件など、大多数からも想定外だろう権力濫用の類もないわけではありません。とはいえ、そのレベルになるともう予想とかしても無駄だろうし、影響もたかが知れているでしょうから、事が起こった後でその都度対処すればいい話なのかもしれません。
疑心暗鬼は百害あって一利なし。無警戒は難しいでしょうしするべきでもありませんが、過剰な心配はしないに越したことはありません。落ち着いて見れば、大多数の人にとってTrumpの振る舞いが実際に利害が絡む点はそう多くはありません。平常心を心がけましょう。
ただ、軍事関連についてだけは別です。軍事政策でのやらかしは、およそ取り返しのつかない事になるので。その意味では、Trumpが軍事関連には一貫して消極的な点だけは救いと言えるでしょうね。どうかこのまま乱心を起こさずにいてくれますように。