まあそうなりますよね、としか。むしろ成立すると思ってた人っているんでしょうか。公表から一ヶ月あまり。ホンダ・日産の経営統合の件、具体的な組織上の手続きに入る事もなく、また株主からの反発等を受けるまでもなく、経営陣同士の交渉、その初期の時点で早々に破談したそうです。
救済される側の日産の側から撤退した点は少し意外だったというか、いやそれは殆ど部分的廃業にも等しいリストラ要求とホンダに吸収されるも同然の合併形態・比率等に我慢ならなかったというだけなのでしょうけれど、それでも存亡の危機にあるのは事実なわけで、一体日産はこれからどうするつもりなんだろうと疑問を抱かずにはいられないわけです。
今の日産にホンダ以外の、今回ホンダが要求したであろうより良い条件、つまり対等な立場で合併等を申し出てくれるあてがあるとも考えられません。本件によって日産に抜本的なリストラ等をする気がない、すなわち経営状況の改善が望めないという事が明らかになってしまった今となっては尚更でしょう。もはや同業他社による救済の道は閉ざされたも同然です。
である以上、もはや日産には独力で立ち直る以外に生き残る術はない事になります。
言うまでもなく猶予はさほどありません。事業自体、強みらしい強みもなく、手札は無いに等しい。組織は腐敗しきって機能不全。それでいてプライドだけは山より高い。そんな日産が、残されたわずかな時間で、経営統合という目標もなく、外部からの圧力もなく、自律的に体質も含めた事業の抜本的な構造改革など出来るものでしょうか。正直不可能なのでは、と思わずにはいられません。
さよなら日産、と別れを告げる日はそう遠くないのかもしれませんね。そうなったとしても、完全に自業自得なので同情する気も起こりませんが、行き詰まった企業というのは無残なものだなと、しみじみ思うのです。
<補足: ホンダの言い分も酷い件>
とはいえ、今回のホンダ側の言い分も大概ではあって、到底支持出来ない酷いものではあります。
ホンダは、日産をホンダの子会社にするという、当初の合意から大きく逸脱して、基本的な枠組みを自分に都合のいいように大幅に変更する重大な要求をしておきながら、日産側に殆ど検討の時間を与えず、その上で意思決定が遅いと宣ったわけです。
公表前の水面下での話ならいざ知らず、既に基本方針も公表されている以上、そのような重大な不利益を伴う変更の是非の判断を日産側経営陣が独断で出来るわけもなく、社内外との調整検討説得に多大な手間その他の困難がある事は明らかであるにも関わらずです。
救済する側される側として事実上力関係ははっきりしていたとはいえ、少なくともその時点での建前上は別企業として当然に対等な立場の交渉相手であり、そもそもこれから一つの企業体として仲間になろうという相手に対し、あまりに傲慢かつ不誠実で理不尽な振る舞いと言わざるを得ません。正直ドン引きです。
そのような扱いをあからさまに受けて、日産側が屈辱を感じなかった筈はありませんし、もはや信頼できないし経営統合など論外、と判断するのも仕方ないでしょう。その意味で、日産側にも同情すべき点は大いに認められるのです。経営危機云々は別にして。