仏極右系指導者の筆頭であり、Macron大統領の対抗馬として近年支持を拡大し続けていたMarine Le Penが有罪判決を受け、被選挙権停止となってしまったそうです。
容疑は、2004年から2016年と12年にも渡り、EU議会の補佐官用の資金を、自党(National Rally)の職員への給与に私的流用していた、というものです。彼女だけではなく、他に同党所属でEU議会議員として務めた8人及び職員12人も同容疑で訴追され、無罪判決を得たのは1人だけとのこと。要するに党ぐるみでカネについて真っ黒でしたと。
期間、規模、流用した資金の性質等を併せて見れば、如何に彼女が仏政界において重要な地位にあると言っても、アウトになるのも致し方なしでしょう。Le Penとその支持者達の叫ぶdemocracyの危機、等というお決まりの捨て台詞が虚しく響きます。
なお、本判決はまだ1審なので確定ではありません。ほぼ確実に上訴もなされる見込みとの事でもあります。が、日本とは違い、上訴をしても被選挙権停止の効力は(上訴裁判所が取り消さない限り)消えないそうです。停止期間は5年。(なお、上訴に伴い拘禁や罰金等、その他の刑の効力は停止するそうです。被選挙権だけ別扱いな理由はなんでしょうね?)
しかるに、一般に上訴の審理には数年かかるとのこと。判決の内容からして、審理中に取消がなされる可能性は限りなく低く、その間は被選挙権は復活しないものと見られています。
つまり、Le Penは事実上次の仏大統領選には出られない、と言ってよいだろうわけです。勿論、党の顔と多数の中核メンバーをまとめて失ったNational Rallyも総崩れ必至です。お疲れ様でした。
言うまでもない話ですが、今回の判決はEU全体としては歓迎すべきものです。対Trump、対Russiaで連帯を強めるEUにとって、その中心的役割を担う仏の右傾化とそれによる不安定化は大きな懸案の一つだったところ、このタイミングでのその主要因たる彼女と同党の失権はあまりに都合が良すぎて裁判への政治的な介入の気配を感じずにはいられませんが、それ自体が正当であれば問題はないでしょう。
綺麗に懸案が片付いたわけではなく、まだドイツをはじめ各国に大小様々な不安定要因はありますが、とりあえずまとめ役の仏が安定するなら、EU全体が内部から分裂瓦解、というような破滅的な危機はさしあたり避けられそうで一安心です。
とはいえ状況の変わる速度も程度も激しい昨今ですから、束の間の平穏、あるいはそれ自体錯覚に過ぎないのかもしれませんけれども。代わりがすぐに出てくる可能性も高いでしょうしね。それ自体はしょうがない話なんですけれども、新興勢力が揃って平和とは真逆の方向にばかり向かおうとするのはどうにかならないものなのでしょうか。
French court finds far-right leader Marine Le Pen guilty in embezzlement case