ついにこの日がやって来てしまいました。当初予定の2週間遅れです。
LTS版にも関わらず、バグまみれのβ版同然の状態でリリースされてしまった24.04。案の定というか、頻繁に固まるだの、アップグレードに失敗するだの、音が出ないだのと、大量の致命的な不具合の報告が溢れていて、安定的な動作を望む一般ユーザとしてはとても手を出せる状態ではありませんでした。
通常はリリース後に発覚したバグを修正した安定版としてリリースされる.1版ですら、アップグレード時の致命的な不具合が残っているとしてリリースが延期される始末で、ユーザとしては殆ど恐怖を感じる状況でしたが、なんとか24.04.1の再延期は免れました。そして運命の時がやって来たのです。
リリース後に一日様子を見たところでは、明らかに致命的な問題は生じていない様子。あくまで修正版なのだし、それは当たり前でしょうけれども、とりあえず一安心。
とはいえ、流石にいきなりサーバー(22.04LTS)に適用するのは怖すぎます。幸いというか、クライアント利用が中心の作業用PCはLTS以外もアップグレード適用してきていて現在は23.10。23.10は既にサポートは切れているので嫌が応にもアップグレードするしかありません。というわけで、こちらのアップグレードを恐る恐る適用してみた次第です。
結論から言えば、成功しました。
ただ、アップグレードインストーラの挙動は怪しいところがあり、実際に致命的ではないものの問題も発生しました。以下にそれをいくつか。
手順はいつもの通り、update-managerからアップグレードを選択しました。概ねいつもと同じような挙動なのですが、途中で2点、終了時に1点割とシャレにならない問題が発生。
問題1. 一部パッケージのインストールに失敗
そのまんまです。thunderbirdパッケージがインストール前のsubprocessでエラーが出て、インストールできない旨メッセージが出ました。"アップグレードを続けますが、パッケージが動かない状態にある可能性があります。この件に関してバグレポートを送信することを検討してください。"的なメッセージも出て、実際インストール完了後にはaptの修復等を行う必要も生じました。致命的なものではありませんが、肝は冷えましたね。24.04からthunderbirdもsnapに移行しているのですが、それ関係の不整合によるものでしょう。
なお、aptの修復等は、
$ sudo apt --fix-broken install
とかです。autoremoveなんかも、普通のアップデートコマンドをやればOK。
問題2. grubのインストール先設定要求
これは厳密には問題とは言えないかもしれません。何かと言うと、これまでアップグレードではgrubのインストール先、すなわちプートローダ周りをどの記憶媒体に入れるかを聞かれる事はなく、単に従来の設定を踏襲するようになっていて、例外的にgrubのバージョン変更時に以前のバージョンを保持するか否かを聞かれる事がある程度でした。
それが、PCに接続されている、grubを設定可能なHDDやSSDとそのパーティションを検出し、その内のどれにgrubを入れるかを選択するよう要求するようになっていたのです。具体的には、/dev/sda,/dev/sda3,/dev/sdbとかが表示されて、それぞれの横にあるチェックボックスをチェックする形ですね。
当然、困惑させられたわけです。何だこれはと。こちらとしては特に変更するメリットもないし、従来通りにして欲しいだけです。わざわざ聞くという事はユーザーにとって意味がある話な筈なのですが、それが何なのかわかりません。なので、最初はどれにもチェックボックスを入れずに進めようとしたのですが、そうすると、"grubをインストールせずに進めますが、よろしいですか"的な警告が表示されたのです。これは最悪起動出来なくなるやばいやつだ、と理解したので、慌てて戻って従来grubを入れていた筈のドライブをチェックして進めました。結果としては別段問題はありませんでした。何だったんでしょう。
なおチェックして進めた時、即時にgrubの設定をしているのか、数分間程度ダイアログが先に進まず固まります。これも心臓に悪いので表示をどうにかした方がいいと思います。
問題3. 終了時に、"インストールに失敗しました。"的な表示が出る
これもまんまです。おそらくは問題1.のパッケージインストール失敗に起因するものだと思うのですが、そんな細かい事情は示されず、ただ失敗した旨だけが表示されます。そりゃもう血の気が引きましたね。ロールバックする旨も表示されましたし、アップグレード全体が失敗したとしか読めないものでしたから。しかし、実はこれは表示だけだった様で、実際にロールバック等が行われる事はなく、すぐにアップグレード完了の旨表示され、そのままインストーラは終了しました。
ただ、途中終了の形にはなっていたのか、パッケージのクリーンアップ等は行われず、その後(再起動後)に手動でする必要がありました。結果的にはアップグレード自体は成功したと言って良い結果ではあります。ほんと一安心。この間の私の気持ちは、久しく感じた事がない程つらいものでした。勘弁してほしいです。
その他、ライブラリのバージョンが変わっていて自作プログラムの一部をリビルドする必要があったりはしましたが、基本的にビルトインのアプリケーション等には目立った不具合は見当たりません。日本語やビデオ・オーディオ周りも特に問題はありません。
というわけで、23.10からのアップグレードは致命的な問題はなく終了。結果だけ見れば拍子抜けとも言えなくもないですが、やってる最中はそんな事はわかりませんから、精神的には非常に消耗しました。サーバーについてはもっとシビアだし色々準備も必要なので、また後日。 というわけで、今回はこれでおしまい。お疲れ様でした。
[note] Ubuntu24.04LTSリリース、いつになくやばげ?
[note] Ubuntu24.04.1のリリースが延期、やはりヤバい模様
<追記>
やっぱり(22.04からの)アップグレードにはバグがあるようです。特にserverでのアップグレードに使うubuntu-release-upgraderにはcriticalなbugがある、との事で、現在24.04.1はLTSリリースから一時的に取り下げられており、通常のコマンドではアップグレード出来なくなっているとの事。
一応develop版としてなら24.04.1にアップグレードする事は出来るとの報告もありますが、いずれにせよサーバーへの適用は修正版のリリースを待った方が良さそうです。というわけで私の所もサーバーのアップグレードはペンディング。やれやれです。
Unable to upgrade from Ubuntu Server 22.04 to 24.04.1
Noble missing from meta-release-lts
<追記2>
22.04->24.04.1のアップグレードパスが復活したので、サーバーについてもアップグレードを実施しました。しかし問題だらけのようです。