7/12/2022

[note] AmazonのPrime Dayが普段の価格とほぼ同じっていうよく知られた話

ずっと言われている事で、今更も今更な話ですが。年に一度、とか謳う癖に、全然安くないんですよね。今回それを再認識する事になったのです。ああやっぱり、って。

というのも、ここ数ヶ月、特にAndroidのタブレットデバイスとかミニPCとかで買い替えを検討していた事もあって、その辺の製品の値動きを毎日観察してたんです。なので具体的な数字の動きが見えたのです。で、ため息をつくしかなくなったという。

前提として、今のAmazonって、ほぼ全ての製品が、何かしらの割引を行っている(と称する表示を掲げる)のが常なんですね。常に行う割引とは何ぞや、という疑問は措いておくとして、実際そういう表示になっています。と言っても、いつも同じ表示だと割安感が出ないとかで訴求力が落ちたりするんでしょう、普通の割引の他にもクーポン等いくつかの割引の仕方があって、その組み合わせを切り替え、見た目を変えながら同じ商品を殆ど同じ値段で売り続けているわけです。

基本は本体価格の割引+クーポン(定額or%)の組み合わせが一番多く、タイムセールと称して本体価格の割引にまとめる(減額したクーポンを組み合わせる事もある)のとの切り替えがよく見られます。一応、タイムセール表示の時には数%程度安く設定するものが多いようで、これが基本的に普段の安値というか、それ以外で買う人はまずいないだろうので事実上標準の売値という事になります。

タイムセールの期間は商品によってまちまちですが、注目していた数機種(T610、SC9863A、T310等の安価なSOCを積んだ低価格帯のAndroidタブレット)では、およそ月の半分位は同一の価格になっていました。やはり限定特価というより、事実上の通常価格と言うべきものですね。それ以外の価格の時は売れる事が想定されていないだろうのですから。もちろんプライム会員である必要はありません。誰でもその価格で購入出来ます。

で、Prime dayです。その名の通り、Prime会員しか参加できない、Amazon曰く「年に一度のビッグセール」との事です。顧客には、いつもやっている誰でも買えるタイムセールとは違う、さぞ破格の安値になっているのだろう、との印象を与える事は間違いないだろう広告を打っているわけです。

そのビッグセール中のタブレットたちですが、以下のような感じです。左が先月から今月頭までのタイムセール価格(クーポン等はあれば適用後)、右が今回の価格。

TECLAST TLA007 15,120円 → 15,120円

ALLDOCUBE Smile X 15,120円 → 15,120円

ALLDOCUBE Smile 1 12,349円 → 12,041円

Blackview Tab 6 12,999円 → 12,799円

上2機種は全く同じ価格。下2機種は値下がりしてはいますが、「ビッグセール」と言う表現から受ける印象とはあまりにもかけ離れた、わずかな差と言うべきものです。付け加えれば、商品のページでは"参考価格"と称して、Smile 1は16,900円、Tab 6は15,999円を表示しているのです。そんな価格で販売した事は無きに等しいにも関わらず。二重の意味で、優良誤認のおそれがない、とは到底言えないでしょう。もちろん、上2機種に至っては論外です。

本件がさらに悪質なのは、常態化しているタイムセールを、Prime dayの数日前から当日までは行わず、あえて普段より高い価格を付けている点です。常に詳細な価格をウォッチするか、価格変動を記録しているサイトを参照でもしない限り、これが普段の価格だと気づけないようにしているのです。※なお、Keepaのような価格トラッカーは、クーポンの反映が出来ない等で正確性に欠けるところがあるため、誤認の防止には不十分です。

当然ながら、ここで挙げた例はほんの一部で、同様の表示は大多数の商品で広く行われています。中華系セラー等の販売委託品はほぼ全部ですね。例外は、Amazonの自社販売品の中のさらにほんの一部で、おそらくセール全体がタイムセールと全く同じではない、だから優良誤認ではない、とエクスキューズをつけるために渋々設定しているのだろうという程度に過ぎません。 結果、前々から目を付けていた商品が、Prime dayで破格の特価になるという事は殆ど起こらない状態になっているのです。Amazonのセールの度に、欲しい物リストに入れておいた品が全然安くなってない、という嘆きをよく目にしますが、それも当然というわけですね。

何故このような状況になっているのか、と言えば、想像する事はそう困難ではありません。Amazonの商品の多数を占めるところの、しかし販売委託を行っているに過ぎない外部のセラーからすれば、Prime dayだからと言って自社が赤字、とまでは行かずとも、利益が極端に減るような値引きに協力する積極的な理由はないだろうし、かと言って販売の機会を逸したくもないという事情はあるでしょう。普段の表示にしても、もとよりあまり割高な価格を掲げれば見向きもされず、さりとて際限なく(実質的な)値引きを続けるわけにも行かないだろうし、こういう価格設定やその表示を選ぶ事も理解出来なくもないところです。

ですが、だからと言って、誇大広告が正当化される筈もありません。紛うことなき違法行為、顧客への裏切りに他ならないのですから。まあ、中華系の業者であれば、日本人の顧客なんて人とも思っていなくても不思議はないし、そもそも彼らの文化として、優良誤認自体悪いことと思ってもいない(騙される方が悪いとか思っている)のだろうとは推測出来ますが、ここは日本ですからね。国内法に従って頂かなくては困るのです。

その辺りの倫理面の認識は、おそらくはAmazonも似たようなものでしょう。否、顧客はおろか、数多の外部委託業者、さらには自社の従業員ですら人として認識していないとしか思えない、単なる事業上のリソース扱いをして憚らない同社の事ですから、裁判沙汰のち敗訴して大損失、とでもならない限りは、特に問題と認識する事もないのでしょう。

斯くして、かくもあからさまな違法行為は、公然と続けられるのです。数多のユーザ、顧客の怒りと嘆きを生みながら。馬鹿馬鹿しいですね本当に。

ちなみに、件のタブレットの購入については、結局目を付けてたものとは別の、数時間だけ破格の安値になっていた別機種を購入しました。もちろんPrime dayとかは関係なし。ある意味当然の結果なのでした。