3/08/2023

[pol] 東谷とその支持者、無知と無責任が招いた惨事

やっと一区切り、なんでしょうか。東谷義和参院議員(通称ガーシー)の国会法違反の件、除名処分が確実な見込みとなりました。

本件は、前回の参議院選挙で比例当選した同議員につき、当選後半年以上に渡り一度も議会に出席せず、国会法第五条の集会義務違反に問われたものです。これに伴い国会法の規定に従い懲罰委員会にて国会法122条第二項の"公会議場における陳謝"を課され、同氏はこれに同意の旨返答したにも関わらず、期日にそもそも帰国せず、履行拒否となりました。

これを受けて、当然に陳謝よりもさらに重い懲罰を課される運びになったのですが、国会法122条に定められた懲罰の方法の内、陳謝よりも重いものは登院停止と除名の2つしかなく、うち登院停止は登院懈怠者であるところの同氏には懲罰としての意味をなさないため、もはや除名する他ない、というわけです。

同氏は懲罰に応じないだろうという見込みは当初からありました。周知の通り、同氏は暴露系と言われるその活動に伴い、名誉毀損や業務妨害、さらには詐欺や脅迫等の刑法犯の容疑者として多数の告発を受けており、帰国すれば逮捕・訴追を受けるだろう事はほぼ確実で、それを回避たるために帰国しないだろうと見られていたためです。

ただ、国会議員には不逮捕特権があり、少なくとも会期中は原則として逮捕されません。すなわち会期中であれば帰国の可能性もないではないとも考えられるため、一足飛びに除名にはせず、念の為に陳謝処分が課されたのですが、これも無視された、というわけです。逮捕の恐れはないにも関わらず何故同氏が帰国しなかったのか、いささか理解し難いようにも思われますね。

これは推測ですが、同氏は本件に関わる国会法及び憲法の規定を理解しておらず、そのために今回のような対応になったのではないでしょうか。まず国会法を軽くでも読んでいれば、国会議員がどのような義務を負い、実際に議院がどのように運営されているかが分かるし、議員が議会に出席する事がおよそ全ての活動の前提になっている事が理解できた筈です。陳謝の懲戒への対応についても、出席の代わりに動画を送りつけたそうですが、国会法の規定上"公会議場における"と明記されている事から、動画を送りつけたところで意味がない事も明らか。法を理解しているとは到底思えない振る舞いです。議院側も話が通じないと困惑したことでしょう。

大抵のことがオンラインで事足りるようになって来た昨今にあって、登院・出席を前提とした国会運営のあり方は時代にそぐわない、という考え方はあり得るでしょうけれども、実際にオンラインの方式を議院運営に組み込むのは容易な事ではなく、少なくとも国会法の全面改正と各種規則の改定、各種設備の導入、何より現在議院を中心に運営されている各省庁はじめ行政との連携のあり方すなわち政府中枢の運営の形態等も根本から変更が必要になります。

そもそも、新しい方式がメリットばかりをもたらすわけはありません。デメリットも小さくはないでしょう。ビデオ会議では必ず生じる遅延からして影響は甚大です。絶対に必要となる議員の本人確認及び議員以外の排除も困難を極めるでしょう。末端の事務程度ならいざ知らず、事は国権の最高機関の運営すなわち国家運営の根幹に関わるものです。その是非も含め、広範囲に渡って慎重かつ詳細な検討と判断が必要になります。民法や憲法の改正ほどではないにせよ、それに準じる程度の困難なプロセスになるでしょう。

それだけの労力を払い、デメリットを受け入れてでもその制度変更が必要だと主張するなら、その主張はまさに国民の代表たる議員が法に則って行うべき事であって、当たり前ですが現在の制度を無視する言い訳にはならないのです。現状がそうなっていない事を批判するなら、その対象はまず第一に議員である筈なのですし、議員でありながら議院運営を妨げている東谷氏は最も責任が重いと言うべきでしょう。それが法の無知によるというなら、そもそも同氏に議員の資格がなかったものと断ぜざるを得ません。立候補などするべきではありませんでしたね。やれやれです。

もっとも、同氏の人となりやその活動を少しでも知っていれば、氏に議員の職責を果たすに足る資質があると考え得る筈もなかったでしょうけれども。投票は権利であり自由でもありますが、他の権利と同様、相応の責任が伴うのです。この事態を招いた、すなわち国会運営の妨害に加担したに等しいところの、氏に投票した20数万の愚かな有権者達には深く反省を求める次第です。一定期間選挙権の剥奪、位してもいいくらいだと思いますよ。不可能ですけれども。

なお、同議員は比例区選出につき、除名後の後任について補欠選挙は実施されず、同名簿中の次順位以降の候補者が繰り上がり当選という事になります。同党の候補者は基本未経験者しかおらず、しかも知名度等の議員としての能力とは全く関係ない事柄のみによって選定されている筈ですから、期待など出来よう筈もありませんが、せめて国会運営の邪魔だけはしないで頂きたいと思う次第です。