とうとう、というべきか、ようやく、というべきか。
中国の不動産最大手の一角、恒大集団が米国(NY)で破産法第15条の申請を行い、破綻したそうです。ちなみに、15条は海外とも関連する企業の場合の条項です。資産流出・隠蔽の回避等のため、米国外の関連諸国と連携した措置が想定されています。と、それはともかく。
無論、そのインパクトは尋常なものではありません。中国のバブル経済の中核を担った同社の負債は公表されているだけでも数十兆円にも及び、非公表の実質的な債務はそれを遥かに超えると言われます。大国の破綻にも等しい規模です。
しかし、驚き等は全くありません。中国の不動産バブル、その象徴であった同社ですが、コロナ禍以前からバブル崩壊に伴い長らく経営危機にあった事もまた周知の事実であり、もはや破綻は時間の問題であると誰もが知っていたからです。
実際、コロナ禍以降、諸外国は中国から急速に資本を引き上げてもいました。それが中国のバブル経済を破綻させる最後のひと押しになった、というだけの事で、要するに同社の破綻、これに続くだろう中国経済の破綻は、諸外国が意図的に引き起こしたとも言えるものです。当事者がそのわかりきった結果に驚く筈もありません。
しかし、それでも。中国経済の破綻。言葉で言うのは簡単ですが、流石に戦慄を禁じえません。それが、いつか来る不可避の未来として語られ始めたのは、北京五輪の招致決定の頃だったでしょうか。それから、明らかにバブルと分かる不動産を中心にした、実体と乖離した金融市場の膨張、それはバブルである以上破綻が避けられないものであり、しかも中国政府の強力な統制に基づくものであるために、限界までその破綻を回避し続け、際限なく膨張を続ける結果、その破綻はかつての日本のそれを遥かに超える程の破滅をもたらすだろう事も明らかでした。どうするのだろう、とその未来に恐怖しつつ、中国なら力技で抑え込んで見せるのではないか、と期待する向きも多かったように思います。
しかし、そんなうまい話はありませんでした。中国政府は、何ら実質的な手立てを用いる事もなく、ただひたすらに表面的な粉飾だけを続け、膨張と崩壊が同居する奇妙な状況を放置、いや実質的にはむしろ保護して育て続けました。そして、ついにその破綻を現実のものとして口に出す時が来てしまったのです。
この崩壊がどういう経過を辿り、どのような結末に辿り着くのか、 それは誰にもわかりません。追い詰められた独裁者、特に全体主義国家の支配者は、しばしば常軌を逸した破滅的な振る舞いに及ぶ事があります。少なくとも、常識的かつ倫理的な方向の打開策のみに自らを律するだろうと期待する事は出来ません。戦争特需等に非現実的な活路を求めて台湾侵攻に及び、米国を巻き込んだ大戦が起きる可能性すら、ありえないと否定する事は困難です。
もはや破綻を回避する術はなく、その影響を遮断する事も不可能です。日本を含む諸外国も、経済的な被害はもう避けられません。今更中国から資本を引き上げようにも実際無理でしょうし。せめて、物理的・人的な被害が我々には及ばないよう、及んでも軽微で済むよう、願うばかりです。