2/28/2014

[IT law] 英国によるウェブカメラのビデオ盗聴が露見

Edward Snowdenの告発に端を発した英米情報機関によるネット盗聴暴露の件、ウェブカメラの映像も対象だった事が明らかとなったそうです。具体的には、英国情報機関GCHQによって、Yahoo!の提供するビデオチャットサービス、その利用者について、公開されたドキュメントにあるだけでも2008年中の半年間で英米の180万人のサービス利用時の映像が盗聴されていたということで。本サービスはその後も継続されていたとの事ですから、おそらくは合計で数千万にも及ぶ大勢のプライベートな映像が不当に取得保存閲覧されていた事になります。酷い話です。

しかしこれはごく一部に過ぎないだろうのがまたなんとも。本家たる米NSAによる同種の活動は質量ともにGCHQのそれを遥に越えるだろうし、Yahoo!以外の協力企業、GoogleやMicrosoftのそれが対象外だったとは到底考えられないのですから。すなわち、SkypeやGoogle Hangout、Kinect関連等、大手の各種ビデオ会議・チャットサービス等はその全てが当然に盗聴対象だったものと強く推測されるわけで、個人のプライバシーとか企業の秘密とかサービスの信用とか、諸々が滅茶苦茶の大惨事です。いやこれまでの経緯からして既に信用も何もあったものではないのですけれども、流石にビデオはプライバシー侵害の面で一線を画す的にまずいでしょう。その種の映像データ公開は、しばしば個人攻撃の手段、例えばリベンジポルノや苛めの一環として行われるものですが、暴露された側には精神的・社会的に深刻かつ回復困難な被害が発生するもの、自殺に至る事すら稀ではないわけで。

なお具体的な取得データは、各IDにつき5分に一枚の映像と、そこから顔認識の結果やメタデータで絞り込んだIDについてはより多数の映像、とのこと。ビデオはデータ量が膨大ですから、これくらいの選別処理はやって当然というところでしょうか。顔認識に用いたエンジンはまさか自前ではないでしょうし、一体何処製のものが用いられたのか、そしてその精度というか選別結果にはどの程度の妥当性が認められたのか、不謹慎ながら技術的には少し気になるところではありますが、それはともかく。

そして、そうして集められた映像のうち、実に3~11%が性的に不適切な映像だったそうで。。。いわんこっちゃないです。それら映像は廃棄されたかどうかも不明なわけですが、その措置の如何によらず、盗聴された多くのユーザが、そのプライベートな映像が暴露されていた事を知って、精神的に重傷を負ってしまった筈です。多分に自殺者の発生も懸念されるわけですが、どうするんでしょう。GCHQはこの期に及んでなお全ての活動は合法だとして補償や対策をする以前に謝罪もしていませんし、NSAも同様の醜態を晒しているわけですが、このまま破滅的な結果に至ってしまうのでしょうか。全く以て救えませんね。

Yahoo webcam images from millions of users intercepted by GCHQ

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