ソニーがようやくPCを手放し、TV事業も切り離しに着手したそうで。それを中心に国内1500、海外3500計5000人の削減、と。
技術も製品も、長らく新規と言えるものは出せず、ただ漫然と他社製含め既存と区別のしようもない凡庸な製品を出しつづけるだけで、社会的にはもう忘れられたと言っても過言ではない程の衰退ぶりだった同社の両事業ですから、今回の処分自体は当然の成り行きと言うべきでしょう。しかし、共に時代を築いたとも言える同社の看板事業が、膨大な資本を投入されながら結局代替はおろか後継すらも創造できず、ただあっさりと消え行く様を目の当たりにすると、流石に一抹の寂寥を感じずにはいられないのです。
それはともかく。同時に発表された今期決算の見通しがさらっと大幅な赤字転落になっていますけど、これはどういう事なんでしょう。発表では今回の措置が主要因に挙げられていますが、事業売却の際には当然ながら売却対価の収入がある分、黒字とまではいかずともそれ程大きな赤字要因にはなり得ない筈なところ、その真逆なわけで解せません。具体的には設備関連の減損で82億の赤だそうですが、収入も数百億位はある筈。事業売却のトータルでそこまでの赤になるのは異常です。余程捨て値で処分したという事なのか、それとも資産の過大評価等の粉飾でもあったとかいう事なんでしょうか、とそういう穿った見方も抑え難いところです。うーん。
あと業界的には、PC事業の売却先は先日Biglobeを買収した日本産業パートナーズな点が当然ながら色々と憶測を呼んでいるようで。このファンドの主要株主にみずほがいるあたり、どうしても富士通あたりとの合流、そのバッファ的な話なのかと勘ぐりたくもなるのも無理からぬ話ですが、さてどうなんでしょうか。もっとも、もしそうなったとしても完全に弱者連合で、業界の大勢には殆ど影響もないだろうと思われますし、あまり気にする必要もないのでしょうけれども。SONYのVAIOもそんなポジションのブランドになってしまっていたのか、と、こちらも結局は寂しい話に落ち着いてしまうのです。まあリストラに至った事業なんて何処もそんなものですけれど。
しかしソニーの今後の柱はスマホ・ゲーム・画像センサーの三つという事ですが、本気でしょうか。いや現実問題それくらいしか残っていないのだから仕方ないのはわかるんです。がしかし、スマホは世界ではトップ争いにも全く入れていない不安定な事業だし、ゲームは長らく不採算続きで論外。画像センサーは例外的に強みも勢いもあるものの、そもそも部品なので売上規模的に心許なく、また有力な競合も沢山いて、かつソニーの最大の強みであるブランド力が生かせない領域という事もあって、安定した先行きはどうしても想定しにくいように思われるわけで。三本の柱が三本とも、五年後と言わず来年にはまた全然違う事を言ってそうな空々しさが漂っているような気がしてなりません。大丈夫かね。
ソニー、テレビ事業を分社化 内外で5000人削減
ソニー最終赤字1100億円、PC売却で費用膨らむ 14年3月期