2/14/2014

[biz law] ニコン対シグマ手ブレ補正特許訴訟、東京地裁にてニコン勝訴

ニコンが以前提起したシグマに対する手ブレ補正機構に関する特許訴訟について、この程ようやく地裁判決が出たそうで。結果は特許侵害の認容につきニコンの勝訴。請求額120億に対し、シグマの該当製品の総利益を105億とし、そのうち当該特許の寄与分を15%と見積った結果、賠償額は15億と認定されたそうです。

判決の詳細は未公表につき該当するレンズの具体的な機種名は不明ですが、連結でも300億強に過ぎないシグマの年間売上高と認定額を比較すればその割合は非常に大きく、おそらくは手ブレ補正機構付き(OS)のうち主力モデルが含まれているものと推測されます。シグマ危うしです。控訴審中の別の特許訴訟では無効判決を勝ち取ってたんですけども、こちらだけで致命傷級ですね。

当然ながらまだ地裁ですし、シグマも控訴するでしょうけれども、知財訴訟であるからには一審から相当に膨大かつ精密な議論が行われている筈、それを覆すのは一般論としてそう容易な事ではないでしょう。少なくともシグマは敗訴が確定する結果を覚悟し、それに備えなければならなくなりました。現行モデルが既に回避対策済みならば、さしあたり現在以降の事業運営の方針を変更する必要はありませんが、もしそうでないのなら、OSモデルの販売停止等を検討せざるを得ないだろうわけです。

そうでなくても、今回の訴訟の過程でニコンとの対立を強めた結果、両者の製品間、すなわちニコン製カメラ本体とシグマ製レンズの適合性が低下し、オートフォーカスや手ブレ補正等が機能しない例が多発しシグマ側が修正を余儀なくされているとかいう不穏な話も聞こえて来ているところです。ここ数年シグマはカメラ本体の自社事業展開にも乗り出してはいるものの、まだ主力は互換レンズビジネスなわけで、本訴訟のように対立を深める事は自殺に近い行為に違いない筈、何処かで和解に動かなければ、割と本気でシグマ社自体の先行きが暗闇に埋もれかねないわけですが、どうするんでしょうね。白旗あげる?

ちなみに私も一個だけシグマ製のOSレンズを所持しており、割と愛用しています。中古で手に入れたニコン用の18-200mmOSです。主にD60と組み合わせて使っておりまして、なかなかに良い写りをするので気に入っているのですが、権利侵害の賜物であったと聞かされると非常に気分がよくないわけです。今後のレンズ流用にも支障が出るかもしれない、と懸念もせざるを得ません。結局のところ、ユーザーにとっては迷惑千万でしかないわけです。メーカー間ではフェアに仲良く、お互いに協力し合って欲しいところですが、それが出来ず、いがみ合った挙句ユーザーに被害を出す位なら、いっそ最初から互換品など売るべきではないと思うのですよ。困ったものです。

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