先日車名別販売台数で久々にトップを奪還した新型FitことFit3ですが、その象徴たるHVが発売半年を待たずしてまたしてものリコール。通算3度目。
不具合の箇所はこれまで同様にDCT、具体的には1速ギアの切り替え・噛み合わせ不良というハード面の欠陥によるもので、当然ながらソフトの改修では対応出来ず、変速機ユニットを丸ごと交換する必要がある、という酷いものです。リコールは数あれど、このような車の根幹部分の致命的な不具合というのは珍しいどころか皆無に近く、それがよりによってホンダの、国内でもトップクラスの人気車種で発生した事に衝撃を受けずにいられる人は殆どいないでしょう。これまでのリコールでは販売継続に固執してきたホンダも流石に観念したらしく出荷停止措置も採られたものの、絶好調だった販売成績が仇となってリコールの対象は8万台にも上るとのこと。
まさに目も当てられない大惨事。胸を踊らせて大枚はたいたにも関わらず奈落に突き落とされたユーザーの嘆きの声が聞こえてくるかのようです。デザインが不評でも中身がいいから、と思って買った人も沢山いたでしょうところに、その中身は最悪に酷かったわけですから、救えません。
突然止まるだの、二度と発進しなくなるだの、現代における大手自動車メーカーのそれとは思えない、殆ど前代未聞の不具合でリコールを繰り返した挙句の今回という事で、流石に堪忍袋の緒が切れた人も多いのではないでしょうか。元を辿れば、要するに基本的なハード設計上の欠陥があって、その程度を甘く見て見切り発売した時点でこうなる事は自明だったのでしょう。300件を超えるという期間に比すまでもなく尋常ではない不具合報告数からしても、発売前にホンダが本件を把握していなかった筈はなく、従って半ば故意に起こされた事が明らかである以上、その罪は極めて重いと言わざるを得ません。その報いはこれから存分に受けて然るべきところでしょう。同情は出来ません。完全な自業自得ですから。
ていうか変速機ユニット交換が必要というのは、もうリコールでカバー出来る範囲を超えているように思われますし、一旦全回収返金の上、設計からやり直すべきじゃないかと。いくら燃費が良かろうと、満足に走らないというのでは本末転倒も甚だしいし、踏切や交差点で立ち往生する可能性がある時点で公道に出してはいけないでしょう。最高のエコは車に乗らない事だ、とはエコカー一般を指してよく皮肉られるところですが、まさにその具現ともなってしまったフィットHV、果たして復活は可能なのか。今後の教訓とするため、このまま一度クローズされてしまう方が良いのでは、というかホンダは一度死んで反省すべきとも思われるところですが、さて。
んんん?出荷停止って単にプログラム修正のための2週間だけなんですか。。。経緯からすればそれで問題が解決されるとは到底思えないし、それ以前に反省もしてないし。ハードの修正は断固拒否っぽいですね。まあそれには年単位の時間が必要になるし無理って事なんでしょうけど。いずれにせよ、本件の終息はまだまだ先の事になりそうです。やれやれです。
よくよく見ると12月発売のVEZELも同DCT採用でリコール対象とか。フィットの惨事の真っ只中にそのまま出して即リコールというわけで、ますますもって理解し難いところです。もしかして、今後の新車は殆どDCTを積む予定で進めちゃってて、今更後に退けないという事なんでしょうか。考えただけで戦慄が走りますね。でもそうなら、そんな大変更をするにあたって保険というか予備の安全策を用意していなかった事が論外、自業自得という事になるんですけれども。
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本件のほんの2日後、図ったようにプリウスが回路破損の不具合でリコール。いや狙ってたんでしょうけどさ。どっちも目を被うような酷い話です。
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