まさか、と目を疑うような事件ですね。横浜銀行のATMベンダであるところの富士通フロンテック、その責任者が、保守・運営委託のため与えられたシステムの管理権限を悪用してATM利用者の情報を取得し、キャッシュカードを偽造の上、預金を詐取した容疑で逮捕された、とのこと。正確には今回の容疑は電磁的記録不正作出ですかね。
容疑者は赤星敏一部長、被害は判明しているだけでおよそ50口座計約2400万。システム管理側の、それも従来しばしば見られた契約社員等ではなく、よりによって管理運営の責任者による犯行というわけで、前代未聞な事案であります。期間的にも、昨年5月に被害届、11月に不正引出しで逮捕との事で、相当な長期に渡り、おそらくは発覚回避もしくは追跡妨害のために他行の口座のみを対象としているなど計画性も極めて高い、あまりに大胆な犯行です。なお最初の逮捕後、昨年12月に懲戒免職済。
動機等は今のところ報じられておらず不明ですが、かように悪質で早晩露見するに決まっているだろう犯罪に、何故、どういうつもりで手を染めたのか、多少なりと疑問を抱かざるを得ません。大体、キャッシュカードの偽造って、まさか個人で設備を保有していたわけはないでしょうし。社で保有している筈の試験用設備を使用した、とかでしょうか。実は組織ぐるみで、赤星容疑者が責任を被っただけ、とか疑いたくもなりますが、さすがにそれは会社として破滅的に過ぎて非現実的ですかね。共犯はいてもおかしくないでしょうけれど。
ともあれ、ATMのシステムベンダとしては当然信用も何もあったものではなく、大手端末ベンダの一角としてそれなりにシェアのある同社ですが、冗談抜きで終わったかもしれません。逆に競合の沖や日立オムロンあたりは大喜びですかね。あと、フロンテックは富士通の手のひら静脈認証関連装置も担当している筈ですが、こんな事件をやらかした会社がセキュリティソリューションの販売とか悪い冗談としかとらえようがなくなってしまったわけで、そっちも信用ガタ落ち、こちらも競合他社には好機になるでしょうね。
やらかした先がよりにもよって横浜銀行だというのもいけません。横浜銀行は言わずと知れた地銀最大手、それも富士通の地元神奈川という立地から、フロンテックとしては経営戦略上絶対に間違いがあってはいけなかった筈の顧客で、それを最悪の形で裏切ってしまったわけですし。
ただ、一応元請けはNTTデータで、いつものように富士通に丸投げで委託され、さらにフロンテックに再委託されたという恰好なので、一義的にはNTTデータ、二義的には富士通にも責任があるわけです。今頃は責任の押し付け合いで仁義なき内部抗争と粛正の真っ只中、なのでしょうか。恐ろしや。
ATMのデータ不正取得、預金引き出す 容疑で男を逮捕
富士通の公式プレスリリースによると、情報取得はトラブル保守の際に行ったもので、被害口座数は最大132口座とのこと。これ一人でやったの本当に?ていうか、トラブル対応で管理職が自ら作業する事自体、この規模の業務ではまずありえない筈ですが、どういう事なんでしょう。あと再発防止は処置済みって、具体的な内容も明かさずに言っても無意味でしょうに。いやはやわけがわかりません。
当社グループ会社元従業員による不正行為について
クレカもですか。 内訳はキャッシュカード80にクレカ52。クレイジーですねえ。犯行現場は横浜銀センター内に設置されたフロンテックの執務室ですか。容疑者の当時の肩書きはプロジェクト部長、という事で、担当部長的なポジションにつき実際の作業もそれなりに担っていたとかいう事なんでしょうか。それにしても、とは思いますが。
横浜銀カード偽造事件、被害は48口座2400万円 取締役が会見で謝罪
カード作成は横浜銀行のセンター内設備を利用したと。大胆不敵にも程があるでしょう。白カードはあらかじめ準備したと報道ではありますが、それは自社から調達したんでしょうか。そして用途はパチンコやSNSゲーム等の遊行費って、、、なんという破綻者。そんな事でよくこの年まで勤務出来たものだと逆に不思議に思われる程です。ていうか本当に?俄には信じ難いのですけれども。