Edward Snowdenの告発に端を発した米国NSAによる諸外国へのスパイ活動露見の件、協力国の要とも言える仏独の首脳への盗聴が発覚したとのことで。
NSA monitored calls of 35 world leaders after US official handed over contacts
証拠はSnowdenが提供したNSAの内部文書で、ブッシュ大統領時代の2006年10月に発行されたもの。公表された文書を読むに、米国政府各機関への盗聴活動の広告と、追加すべき対象の電話番号登録を依頼するためのものですね。個別の番号、対象者の氏名は記載されていませんが、この時で既に35人の諸外国指導者へ繋がる電話番号200件が盗聴対象である事が明らかにされています。
これには流石に驚きました。いや、当然やってるだろうとは誰しもが思っていた事でしょうけれども、ここまで直接的な、言い訳のしようもない証拠が出て来るとは思いませんでした。米国があれほどまでにSnowdenの身柄確保に躍起になっていた事にも納得、というより、これだけの証拠を抱えてSnowdenはよく生き延びたなと。
何にせよもう公になってしまった以上は後の祭り、元から米国側の英国を除くEUの大半が正面からの反米に染まるという前代未聞の事態を目の当たりにして、既に米国に失望していた身としても戦慄を禁じ得ません。
本件が加わった結果、これまで特定されたものだけで、ブラジル、メキシコ、仏独と、中米、南米、欧州まで、従来からの協力国、地域の大半を網羅する形で全方位的に信義を裏切り、結果その全てから公式かつ直接に非難を受け、かつ仏での一般市民への大規模盗聴の発覚もあって、各国の市民までもがおそらくは一様に反米に転じた事になるわけです。敵国としての大規模な衝突等にまで至るものとは考えられませんが、民間から公共、個人から組織に至るまで、広く、かつ深く、およそ全ての関係において隔絶が強まる事は避けられないでしょう。
彼らは、その人命含め他者の権利を公然と侵害して恥じない、独善的かつ傲慢なそれらの活動を、これまで一貫してテロの脅威への戦いなどと称していました。よくそんな事を言えたものです。それが本気だったとすれば、米国以外は全てテロリストであり敵だというわけですか。そのような振る舞いをするもしないも米国の自由ですが、一度でもそのような扱いをすれば、された側はその裏切りを容易に忘れる事はないでしょう。改めて認めざるを得ません。もはや良き隣国としての米国は、建前としてすらも決定的に失われてしまった事を。極めて残念な事ですが。
ところで、日本政府がこの事態を前にしてノーリアクションなのはどう受け止めるべきなのでしょうか。官房長官は大丈夫だとかコメントしてますけど、それって何の根拠もないですよね。米国が情報ダダ漏れの日本に本件で協力していたわけはなく、どう見ても盗聴される側としか思えないし、盗聴するだけのメリットは十分、やってない可能性はむしろ低かろうと思われるんですけれども。元々ノーガードだから今更気にしないって事なんでしょうか。それとも面倒を起こしたくないから見て見ぬふりをしてるだけなんでしょうか。どちらにしても残念な話です。米国に対するそれとは違う意味で。
European leaders call for talks to settle US spy row
そして次々と追加される被害国。スペイン市民は確定、日本も挙がっています。いずれも当然に予想されたところであって、今更驚くわけでもありませんけれども。
NSA 'monitored 60m Spanish calls in a month'
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