つい先日、米国シアトル郊外で障害物に接触後大炎上する衝撃的な事故を起こし、偶然撮影されたその際の映像で多くの人を戦慄させた米TeslaのEV、Model Sが再び炎上したそうで。今度の場所はメキシコ、スピード超過の上の自損事故の後、米の事故と同じく車体の前方、バッテリー部分が大きく燃え上がり、今度は爆発もしている様子が夜のノイズだらけの映像の中にもはっきりと映っています。
その動画は下記記事から。
Guíador "fantasma" choca lujoso vehículo eléctrico en la glorieta del pocito en Mérida
素早くリリースされたTesla公式による火消コメントによれば、運転手は無事で、その安全性を高く評価した上、再びModel Sの新車をオーダーしたとか。如何にも取って付けたような白々しさが漂いますけれども、先日の事故の記憶も鮮明な中、Teslaも必死なのだろうし、今回はドライバーの過失が大きいですから前回よりは同情出来なくもない面は認められるでしょうか。
ただやはり、あの炎上爆発の様子は看過出来るものではあり得ません。前回も今回も、単独の事故かつ周囲に延焼するものが無かったためにModel Sが燃えただけで済みましたけれども、これが複数車が絡む事故や建物への衝突だとしたら、その場合に確実に起きるだろう延焼の様を想像するだに寒気がします。しかもそれは、現状の普及台数ですらこの頻度なのですから、可能性がある、どころではなく、このまま普及していけば、確実に現実のものになってしまうのでしょう。それも近いうちに。
Tesla社には、そのような取り返しのつかない事故が起きる前に十全の対策を取る義務があり、もしそれが困難だというのであれば販売取りやめの上全回収を行う位の厳格な対応が求められるところかと思われますけれども、本件コメントを読む限りは場当たり的なその場しのぎの対応に終始している様子で、その見込みも意志すらも認められません。自発的な改善が期待出来ない以上はNHTSAあたりが管理指導すべき話でしょうが、そちらも音沙汰なし、実質完全放置で極めてまずい状況にあるわけです。実際に犠牲が出ないと動かないのはどこも同じ、という事でしょうか。極めて残念な限りです。
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一方Consumer ReportはModel Sをさらにプッシュ中だとかいう話も。記事を読んでみても以前の評価と変わらず、形式的なテストスコアのみに基づく判断という事で、炎上事故の事については触れてもいません。それはそれで一つの基準だし構わないんでしょうけれども、しかしそれで"wholeheartedly recommend"とまで言ってしまうのはあまりに無責任にも思われるところですが、この車を買うような層にとっては瑣末な問題という事なんでしょうか。それとも単に金の力によるところなんでしょうか。いずれにせよ度し難く思うのです。
Consumer Reports officially recommends the Tesla Model S
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