5/23/2012

[biz] iPadバカ売れとノートPCメーカーの斜陽

先ごろNPDから公表された2012Q1のポータブルコンピュータ販売台数のメーカー/セグメント別の台数を見てみたら驚きました。iPadは1360万台と、これだけでメーカー別では2位HPの約900万台を大きく引き離すぶっちぎりの首位。Apple全体ではmacbook等ノートPCも合わせて1720万台とさらに上積みされるわけですが、やはりiPadの圧倒的な販売台数が際立ちます。凄いですねえ。一部で懸念された発熱の高さなど、Retinaディスプレイの魅力の前にはそよ風に過ぎなかったと言うことで。

その圧倒的な需要は概ねノートPCから流れたものだろうし、HPやらDELLやらのノートPCメーカーが揃って不振に陥るのもむべなるかな。NPDのランキングではApple>>>>>HP>Acer>Lenovo>DELL>Asusと敗者が列をなし、さらに販売台数が一桁小さい日本国内のメーカーは話題にすら上らない有様であります。一応Toshibaあたりもタブレット機をリリースしたりしてたんですけど。

タブレット内に限ってもAppleがその2/3を占めるのに対し、2位Samsungが模倣品による160万台でわずかに存在を主張する他は軒並み100万台にも満たず、期待を集めたAmazonのKindle Fireも90万台、日本メーカー全社はその他大勢460万台の中に埋没し、iPadにあらずんばTabletにあらず、な現状が如実に現れていますね。

いやはや。改めて見ても衝撃的です。私も一個人消費者として、iPadとその他のタブレット類では比較にならないほどの魅力の差があると感じるし、カテゴリ内でのシェアは当然の結果だろうとは思います。ただ、タブレットは元々その用途等の位置づけが曖昧で、メリットはあるけれどもデメリットもあり、それなりに人を選ぶだろうというような懐疑的な見方も強かったわけで、Appleの傑出したブランド力、iPhoneとの相乗効果等の特異な要因があったとは言え、その一種であるところのiPadが、ノートPCも含めたポータブルデバイス全体の中でここまで圧倒的な存在になろうとは、正直予想していませんでした。大方が予想していたのは、今のデータから丁度iPadだけを除いた状況に近かったんではないでしょうか。

あえて陳腐な表現をすれば、iPadが売れているのであって、必ずしもタブレットという形態が受け入れられたとは言えないかもしれない、という微妙な状況にあるようにも見えるわけです。こういう状況は過渡期にはしばしば見られるもので、一般にはそう長く続かず、BlackberryやiPhoneのように、一定の成熟の後には急速にそのものがフェードアウトするか、逆に形態自体が受け入れられて広く普及するかのいずれかに収斂するわけですが、さてiPadの場合はどちらになるか。まだその行方は判然としないようにも見えて、それだけに興味深く思われるところなのであります。さしあたってはノートPC等にも波及するだろう画面の高解像度化、それが具体的にどのような変化をもたらすのか、その辺に注目すべきでしょうか。あともちろんiPadの次期売上すなわち新型需要が一巡して熱が冷めた後の販売台数の推移にも。いずれにせよPCメーカーが復権する可能性は見出し難く、国内メーカーの出る幕はさらになさそうで、それは少し残念ではあるのですけれども。

NPD Q1 2012: Apple still king of the mobile computing hill thanks to iPad

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