プラグインハイブリッドプリウスの新型で燃費が61km/lとかいう見出しの記事が出ていたのが目に留まり、眉唾で読んでみると、予想通り、満充電からの走行距離を積載ガソリン容量で割った数値を燃費として表示していたのでありまして。これはかなりまずいことです。この表示方法だと、バッテリーはそのままで、ガソリンタンクの容量だけを小さくすればあら不思議、リッター1000kmも夢じゃない、って笑い話では済みません。以前GMがvoltで似たようなやり方で100km/lとかいう表示を出していたのに比べるとまだ自重した形ではありますけど、完全に消費者に誤解を与える不当広告、虚偽表示にあたるわけで、違法なものである事は明白です。
言うまでもない事ですが、本来燃費というのはガソリンタンクの容量と走行距離の比ではなく、走行時に消費されるエネルギーと走行距離の比であって、ガソリン以外のエネルギーを使用、または併用するのであれば当然その分も消費に含めなければなりません。この場合、プラグ充電される電気エネルギーはそれにあたりますから、ガソリン消費量あたりの走行距離で表示する形式を取るなら、プラグ充電される分の電気エネルギーをガソリン消費量に換算して合算する必要があります。
しかるに、今回の改良はバッテリーの素材を水素イオンからリチウムに変更したという事で、概ね充電容量が増え、その追加されたエネルギー分走行距離が伸びたに過ぎない、ぶっちゃけガソリンタンク大きくしました、ってのと大して変わらない話なのですから、重量比の改善で若干改善される可能性を考慮しても、燃費倍増、などという事はありえず、完全にアウトです。換算等に際して公的な基準がないのかも知れませんが、だからと言って本件のような誤った表示が許される筈も無いわけで。
しかし、なんでこういう稚拙でセコい事をするのか理解しがたい所ですね。無補給での総走行可能距離が伸びたのは事実で、それは人によっては十分にメリットになる筈なのだから、素直にそう表示すればいいだけの話だと思うんですけど。あと従来それなりに燃費表示には一定の規範を遵守してきた態度と比較して、本件は逸脱ぶりが明らさま過ぎるようにも見えて、違和感も禁じ得ません。理由はさっぱりわかりませんが、こういう詐欺的な誇大広告は往々にして厳しい事業環境に追い込まれた企業でよく見られるものだし、トヨタも外から見える以上にヤバい状況なのかもしれませんね。案外、報道機関が先走っただけかもしれませんけど。ともかく、本件については早急に修正されるべきだと思う次第です。
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