これも珍しい話ですね。VWとの提携を解消すべく株式の売渡を求めるSUZUKI経営陣に対し、シカトを決め込むVWの構図が続いていた本件、そもそもVWが大株主である以上決定権は形式的にも実質的にもVW側にあって、かつ取得条項もない、従ってSUZUKIの要求には根拠というか法的な実効性がなかったわけで、どうすんだろうと周囲からは概ね冷やかに見られていたわけですけれども。ICCのInternational Court Of Arbitration(国際仲裁裁判所)への申し立てを行ったと。
しかし、これも謎です。というのも、仲裁の申立はSUZUKI単体で可能ではあるものの、仲裁が有効に成立する、というかそれ以前に手続きが進められる為には、遅くとも仲裁判断の前には被申立者すなわちVWの仲裁合意が必要になる筈なんですけれども、現状客観的に見る限り、明確な権利保有者たるVWがあえて権利をただ失う可能性が生ずるだけの仲裁に合意する必要はどこにもないわけで。普通に行けば、途中で審理打切りになりそうなものですが、何時の間にか内々で仲裁に付託する旨合意を取り付けたんでしょうか。でなければ完全に意味不明なわけですけれども。うーん。
確かに、仮に仲裁に付託されたとして、SUZUKIの主張には色々と無理な感も強いですし、売渡すべきとの判断が出る可能性は極めて低いものと言わざるを得ない現状、早期の決着を求めてVWも合意した可能性も無いではないんでしょうけれど。それでも負ける可能性はゼロではないし、やっぱりVWが応じた可能性は低いものと思われるところです。だとすると、SUZUKIが血迷って騒いでいるだけの迷惑な話、ということになるわけですけれども、さて。
Suzuki starts arbitration procedure against Volkswagen
[過去記事 [biz] VWのスズキに対する姿勢が意味不明 ]
------追記
VWのコメントが出てました。このコメントを読む限りでは、仲裁には合意した様に見えますね。万が一にも問題ないと考えているのか、それとも仮に売却すべきとなっても構わないと思っているのか。素直に読めば前者ですけれども。
VW、改めてスズキ株売却拒否 仲裁手続きに自信