各発表が正しければ、現状、超高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が数万トンあって、これをほぼ完全に除去しなければ建屋内での作業に移行出来ないと。しかし、開始された移送のスピードは一日あたり数百トン。一方、炉心冷却のために注入している水が各炉に一時間当たり7トン、三機合計で一日あたり500トン程度。移送する量が新規に注入される量、すなわち汚染水の増分と同じか若干少ない位になる計算になります。2号機だけに集中しても、最終的にも2万トン以上あると言われる総量の2割程度しか減らない。つまり、現状の速度では当面の目的である所の建屋を満たした汚染水の除去には全く足りていません。
どういう事でしょうか。浄水循環系の導入までの一時しのぎという位置づけなのでしょうか。しかし、納期については仏アレバの確約も得られていない状況、既にある装置を移送設置するだけ、というようなものならともかく、これから用意、製作するものも相当に含まれるでしょうから、まずもって最低でも数ヶ月の時間が必要で、その前に梅雨に入ってしまうでしょう。それとも、仮設タンク等の移送先増設と併せて、並列の移送ラインを順次追加する、という事でしょうか。仮にそうだとして、それにしたって数ヶ月は必要になる筈。
結局、全く計算が合わない。なのに、保安院はじめ関係者は、もう漏出はない、と断言しています。何故、そんな事が言えるのか。工程表と称する意味不明な願望に過ぎない計画と照らし合わせれば、この作業が終わる一ヶ月後から二ヵ月後には、作業のための一時的なものにせよ、建屋から概ね汚染水が除去されていなければならない筈。いつ、どうして建屋の水を除去出来ると言えるのか。理解出来ません。それどころか、数ヵ月後にはさらに状況が悪化し、漏出する水も増加している可能性の方が遥かに高いように思われてならないのです。
-------
移送量は毎時10トンとの報道がありました。であれば、差し引きの汚染水減少量は毎時3トンに過ぎず、これを40日続けたとして、総計で3000トンにも満たず、2割どころか1割程度しか減少しない計算になります。それも、1号機と3号機を放置して。それぞれ、その間におよそ1万トンの汚染水が増加するのに。話になっていません。どういうつもりでしょうか。