6歳以下に限定ながら悪影響も認めて、2Dロック機能追加、と3DSも急に切羽詰まって来た感がありますね。しかし子供向けゲームが大半を占める任天堂ゲームで、よりによってコアユーザー層に対してアイデンティティであるところの3D機能禁止、という事で、コンセプトレベルで自己矛盾というか崩壊してしまったわけです。
加えて、任天堂が7歳以上なら大丈夫という確証を得ている可能性は非常に低く、むしろ先行する3Dテレビ等での、大人達から寄せられる「とても疲れる」とか、「気持ち悪くなる」とかいう感想の山からすれば、健康被害の懸念は日に日に増すばかり、このまま発売すれば、後々現実化して訴訟の山に晒されるか、でなければ敬遠されて早々に事業終了、となる可能性が非常に高いと言えるわけです。どうすんのさ。立証困難を盾に逃げるつもりかね?
そもそも本製品は、故横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」に象徴される、創造的ではあるけれど、そのベースとなる技術面では極めてリスク回避的な、守りは徹底して固める形の、任天堂で主流であるところの開発思想には全く適合しない、焦燥感や危うさを強く感じさせるものです。過剰なまでに楽天的というか、リスクに目をつぶる進め方は、いかにも任天堂らしくない。3D自体、実績がほとんどなく、リスクの見積りすら困難な未熟技術であるし、少なくとも消費者側で受け入れられる下地が出来ているかも怪しく、バーチャルボーイの悪夢再び、となる可能性が高いことも、任天堂が認識していない筈はないのに。
それでも、業績が急速に悪化する中、それを補う使命を担い、多分に見切り発車的に発表され、発売日も近くに控える所まで来てしまった。生産も始まった以上、今更引き返す事も出来ず、おそらく担当者を中心に、問題が顕在化しない事を祈るしかない状況であろう事は想像に難くありません。
といっても、その悪夢が現実になったとしても、任天堂の体力からすれば直ちに事業面でどうこうという話にはならないであろう筈です。逆に言えば、任天堂の体力があるから出来る挑戦だと言う見方も出来るでしょう。
しかしね。ユーザーの健康を損う可能性が最初から懸念されてて、それを振り払う形で発売する以上、それが裏目に出た時に失う信用というのは、単なる一事業の失敗で片付けられるものではないだろうとも思われるわけで。ユーザーを傷つけるリスクがあって、しかもその程度もよく分からない、そういう状況を知りつつ特攻しちゃう、そういう会社だったっけ?いいのそれで?どうしちゃったのさ、と少なからず疑念と残念な思いとを抱かざるを得ないのであります。いやまあ、それは私の勝手な期待、思い込みだってだけなのかもしれませんが。生き残る為には、って。うーん。でもこう無茶苦茶だとそこまでする意味なくね?とも。
任天堂3DS、幼児は長時間やめて 「目に影響」告知
[過去記事 [biz game] 裸眼3DのNDSって]