2/26/2014

[biz] Mt.Gox消滅で俄に訪れたBitCoin崩壊の瀬戸際

仮想通貨が文字通りの危機にさしかかりました。仮想通貨を代表するBitCoin、そのリアルマネーとの交換可能性を担保する換金機能を備えた取引所群のうち、長らく最大手としての地位を保持し、そこでの取引状況はすなわちBitCoinそのものの動きと見做される標準的位置づけにあったMt.Goxが崩壊したのです。昨日までは引き出し停止に伴い取引価格の暴落を招きつつもサイト自体は稼働していましたが、ついにサイトも止まりました。ご臨終です。

推測される原因はアカウントを乗っ取るタイプのウィルスによるボットネット攻撃で、それにより窃取されたBitCoinは少なくとも70万を超え、現在流通するBitCoin総量の6%にも上るとのこと。Mt.Goxは時価350億円にもなるその分の債務について当然に負担を迫られ、しかしその支払い能力は無いために閉鎖に追い込まれた、との見方が有力となっているようです。まあそんなところでしょうね。

これが通常の金融機関であれば、当然保険がカバーする類のものなのでしょうけれども、自由な通貨としてあらゆる公的権力の影響が及ばない仮想通貨にそのような仕組みがあろう筈もなく即死という事で、その自由性が仇となった恰好です。しかしこれはその構造上当然の帰結であって、多少なりと分析が可能な向きの誰もが予想していた結果ではあるし、何よりユーザーの大半はそれを承知で、およそ無法の領域における通貨として、違法取引や常軌を逸したマネーゲームの媒体として専ら取引されていたものなわけだから、その取引が滞った所で何ら問題はない、むしろ不法取引撲滅万歳、と喜ばれてもおかしくない話であるとも言えるでしょう。

とはいえ、本件は単なる一プレイヤーの失敗ではなく、BitCoinをはじめとするフリーの仮想通貨の仕組みそのものに内在する構造的リスクが顕在化したものと言える以上、その市場全体が信用を大きく毀損し、あるいは同様に崩壊する可能性も小さくないわけで。無法者の自業自得と切って捨てる事も可能ではあるでしょうけれどもしかし、その投機性の高さからリアルマネーとの接続を強め、既に全体で数千億から兆にも上る資産規模にまで膨張してしまっている市場の急激な崩壊、その影響を完全に無視するわけにもいかないでしょう。各国の通貨当局によるアクションは既に遅きに失したようにも見えますが、ユーザーの多数を占めるとされる中国あたりがどう動くか、それなりに注目もせざるを得ません。さて。

ていうか中国当局が仕掛けた可能性もある話なんですよねこれ自体。他のプレイヤーもやれロシアだ東欧だとか、ほんとカオスです。

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数日後、会社としてのMt.Goxは民事再生申請という事であえなく倒産。しかし民事再生ですか。報じられている情報からして、負債があまりに大きく、かつ再生手続きを進めるにあたりその大半の同意を得るべき債権者が数百万の多数に上り、所在も全世界に拡散していて、再生処理を進められるのかは甚だ怪しいようにも思われるわけですが。さて。

ビットコインのマウントゴックス 再生法申請

案の定というか、当然予想された通り米国では早くもMt.Goxのユーザから訴訟を起こされたそうです。そりゃそうですよね。まだ一人目に過ぎませんが、下手しなくても原告が少なくとも万単位の大規模訴訟になる事は確実、かように債権者と対立する状況にあっては、再生計画も作りようがないでしょう。