10/18/2013

[note] Ubuntu 13.10導入

Ubuntuの新バージョン、13.10がリリースされました。コードネームはSaucy Salamander、小癪な火トカゲさんです。毎度おなじみな事ではありますが、また一段と謎なネーミングですね。

いつもなら、しばらく様子見をして、不具合が解消された頃にアップデート、とか用心しながら恐る恐る入れるところですけれども、今回のリリースはここ最近のUbuntuプロジェクトの流れに従ったもの、すなわちUnityインタフェースとUbuntuOne等のクラウド関連部分のアップデートが中心、従来のデスクトップシステムの大部分には目立った変更はなし、という事で、Unityすら使っていない私のようなケースならさほどの変化もないし問題なかろう、とたかを括り、珍しくもホイホイと適用してみたわけです。

対象はいつものようにデスクトップサーバとノートの2台をアップデートインストール。あと、たまにはUnity周りの改良を確認してみるのも良いかと、試しにもう一台ノートに、こちらはクリーンインストール。加えて、今回はLubuntuのリリースが追従していたのでLooxUもトライ。計4台ですね。

結果から言えば、 LooxUを除く3台は、日本語入力部分で少しトラブルがあったものの、それ以外は特段の問題もなく、すんなり適用出来て概ね成功。LooxUは、インストールの途中で、"アップグレード作業を見積もれません"とかいう妙なエラーが出て無理っぽい感じなので今回は見送りです。 長年の不遇の果てについに切られたって事なんでしょうか。残念です。

それぞれの手順については特筆すべき事はありません。いつもの通りです。アップデートインストールの場合は、新バージョンの通知をオンにしたSoftware Updaterに表示されるアップグレードを選択し、画面の指示に従っていれば恙なく完了します。時間はインストールされているアプリの量によりますけれども、およそ1~2時間といったところでしょうか。時折カスタマイズ済の設定ファイルの取扱いについて応答を挿みつつ気長に待ち、完了後は再起動して終わり。なおバージョンの飛び越えは不可なので、13.04に上げておく必要があります。12.04LTSからなら、12.04LTS -> 12.10 -> 13.04 -> 13.10と実に3回。いや上げといて良かった。クリーンインストールはイメージを焼いたDVD等から起動、これまたいつものプロセスで数十分程度、それだけです。ちなみに64bit Desktop版のisoイメージはサイズが900MBを超え、もはやCD-Rには入りませんのでご注意を。

唯一にして最大のトラブルは、日本語入力が不可になるというもの。正確には切り替え用のキーを押しても日本語入力モードに切り替わらないのです。アップデートとクリーンいずれの場合にも発生したので、まず間違いなくインストーラの設定ミスだと思われますけれども、このままでは使えないレベルで困るので、当然修正作業をする羽目になったわけです。

で、その修正方法ですけれども。正確な原因を把握出来たわけではないのですが、どうもiBusのメソッド切り替え自体に失敗しているようで、インプットメソッド切り替えのショートカット設定を修正してやると直りました。デフォルトの[super(winkey)+space]が衝突してるのかな?ということで、これを変更します。具体的には、以下の通り。

まず、iBusの設定画面を開きます。ターミナルから下記コマンド。

$ ibus-setup

表示される[iBusの設定]画面のうち、[全般]タブの上部、[キーボードショートカット]のフレーム内にある[次のインプットメソッド]を変更します。変更は、項目の右側にある[...]のボタンを押すと表示されるダイアログから行います。割り当ては任意で、好きなキーを割り当てれば良いのですが、一般の日本語キーボードで標準であるところの角/角キーでの切り替えとするなら、[キーコード]の欄に[Zenkaku_Hankaku]と入力します。なお、対応するキーの押下で入力する事も出来る筈なのですが、私のPCではその機能はなぜか正常に動作しませんでした。そういう場合はキーコードの欄にテキストを手動入力します。あと修飾キーのチェックボックスも適宜。角/角キーだけにしたいなら[super]等のチェックを外します。それで[OK]。しかるのちに[iBusの設定]ダイアログを閉じます。

iBusの設定はiBusを再起動しないと反映されないようなので、一旦ログオフしてからログインし直します。もちろんPC自体を再起動しても構いません。すると上記で設定したキーで日本語入力モードに切り替えられるようになる筈。[Zenkaku_Hankaku]としたなら、[角/角]キーですね。

一応それで解決です。付け加えておくと、英語キーボードと切り替え可能に設定にしている場合は、一旦片方は削除しておく必要があるかもしれません。きちんと確認したわけではなくもう確認も出来ないのですが、試行錯誤の際にその設定が切り替えキーと衝突していた気がするし、英語キーボードでよくある[Alt+grave(`)]の切り替えキー設定もその後でないと効かなかったようなので。

後は、その可能になった日本語入力について割と個人的なところで一点だけ。私は日本語をかな入力にしてるんですが、かな入力だと、なぜか"ぼ"の字を入れようとしても濁点が付かず"ほ゛"になる信じ難い不具合があるのです。何これ嫌がらせ?かな入力がマイノリティな事は承知していますけれど、これはいくら何でもあんまりなんじゃないでしょうか。あまりに基礎的な部分過ぎて公式の修正を待つのもつらいので、これから修正方法を調査しようかと思います。多分Anthyの問題ですよね。うーん。参りました。

それ以外は今のところ問題なし。アップデートの2台ではUnityではなくCairo-Docksを使っていたのですけれども、アップデート後もざっと見た限りデスクトップ周りの設定は全て保持されていますし、標準ブラウザがFirefoxからChrominumに変わるという事で懸念していたFirefox周りも特に変わりなし、平和なものです。

クリーンインストールのマシンで久しぶりに触ってみたUnityは相変わらず残念な感じでいただけませんが、個人的には現状に特段の不満もない以上、概ね理想的なアップデートであったと言えそうで一安心。というか、マイナーチェンジと言うのも微妙な気がする位ですが。ともあれ、ひとまずはこれでおしまい。

-----追記

かな入力で"ぼ"が入力出来ない件、実は以前から所々で発生していたものらしく、その対処法も既に幾つか発見済み、それに従って修正したところあっさり直りました。その手順は次の通り。下記ファイルを修正します。

<修正ファイル>
 /usr/share/ibus-anthy/engine/tables.py

<修正内容>
  kana_voiced_constant_no_rule配列に下記行が抜けているのが問題なので、これを追加挿入します。挿入箇所は配列内の何処でも良いでしょうけれども、論理的には音順に従い"べ"の次、すなわち最後が良いでしょう。デフォルトのtables.pyでは504行目になります。

    u'ほ' : u'ぼ',

その後、同ディレクトリ内にテンポラリのコンパイル済ファイルtables.pycがあるならそれは削除しておき、同じく再ログイン。これで直るはず。

-----追記その2

その他は問題ないかと思っていたらさにあらず。gtkを使ったアプリの挙動がおかしいのです。具体的にはウィンドウの配置関連、gtk_window_moveとかgtk_window_set_decoratedでウィンドウを移動させたり装飾のオンオフを切り替えたりすると位置がずれたりします。常用の自作アプリが大変な事になって困りました。gtk2.0での描画周りもおかしくなってて、単純に描画されなくなるケースが多発して、こちらは2.0が近くobsoleteになるというのであらかじめポーティングを進めていたgtk3.0版コードに切り替えざるを得なくなったり。

かように色々と基本的なレベルで13.04以前との非互換性があるようなので、gtkを使用するアプリをクリティカルな部分で使用している向きには極めて要注意かと。小癪な、で片付けられるものとは到底言えませんし、13.10はちょっと人にはおすすめ出来ない感じですね。しかし今更戻すのも大変だし、経験的にはアプリの方の修正で対応出来なくもない範囲っぽいので今回は頑張ってフォローしようと思いますけれども、参りました。

-----追記その3

それからしばらく経って、そろそろ色々Fixも入った頃かと、インストールに失敗して放置していたLooxUのアップグレードを試してみたら行けました。あのエラーは何だったんだろう。今回は特にグラフィック周りの問題もなく表示され、おそらくはその辺は特に変更がなかったってだけなんでしょうけれども一安心です。その代わりという事なのか、Dockyが動かなくなったんですけどまあ代わりはあるし特に問題無し。なお、前述の日本語入力周りの不具合はまだ改善されていませんので、同様に修正してやる必要はありました。前回は問題があったsuspendもすんなり。とりあえず最低限使える程度にはなっている様子なのでしばらく使ってみますかね。

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