1/27/2011

[law] 情報統制国家エジプトの行く末

一連の暴動と絡んで、まずTwitterがBanされて、代替になりつつあった所のFacebookも規制強化中とか。中東の中では西側諸国に近く、宗教面でも抑制が効いていて、割と自由主義に近いイメージがあったエジプトでまずそれが可能な仕組みになっている、すなわち原則として言論の自由が無い国である、という事実には驚きと失望を禁じ得ません。

エジプトですら、という事は、更に強権的な体制で悪名高い他の中東諸国は推して知るべしですね。抑圧され、声を上げることすら禁じられる人々に対する同情の念もまた禁じ得ないところです。

自由主義を掲げる国家群も、こういった各国のシステム等の状況はよく承知しつつ、より深刻かつ喫緊の問題であるところのイラン等への対処を優先し放置を決め込んでいたのであろうと推測されます。合理的ではあるけれど、残念な事です。

しかし、特にTwitterやFacebookは国家を超えた共同体を構成しつつある現状、こういった権力による抑圧は、ごく短期間の緊急処置であれば格別、ある程度継続するならば、それによる影響と反応は広範囲かつ極めて激しいものとなるのであって、各政府の思惑がどうであろうと、ユーザーたる人々には自分達の欠くべからざる生活の基盤への深刻な危機として受け止められ、次いでその危機感と対象の話題性を背景としたセンセーショナルな報道も続く結果、各国政府も体面上放置する事が困難になるであろう事も容易に想像されます。中国あたりの強力な国家体制を持つ国ですらその圧力に苦しんでいるのは周知の事実、エジプト程度の小国であればなおさら、現体制の維持は容易ではなくなるでしょう。

果たして情報統制は続くのか、続けられるのか、各国は何処まで具体的なアクションを取るのか。その判断基準は何か。そのテストケースとなる可能性も高く、非常に興味深い、と言うと不謹慎なのでしょうけれども、注目すべき事案である事は間違いないと思われ、色々と目が離せないわけです。3年後あたりにはどうなってるかな、と。多少の期待、希望を込めて。

ただ、最近のFacebookやらの暴走っぷりを見ると、自滅しそうな予感無きにしも非ずなのが気がかりであります。想像するのも嫌な話ですが。

Egyptian Authorities Block Twitter As Protests In Cairo Increase

Egypt Revolt Post-Tunisia: Is A Dam Breaking?

Twitterを封鎖したエジプト、続いてFacebookの利用も規制開始か?

やはりアメリカは情報統制の解除を要請したようです。流石に素早い。
エジプト反政府デモ拡大 当局がフェイスブック遮断か 地方施設で放火も

------追記
大統領退陣の流れが固まり、次の体制へ向けた争いが混沌とする中、情報統制もほぼ解除されたようです。しかし当然に予想された所のイスラム原理主義の台頭も報じられ、本件で市民が望んだ所の市民権、自由権の意味では逆に抑圧が強まる可能性もあって、当然それらに対する警戒感も様々な所で発生し、死者を伴う物理的な衝突すら起きつつある現状は、予想された中では二番目位に悪いシナリオであろうと思われます。体制の変革に際しては、便乗して宗教やらイデオロギーやらが自らの理想を達成すべくエゴ丸出しに出張ってくるのは殆ど必然ではあろう事ですけれども、社会的には争いの種、単なる迷惑以外の何物でもなく、何一つ良い事など無いのですから。本件の趣旨に従い、素直に民主化に向かって行くべきである事は明白、エジプト市民、また各国の賢明かつ建設的な判断を願う次第です。