3/13/2014

[biz law] 東芝からメモリ技術情報窃取、Hynix転職の元Sandisk社員逮捕

東芝のフラッシュメモリ機密漏洩の件、珍しく犯人の逮捕に至ったと聞いて、そんな事があるのかと少し驚きました。容疑者は杉田吉隆、元サンディスク社員であり、東芝の四日市工場に勤務した際に技術情報を取得し、それを転職先のHynixに流した不正競争防止法違反容疑で逮捕、と。

これ、確かに漏洩ではあるんですけれども、あくまで社内ではなく外部の人間によるもの、ということで、通常懸念される社員引き抜きに伴う技術流失移転とは性質が異なりますね。その意味で、高報酬による引き抜き等を関連付けて論じるのは筋違いのように思われます、とそれはともかく。

如何なる経緯、状況で容疑者が当該情報を取得したかは未公表につき不明ですけれども、容疑者が東芝へ派遣される側だった事、またSandiskと東芝の関係からすれば、おそらくはOEM生産に関する業務の際に付与された権限を不正利用した形でしょうか。であれば、これはNDA違反の事例で、その後始末と見るべきもののように思われます。

だとしたら、NDAが破られた事によって後始末的に実際に効力を発揮した珍しい事例であると同時に、その限界というか、その目的であり期待される機能であるところの漏洩抑止が、個人レベルの悪意に対しては機能しない事実を示したものと理解する事も出来そうです。

だからNDAは無意味だとか、いや有意義だとか、そういう話ではなく、この辺はNDAをそこそこ頻繁に利用する向きならおそらく誰もが想定しているだろう話なのですね。すなわち、ある種の機密情報を外部に出すにあたって、自らの管理が及ばない所に委ねる以上は、実際問題として最悪競合への漏洩も避けられない、その事は容易に想像出来るし、覚悟せざるを得ないわけです。そして、本当に漏れてはいけない決定的な部分は、例えNDAでも外部には出さないようにして、どうしても外部への開示が避けられない部分は、パテントにしておく、だとか、そういう実質的な面での管理がなされるのが常なわけで。知財の扱いに長けた東芝が、その辺の措置を全くしていなかったとは想像し難いところで、だからこそ容疑者を特定出来たし、今回の逮捕に至るまで証拠を伴う形で追跡し得たのかな、と推測したりするわけです。

本当の所は分かりませんが、もしそういう想像の通りなのであれば、今回逮捕された容疑者が一番の馬鹿だった、という帰結になるわけで、それはそれで一つの教訓として有意義とも言えるのかな、と。適当に管理してたら本当にヤバい所を漏らされた東芝がブチ切れた、ってだけかもしれませんが。

しかしそれにしても本件容疑者、何でそう馬鹿な真似をしたんでしょうか。只でさえ裏切り者が信用される訳がないところに、その拠って立つところが自力ですらないなんて、技術者としても何の価値もない、というか技術者とは言えないし、そんな体たらくでは、現代の産業界にあって一時すらもポジションが得られよう筈もないし、早晩詰んで、行き先も無くなる事は明らかだったでしょうに。それでも構わなくなる位の報酬があったなら、といって、当時には既に凋落の度を強めていたHynixにそんな余裕があったとは到底思えませんしね。どうにも理解しづらいところです。

東芝の技術漏洩容疑、提携先元社員を逮捕

続報によると、容疑者は内部のサーバにもアクセス出来る権限が与えられてたんだそうで、単に東芝が管理してなかったってだけだったようです。東芝って実はザルなのかと。とは言っても生産技術に関するものという事なので、厳密には最先端の研究情報というのとは少し違うようですけれども。

そして東芝からHynixへの提訴、さらにSandiskの提訴も続きます。当然ですね。Hynixもいよいよご臨終でしょうか。南無。

[biz law] 賃金上昇が中小に波及・継続するとかいう寝言

春闘がほぼ終わり、大手企業で数年ぶりのベースアップ実施回答が相次いで流れました。所得の増加は経済成長に最も寄与する要素ですし、それ自体は結構な事でしょう。が、続いて流れた、中小下請け企業への波及を語る声には耳を疑いました。何を寝言を言っているのかと。

周知の通り、ここ数年、トヨタをはじめとする各大手メーカーは、コスト削減と称して、毎年数十%にも上るあまりにも苛烈な価格低下を調達先に課して来ました。この5年だけでも半額以下になったケースも珍しくないと言われるところ、それによって品質の低下や、下請け側の自衛策としての談合が相次いだ事も記憶に新しいところです。 そして、輸入に多くを依存する原材料費は、円安と途上国のインフレにより今以て高騰を続けています。

そして、来月からは消費税増税による消費減に伴い、生産量の急激な減少も予想されているところです。下請けの利益が増える見込みは何処にもありません。こんな状況で、何処に人件費の増加に回す余裕がある、等と考えられるのでしょうか。

余裕が生まれたのは、最上層の大手企業、それも自動車等の輸出に重きを置く極一部の企業に限られたものな事は元より明白でした。それもおそらくは継続しない類の。内需が大きく毀損する来月以降は、その傾向はさらに強まる事でしょう。そして、その勝ち組と言うべき大手企業をしても、売上自体は数年前と比較して増えるどころか減っているものが大半です。要するに、下請けを搾取してコストを削減し、それによって利益率が高まっただけの事であって、当然搾取されたその他企業群には増益があろう筈もありません。分かり切った事です。

目の前の、ごく一部の都合のいい話にかまけるのも大概にしろと思うのです。個々の企業や個人であれば、各々の求める所に従う自由があるのですから、それも許されるでしょう。けれども、全ての国民に対して義務を負う政府はじめ公の機関までもが、そのような対象も範囲も期間も、全てにおいて極めて偏った都合の良い部分のみを見て、他の大多数は存在しないかのように扱うなど、愚かしいにも程があると思うのです。公機関は本来より弱い立場にあるものが、それゆえに不当に窮する事のないよう衡平を図るために存在する筈です。真逆たる現状を前にして、絶望を禁じ得ません。

もっとも、その近視眼的かつ独善的な愚かしさは最初から分かっていた事ではあります。そもそも各機関が、公平かつ有意味、時宜を捉えた政策を行える類のものであったというのであれば、全てを無に帰すも同然というべき消費税の増税を行う筈もなかったでしょうから。今更どうにもなる筈もないのでしょう。全く以って遺憾です。

[biz law] GMのリコール隠蔽、巻き戻される破綻の悪夢

GMのリコール隠蔽の件、その後米議会等を巻き込んで順調に追求が進んでいるようですけれども、多数準備が進められている民事訴訟に関して、GMが2009年に破綻・再生している事が法的にちょっと問題になっているようです。

というのも、再生処理を経た事により現在のGMは破綻前のGMとは法的に異なる新会社なのであって、また従前の債務は一旦清算されている事になっているため、本件に関する責任、賠償債務等を問うにあたり、その前提として新旧GMの連続性が必要となり、その是非から確認が必要になる、というわけです。で、その処理のため、再び破綻処理そのものを法廷で蒸し返す必要がある、と。もっともではありますが、面倒な話です。

とは言っても、破綻の前後におけるGMの相違点といえば、不良債権の有無程度であって、経営体制等、事業体としてはほぼ完全に引き継いでいるのだし、その同一性には疑いの入れる余地はないところです。また、本件破綻処理の際にGMがこの不具合と死亡事故を把握し、そして隠蔽し続けていた事もまず疑いようのないところです。従って、本件そのものに関しては、その実質的な論点において殆ど争われるべきものではなく、単に面倒というだけの事なんでしょうけれども。

本件自体というよりは、本件によって部分的にせよ破綻処理における清算の合意が覆される結果、2009年移行の処理そのものの妥当性、正当性が失われる側面もある、その部分の方が問題かもしれません。もし本件隠蔽がその破綻処理における判断に影響を与える重大なものだったと評価されれば、処理そのものが覆される可能性すらあるし、そうでなくてもその他諸々相当な範囲に波及する可能性は高い、というわけです。額も性質も史上最大なGMの破綻処理についての事ですから勿論尋常ではないわけで、考えるだけで恐ろしいものです。全て終わった筈の話、それもとびきりの悪夢と言うべき話とあっては尚更。

さらに、GMはその不具合を従来より数年早く、開発段階の2001年から把握していた、とかいう話も流れて、巻き戻す時間の拡大に伴い、その規模、悪質さ、深刻度をますます深めつつある本件、歴代の当局、米政府諸共に致命傷になって後には誰も残らなかった、とかいう結末も十分にありそうで、目先の利益に目が眩んで多数の人命を軽んじた報いとしてはそれでも不足に思えるところ、冷めた目を以って眺めざるを得ないのです。

Lawyers Prepare for G.M. Suits With Novel Strategies
G.M. Reveals It Was Told of Ignition Defect in ’01

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3/10/2014

[sci] 幻と消えゆくSTAP細胞、生じた被害と問われるべき責任と

多数の虚偽記載が発覚し、また第3者による追試が全く成功せず、捏造との疑いが極限まで強まっているSTAP細胞ですが、目下進行中の、先日発表された概ね詳細な手順書に基づく追試の結果報告を間近に控えて、共同研究者の若山教授が"信じていた実験結果の研究データに誤りが見つかったため"、論文の真実性に疑念が生じた、として論文の取り下げを提案したそうです。

STAP細胞 確信なくなった

これまで、指摘された事項は全てささいなミスであって、論文の主たる部分は真実であると頑なに主張してきた同氏が、あと数日もすれば決定的な結果が出るこのタイミングで撤回に転じた、というのは、要するに観念した、と見るより他ないもののように思われるわけです。それは先入観の過ぎた解釈だとしても、少なくとも、肯定的な結果が出る事は同氏をしても考えられない、 そういう絶望的な状況である事は間違いないところと言えるでしょう。

あらゆる意味で遺憾極まる帰結ではありますが、もっとも、これほどまでに客観的な支持的事実が皆無な状況にあっては、自ら検証が可能な専門家は勿論の事、科学的検証のプロセスに多少なりと心得のある人のうちに、この期に及んで本件の真実性を信じていた人も殆どいないでしょうから、ああそうですか、やっぱりね、とため息を吐くだけの事です。また、騙される以前に理解が及ばない大多数には関係しない話です。とはいえ、それでもやはり残念を禁じ得ない人は相当にいるわけだし、残念では済まされない、実害を被った人も存在するのであって。

一応、最終的な評価をするには、検証実験の結果を待つ必要があるでしょう。が、このまま予想通りに失敗に終わったなら、それに費やされた労力、費用は最初から全て無駄だった、という事になるわけです。その虚しい結果を、その作業に従事するだけの知識を持つが故に強く予想しながら、検証に取り組んでいる研究者の事を思うと、憤りを禁じ得ません。さらに、現時点で既に発生した甚大な被害影響すなわち、科学的研究そのものに対する信用を大きく失墜させた責任は言うまでもなく重大極まりないものなのであって。主犯たる理研の面々、担当者も上層部も、どう責任を取り、また償ってくれるつもりなんでしょう。全員が死んで詫びても足りないと思うのですが。

[関連記事 [sci] 捏造疑惑が強まるSTAP細胞、自壊する権威]

後日理研からなされた中間報告を拝見しましたが、この期に及んで過失との建前を取って故意すなわち捏造を認めず、かつ論文を撤回すれば済むとして白を切る、正気を疑うべきスタンスは醜態と言う他ない往生際の悪さで、遺憾極まりない最低の報告でした。挙句、論文の真実性の真否は第三者の検証に委ねる他ないだとか、保身の為だけに外部研究機関のリソースを浪費させて恥じない発言を、当事者でありながら平気で吐くに至っては言語道断、ふざけるなと。見下げ果てました。もう理研自体存続させるべきではないとすら思います。

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3/08/2014

[biz] Boeing 787不具合再び、今度は主翼に亀裂

いやもうどんだけ。ローンチからずっと、バッテリーはじめ深刻な不具合を連発し、既に死んだも同然の米Boeing787型機ですが、今度は主翼に亀裂が発見されたとか。

当該亀裂の発覚は製造中の事で、担当の三菱重工によれば該当する全40機は未出荷につき、本件による事故は起こっていないとのこと。それが本当なら不幸中の幸いではありますが、しかしその原因が製造方法の変更との説明が本当だとしても、よりによって主翼に、というのは飛行機として最悪の完全に致命的な欠陥で、そんな事が多少の工程変更で起こり得た、という時点で戦慄を禁じ得ません。材料や構造、要するに設計自体に問題はないのかと疑念も沸いてこようというものです。それでなくてもアレなのに、私なら不安で乗れませんよもう。

度重なるバッテリーその他の恐怖すべき不具合の山から、そのニックネームの"Dream Liner"をもじって"Nightmare Liner"と揶揄される同型機ですけれども、本件のような話まで出てくると、即墜落の危険が相当にある分、悪夢というのも過小に思えます。"Hell Liner"位が適当な感じで。ともあれ、この先信用が得られるとは到底思えませんし、諦めて終息させた方がいいんじゃないでしょうか。Boeingも顧客も超の付く赤字、続けても誰にもメリットは無いでしょうしね。

B787「主翼にひびの恐れ」 引き渡し前の機体 三菱重工が通知

なお、折しも南シナ海で突然消息を断ち、おそらくは墜落したMalaysia Airlines機は777型につき本件とは関係なし。なんですが、本件不具合の主翼の亀裂は、もし飛行中の機体で顕在化すれば即墜落で同様の惨事に至るものなわけで、連想的によりリアルに感じられて、その分より厳しい非難に晒される事も避けられないでしょう。しかし間が悪いにも程があるというか、今回の墜落事故は、伝えられる状況からして、おそらく航空機事故史上でも最悪の部類だろう惨事なわけで。救助以前に残骸の発見も覚束ない状況で原因の究明には相当時間がかかりそうですし、Boeing社に責任があるのかも不明ですが、少なくとも不明なうちは社の過失も疑われる事は必至、Boeing社への風当たりを強める類の事件には違いなく、同社にとって厳しい時期が続きそうです。

ところで、件の墜落したMalaysia Airlines機、その乗客名簿中に2人も盗難パスポートでの成りすましがあったんだそうで。片方は去年盗まれたイタリア人のもの、もう片方は一昨年盗まれたオーストリア人のもの、共に盗難地はタイなんだそうです。テロと疑う向きもあるようですが、何らそぶりも示威的行為もなしに只単に消えた点からしてまず考えにくいところですし、墜落と直接関係ないものでしょう。と言う事は、成りすましが常態化してるという事なんでしょうか。いくら身元確認の適当な途上国間の路線とはいえひどい話です。

2 Passengers Listed On Malaysia Plane Not On Board, Reportedly Had Passports Stolen

さらにその翌日に再び787、今度はエンジン。いやもうどこもかしこもボロボロじゃないかと。あきらめたら?と思うんです。落ちる前に。

日航B787型機、ホノルルに緊急着陸 ボストンで出火の機体

3/07/2014

[IT?] Bitcoin発明者"Satoshi Nakamoto"特定の誤報に脱力

何か突然、BitCoin発明者が特定された、とかいう報道が日米のあちこちで溢れて、嘘だろ、と思って見てみたら、何かまたメディアがやらかしたっぽい感じで呆れた次第なのです。

事の発端は、この程Newsweekが3月6日付で発行したLeah McGrath Goodman記者による"The man behind Bitcoin."なるスクープ記事で、Bitcoinの発明者としてよく知られ、しかし特定はされていなかった"Satoshi Nakamoto"なる人物を見つけた、とするもの。身売りを繰り返し、紙媒体も廃止され、往時のプレゼンスは失っていたとは言えその発信力は十分で、丁度取引所の消滅等で崩壊その他諸々の瀬戸際に立っている仮想通貨の話題性も相俟って、曰く"4億ドルの(価値がある)男"として瞬く間に転報されて注目が集まり、人物の下にも取材等が殺到したんだそうで。

で、その記事でBitCoin発明者であるとされたところの人物は、South California在住の64才、その名もズバリ"Dorian Satoshi Nakamoto"氏。名前の通り、日系のアメリカ人だそうです。

ここまで知った時点で、嫌な予感がしました。えー本当に?と。違和感ありありだったのです。というのも、Bitcoin発明者とされる方の"Satoshi Nakamoto"は、従来からまず実名とは思われておらず、コードネーム的なものだろうと考えられていたし、何より氏の年齢や外見が、権威に束縛されない仮想通貨のシステム、そのエンジニア兼仕掛け人として、そのような野心的、革新的な活動、また違法性の強い諸々との関係も深くなるネット自由主義的なフリーの仮想通貨の発明・普及を主導したギーク的な人物のイメージと、真逆だったからですね。

その見方は完全に偏見なのですけれども。しかしそれを裏付けるように、当のDorian氏がその後の追加インタビューでBitcoinとの関係を完全に否定しているのでありまして。 その辺を詳細に報じたWiredその他の記事からすると、Goodman記者の勘違いっぽいんですね。概ね次のような次第のようだとか。

Goodman記者のDorian氏へのインタビューは、玄関先で行われたそうです。で、その際、Dorian氏は、"I am no longer involved in that and I cannot discuss it."(私は既に関わっていないし、それについては何も言えない")と発言したそうです。これをGoodman記者は、"以前はBitcoinに関与していて、しかし今は違うので、コメントを控える"、とかいう感じに解釈したと。しかし、Dorian氏は、以前は"engineer"だったが、今はもう"engineeringには"関わっていないので、"一般の技術者として"言える事はない、という意味で言ったらしいんだとか。そんな感じでNewsweek記事の内容に対して、そういう意味で言ったんじゃない、と否定した、との事です。それをさらに否定するべき他の確たる証拠もなし、とくれば、もう疑問の持ちようもありません。

Goodman記者は、きっと、Bitcoin自体に関心を持ったのもそんなに前からというわけじゃないんでしょう。何か旬の、謎の多いよさげなネタだと思って、とりわけ謎めいた、殆ど名前しか知られていない創始者に興味を持ち、同一名でそれっぽい条件の人を虱潰しにする安直な調査をしてみたところ、都合よく解釈出来るDorian氏のコメントを得て、大発見だ、と思い込みを固めてしまったんでしょう。願望を事実に擦り変えてしまう、なんて、本当に何処にでもよくある陳腐でお粗末な話です。

そこまで知って、ああ、Newsweekやっちまったなと。それに釣られたメディア連中は、知ってはいたけれども、改めて本当に阿呆で間抜けだなと。そして超絶迷惑を被ったDorian氏にはお疲れ様です、と。深いため息と共にしみじみと思ったわけです。

一方、スクープが一転、特大の誤報をやらかした側という事になり、当然ながらの非難に晒されているGoodman記者は、記事は真実であるとして自己弁護に終始し、聞く耳を持たないでいるそうで。馬鹿馬鹿しい上にも馬鹿馬鹿しい話です。当人が否定している以上無意味だと思うんですが、何が彼女をそうさせるんでしょうね。やっぱりNewsweekの不安定な事業状況からして、組織的にもこれが誤報だと報道機関としての信用面で致命傷になりかねないし、個々の記者も即失業だからって諦められずに悪あがき、とかそういう事なんでしょうか。だとしたら哀れな話です。そんな体たらくでは逆に報道の仕事に向いてないから、さっさと畳んで転職すべきだと思います。余計なお世話でしょうけれども。

しかしね、盛大に釣られた他の報道機関も、毎度の事とは言え、安易な誤報にはいい加減辟易とします。報道機関によるそれは、実際に社会的、経済的な影響は元より甚大、今回のケースであれば個人に多大な被害が及ぶ暴行なのであって、その損害を鑑みれば、本来刑事罰が課されても何らおかしくない行為なのです。メディア連中はいい加減反省の上、最低限の責任を自覚して、脊髄反射と言うか、事実の裏も取らない軽率な報道は厳に慎み、過失であれ何であれ、やらかした場合には相応の報いを受ける仕組みを作るべきだろうと思うのですね。そうでなければ、報道の自由そのものが失われる未来すらあり得るだろうと、憂鬱に思わざるを得ないのです。まず無理なんでしょうけど。

Here's Video Of Satoshi Nakamoto Denying Any Link To Bitcoin
Man 'Newsweek' Said Invented Bitcoin Denies Inventing Bitcoin

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3/05/2014

[pol] ウクライナ侵攻の建前が晒す時代錯誤なロシア

Ukraineの紛争を巡るあれこれが各界を席巻するこの頃。何というか、ロシアは古くさい国だと思ってはいたんですけど、ここまでベタベタだとは、と呆れる次第なのです。

だって、帝国主義やら侵略主義の軍事大国が、紛争下で敵対陣営に流れつつある周辺国に、市民の保護を名目として軍事介入する、だなんて、今時フィクションでも馬鹿馬鹿し過ぎて使えない建前だと思うんです。それを国連で面と向かって主張するとか、まさかそんな恥ずかしい真似をする国が現代において現れようとは、流石に想像出来ませんでした。しかもロシアのような、普段から冗談の通じない風を装っている国が。いやだからこそのというか、当人達はいたって真面目なんでしょうけど、滑稽過ぎて見てられません。

脱力して真面目に指摘するのも億劫になりますが、ウクライナはロシアにとってあくまで他国、仮に市民の保護との言が真実なら、むしろ侵略との疑念を抱かれる事を避け、また保護対象の偏りを避けるため、保護に中立性と確実性を保証するために、 国連を経由させていなければ筋が通らないわけで。せめてロシアの主張するところの民族主義者による攻撃が現実に発生してからならまだしも、遥か西のKiev以外ではそもそも殆どデモすら起こっていないところに、遠く離れた東部、それもロシア系が圧倒的多数を占めるクリミア周辺でロシア人の危険を主張するとは、もう何の冗談かと。逆にロシア系以外の市民にこそ保護が必要な地域でしょう。

一応、少し前のGeorgiaの時にも似たような形で進駐をしていたわけですが、あの時はグルジア側が親EU路線を進めていたとは言っても、西側諸国は積極的に絡んではいませんでしたし、何よりグルジアがまさにロシアの属国と広く認識されていた事もあって違和感も感じられませんでしたが、ウクライナはそうではないわけで。元より19世紀からの歴史を振り返るまでもなく、大国間の利害対立の極点とも言えるかの地にあって、そんな間抜けな話が許されていいんでしょうか。別の意味で戦慄を禁じ得ないのです。もう19世紀に帰れと。クリミア戦争で討ち死にしてこいと。

ウクライナの立ち位置を鑑みれば、元よりロシアの完全な属国となるには大国に過ぎ、しかし対立するには小国に過ぎ、さらに地政学的にそもそも白黒というか東側西側いずれかに統一しもう片方を排除出来る国では全くない、下手に外から関与してもどうしたって泥沼にしかなり得ない面倒な国なわけで。かと言って分裂するには諸外国を巻き込んだ大規模な戦争を経る事が避けられないところ、その代償に見合う対価は皆無に近く大赤字になる事も明らかなのだから、さっさとヤヌコビッチを処分して現状維持で一段落させるべき話でしょうに、と思われるのですけれども、何をもたもたしてるんでしょう。合理的な判断をする知性自体がないのかと不安になります。

元々ロシアと関係の薄い米国はともかく、EUにしても、ロシアにしても、経済的に強く相互依存する現状にあって、実際に経済制裁に踏み切る事にでもなれば、お互いに洒落にならない損害が発生する事は確実だし、誰も本気ではない、筈です。ですよね?もはやロシアは西側と断絶した社会主義国ではないのですから。少なくともロシアは、このまま諸外国と共存していくつもりが多少なりとあるのであれば、それなりの、というか最低限の合理的な思考と振る舞いというものを知る必要があるのではないかと思うのです。死ななきゃ治らない類の話で、言われるだけ無駄なのかもしれませんけど。

3/03/2014

[biz law] 米GMのリコール、隠蔽10年間に死者13人の因果応報

先月発表されたGMによる米国内140万台、世界160万台の大規模リコールの件、よくある製造不良の類かと思って特段気にも留めていなかったんですが、突っ込んで取り上げる記事が幾つか散見されて、何かと読んでみたらこれがまた異様な事件だったようなのですね。

というのも、本件が原因とされる死亡者者が13人にも及び、かつその最初の死亡事故は2005年、実に9年も前から始まっているというのです。それもその最初の事故当時から本件の不具合の可能性は強く指摘され、GM側は間違いなく認識もしていたようで。

本件不具合は、具体的にはイグニッションキーの設計不良によるもので、エンジン、電気系統、またエアバッグまでもをオフにしてしまうという酷いものです。死亡との因果関係があるとされているのは最後のエアバッグの部分ですね。衝突事故を起こしてもエアバッグが作動せず、即死に至ったケースがそれだけあった、という事です。確かにこれは発生したならば一目瞭然、最初の死者が出た時点でGMも認識出来ない筈はなかったでしょう。

当局もその疑いを持ち、最初の2件が起こった当時からGMへの聴聞も行っており、また最初の事件の直後、被害者の遺族は独自調査の結果、当該不具合を原因と推測し、GMを相手取っての訴訟の末に和解を勝ち取っています。その際に詳細な調査も分析も行われたでしょう。そして、その後も同様の死亡事故は続き、偶然ではないとも認識されたでしょう。にも関わらず、GMはリコールをせず、NHTSAも公式捜査には踏み切りませんでした。その後、2009年にGMが破綻、先頃その再生処理が完了した矢先の本件発覚まで、本件を認識したならば即座にその是正を図るべき誰もが、明確に認識しておきながら放置され続けて来た事になります。

これは見るからに不可解で、あり得べからざる事態です。どういう事でしょうか。その不具合の程度の深刻さ、明確さ、何より結果の重大さからして、過失とは考えられません。人為的な意図があっての結果でしょう。ここで人為を働かせただろう当事者は、当時の同社を巡る環境から見て、経営陣を中心としたGM社と、規制当局をも含む米国政府の二者に尽きるでしょう。そしてその期間は長期に渡り、時期毎に様々に状況は変化したでしょうけれども、おそらくは概ね時期で分けて二段階、其々の期間毎に異なる事情があり、それぞれその当事者の思惑によって隠蔽放置されたと見る事が出来そうです。

まず第一に、最初の事故が起きた2005年もしくは同車種の販売が開始された2004年から、2009年の破綻前まで。この期間は、GMは不振の真っ只中、破綻へ向かう途上にありました。エコカーを中心に据える他社に押される中で、最初の事故を起こしたChevy Cobalt、また同不具合を抱えるSaturn Ionはそのセグメントでの対抗を期して投入された戦略車として、失敗は許されない状況にあった模様で、その営業的事情が原因と推測されるところです。要するに深刻な悪評を生まないために、例え死者が出ていようとも本件のような不具合は隠蔽したかった、という最悪の利己的理由ですね。GMを潰したくない当局は抱き込まれ、見てみぬふりをしたと見るべきでしょうか。GM自身の事情が主であった時期と言えるでしょう。

次に、2009年の破綻から、2013年末の政府によるGM株売却完了まで。この期間は、国内産業再生の象徴としてGMの存続が米国を挙げての至上命題となり、しかも政府が公的資金の拠出に伴いGM株を大量に保有していました。また政権にとって、GMの再生処理はその存在意義を賭けた看板政策として失敗の許されない状況にありました。このため、再生が完了し、かつ政府がその株式を手放すまでは、その評価を毀損し、多額の損失を発生させ、その破綻再生処理の評価を失敗に導き、政権自体をも揺るがしかねない本件のようなリコールは、何としても回避したかっただろうと容易に推測されます。その意味で、こちらは政府の事情が主であった時期と言えるでしょう。

要するに、GMと米国政府、双方がそれぞれ主体となってかような長期に渡り隠蔽を図り、多数の死者を出した、稀に見る最悪の不具合と見るべきものと思われるのです。

当然、米国民も同様の見方を強めており、メディアによる厳しい追求が始まっています。これに対し、GMの歴代の責任者は揃って説明もコメントも全て拒否し、ただ公式のプレスリリースの文面で謝罪を表すだけの異様な対応に終始しているとか。これは、全ての疑いを肯定しているに等しい振る舞いと言えるでしょう。結果の重大さから、放置や隠蔽を認めれば重い刑事罰は免れない、しかし客観的に見て知らなかったは通らない、と追い込まれての黙秘というわけです。当然これで収まるとは到底考えられず、自動車産業史上でも稀に見る凶悪な大量殺人事件とも言える本件、民事・刑事の両方で相応の大規模な訴訟に発展するものと強く推測されます。その場合、当局の側の責任も相応に追求される事も避けられないでしょう。その経緯、すなわちユーザーの命を犠牲にして目先の経済的利益を追った挙句のこの帰結である事を思えば、全て自業自得、全く以て愚かと言う他ない本件、残念と言うのも躊躇われるところです。

In General Motors Recalls, Inaction and Trail of Fatal Crashes
G.M. Announces Repairs in Recall of 1.4 Million Cars

さらに続報によれば、当該リコール対象の販売時期が古すぎるため、交換用の部品が終息してしまっていて調達出来ておらず、その目処すらも立っていないとの事。夏までは無理だろうとの予測もされているようですが、それでもこんな危険を抱えている以上は乗車禁止、としようとしても、そもそも大半のオーナーが連絡すら付かない状態で実質放置状態であるとも。無茶苦茶であります。

Now Comes Hard Part for G.M.: The Repairs

順調に追求拡大が進む本件、色々と消えた筈の亡霊が蘇りつつあるようで。

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2/28/2014

[IT law] 英国によるウェブカメラのビデオ盗聴が露見

Edward Snowdenの告発に端を発した英米情報機関によるネット盗聴暴露の件、ウェブカメラの映像も対象だった事が明らかとなったそうです。具体的には、英国情報機関GCHQによって、Yahoo!の提供するビデオチャットサービス、その利用者について、公開されたドキュメントにあるだけでも2008年中の半年間で英米の180万人のサービス利用時の映像が盗聴されていたということで。本サービスはその後も継続されていたとの事ですから、おそらくは合計で数千万にも及ぶ大勢のプライベートな映像が不当に取得保存閲覧されていた事になります。酷い話です。

しかしこれはごく一部に過ぎないだろうのがまたなんとも。本家たる米NSAによる同種の活動は質量ともにGCHQのそれを遥に越えるだろうし、Yahoo!以外の協力企業、GoogleやMicrosoftのそれが対象外だったとは到底考えられないのですから。すなわち、SkypeやGoogle Hangout、Kinect関連等、大手の各種ビデオ会議・チャットサービス等はその全てが当然に盗聴対象だったものと強く推測されるわけで、個人のプライバシーとか企業の秘密とかサービスの信用とか、諸々が滅茶苦茶の大惨事です。いやこれまでの経緯からして既に信用も何もあったものではないのですけれども、流石にビデオはプライバシー侵害の面で一線を画す的にまずいでしょう。その種の映像データ公開は、しばしば個人攻撃の手段、例えばリベンジポルノや苛めの一環として行われるものですが、暴露された側には精神的・社会的に深刻かつ回復困難な被害が発生するもの、自殺に至る事すら稀ではないわけで。

なお具体的な取得データは、各IDにつき5分に一枚の映像と、そこから顔認識の結果やメタデータで絞り込んだIDについてはより多数の映像、とのこと。ビデオはデータ量が膨大ですから、これくらいの選別処理はやって当然というところでしょうか。顔認識に用いたエンジンはまさか自前ではないでしょうし、一体何処製のものが用いられたのか、そしてその精度というか選別結果にはどの程度の妥当性が認められたのか、不謹慎ながら技術的には少し気になるところではありますが、それはともかく。

そして、そうして集められた映像のうち、実に3~11%が性的に不適切な映像だったそうで。。。いわんこっちゃないです。それら映像は廃棄されたかどうかも不明なわけですが、その措置の如何によらず、盗聴された多くのユーザが、そのプライベートな映像が暴露されていた事を知って、精神的に重傷を負ってしまった筈です。多分に自殺者の発生も懸念されるわけですが、どうするんでしょう。GCHQはこの期に及んでなお全ての活動は合法だとして補償や対策をする以前に謝罪もしていませんし、NSAも同様の醜態を晒しているわけですが、このまま破滅的な結果に至ってしまうのでしょうか。全く以て救えませんね。

Yahoo webcam images from millions of users intercepted by GCHQ

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2/26/2014

[sci] 捏造疑惑が強まるSTAP細胞、自壊する権威

1月末に発表され、生物学の定説を覆す大発見として広く衝撃を与えたstimulus-triggered acquisition of pluripotency cell、略称STAP細胞が、全方位的に非常に強い懐疑を受けているそうで。本件、私は生物学全般において門外漢につき、元よりさほど興味も抱かず、山ほど取り組まれるだろう各専門機関の検証結果を見れば良いだけの話か、と思って放置していたんですけれども。

しかし、発表から一ヶ月近くが経ち、その間まさに全世界の機関がこぞって追試検証に取り組んだにも関わらず、現時点で全て失敗し、部分的なものも含め肯定的な報告は未だ一切無し。あげく論文の中にあれこれと作為や捏造、盗用までもが確認されている、とあって、それが事実なら当然に発見自体にも捏造が疑われる話なわけで、そうであれば理研とHavardはじめ、nature誌から、学会、社会に至るまで、およそ全世界が派手に担がれた事件という事になるわけです。それは流石に珍しいし、どういう経緯でそんな事になるのか、と逆に興味が沸いてきた次第で。

何はともあれ原論文を見ない事には始まりません。というわけで、幸いにもフリー公開になっていたnature誌掲載の原論文をざっと読んでみました。門外漢には分からない専門的な単語がずらずら並びますが、疑惑を検証するには中核部分が理解できればよし、ということで。

Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency

論旨の概要は、これまで遺伝子操作を施す場合を除いて非可逆とされていた動物性細胞の分化について、その外部刺激による(stimulus-triggered)逆行すなわち多分化性(pluripotency)を再獲得(acquisition)させる手法を確立した、というもの。具体的には、CD45なる抗体を持つ造血細胞について、pH5.7程度の、致死に近い(sub-lethal)酸性液にほぼ常温で25分程度晒す事で、生き残った細胞にCD45減少と引換にOct4-GFPという多分化性を司る因子を獲得させる事が出来る、としています。Oct4は既存の広く知られた因子であり、これが得られる事がすなわち万能細胞の生成に成功した事に他ならない、というわけです。実験にはマウスを用いていますが、実際に上記処理後、一週間程培養した細胞を用いて、キメラを生成する事にも成功した、としてその写真等を掲載していますね。その写真等に捏造があると疑われているわけですが、それはともかく。

無論、手順の中には各種の細胞の選別手法やそれに用いる機材等、実験に際しての細かい手順も記載されているのですが、骨子としては概ね以上のようです。なお、論文の内容として、何故その処理でその現象すなわち多分化性獲得が起きるのか、そのメカニズムについてはおよそ言及が無いようでした。これはいささか奇妙にも思われますが、ともあれ、本論文は実験結果としての現象とそれを発生させるための手法を報告するものと理解すべきものでしょう。最も重要な点は結果の真実性にある、という事です。

さて。改めて見てみると、その手法自体は極めて簡単なもののように見えます。要するに特定の因子を持つ細胞を選別し、グループに分けてから一部を液体に短時間晒し、培養にかけた後に処置有りと無しのグループ間の因子に関する差異を比較するだけです。無論技術的にはシンプルな方法が一般に優れているとされていますし、それ自体は問題ないどころか歓迎すべき事なのですけれども、しかしそれなら再現は容易な筈で、培養に必要な時間を考慮しても、専門機関であればまず10日あればある程度の検証は可能に違いないわけです。事実、多くの機関が既に一次的な実験結果を報告しています。そして、それが全てネガティブな結果なのですね。まだ確定的な判断を出すには早計に過ぎる事は間違いありませんが、捏造との嫌疑を掛けられるのも致し方ないところでしょう。

その上、共著者たる若山照彦教授(山梨大)ですら現時点で再現出来ない、という信じ難い話もあるのですから、むしろ逆に論文の内容を真実と信じる理由を見出す事の方が困難、というべきでしょう。私個人としては、根本から真っ黒なのでは、との疑念を抱かずにはいられません。

それで。まだ真偽の確定までは出来ませんが、かような状況に至ってしまった時点で、少なくとも、今回の研究内容が客観的検証に欠け、かつ論文単体としても甚だ杜撰で不適切なものであるという事は間違いないものと思われるところです。とりわけバイオ関連ではベンチャー等事業絡みで詐欺すら横行する昨今にあって、そのような研究、また論文自体は残念な事に珍しい事ではありませんが、本件の問題は、その発表者が理研なりHarvardなり、間違いなく学術界を代表する組織の正規の所属員であり、当然にその組織の研究成果として公示されたものであり、かつ媒体もこれまた最高峰たるNature誌と、いずれもおよそ考えうる最高の権威によって成された点にあります。従って、本件は単に一研究チームによる愚かな論文発表というに止まるものではなく、学会そのものによる自己否定、自殺的行為に他ならないわけです。事実の検証は科学の基本中の基本、栄光に目が眩んだか知りませんが、それを怠り、自ら組織全体の信用までもを失わせるとは、揃いも揃って愚かにも程があるだろう、と呆れざるを得ません。

あまつさえ、筆頭著者の小保方晴子氏はおろか、理研もHarvardもNature誌も説明すらせず、揃って調査中として延々と沈黙を決め込み、疑念が膨らむに任せるだけとあっては、もはや救い難いものと言うべきでしょう。責任の押し付け合いでもやってるんでしょうか。何であれ、残念です。せめて発見の一部でも真実であれば、と期待する事すら過分と思えるのには殊更。

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後日。そしてさらに一週間以上経過し、ようやく手順書が理研から公開されました。というわけで、一度関心を抱いてしまった以上、毒を喰らわば、と半ば義務感に押されて読んでみたわけです。当然の事ですが大筋は原論文と同じ、それを詳細に記述したものであって、検証出来ない門外漢には意味が無い代物ではありました。なので、同じく進められるであろう専門機関の検証を待つよりないわけですね。それは元より分かっていた事ですけど。

ただ、それでもあえて付け加えるなら、手順書中では多数[Important]と銘打って処理中で特に注意を要するとされる点を記述しているのですけれども、それに多少なりと違和感は感じました。細胞を採取するマウスの個体は若い(生後一週間以内)ものでなければ駄目、というのはまだしも、異なる性質の細胞が混ざらないようよく分離すること、だとか、密度に注意する、だとか、pH値等、環境条件の管理が重要だとか、大半がごく基礎的な実験、検証一般の手順に関するもので、専門家なら当然に弁えているだろうもののように思えたのです。何故それがpluripotencyの獲得の成否に影響するのか、その理由の説明があれば別だったのでしょうけれども、それは相変わらずありませんでしたし。

もっとも専門家向けの手順書なのだし、専門家なら言わずとも分かるという事なのかもしれませんが、それにしても、と眉唾な感じが拭えません。もやもやしますね。こういう時は自分で検証出来ない素人の身が残念に思われますが仕方ない。さて。

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検証の報告を前に、若山教授が論文の取り下げ提案を表明。いよいよ、おそらくは残念な終幕が近づいて来たようです。

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[biz] Mt.Gox消滅で俄に訪れたBitCoin崩壊の瀬戸際

仮想通貨が文字通りの危機にさしかかりました。仮想通貨を代表するBitCoin、そのリアルマネーとの交換可能性を担保する換金機能を備えた取引所群のうち、長らく最大手としての地位を保持し、そこでの取引状況はすなわちBitCoinそのものの動きと見做される標準的位置づけにあったMt.Goxが崩壊したのです。昨日までは引き出し停止に伴い取引価格の暴落を招きつつもサイト自体は稼働していましたが、ついにサイトも止まりました。ご臨終です。

推測される原因はアカウントを乗っ取るタイプのウィルスによるボットネット攻撃で、それにより窃取されたBitCoinは少なくとも70万を超え、現在流通するBitCoin総量の6%にも上るとのこと。Mt.Goxは時価350億円にもなるその分の債務について当然に負担を迫られ、しかしその支払い能力は無いために閉鎖に追い込まれた、との見方が有力となっているようです。まあそんなところでしょうね。

これが通常の金融機関であれば、当然保険がカバーする類のものなのでしょうけれども、自由な通貨としてあらゆる公的権力の影響が及ばない仮想通貨にそのような仕組みがあろう筈もなく即死という事で、その自由性が仇となった恰好です。しかしこれはその構造上当然の帰結であって、多少なりと分析が可能な向きの誰もが予想していた結果ではあるし、何よりユーザーの大半はそれを承知で、およそ無法の領域における通貨として、違法取引や常軌を逸したマネーゲームの媒体として専ら取引されていたものなわけだから、その取引が滞った所で何ら問題はない、むしろ不法取引撲滅万歳、と喜ばれてもおかしくない話であるとも言えるでしょう。

とはいえ、本件は単なる一プレイヤーの失敗ではなく、BitCoinをはじめとするフリーの仮想通貨の仕組みそのものに内在する構造的リスクが顕在化したものと言える以上、その市場全体が信用を大きく毀損し、あるいは同様に崩壊する可能性も小さくないわけで。無法者の自業自得と切って捨てる事も可能ではあるでしょうけれどもしかし、その投機性の高さからリアルマネーとの接続を強め、既に全体で数千億から兆にも上る資産規模にまで膨張してしまっている市場の急激な崩壊、その影響を完全に無視するわけにもいかないでしょう。各国の通貨当局によるアクションは既に遅きに失したようにも見えますが、ユーザーの多数を占めるとされる中国あたりがどう動くか、それなりに注目もせざるを得ません。さて。

ていうか中国当局が仕掛けた可能性もある話なんですよねこれ自体。他のプレイヤーもやれロシアだ東欧だとか、ほんとカオスです。

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数日後、会社としてのMt.Goxは民事再生申請という事であえなく倒産。しかし民事再生ですか。報じられている情報からして、負債があまりに大きく、かつ再生手続きを進めるにあたりその大半の同意を得るべき債権者が数百万の多数に上り、所在も全世界に拡散していて、再生処理を進められるのかは甚だ怪しいようにも思われるわけですが。さて。

ビットコインのマウントゴックス 再生法申請

案の定というか、当然予想された通り米国では早くもMt.Goxのユーザから訴訟を起こされたそうです。そりゃそうですよね。まだ一人目に過ぎませんが、下手しなくても原告が少なくとも万単位の大規模訴訟になる事は確実、かように債権者と対立する状況にあっては、再生計画も作りようがないでしょう。

2/20/2014

[biz] Pizza Hut従業員が店舗のキッチンシンクに小便をする映像が公開されて全米が嘔吐

Oh... Crazy...です。

ピザチェーン大手のPizza Hutの米国はWest Virginia州のとある店舗で、そこの地区マネージャがよりにもよってキッチンのシンクで小便をするという蛮行に及び、かつその一部始終が映された監視カメラ映像がCBSやYoutube経由で公開・放送されるに至り、瞬く間に阿鼻叫喚の騒ぎになっているようです。

映像自体は見ても良い事は何一つないと思いますし引用は控えさせて頂きますが、どうしてもという方は"Pizza Hut urine"で検索のこと、です。映像の内容は、店舗内でPCを操作していた男性がおもむろに立ち上がり、背後にあるキッチンシンクに向かったと思うと・・・というものです。

ピザハットの広報は、本行為は営業時間外に行われたもので、即対処もし、食品販売業務には一切影響を及ぼしてはいない、との弁解的発表を行ったそうですが、それで収まるはずもなく。当該店舗は地元当局から即営業停止処分を受けて閉店、当のマネージャは当然に解雇もされたとか。

日本国内でも食品販売業での従業員による色々と非衛生的な行為、その際の映像が公開されて大問題になるケースが相次いでいたところ、その種の事件にはそれなりに慣れた気もしていたところですが、上には上が、というより下には下がある、という事を痛感させられてしまいました。恐ろしや。衛生面で現実の危険がある以上は知らぬが仏で済む事ではないとは理解しつつも、できれば知りたくなかったです。ていうかどういう経緯でこんな映像が外部に公開される事になったんでしょう。

ともあれ。本件は米国での話ではありますが、全世界でチェーン展開するPizza Hutの事、事業的にネガティブな影響が波及しないわけはなく、果たしてその影響がどの範囲まで及ぶのか、その程度はいかほどか、やはり気になるところです。流石に日本では、と以前なら言えたところなんでしょうけれども、件の騒動が相次いだ後ではもはやそれは叶いません。むしろ日本でもやりかねん、とまた吐き気が。うええ。勘弁してくださいほんと。

Pizza Hut Employee Caught Urinating In Kitchen Sink

2/14/2014

[biz law] ニコン対シグマ手ブレ補正特許訴訟、東京地裁にてニコン勝訴

ニコンが以前提起したシグマに対する手ブレ補正機構に関する特許訴訟について、この程ようやく地裁判決が出たそうで。結果は特許侵害の認容につきニコンの勝訴。請求額120億に対し、シグマの該当製品の総利益を105億とし、そのうち当該特許の寄与分を15%と見積った結果、賠償額は15億と認定されたそうです。

判決の詳細は未公表につき該当するレンズの具体的な機種名は不明ですが、連結でも300億強に過ぎないシグマの年間売上高と認定額を比較すればその割合は非常に大きく、おそらくは手ブレ補正機構付き(OS)のうち主力モデルが含まれているものと推測されます。シグマ危うしです。控訴審中の別の特許訴訟では無効判決を勝ち取ってたんですけども、こちらだけで致命傷級ですね。

当然ながらまだ地裁ですし、シグマも控訴するでしょうけれども、知財訴訟であるからには一審から相当に膨大かつ精密な議論が行われている筈、それを覆すのは一般論としてそう容易な事ではないでしょう。少なくともシグマは敗訴が確定する結果を覚悟し、それに備えなければならなくなりました。現行モデルが既に回避対策済みならば、さしあたり現在以降の事業運営の方針を変更する必要はありませんが、もしそうでないのなら、OSモデルの販売停止等を検討せざるを得ないだろうわけです。

そうでなくても、今回の訴訟の過程でニコンとの対立を強めた結果、両者の製品間、すなわちニコン製カメラ本体とシグマ製レンズの適合性が低下し、オートフォーカスや手ブレ補正等が機能しない例が多発しシグマ側が修正を余儀なくされているとかいう不穏な話も聞こえて来ているところです。ここ数年シグマはカメラ本体の自社事業展開にも乗り出してはいるものの、まだ主力は互換レンズビジネスなわけで、本訴訟のように対立を深める事は自殺に近い行為に違いない筈、何処かで和解に動かなければ、割と本気でシグマ社自体の先行きが暗闇に埋もれかねないわけですが、どうするんでしょうね。白旗あげる?

ちなみに私も一個だけシグマ製のOSレンズを所持しており、割と愛用しています。中古で手に入れたニコン用の18-200mmOSです。主にD60と組み合わせて使っておりまして、なかなかに良い写りをするので気に入っているのですが、権利侵害の賜物であったと聞かされると非常に気分がよくないわけです。今後のレンズ流用にも支障が出るかもしれない、と懸念もせざるを得ません。結局のところ、ユーザーにとっては迷惑千万でしかないわけです。メーカー間ではフェアに仲良く、お互いに協力し合って欲しいところですが、それが出来ず、いがみ合った挙句ユーザーに被害を出す位なら、いっそ最初から互換品など売るべきではないと思うのですよ。困ったものです。

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ニコン勝訴、シグマに15億円支払い命令 手ブレ補正レンズ特許めぐり

[biz] Tesla Model Sが駐車後に炎上、ガレージ延焼

恐れていた事が現実になってしまいました。昨年、6週間の短期間に3度に渡り爆発炎上を起こした米Tesla社製EVセダンModel Sが、今月上旬に駐車中にガレージ内での炎上事故を起こしていたとのこと。被害に遭ったオーナー曰く、外から戻りガレージに駐車し降車した後、暫くして突如炎上したとの事。その際には充電プラグは接続されておらず、完全に単独での炎上だったと。

これまでの3件の炎上の際には、ほぼ当該車両の焼損のみの被害に止まっていましたが、今回は建物内での発生とあって、ガレージ内も焼損し、同ガレージに駐車していたレクサス車等も同じく被害を被る事となりました。以前の事故の際の映像で捉えられたその炎の激しさから、延焼による二次被害の発生も早晩必ず起こるものと懸念されていたところですが、それが早々と現実のものになってしまったというわけで、極めて残念な事です。ただ、迅速な消火活動によってガレージの外への延焼は食い止められ、人的な被害には至らなかった事は不幸中の幸いと言えなくもないでしょうか。

この期に及んで、Tesla社はこれまでの事故の際と同様の対応すなわち、オーナーには被害の賠償と代車の提供を申し出つつ、Model Sは他車種に比して事故率が低く安全だとする声明を発表し自己弁護を図るという、硬直的な対応に固執しているそうです。おそらく、死人が出るまで、どころか、死人が出ようとも、車両の構造的な欠陥の存在は認めず、設計を見直す事もなく、従ってこれからも同種の炎上事故は続くのでしょう。それこそ、売上が壊滅的に落ちたり、賠償案件が激増する等して事業が立ち行かなくなり、Tesla社そのものが消滅するまでは。最悪と言う他ありません。

なお、本件オーナーはTesla社の上記賠償等の申し出を拒絶したそうです。流石に家が燃え、自らと家族の安全まで脅かされたとあっては、寛容にもなれなかった、という事でしょうか。多分に訴訟も予想されます。むしろ安全を軽視するTesla社の傲慢を正す機会として、徹底的に糾弾されれば良いだろうとも思うのですが、さて。

Another Tesla Caught On Fire While Sitting In A Toronto Garage This Month 

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2/12/2014

[biz] プリウスに回路破壊の不具合でリコール190万台

フィットHVが悲惨な事になっている中、張り合うように現行プリウスが国内100万台、海外90万台計190万台のリコール。原因はトヨタによれば制御回路の過電流による破損で、それが起こると極端な低速や走行不能等に陥る、と。フィットに負けず酷い不具合です。

まだ詳細は報じられておらず不明ですが、ソフトが原因の過電流で破損する回路と言えばアナログ部分、具体的にはアンプとかレギュレータ、インバータの内部あたりでしょうか。本事象発生時には警告ランプが付くらしいですし、それなりに対策はしてあるんでしょうけれども、それでも電力量が大きいだけに、中途半端にブレークダウンしたりしたら火を吹きそうで怖いですね。

発生件数は3年で300件超だから年あたり約100件。いくら超の付く人気車種で台数が多いから自然と数も多くなる、とは言っても尋常な数ではなく、ホンダのそれよりは若干マシですが、それがなければ確実に前代未聞というべき深刻な不具合なわけで、ホンダとトヨタ、国内メーカーのトップ2社、それもそれぞれの看板車種が揃ってこの様という事態を目の当たりにしては戦慄も禁じ得ません。

もっとも、ホンダの凶報の直後たるこの時期にリコールに踏み切ったというのは、必ずしも偶然とは考え辛いところです。本件のようなリコールが事業に与えるネガティブな影響は非常に大きく、トヨタとしても出来る限りその緩和を図りたいところだったでしょうし、ホンダの件は隠れ蓑としてうってつけだったと考えるのが自然でしょう。おそらくはフィットHVのDCTの設計不良もトヨタの方では早くから承知していて、それが決定的に顕在化するタイミングを図ってもいたのではないでしょうか。そうであれば、元よりホンダの自爆ですけれども、それを逃さず利用してくるあたりはさすがトヨタ、黒いです。

ところで、対象の発売・製造時期が2009年からな一方で障害発生の報告が2011年以降なのは、やはり回路の劣化が要因で、その耐用年数が2年位と解釈すべきところなんでしょうか。だとしたらいけません。一般的な車の耐用年数から考えて、最低でも10年は保たなければならないわけで、これでは設計自体に欠陥があるものと認識せざるを得ないところです。しかるに、今回はソフトの変更で対応するようですが、一般論としてアナログ回路の劣化をソフト側の調整で防ぐ事は困難な上に、ソフトの変更は往々にして新たな不具合に連鎖するものなわけですから、これから先もユーザー側には不安が付き纏い、しかもそれは容易に拭えないだろう事になってしまいます。そうであれば、本問題はプリウスに限らず、モーター駆動車一般も同様に懸念せざるを得なくなってしまうわけで、無論発覚しないよりは良いんですけれども、暗鬱たる先行きが想像されて、色々とよろしくありませんね。仕方ない話なんでしょうけれども。

要するに、電子制御への傾斜を強める一方だった自動車産業が、ソフトを中核に据える方式一般に内在する構造的問題すなわち、その障害発生率の高さ、完全性確保の困難さが、ついに顕在化したものと捉えるのが妥当なのでしょう。新規技術は往々にして複雑性の上昇を伴いやすく、そして複雑性を高めるほど、不具合の発生可能性、また予防困難性も必然的に高まるし、犠牲になる要素も多く伴うものです。それが許容可能か否かが問題なのですけれども、本件のような自動車の走行制御においては走行不能等の深刻な、到底許容出来ない不具合に直結してしまうのですね。殆ど必然のように。

新型車の宣伝には、いつも華々しい売り文句が並びます。しかし、果たしてそれは事実進歩と言えるのか。単なる目くらましや化粧的な変更に過ぎないものも少なくないようにも見えます。事業的には嘘でも詭弁でも改良を装う必要がある事は理解出来ますが、少なくとも本件のような帰結になってしまうのでは本末転倒と言う他ありません。各社には、事業的には今更引き返せない、誤魔化さなければ、等と脊髄反射する前に今一度、自らの行っている事業の持つ意味、あるべき姿、起こしてはいけない結果等をよく踏まえられる事を願いたいところです。特に、ユーザーの生命が懸かっている事を思い出して冷静になるべきでしょうね。本件のような現在の話もそうですが、将来の話も。自動運転とか無謀そのものな話が平然としかも直近のロードマップに乗っているのを見ると寒気がするのですよ。

プリウス100万台リコール 現行モデルの全車対象

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