多数の虚偽記載が発覚し、また第3者による追試が全く成功せず、捏造との疑いが極限まで強まっているSTAP細胞ですが、目下進行中の、先日発表された概ね詳細な手順書に基づく追試の結果報告を間近に控えて、共同研究者の若山教授が"信じていた実験結果の研究データに誤りが見つかったため"、論文の真実性に疑念が生じた、として論文の取り下げを提案したそうです。
STAP細胞 確信なくなった
これまで、指摘された事項は全てささいなミスであって、論文の主たる部分は真実であると頑なに主張してきた同氏が、あと数日もすれば決定的な結果が出るこのタイミングで撤回に転じた、というのは、要するに観念した、と見るより他ないもののように思われるわけです。それは先入観の過ぎた解釈だとしても、少なくとも、肯定的な結果が出る事は同氏をしても考えられない、 そういう絶望的な状況である事は間違いないところと言えるでしょう。
あらゆる意味で遺憾極まる帰結ではありますが、もっとも、これほどまでに客観的な支持的事実が皆無な状況にあっては、自ら検証が可能な専門家は勿論の事、科学的検証のプロセスに多少なりと心得のある人のうちに、この期に及んで本件の真実性を信じていた人も殆どいないでしょうから、ああそうですか、やっぱりね、とため息を吐くだけの事です。また、騙される以前に理解が及ばない大多数には関係しない話です。とはいえ、それでもやはり残念を禁じ得ない人は相当にいるわけだし、残念では済まされない、実害を被った人も存在するのであって。
一応、最終的な評価をするには、検証実験の結果を待つ必要があるでしょう。が、このまま予想通りに失敗に終わったなら、それに費やされた労力、費用は最初から全て無駄だった、という事になるわけです。その虚しい結果を、その作業に従事するだけの知識を持つが故に強く予想しながら、検証に取り組んでいる研究者の事を思うと、憤りを禁じ得ません。さらに、現時点で既に発生した甚大な被害影響すなわち、科学的研究そのものに対する信用を大きく失墜させた責任は言うまでもなく重大極まりないものなのであって。主犯たる理研の面々、担当者も上層部も、どう責任を取り、また償ってくれるつもりなんでしょう。全員が死んで詫びても足りないと思うのですが。
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後日理研からなされた中間報告を拝見しましたが、この期に及んで過失との建前を取って故意すなわち捏造を認めず、かつ論文を撤回すれば済むとして白を切る、正気を疑うべきスタンスは醜態と言う他ない往生際の悪さで、遺憾極まりない最低の報告でした。挙句、論文の真実性の真否は第三者の検証に委ねる他ないだとか、保身の為だけに外部研究機関のリソースを浪費させて恥じない発言を、当事者でありながら平気で吐くに至っては言語道断、ふざけるなと。見下げ果てました。もう理研自体存続させるべきではないとすら思います。
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