Ukraineの紛争を巡るあれこれが各界を席巻するこの頃。何というか、ロシアは古くさい国だと思ってはいたんですけど、ここまでベタベタだとは、と呆れる次第なのです。
だって、帝国主義やら侵略主義の軍事大国が、紛争下で敵対陣営に流れつつある周辺国に、市民の保護を名目として軍事介入する、だなんて、今時フィクションでも馬鹿馬鹿し過ぎて使えない建前だと思うんです。それを国連で面と向かって主張するとか、まさかそんな恥ずかしい真似をする国が現代において現れようとは、流石に想像出来ませんでした。しかもロシアのような、普段から冗談の通じない風を装っている国が。いやだからこそのというか、当人達はいたって真面目なんでしょうけど、滑稽過ぎて見てられません。
脱力して真面目に指摘するのも億劫になりますが、ウクライナはロシアにとってあくまで他国、仮に市民の保護との言が真実なら、むしろ侵略との疑念を抱かれる事を避け、また保護対象の偏りを避けるため、保護に中立性と確実性を保証するために、 国連を経由させていなければ筋が通らないわけで。せめてロシアの主張するところの民族主義者による攻撃が現実に発生してからならまだしも、遥か西のKiev以外ではそもそも殆どデモすら起こっていないところに、遠く離れた東部、それもロシア系が圧倒的多数を占めるクリミア周辺でロシア人の危険を主張するとは、もう何の冗談かと。逆にロシア系以外の市民にこそ保護が必要な地域でしょう。
一応、少し前のGeorgiaの時にも似たような形で進駐をしていたわけですが、あの時はグルジア側が親EU路線を進めていたとは言っても、西側諸国は積極的に絡んではいませんでしたし、何よりグルジアがまさにロシアの属国と広く認識されていた事もあって違和感も感じられませんでしたが、ウクライナはそうではないわけで。元より19世紀からの歴史を振り返るまでもなく、大国間の利害対立の極点とも言えるかの地にあって、そんな間抜けな話が許されていいんでしょうか。別の意味で戦慄を禁じ得ないのです。もう19世紀に帰れと。クリミア戦争で討ち死にしてこいと。
ウクライナの立ち位置を鑑みれば、元よりロシアの完全な属国となるには大国に過ぎ、しかし対立するには小国に過ぎ、さらに地政学的にそもそも白黒というか東側西側いずれかに統一しもう片方を排除出来る国では全くない、下手に外から関与してもどうしたって泥沼にしかなり得ない面倒な国なわけで。かと言って分裂するには諸外国を巻き込んだ大規模な戦争を経る事が避けられないところ、その代償に見合う対価は皆無に近く大赤字になる事も明らかなのだから、さっさとヤヌコビッチを処分して現状維持で一段落させるべき話でしょうに、と思われるのですけれども、何をもたもたしてるんでしょう。合理的な判断をする知性自体がないのかと不安になります。
元々ロシアと関係の薄い米国はともかく、EUにしても、ロシアにしても、経済的に強く相互依存する現状にあって、実際に経済制裁に踏み切る事にでもなれば、お互いに洒落にならない損害が発生する事は確実だし、誰も本気ではない、筈です。ですよね?もはやロシアは西側と断絶した社会主義国ではないのですから。少なくともロシアは、このまま諸外国と共存していくつもりが多少なりとあるのであれば、それなりの、というか最低限の合理的な思考と振る舞いというものを知る必要があるのではないかと思うのです。死ななきゃ治らない類の話で、言われるだけ無駄なのかもしれませんけど。