7/31/2022

[law] 統一教会と自民党の癒着について

長年、公然の秘密であった元祖反社会的組織たる統一教会と自民党の癒着。その自民党側の中核的存在であった安倍元首相の殺害事件、その犯人の動機を通じて否応なく世間の注目が寄せられ、その悲惨な実情が曝け出されつつあります。それに伴い、両者にその他のあらゆる方面から非難が寄せられると共に、両者の側からはそれを封じようとする動きが起こり、混沌とした状況になりつつあるわけですが。

そもそも統一教会とは何ぞや、というと、韓国で1950年代に発生し、日本を中心に海外にも広がったキリスト教をベースにしたカルト宗教というのが正しいのでしょう。サタンが云々、地獄に落ちる云々の無根拠にして荒唐無稽かつ意味不明な言葉で迷信深い信者の恐怖を煽り、その対策や救済と称して壺等を提示し、その対価として常軌を逸した寄付を要求する、要するに悪質な霊感商法の元祖的な存在です。実際に1980年代には日本国内で社会問題化し、宗教系の反社会的組織としての評価を確立しました。オウム真理教と違い破防法等の指定を受けていないのは、テロ等のあからさまな暴力行為には手を出さない、という一点のみによります。とはいえ、一般人にとってはその被る経済的・精神的・社会的な意味での危害・被害とその危険性の点ではオウムも統一教会も大差ない認識であろう事は間違いないでしょう。つまり、暴力団・半グレ・マルチ商法・特殊詐欺等と同類の組織と言えるわけです。

自民党と統一教会の関係、その歴史的な経緯の詳細については各所で解説がなされていますから、ここでは省略します。一言で言えば、安倍元首相の祖父である岸信介元首相の時代から30年以上に渡り互助関係を築いて来た、という事です。自民党の所属議員は、統一教会の式典や機関誌等に顔を出し、ある種の広告塔として、教会に対し権威や正当性を与える事で信者の獲得すなわち収入の維持・増加をもたらし、教会側はその見返りとして、日本人信者の票の取りまとめを行って来た事はよく知られているところです。他にも、議員等はあからさまでない形で様々な口利き等を行って来たとも言われていますね。

要するに、反社たる統一教会と、日本政府すなわち国家権力とほぼ同義である自民党及びその所属議員が、長年に渡り、恒常的に癒着していた、それはもはや疑いようのない事実であるわけです。そもそもこの事がここに至るまで公の非難すら免れて来たという事自体、日本政府には政教分離以前に基本的な最低限の倫理のかけらもないという事を証明していると言えるでしょう。

政教分離。そう、カルトかつ反社とは言え、統一教会は宗教団体なのです。 言うまでもなく、宗教活動及びそれを行う団体には、憲法上の強固な保護が与えられています。具体的には憲法20条の前段ですね。「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」例えその思想が終末的だろうと、反社会的であろうと、本部が外国で運営主体が外国人で占められていようと、それが宗教活動である限り、原則として自由が保障されています。それがマインドコントロールによるものであっても、信者本人がその信じるところに従って自発的に行う限りは、侵されるべきではない、というのが基本なのです。

実際、その教義やそれに伴う寄付が如何に客観的に見て不当であろうと、当人が正当と信じ込んでしまっている場合、それを制限する権利は他人にはありません。だからこそ、統一教会の活動が反社的である事はわかっていても、その存在は容認されて来たし、安倍元首相殺害犯の母親のように第三者から見ての被害者も依然として無くならず、二次的・三次的な被害も生じ続けているわけです。

ところが、今回問題になっている、自民党との癒着については話が別です。統一教会が宗教団体としてその保護を享受している以上、政教分離の制約も同時に受ける事になるわけで、自民党との協力関係は、これに抵触してしまうのです。具体的には、憲法20条後段の、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」ですね。宗教の(絶対的な)価値観は民主主義にそぐわず、他の権利を侵害するおそれが大きい事等から設けられている規定です。

ここで言う特権とは、典型的には玉串料や香典等の公金の交付を意味しますが、当然ながら金銭的なものには限られません。有形と無形とを問わず、およそ便益と言えるものが該当します。各種の口利き等は勿論、反社会性を理由に差し止められていた名称変更を容認した事等も当然該当するでしょう。自民党は与党です。政治上の権力主体そのものでもあります。その活動は、個人的かつ私的なものを除き、政治上の権力行使にも該当するでしょう。つまり、統一教会が自民党及びその議員と公的・組織的に協力関係にある以上、そこに当然に発生する諸々の利益・便益は、原則として違憲行為に該当するわけです。本件の違法性はほとんどそこに集約されるように思われます。

通常、政治絡みでこの種の違法行為が明るみになった場合、対価もない一方的かつ単なる儀礼的なものとしたり、議員個人の私的な宗教的行為として切り捨てたりして収拾を図るものですが、自民党も統一教会も、これまでの関係が長く深すぎました。積み重なった事実の山を前に、今更関係自体を無かったことにしたり、組織的な関係を否定する事は到底出来ないだろう以上、開き直る他ないのです。だから、現防衛相の岸信夫や自民党総務会長の福田達夫らは、「協力してもらうのは当然の事」 だとか「何が問題かわからない」等と言うしかないのですね。まさしく言うに事欠いて、というやつです。

統一教会も自民党も、こうなってはやることは唯一つ。メディアを中心とした口封じです。スポンサー企業等にも働きかけをしているだろう事は疑いようがありません。安倍元総理の国葬の手配を電通に任せる、というのも、メディア対策の一環なのでしょう。実際、複数のメディアでは統一教会の名前は出さないようにしていたりするそうですし、それなりに効果もあるのかもしれませんね。

とはいえ、何せ30年以上公然の秘密とされ、延々と燻り続けて来て、ついに炎上したのが本件です。メディアの一部を一時的に抑えたとしても、そのまま風化するとは到底考えられません。果たして統一教会と自民党、両者がこの長年の癒着の報いを受ける事になるのか、受けるとすればどのような形で受けることになるのか、これから長く醜い争いが続きそうで、いささかげんなりする次第なのです。

ただ、ようやく訪れた統一教会の害を社会から取り除けるかもしれない機会です。ぜひとも排除までたどり着いてもらいたいものだ、とは思います。

7/26/2022

[biz] 大阪王将ナメクジ事件

大阪王将の仙台中田店の元従業員が同店の衛生管理不備等をTwitterで告発した件ですが。

にわかには信じがたいというか、信じたくないというか。凄まじいですねこれ。 

概要をまとめると、@bunkaizyaotoha曰く、

・日常的な清掃は殆ど行っておらず、厨房内は衛生環境が劣悪。ゴキブリはおろかナメクジまで湧く。調理器具や食材にまでナメクジがついていることも。飼っている猫が厨房まで出入りし、店員は猫に触れた手で調理。

・ガスコンロ不具合(ガス漏れ?)放置。コック付近から一日に一度は火を吹く。

・店長によるパワハラが日常化。レジの不足金額につき店員・バイト等に補填強要。未成年バイトに深夜労働。本社に伝えてもノーアクション。

・料理をレシピ通りに作らない。焼き飯に使うべき調味料をそもそも発注していない。チリソースを作らずケチャップで代用。黒焦げの料理を作り直さずそのまま提供。

・ベトナム人従業員の入国管理局への届け出につき雇用理由詐称。

・コロナ補助金不正受給。対策は何らしていないにも関わらず受給。検査時以外は換気どころか換気扇すら回さず。検温・距離確保等も行わず。

などなど。蛞蝓以外は、それぞれ飲食店でまあ普通にあるだろうなという内容ではあるのですが、それが全部乗せになっていると流石に引きます。告発者の一連のツイートを読む限り、その大半は実体験に基づくものだろうという印象を受けますし、真実味も十分過ぎるほどありますね。しかもこれ、誇張なしっぽいのがまた。。。

当然ながら同店は即休業、保健所の検査も入ったそうです。保健所の検査では蛞蝓は確認出来なかったものの、指摘・指導はなされたとの事ですから、直前に掃除はして、それでも長年放置された環境を隠しきれなかった程度には酷かったのだろうとは推測されるところです。保健所もお疲れ様ですね。

今後大阪王将ならびに同店(を営業しているフランチャイズの有限会社ファイブエム商事)がどうなるのかは現時点ではわかりません。とはいえ、これだけ写真付きで悪評が広まってしまった以上、少なくともこの店はもう営業出来ないんじゃないでしょうか。勿論、他店舗も含めた大阪王将のブランドイメージの毀損は甚だしいわけで、業績への著しい悪影響が出るだろう事も必至です。

そう、同社の営業にそれだけの影響が出るわけですから、当然ながら告発者の側には営業(業務)妨害の容疑がかかってしまうおそれがあり、後々同社から損害賠償を請求される可能性があるわけですが。これに対し、告発者@bunkaizyaotoha氏はどうなろうと引かない構えを示しています。

正直無茶をするなあ、と思わざるを得ない一方で、上記の告発内容が虚偽ではなかった場合、その、飲食業者として論外と言うべき悲惨な実情を明らかにする事には公衆衛生保全の観点から公益性が無いとも言い難いものと思われるわけで。廃業するならともかく、同社がこれからも営業を続けようというなら、告発者を非難出来るかというと、これは難しいでしょう。逆ギレと見做されるだろう事必至ですからね。自業自得と思って泣き寝入りする他ないのではないでしょうか。そもそもまっとうに営業していればこんな事にはならなかったのですし。いやはや。

【追記】「ナメクジ退治とゴキブリ退治やりたくない」大阪王将の元店員を名乗る人の衛生事情の告発により株価急落の大事件に発展中

7/21/2022

[note] コロナの蔓延は社会として許容した筈では?

一応第7波という事になってるんですかね。

通常ウィルス系伝染病の類は蔓延しにくい筈の真夏にあって、一日に確認された感染者数が過去最多を景気よく更新する旨の報道が飛び交っているようですが。今更何を騒いでいるのかと不思議でなりません。

日本は、ここ数ヶ月、経済活動の再開を掲げ、政策としてほぼ全ての規制を解除し、営業自粛等への補償も廃止、海外からの入国も再開、ワクチンもごく一部の高リスク者以外への接種は不要とし、自粛推奨を含めておよそ全ての蔓延防止策を廃止し、屋外中心とはいえマスクの非着用を推奨さえしてきました。最初から対策を取らなかった・取れなかった海外各国で、一日に数十万人の感染者が生じる様をよく見ていながら。旅行補助も実施しましたっけ。

これはもう日本はコロナの蔓延を許容したのだ、あるいは蔓延の抑制を諦めたのだと、そう理解する他ない状況でした。

もちろん、私もそう理解して、そう政策として決めたのなら仕方ないのだろうと思っていました。国家財政はただでさえ火の車です。経済活動を抑制し続け、かつ巨額の補償金を出し続る余力は既にありません。当然、他の国でそうであったように、一日に数十万人規模の感染者が生じ続けて、医療リソースは圧迫されるようになるだろうし、自宅療養という名の放置される患者が増大する結果、その幾らかは死ぬ事もあるだろうし、病院にかかる事が出来ず苦しむ・死ぬ他の病気等の患者も生じるだろうけれど、経済的な困窮と天秤にかけ、それも必要な犠牲として許容したのだろうと。そうでなければ、あのような政策が取れる筈がないでしょう?

しかもそれらが選挙で圧倒的多数の投票をもって信認されたのはほんの10日程前の事。

要するに、今の状況、そしてこれから生じるだろう状況は、ほぼ完全に予想されていました。その上で、合理性の名の下に、あえて上記のような政策を取ってきたのです。そしてそれは国民の大多数の支持を得ました。ならば、コロナがどれだけ蔓延しようと、それで医療機関が忙殺されようと、報道は淡々と事実を告げ、政府や国民は、ああそうなの、と聞き流し、普段どおりの生活を続けていて然るべき筈です。例え、自らや親しい人がコロナに罹患し、さらに運悪く発症して苦しみ、あるいは生命の危機に陥ったとしても、仕方ない、で済ませなければならないのです。

なのに、大変な事になったといわんばかりに騒がしい人が沢山いるのは何故なのでしょう。

全く以て理解し難い話です。 まさか、こうなるとは思わなかった、とでも言うつもりでしょうか?ご冗談を。

[IT] Teamsダウン、テレワーク死亡

OneDriveとかOffice365とかも全部使えないんだそうで、「何も出来ない」「帰っていい?」等と阿鼻叫喚です。

原因は速報によるとサービス更新時のミス(バグ?)でストレージへの接続が切れた事だそうで、全部止まったわけではないものの、トラフィックが処理しきれずダウンした、という事だそうですが、困ったものです。Slackの改悪直後でおそらく移行するユーザが増えているタイミングだっただろう事も要因になったのかもしれません。

今更言うまでもない話ですが、Teams関連はテレビ会議機能の充実性を武器にトップシェアを獲得しており、テレワークは勿論、普段の業務上でも最も利用者・企業の多い巨大サービスです。それがほぼ全停止。場合によっては業務データにアクセスすら出来ない状態というわけですね。業務に支障、というより不可能になってしまうケースも多々あるだろうわけで、損害は幾らになるのか、考えるのも恐ろしいです。損害賠償請求したら通ると思うんですが、どうなんでしょうね?一度どこか訴訟を起こしてくれないかなと思う次第です。

いや、私は使ってないから他人事なんですけれども。何があろうと絶対にその時に遂行出来なければならない、でなければ顧客に大損害が生じて責任問題になるといった類の業務がしばしばあるんですが、そういう時にこの種の障害は許容出来ないというわけで、原則クラウド系には依存出来ないのです。なので、基本部分は昔ながらの自前サーバ等で完結させて、クラウド系は補助的にしか使っていません。そもそもメインはLinuxでWindowsはサブ、数少ないWindows利用時にもMicrosoftアカウントすら普段は使いません。というわけで高みの見物。

そういう、いわば部外者的な立場なわけですが。この手の障害が起きる度にいつも思うんですが、チャットだとかテレビ会議とか、その性質上オンラインでなければならないアプリがクラウド系に依存するのは仕方ないにしても、Officeアプリみたいなオフラインでも何も問題ない部分まで依存させてしまうのは止めたほうがいいと思うんですよね。

MicrosoftやGoogle等のベンダ側としては、クラウド型の方が一般に収入が増えるし管理も容易になるしでいいことづくめなのだからそうしたい、というのは理解出来ますが、その、自社の利益を目的に顧客にリスクを押し付け、実際にこのように甚大な損害を生じさせ、しかもその責任は負わない、というのはあまりに無責任に過ぎると言わざるを得ないわけで。ベンダ側が無責任である以上、ユーザ側は自衛を図らねばなりません。本来不要な対応であるにも関わらず。

今更無理だとは思いますが、業務システム基盤のデファクトとして広く用いられているソフトウェアのベンダとしての責任を多少なりと果たしてもらいたいものです。そのためにも、一度痛い目を見てもらってもいいのではないでしょうか。

「Microsoft Teams」で障害 ~OfficeやSharePointなどの関連サービスにも影響拡大

7/16/2022

[note] ある政治家の死

政治家が死んだ。

あの人か、ご愁傷さま、といつものように軽く冥福を祈る。

ただ名前を知っているだけの、知己でもない赤の他人だ。政治家、一世を風靡した芸能人、業界の有名経営者、読んだことのある小説の作者、いつか見たことのあるVtuber、講義を受けた事があるだけの教授、言葉を交わした事もないかつての同級生。どれも何一つ変わらない。所詮は他人事だ。

人は死ぬ。毎日、およそ数十万人が地球上で死んでいる。名を知っている程度の人に限っても、淡々と絶え間なく次々に死んでいく。いちいち気に留めてもいられない。そこに倫理や道徳の類が割って入る余地もない。時間は有限であり、日々の営みを放り出し、ただ死者を悼むために時間を割くような贅沢は、お互いに親しい知己であったような相手でもなければ行えない。

当たり前の話だ。そうしなければ、四六時中死者を悼んでいなくてはならなくなるだろう。葬儀のために大半を費やす人生など悪い冗談だ。

だというのに。たまに出るのだ。延々と、声高に、わざと人の耳に目に入るように、追悼を叫ぶ輩が。あんな素晴らしい人が亡くなったのに、あなたは悼まないの?と言わんばかりに。

やめろ。うるさい。私には関係ない。迷惑だ。

もう終わった話の筈なのに、これみよがしで芝居じみた大げさな嘆きを聞く度に、不快な感情が喚起され続ける。不愉快極まりない。

死んだ政治家に罪はない。だが、この不快感の一因には違いない。彼に対しても負の感情が芽生えていく。

分かっているのだ。彼の死を悼む人が多いほど、その葬送が大規模になるほど、長期に渡るほど、彼の所属していた政党、その意思を継ぐと称する有象無象、またその支持者等が、感情に流される有権者の同情による支持という政治的な利を得る事、まさにそのために彼らが中心となってこの鬱陶しい声を拡大しようとしている事は。侮蔑を禁じ得ない。だがそのように感情を持つ事自体煩わしい。

目を塞ぐ。耳を塞ぐ。見えていても、聞こえていても、そこにないものとして。そうする以外にこの不快感を抑える術がない。後は時間が解決してくれるだろう。

そしてまた、今日も人は死んでいく。いつものように。私を煩わせずに。

※死亡者数修正 数千万/日 -> 数十万/日

7/14/2022

[biz] 暗号資産取引大手の米Celsiusが破綻

したそうで、Chapter11を申請したとの事。同社は暗号資産の貸出を主力業務としつつ、預かった・貸し出した暗号資産の売買も行い、自らが同社の名前と同じコインCelsiusを発行したりもする、暗号資産銀行とでも称すべき業者の中でも特に有力なプレイヤーでした。

と言っても、だいぶ前から大損こいて複数の州当局の調査も入っていましたし、もうダメなのは明らかでしたから驚きはないのですが。とは言え仮にも大手の一角ではあり、利用客は少し前の段階で100万以上、資産・負債共に入り組んでいて分かりづらいのですがその負債の規模はおよそ数十億ドルから100億ドルほどもあると言われていましたから、結構な大型破産案件ではあって、その影響は小さいものではないでしょう。

現在は口座は凍結され、引き出しも停止しています。もっとも、本来顧客の資産である筈の暗号資産を預かり運用するという銀行と類似した業態でありながら、銀行とは異なり自己資産との区別もなされておらず、一緒くたに運用されていたようですから、凍結というより、引き出しに応じようにも(本来留保されている筈の)暗号資産そのもの自体が存在しない、という事なのでしょう。利用者保護の法規制がなされていないのだから、それもある意味当然の結果と言えるんでしょうけれど、困ったものです。

破綻の理由は、価値が一瞬で0になったLuna絡みで先に破綻した暗号資産ファンドのThree Arrows Capitalへのエクスポージャーが主たる原因らしいので、ここ最近の暗号資産バブル崩壊、その連鎖倒産の一環という事になるのでしょう。他にも大小様々な業者が同様に破綻している上、同社レベルの破綻も加わればさらに連鎖して破綻する業者が出るだろう事は必至、暗号資産の黒い季節はまだまだ続きそうです。

ただ、実体ある資産・信用の裏付けがない以上、いずれこのような事態になる可能性が高い事は当然ながら分かり切っていた話で。巻き込まれた業者も顧客もみんな自業自得という他ないし、株式市場等への直接的な影響はさほどないだろう事もあって、救済云々を考える必要がなく、どこまでも他人事として見ていられるのは救いと言えるでしょうか。

Celsius Files for Bankruptcy as Users Worry Their Money is Gone Forever

[law] アレンジ品はだいたい商標法違反になる

つい先日、有名服飾ブランドの布製品を材料にした加工品を"アレンジ品"や"リメーク品"等と称してフリマサイト等で販売していた業者が逮捕されていましたね。容疑は商標法違反。被疑者は違法とは知らなかった旨を主張しているそうですが、まあダメでしょう。

というのも、販売時には、商品名中にブランド名を掲げ、それぞれの商品もロゴが認識出来る状態だったという事なので、容疑自体は否定のしようもありません。違法とは知らなかったという主張も、ブランドからの事前の警告を無視して販売を継続したとの事ですから、苦し紛れの嘘の類であろうと思われますし、なかなかに悪質なケースですね。有罪は免れないでしょう。

この場合、刑事面の訴追に併せ、権利者からの民事での損害賠償請求も当然されるでしょうけれども、その額は商標法38条の推定規定に基づき、本来の権利者のブランドで当該商品が販売されていれば得られたであろう売上額という事になります。アレンジ品の場合はその商品自体は元のブランドでは販売されていない事も多いでしょうから、その場合は仮に販売されていればそれくらいだろう額ということで、類似品の価格がその算定の根拠になります。それが販売数分。とりわけ有名ブランドの場合は大変な額になってしまいます。それこそフリマサイト等で得た売上の何倍にもなるでしょう。悪いことはするもんじゃありませんね。くわばらくわばら。

さて。法的な処理は概ね以上の通りで疑問の余地はほぼないのですが。 そもそも商標法違反ってどういう事、という疑問を持つ人もいるかもしれません。いわゆるパチもん、偽物、模造品の類がアウトなのは明らかですし疑問に思う事もないでしょうけれども、アレンジ品等は元々が正規品なのだから嘘ではないしいいんじゃないの、とかそういう感じに思うだろうわけですね。

実際、正規品をそのまま転売する分には別に問題はありません。(中古品を販売するには古物商登録は必要ですが、それはまた別の話。)ですが、加工がなされた時点で、もはやそれは正規品ではなく別物なのです。別物である以上、商標権を持たない者が商標を付する事は出来ません。その意味で、偽物と同じという事なのですね。相当に手を加えていてもダメ、というより、手を加えているからこそブランドの名前やロゴを付けてはダメなのです。

今回逮捕された件では、商品名中のブランド名の顕名と、商品の布地の模様中のロゴが無権利商標につきアウトという事になります。逆に言えば、商品名に掲げず、布地の模様も認識出来ない状態なら大丈夫だったかもしれませんが、それならそもそもコストをかけてブランド品を材料にする意味がないわけで。結局のところ、ブランドの名前やロゴを掲げられるのは他者の手の加わっていない正規品だけで、それ以外に商標を冠すればアレンジ品だろうが完全な偽物だろうが等しく全て商標法違反という事です。

ともあれ。単なる偽物とは違う云々、違反業者の方にも色々不満もあろうかとは思いますが、この種の権利関係の規律は、曖昧にすると権利侵害で溢れかえって収拾がつかなくなる事もあって刑法並に厳格な運用がなされるものですから、逮捕された後で納得出来ないとかゴネたところでどうにもなりません。損害賠償額も洒落になりませんし、程度によらず、他人の看板で商売をしようとするのは最初からすっぱり諦める他ないでしょう。

なのですが。。。変造品、加工品についての類似の事件は昔からしばしば起こります。 有名なところでは、PS2(ゲーム機)のファームウェア書き換え品が同様に商標法違反で摘発された件とか。きっとこれからも起こるのでしょう。しかし法律を知っていれば避けられる話です。本件は著作権や商標権について基本とも言えるだろう部類の話でもあるし、商売をする上でのリテラシーの一環として最低限覚えておくべきでしょう。転ばぬ先の杖、です。 

「エルメス」正規品のマーク切り抜いて加工 1800点、インスタで販売か 女2人、容疑で逮捕

7/12/2022

[note] AmazonのPrime Dayが普段の価格とほぼ同じっていうよく知られた話

ずっと言われている事で、今更も今更な話ですが。年に一度、とか謳う癖に、全然安くないんですよね。今回それを再認識する事になったのです。ああやっぱり、って。

というのも、ここ数ヶ月、特にAndroidのタブレットデバイスとかミニPCとかで買い替えを検討していた事もあって、その辺の製品の値動きを毎日観察してたんです。なので具体的な数字の動きが見えたのです。で、ため息をつくしかなくなったという。

前提として、今のAmazonって、ほぼ全ての製品が、何かしらの割引を行っている(と称する表示を掲げる)のが常なんですね。常に行う割引とは何ぞや、という疑問は措いておくとして、実際そういう表示になっています。と言っても、いつも同じ表示だと割安感が出ないとかで訴求力が落ちたりするんでしょう、普通の割引の他にもクーポン等いくつかの割引の仕方があって、その組み合わせを切り替え、見た目を変えながら同じ商品を殆ど同じ値段で売り続けているわけです。

基本は本体価格の割引+クーポン(定額or%)の組み合わせが一番多く、タイムセールと称して本体価格の割引にまとめる(減額したクーポンを組み合わせる事もある)のとの切り替えがよく見られます。一応、タイムセール表示の時には数%程度安く設定するものが多いようで、これが基本的に普段の安値というか、それ以外で買う人はまずいないだろうので事実上標準の売値という事になります。

タイムセールの期間は商品によってまちまちですが、注目していた数機種(T610、SC9863A、T310等の安価なSOCを積んだ低価格帯のAndroidタブレット)では、およそ月の半分位は同一の価格になっていました。やはり限定特価というより、事実上の通常価格と言うべきものですね。それ以外の価格の時は売れる事が想定されていないだろうのですから。もちろんプライム会員である必要はありません。誰でもその価格で購入出来ます。

で、Prime dayです。その名の通り、Prime会員しか参加できない、Amazon曰く「年に一度のビッグセール」との事です。顧客には、いつもやっている誰でも買えるタイムセールとは違う、さぞ破格の安値になっているのだろう、との印象を与える事は間違いないだろう広告を打っているわけです。

そのビッグセール中のタブレットたちですが、以下のような感じです。左が先月から今月頭までのタイムセール価格(クーポン等はあれば適用後)、右が今回の価格。

TECLAST TLA007 15,120円 → 15,120円

ALLDOCUBE Smile X 15,120円 → 15,120円

ALLDOCUBE Smile 1 12,349円 → 12,041円

Blackview Tab 6 12,999円 → 12,799円

上2機種は全く同じ価格。下2機種は値下がりしてはいますが、「ビッグセール」と言う表現から受ける印象とはあまりにもかけ離れた、わずかな差と言うべきものです。付け加えれば、商品のページでは"参考価格"と称して、Smile 1は16,900円、Tab 6は15,999円を表示しているのです。そんな価格で販売した事は無きに等しいにも関わらず。二重の意味で、優良誤認のおそれがない、とは到底言えないでしょう。もちろん、上2機種に至っては論外です。

本件がさらに悪質なのは、常態化しているタイムセールを、Prime dayの数日前から当日までは行わず、あえて普段より高い価格を付けている点です。常に詳細な価格をウォッチするか、価格変動を記録しているサイトを参照でもしない限り、これが普段の価格だと気づけないようにしているのです。※なお、Keepaのような価格トラッカーは、クーポンの反映が出来ない等で正確性に欠けるところがあるため、誤認の防止には不十分です。

当然ながら、ここで挙げた例はほんの一部で、同様の表示は大多数の商品で広く行われています。中華系セラー等の販売委託品はほぼ全部ですね。例外は、Amazonの自社販売品の中のさらにほんの一部で、おそらくセール全体がタイムセールと全く同じではない、だから優良誤認ではない、とエクスキューズをつけるために渋々設定しているのだろうという程度に過ぎません。 結果、前々から目を付けていた商品が、Prime dayで破格の特価になるという事は殆ど起こらない状態になっているのです。Amazonのセールの度に、欲しい物リストに入れておいた品が全然安くなってない、という嘆きをよく目にしますが、それも当然というわけですね。

何故このような状況になっているのか、と言えば、想像する事はそう困難ではありません。Amazonの商品の多数を占めるところの、しかし販売委託を行っているに過ぎない外部のセラーからすれば、Prime dayだからと言って自社が赤字、とまでは行かずとも、利益が極端に減るような値引きに協力する積極的な理由はないだろうし、かと言って販売の機会を逸したくもないという事情はあるでしょう。普段の表示にしても、もとよりあまり割高な価格を掲げれば見向きもされず、さりとて際限なく(実質的な)値引きを続けるわけにも行かないだろうし、こういう価格設定やその表示を選ぶ事も理解出来なくもないところです。

ですが、だからと言って、誇大広告が正当化される筈もありません。紛うことなき違法行為、顧客への裏切りに他ならないのですから。まあ、中華系の業者であれば、日本人の顧客なんて人とも思っていなくても不思議はないし、そもそも彼らの文化として、優良誤認自体悪いことと思ってもいない(騙される方が悪いとか思っている)のだろうとは推測出来ますが、ここは日本ですからね。国内法に従って頂かなくては困るのです。

その辺りの倫理面の認識は、おそらくはAmazonも似たようなものでしょう。否、顧客はおろか、数多の外部委託業者、さらには自社の従業員ですら人として認識していないとしか思えない、単なる事業上のリソース扱いをして憚らない同社の事ですから、裁判沙汰のち敗訴して大損失、とでもならない限りは、特に問題と認識する事もないのでしょう。

斯くして、かくもあからさまな違法行為は、公然と続けられるのです。数多のユーザ、顧客の怒りと嘆きを生みながら。馬鹿馬鹿しいですね本当に。

ちなみに、件のタブレットの購入については、結局目を付けてたものとは別の、数時間だけ破格の安値になっていた別機種を購入しました。もちろんPrime dayとかは関係なし。ある意味当然の結果なのでした。

7/09/2022

[biz] Elon MuskがTwitter買収を撤回

したそうで。まあ、それ自体は大方の予想通りではあるんですが、その際の言い分がね。。。Twitter関係者をはじめ、振り回される人たちはご愁傷様です。

事の次第を大まかにまとめると、次の通り。

まず2022年4月に突然MuskがTwitter社の株式を9%取得し大株主になった事を公表し、それと併せて残りの91%についても買い付けて100%買収する旨を発表したところから始まります。その際の買い付け価格は1株あたり$54。当時の株価からしてもプレミアムの付いた価格で、総額で440億ドルにもなる超大型買収案件でした。

本件は大きな反響を呼びます。と言っても、どちらかと言うと困惑の面が大きかったでしょうか。というのも、周知の通りTeslaをはじめMuskの手掛ける事業はどれもTwitterのようなITメディアのプラットフォーム事業とは関係が薄く、いわゆるシナジー的なメリットを見出し難い不自然なものに見えたからです。実際、Musk自身も買収する事による事業的な利益についてはほとんど何も語っていません。

一方で、当時は特にウクライナでの戦争等に絡んだMuskの過激な発言に起因してMuskへのバッシングがネット上で多数見られ、これに激しく反発するMusk自身の言動も相俟って、そのバッシング等の主たる場でもあったTwitterを半ば衝動的に攻撃しようとしたように見えもしました。実際、買収にあたってMuskがTwitterにまず要求した事は、スパムやボット等のまさにMuskを攻撃していたアカウントの情報だったのです。その上、Twitterの事業自体について建設的なやり取りがなされていた形跡は現在に至るまでおよそ認められません。

もちろん、Twitter側は経営陣から個々の従業員まで、全社を挙げて激しく反発しました。もっとも経営陣は立場的に好条件のオファーを撥ね付ける事は困難ですから、建前上は買収交渉の契約を結び、折衝を重ねてはいました。とはいえ、Muskの真意がTwitter(とそのユーザ)を害する事にある事はほとんど明らかでしたから、Muskの事は信頼せず、用心深く事に当たっていたであろう事は疑いようがありません。従業員については何をかいわんや。公然とMuskへの非難を表明する社員は数知れず、大筋での合意以降は退職者も続出したと聞きます。

そんな状況が外部からもはっきりとわかる位でしたから、これはそのうち破談するんじゃないか、と大方の向きは思っていたわけです。

で、資金の払込等をする前に情報を寄越せとMuskが無茶な要求をし、ふざけるなこれ以上は買収が終わってからだ、とTwitter側が撥ね付ける押し問答をしていたりして、一向に話が進まない間に、暗号資産のバブル崩壊に端を発する形で株式の大幅な価格下落が起きてしまいました。Tesla株をはじめ、買収の資金源であるところのMuskの資産の大半を占める株の価値も大幅に毀損し、一方でTwitter社の株価はさらに数10%も下落し、Muskの提示した買い付け価格の半額近くまで下がってしまうに至り、誰もがMuskが買収を取り下げるだろう、と確信するようになっていたのです。だからこそ買い付け価格からの乖離が定着したとも言えるわけですが。ついでに金利も上がり、資金の借り入れコストも爆上げ。

そんなわけで、誰もが思っていたとおり、果たしてMuskは買収の撤回を宣言するに至りました。なので、それ自体は特に驚く事はありません。

問題は、その後始末です。具体的には、買収交渉の合意の中に、撤回時の違約金10億ドルが設定されていたところ、その履行の有無が問題になります。買収を実行していれば生じたであろうのれん代という名の損失に比べれば1桁小さいとは言え、結構な大金です。Muskが支払いを渋るだろう事もまた予想されていましたが、その通りにゴネはじめました。その理由が、この期に及んで、スパムやボットの比率に関するデータ開示が不十分で、交渉契約に定められた協力義務に違反していた、すなわち解除はTwitter側の義務不履行に基づくものだからMuskに責任はなく、違約金の支払い義務もない、とするものでした。

何を言ってんだろう、と思うわけですが。。。ユーザの情報も多数含むようなまさに営業上の機密に属する情報を、信用も出来ない相手に契約が完了する前から全部出せるわけもないし、そもそもそのような情報が買収時の判断、すなわちTwitter社の事業評価に際して必要なわけもありません。語るに落ちたというか、始めからそれらの情報がおそらくは個人的な報復のために欲しかっただけで、買収する気もなかったであろう事はほとんど明らかなように思われる有様ですね。

Twitter社はもちろん激おこです。ふざけるなそんな理由は通らん、契約通り買収を実行するか違約金を払うかしろ、と至極当然の返答を返しました。Muskももう後には引けませんから、裁判沙汰になる事は確実な状況です。

もっとも、どう見てもMuskの言い分が常軌を逸していて正当性のかけらも見えませんから、実際に裁判になれば適当なところで和解に持ち込んで多少減額した違約金で手打ち、とかその辺りに落ち着きそうではあるのですが、展開も終わりも見え見えなだけに、何から何まで全くの無駄手間という事になるわけです。Twitter側はひどい目に遭っただけ。

本件に限らずMuskは暗号資産関連での相場操縦も公然と行ったり、詐欺まがいの風説流布も頻繁に繰り返しますし、迷惑この上ないわけで、いい加減痛い目を見てもらいたいと思う次第なのですが、さて。

Elon Musk pulls out of $44bn deal to buy Twitter

 


7/06/2022

[note] 現金利用者を公然と中傷する人たち

の言動が極めて不快です。今に始まったものではありませんが、なんとかならないものでしょうか?本当に。

キャッシュレス決済が日本国内でポイント付与等の政策的な後押しを受けて大々的な普及を始めてから早数年。代表格であろうPaypayのサービス開始からだと大体4年位でしょうか。現状としては、利用率は小売での決済のうち3割程度の利用と、コンビニ等で普及はしたものの、現金決済の置き換えはおろか、多数を占めるにも至っていません。

要因は様々ですが、まず第一に、当初から言われ続けて来ている事ながら、決済手段の乱立が未だに解決されていない点が挙げられます。キャッシュレス決済と一口に言ってもQR、プリペイド、クレジット、デビット等、決済方法や業者が多数乱立競合し、改廃も頻繁なため、純粋にシステム面で各店舗等で全てに対応するのが困難です。また各小売業者がポイント等で顧客の自社への誘引を図る際にも競合してしまう事もあって、店舗側・顧客側双方で多数の決済手段を並列的に準備し、決済の際にもそれぞれにアプリ等を準備しておかなければなりません。これに対し、現金は原則共通で利用可能なため、本来キャッシュレス決済の利点である筈の利便性の観点からむしろ現金でいいと考える消費者が少なからず生じており、この点が最も主たる要因と言えるでしょう。また、ネット上の通信を前提とする決済は障害発生時に利用不能になるというデメリットについても、当然無視できない店舗も人も多いでしょう。ネットが繋がらないから決済出来ない、では当たり前ですが困るのです。

実際、一般家庭において、日常的に最も決済の機会の多いであろう食料品スーパーでは、支払いのみをセルフで行う、いわゆるセミセルフレジが主流で、そこではキャッシュレス決済と現金決済が併存する形式になっています。コンビニですら(セミ)セルフレジの導入が進んでいます。少なくとも、現金決済が排除される必要性も必然性もないし、将来的にそうなる見込みもありません。結局のところ、キャッシュレス決済を利用したい人、現金を利用したい人、個々の利用者の要望に従い、決済手段を使い分けられるようになっています。可能である限り、求められる選択肢を自由に取る事が出来るようになる、それは社会システムとして極めて自然な成り行きと言うべきでしょう。

なのですが、キャッシュレス決済は便利、現金決済は不便で不合理、とする排他的な極論を主張し、執拗なまでに現金決済を批判する人が絶えません。のみならず、現金決済の利用者を嘲るものも少なくありません。便利な方法を知ろうともしない、理解することもできない、愚かだ、等として。決済手段の選択など、言うまでもなく個々人・店舗の自由に属する事柄です。手段間の優劣を論ずるのもまた自由ですが、その見解にそぐわない行動を取っている赤の他人のそれをして嘲笑するなど論外です。全く以て正当性を欠き、到底許されない誹謗中傷と言う他ないでしょう。

そもそも、キャッシュレス決済が利用可能になっただけで、現金決済が何かしら変質して有害なものになったわけでもなく、本来的にそれを批判する必要はないのです。であるにも関わらず、それを行う者がいるとすれば、それにはそれなりの理由がある筈です。現金決済の排除すなわちキャッシュレス決済の利用拡大が利益となる事業者自身、またそのステークホルダー、通ぶりたい自称評論家、現金のやり取りを嫌う店員、他者にマウントを取りたいナルシスト、自分の意見に従わない者を敵視する全体主義者、差別主義者、etc。いずれにせよ、他者の事情、権利を省みず、理不尽な非難を加えて憚らないその態度からすれば、自己中心的な動機によるものである可能性は極めて高いでしょう。それを、「時代の変化への適応」をダシにしてあたかも正当な論評であるかのように装いつつ、公然と発信する、その振る舞いは卑劣という他ありません。

百歩譲って、そのような理不尽な言動もまたその人の人格の発露であり、避けられないものとして許容せざるを得ないとしても、そのような誹謗中傷を公の場でさらけ出すような真似は止めて頂きたいと、心からそう思う次第なのです。

7/03/2022

[note] Peter Brook passed.

 現代演劇の巨人Peter Brookがこの世を去ったそうです。「なにもない空間」よ永遠なれ。