繊維系最大手の東レも偽装、しかもこの期に及んで隠蔽しようとし、しかし元社員に暴露されて露見という。三菱マテからの連想で、似たようなポジションのここもヤバいんじゃ?と怪しんでいた向きもあったでしょうけど、それが正解であった事が最悪の形で明らかになってしまいました。材料・部品系は総崩れですね。
同時に、この種の不正に関する仮説、すなわちここ数年続いている一連の、旭化成や東洋ゴム、神戸製鋼、日産らの件はそれぞれ特異な事例というわけではなく、製造業全体に共通する不正、その一端に過ぎないだろう、という懐疑的な見方が、強力に裏付けられたものと言えるでしょう。
今回明らかになったのは自動車タイヤ向け材料の強度偽装。少し足りない位いいだろう、と考えたそうです。そうですか。
急遽開かれる事になったその釈明会見では、 神戸製鋼の件が無ければ公表はしなかっただろうと臆面もなく認めてもいます。不正を把握した後も1年以上に渡って公表せず、顧客とは個別に確認を進めていたというのですから、後で公表するつもりだった、といった類の言い訳のしようもなかっただけなのでしょうけど、目も当てられません。
ともあれ、東レや三菱マテのような、誰もが認める各分野の業界トップであり、確固たる地位、事業基盤を有し、少なくとも、不正をしなければ立ち行かないような事情があるわけでもない筈の大企業までもが、こぞって組織的な不正に手を染めていたという、残念という表現では到底足りない事実が明らかになってしまいました。
こういう事実を見るにつけ、もうなんと言うか。ああ、もう終わりなんだと思うわけです。いや、とっくに終わっていたんでしょうけど、それを誤魔化す事ももう出来ないんだと。かつての日本株式会社と言われ、品質だとか顧客の信頼だとか、製造業に携わる者が拠り所にしていたような、侵すべからざる一線、それらに付随する当事者の誇りや、周囲の抱いていただろう敬意も、成長のネタが切れた時点で中国はじめ他の後発プレイヤーの競争力の前に、単なる理想論や精神論のような、建前に過ぎない幻想に過ぎなくなっていたという事実。その、現場に近い人間の誰しもが知っていただろう現実の前に、建前を維持する事も出来なくなり、瓦解し、雪崩を打つようにして明るみに出た、という、それだけの事なのでしょう。
言うまでもなく、同情の余地は全くありません。速やかに被害を補償し、十全に責任を取る他に選択肢もありません。その結果、各社が顧客を失って追い込まれ、あるいは国内の製造業自体が消滅しようとも、それも自業自得というしかないのです。もちろん、東レはじめ不正各社のカバーする製品領域は広く、これから幾らでも余罪も出るでしょうし、そちらも併せて責任を負うべきものである事は言うまでもありませんが。
次は何処でしょう。実際の所、殆どのメーカーと担当者、責任者が揃って戦々恐々としているんでしょうし、もはや何処で火が上がっても驚くにはあたらないのでしょうけど、取り返しはつかないのだから、この上は潔く腹を切るべきだと思うのです。談合がよく取り沙汰される自動車部品の各メーカーなんかは当然その前科的にも業界の体質的にも色々怪しまれてそうですが、さて。
東レ、子会社でデータ改ざん タイヤ部品など149件
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