5/06/2016

[biz law] 悪質極まる東亜建設工業の空港耐震工事詐欺、すら普通に感じる現状

またか。どいつもこいつもいい加減にしろよ。

東亜建設工業による羽田空港C滑走路の施工不良隠蔽の件ですが、多くの人が似たような事を思ったのではないでしょうか。もっとも、後半部分はもうどうでもいい、だったかもしれませんが。

具体的な事の経緯は次の通り。羽田空港が埋め立て地につき地震時に懸念される液状化の防止策として2015年5月から2016年3月にかけて施工された(事になっている)補強工事について、それを請け負った同社が、自社開発の薬剤注入方式による施工に際し、工法の問題から予定量の5.4%の注入に留まり、ほぼ完全に失敗していたにも関わらず、予定通り全量注入に成功したものとしてデータを改竄、それに基づいて完了の旨虚偽報告を提出し、代金を詐取していた、というのものです。

本件で問題の工法による施工は、今回が初めてではなく、既に複数の実績があったとの事。という事はあれですよね。過去の例でも同様の隠蔽・虚偽報告がなされたのかは現時点で不明ですが、少なくとも入札参加前の段階である程度施工の可否というか薬剤注入の実行可能性は分かっていた筈で、であれば最初から出来ないものと知りながら提案・入札・落札し、施工・完了報告までやり通した、という話になるわけです。

何なんでしょう。あまりの情状酌量の余地のなさ加減に目眩がします。

既存の類似犯罪との比較で言えば、利用者の安全性を犠牲にして自社の利益を図ったという意味では旭化成の件と類似しており、従って前代未聞とまでは感じません。しかし本件は最初から代金詐取を目論んで事に臨んだ点からして、明らかな計画性が認められ、よって遥かに悪質性は高いものと言えるでしょう。その意味では東洋ゴムの件の方が近いと言えるかもしれません。目的が耐震性の確保である所も共通ですし。三菱自動車の件は、安全性について犠牲にしたわけではない、という点では異なりますが、確信性というか、悪意の明確さや計画性等の面ではやはり類似性が高いように思われるところです。こうして比較して見ると、それら過去の類似例の悪い所をかき集めたようにも感じられますね。

そんなわけで、企業犯罪ここに極まれり、とも言うべき酷い事件ですが、しかし近年頻発して来た類似例、そのあまりの多さに既に慣らされてしまったのか、取り立てて衝撃を受ける事はなく、むしろまたか、と思ってしまうわけです。しかしその事実、すなわち社会システムの基幹を担う部分ですら、もはやそれを維持するに欠くべからざる最低限の規律や倫理までもが失われ、しかもそれに衝撃を受ける事すらなくなってしまった、という現実には、改めて戦慄を覚えずにはいられません。まともに是正する気すら起こらないという事なのですから。

福島原発の件ですらあれなわけですし。もう法定刑を大幅に引き上げて見せしめも出し、やれば文字通り会社も人生も終わる、という状況を作り、かつ知らしめる事で抑止を図るしかないのではないでしょうか。経営者・担当も、関与しなかった事を証明出来なければまとめて全員5年以上の執行猶予なしの懲役刑とか。それ位しなければ、根絶はおろか抑制すら期待し得ないでしょう。事実、現状はいたちごっこにすらなっていないのですから。致命的なレベルの罰則が無ければ最低限の倫理すら保てない、というのはとても残念かつ遺憾な事ですけれども、それが現実というのなら是非もなし、です。

羽田滑走路耐震工事改ざん=東亜建設、社長辞任へ-薬液注入、予定の5%

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