9/29/2013

[pol] 米国政府・議会の予算を巡る対立はもう無視すべきだと思います

すっかり季節の恒例行事になった感のある米国の政府機能停止騒動がまたやってきました。

今回も問題の構造の大枠は同じ、要するに過大な予算案を提示する大統領以下政府ならびに与党民主党に対し、既に上限に達している債務の増額を拒否する共和党が対立し、非難の応酬が繰り返されているというものです。長らく米国では民主党が押さえる上院と共和党多数の下院、いわゆるねじれ状態にあって、いずれのサイドも強引に自案を通す事は出来ない以上、こうなるのはある種当然の事ではあるんでしょう。そして、米国の国家的な問題である以上、世界中の多数が嫌でもある程度注視せざるを得ない状況であるのも当然の事です。

しかしこう、年に何度も、その度に行政が機能停止する旨の、脅迫じみた危機感を煽るような観測が盛んに喧伝され、多少なりと世界中に面倒を強いた挙句、期限最終日にあっさりと、大方の予想通りの大抵債務を先送りする類の妥協案で何事も無かったかのように解決する、なんて茶番を繰り替えされては、いい加減うんざりもするというものです。

もう大方の世間も狼少年扱いするようになったようで、この種のニュースに最も敏感な筈の金融界隈では、だいぶ前からどうせ機能停止にはならない、とする旨の分析記事が散見されていましたけれども、それもむべなるかな。

まあ、大多数にとっては茶番その物ではあるのですけれども、政府職員はじめ公務員には自分の首や減給がかかる話ですから些事とまでは言えないんでしょうけれども。それにしたってこんな頻繁に繰り返されてはいい加減真面目に付き合う気になれなくなると思うんですけれども、どうなんでしょうかアメリカの公務員。

かように世間からは冷えきった見方をされている米政府・議会ですけれども。Obama大統領もここ最近失点続き、特にシリア問題で盛大にやらかして求心力がさらに低下し、一部からは既にlame duckとする声すら上がる現状にあって、最重要政策の一つに位置づけて来たObamacareこと社会保障政策の中核たる健保制度を易々と捨てるわけには行かない事情は理解出来るところです。しかし、世論の趨勢から見て、大多数から絶対に必要とまでは思われていないだろう当該政策に固執しても、共和党側に妥協する必要が皆無に等しい以上、その態度は逆に理不尽かつ非合理的なものと見做されるリスクが相当に高いものと思われるわけで、どうにも分が悪いように見えるんですよね。そもそも、社会保障を充実させようとしたら行政が機能不全に陥りました、では本末転倒なわけですし。従ってこのまま行くと概ね責任は政府側、という事になるでしょうから、さっさと折れればいいのにと思います。ただ、一方で共和党も何も考えてないのが明白で、そちらに合わせるというのもまた無理があるのも事実なのでしょう。結局、どちら側にも合理性の乏しい罵り合いに過ぎないというわけで残念です。

もっとも、我が身というか自国を振り返って見ると、債務の上限やら総量管理とかそういう概念自体が存在せず、ひたすら債務を膨張するに任せ続け、もはや制御不能となってしまっているわけで、いくら米国のあれこれが不毛に見えてもその機能がある時点で比べるべくもないのがまた悲しいところなんですけれども。概算要求100兆ってねえ。。。いやまあその話はここでするものでもないでしょうね。ともあれ、いい加減この種の話は気にするだけ無駄なものと認識されている筈なので、いちいち騒がないで欲しいなと思う次第です。

U.S. Shutdown Nears as House Votes to Delay Health Law

果たして今回は一部一時閉鎖と相成りましたが、しかし世間の大勢は殆ど気にしなかったようで。それでよいと思います。一々付き合ってられませんこんなの。

Markets Don't Care That The Government Just Shut Down 

ちなみにこのままのペースで行った場合、債務上限に達する期限は10/17、あと二週間後ですね。それまでは多分に双方本気で妥協しようとはしないでしょうから、周囲としても放置でよいでしょう。

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そして期限が迫ってきたところで、当然のように債務上限緩和+保健制度修正で調整中という誰もが予想した予定調和的な流れに。馬鹿馬鹿しいにも程があります。