長らくその適法性が争われてきた神奈川県の臨時特例企業税条例について、完全に違法と断じる旨の最高裁判決が出たそうで。理由は地方税法で認められている欠損金の繰越控除を無効化する形で抵触するため。条例は国法に抵触する限りにおいて無効、という大原則に沿った概ね当然の結果という事ですね。
神奈川県は1700社から徴収した計約480億円を返還する運びとなり、しかし法定の利子がついて返還額は635億。法定利率の高さから対象企業には結果としていい投資になった格好ですが、その分県は只でさえ苦しい財政状況に加えての損失になってしまったわけで、しかしその責を帰せられるべき本法案の実現に関与した面々は事実上不問ですから、その肩代わりをする格好になった県民各位には何ともご愁傷様な話です。もっとも、議員を選出したのは他ならぬ当の県民、最低限の原則も理解していない無知な議員を任じたという意味で自業自得と言うべきところかもしれませんけれども。
ともあれ、国内有数の大規模自治体である神奈川ですらこの始末、この種の地方政治におけるお粗末な現状を見るにつけ、地方分権の非現実性を強く実感させられる次第です。当初から国政進出を必須の手段と定め、それを成功させた維新の会、その基盤たる大阪はほぼ唯一の例外でしょうけれども、だからと言って他の地域、また維新の現代表以外の首長に同様の知見や能力を期待する事は不可能だし、そもそも維新の会にしても結局の所頭にあるのは財源の奪取だけで肝心のその運用等については埒外な有様ですしで、仮に地方分権が成立するとしても遠い未来の話になりそうです。それが良い事なのか悪い事なのかは判断しかねるところですが、少なくとも地方に予算を与えて現状よりそう良くなる具体的な根拠は皆無ですし、あまり拘る必要もないって事ですかね。実際の所、維新ですら政党としては体を成してないんですし。
神奈川県、1700社に635億円返還へ 独自企業税に「違法」 最高裁判決